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労働実務事例提供:労働新聞社

仕事と病気無関係と認識、労災の証明求められたが?

カテゴリ
労災保険法  >  保険給付関係
著作者
労働新聞社
「労働新聞」「安全スタッフ」(2011年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 作業員が仕事が原因で病気になったと休んで病院に通っています。会社としましては仕事と病気は関係ないと考えているのですが、家族の方も仕事が原因だと考えているようです。現在かかっている医師の意見書も出してきたのですが、労災扱いを希望しているようです。会社としてはどのように扱ったらよいでしょうか。損害賠償等を請求されたらどうしようかと心配しています。

【愛媛・Y社】

[ お答え ]

 まず労災保険の関係について申し上げますと、どうも疾病がどのような疾病か不明で、仕事の内容や職場の環境等も不明ですので、一般的なお答えになります。
 そこで労災保険法関係の法令をみますと、労災保険法施行規則第23条第2項に「事業主は、保険給付を受けるべき者から保険給付を受けるために必要な証明を求められたときは、すみやかに証明しなければならない」と規定されています。この規定には罰則はありませんが、事業主にとっては大事な規定です。もし事業主が、すみやかに証明しなかったために、保険給付を受けるべき者に損害を与えたときには損害賠償の請求を受けることがあるかもしれません。ところで、この場合に事業主が証明しなければならない相手は、労働者一般ではなく「保険給付を受けるべき者」です。ご質問によりますと、会社側としましては仕事と病気とは関係がないと考えているということですから、その従業員の方は、労災保険から保険給付を受けるべき者には該当しないと考えておられるのでしょう。したがってご質問になったのではと考えられます。
 そこで問題は、労災保険を給付するかどうかは、誰が決定するかということですが、それは最初は会社ではないかと考えられないこともありません。たとえば休業期間中の解雇ができるかどうかなど、会社側が労災事故に該当するかどうかを判断する必要が生ずる場合もあるからです。
 しかし、労災保険を給付するかどうかを決定するのは労基署長です。労災保険法施行規則第1条第3項にも保険給付は、都道府県労働局長の指揮監督を受けて労基署長が行うと規定されています。したがって、病気になった従業員の方が「保険給付を受けるべき者」に該当するかどうかは、法律的には労基署長が決定することになります。会社側には決定権はありません。では、会社としてはどうしたらよいでしょうか。それは従業員から労災保険給付を受けるための証明を求められたときには、証明してやったらよいということです。というのは、証明は労災であるということを証明するのではなく、従業員が病気の原因であると主張する仕事等について、その実態を記入してそれを証明したらよいということです。その仕事と病気との間に相当因果関係が認められるかどうかということは、労基署長が考えて労災保険を給付するかどうかを決定するというだけのことです。もし、会社側として、その病気等について労基署長に述べたい意見があるのでしたら、労災保険法施行規則第23条の2第1項に、事業主は保険給付の請求について所轄労基署長に「意見を申し出ることができる」と規定されているので、その意見を申し出たらよいでしょう。労基署長はその意見書の内容も検討して、労災保険給付に該当するかどうかを決めるでしょう。
 では、会社が証明しなかったらどうなるでしょうか。その場合には、労基署長は職権により調査決定するでしょう。会社の証明をもらえなくても保険給付の請求書が出されれば労基署は受理しますし、受理すれば調査します。したがって、一頃あったような会社が証明を拒否するなどということは無駄なことです。
 なお、過労死等のように認定基準がある場合には、それと反する医師の意見書などは労基署長はもとより審査官段階までは採用されることは困難だということは知っておかれるとよいと思います。
 労災保険の方が業務起因性なしとして保険給付が不支給決定されても、損害賠償も否定されるかというとそんなことはありません。特に労働契約法第5条に、従業員に対する会社側の安全配慮義務が規定されましたので、そう簡単にはいきません。特に損害賠償ともなりますと、工作物に不完全な箇所があっても問題になりますし、特に交通災害である場合は自動車損害賠償保障法第3条の関係があったりしていろいろ面倒な問題の生ずるおそれもあります。したがって、損害賠償の問題につきましては労災保険の証明よりも普段から注意しておく必要があります。労災保険では罰則はないし、関係するのは保険料率の関係のメリット制だけですが、損害賠償については民事訴訟になり得るので弁護士との事前相談等にもよく配意されたらよいでしょう。



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