新・行政書士試験 一発合格! 民法(その6〔2〕)
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- 2006年03月15日 16:53
- 著者
- 太田誠行政書士事務所 さん
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**************************************** ★★★ 新・行政書士試験 一発合格! Vol. ’06-12 ★★★ 【レジュメ編】 民法(その6〔2〕) **************************************** ■■■ 民法(その6〔2〕) ■■■ ■■ 債権者取消権 ■■ 保証 ■■■ お願い ■■■ ■■■ 編集後記 ■■■ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ■■■ 民法(その6〔2〕) ■■■ ■■ 債権者取消権(詐害行為取消権) 債務者が積極的に財産を減少させるような法律行為を行ったときに、これを取り消す制 度 第四百二十四条 債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取 消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者又は 転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、 この限りでない。 2 前項の規定は、財産権を目的としない法律行為については、適用しない。 ■■ 債権者取消権の要件 ■ 債権者側の要件 【1】被保全債権の種類 (1)金銭債権 (2)金銭債権に債務者の提供した物的担保が付いている場合は、担保からの回収が不 足する限りで、債権者取消権が行使できる。 (3)債権者以外の者が担保を提供する物上代位の場合は、求償を通じて最終的に債務 者の一般財産が引当てになるので、債権全額について行使できる。 (4)保証人がいる債権も、全額について行使できる。 ★★ 金銭債権以外の債権の場合、債権者取消権を行使できないのか? ●● 最高裁判例「詐害行為取消請求」(民集15巻7号1875頁) 【要旨】特定物引渡請求権を有する者も、その目的物を債務者が処分することにより無 資力となった場合には、右処分行為を詐害行為として取り消すことができるも のと解すべきである。 【理由】けだし、かかる債権も、窮極において損害賠償債権に変じうるのであるから、 債務者の一般財産により担保されなければならないことは、金銭債権と同様だ からである。大審院大正七年一〇月二六日民事連合部判決が、詐害行為の取消 権を有する債権者は、金銭の給付を目的とする債権を有するものでなければな らないとした見解は、当裁判所の採用しないところである。 【2】債権取得の時期 ●● 最高裁判例(詐害行為取消請求事件、民集第12巻2号341頁) 【要旨】債務者の行為を詐害行為として民法第424条を適用するには、その行為が取消 権を行使する債権者の債権の発生後になされたことが必要である。 ●● 最高裁判例(詐害行為取消等事件、民集第34巻1号110頁) 【要旨】不動産物権の譲渡行為が債権者の債権の成立前にされた場合には、その移転登 記が右債権成立後に経由されたときであっても、詐害行為取消権は成立しない。 ★ 被保全債権が、詐害行為となる契約(この場合には、不動産の譲渡契約)の締結の 時よりも以前に成立していることが必要であることを確認したもの。そして、第三 者対抗要件である移転登記それ自体だけでは、詐害行為にはならないということを 判示している。 【3】被保全債権のその他の要件 ・履行期が到来している必要はない。 ■ 債務者側の要件 【1】債権者を害する行為であること 無資力(債務超過)であること 【2】財産権を目的とする法律行為であること ・財産権を目的としない法律行為の例:婚姻、離婚、養子縁組、相続の承認・放棄等の 家族法上の行為 ★★ 離婚に伴う財産分与は取消しの対象となるか? ●● 最高裁判例「詐害行為取消請求」(民集37巻10号1532頁) 【要旨】離婚に伴う財産分与は、民法七六八条三項の規定の趣旨に反して不相当に過大 であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特 段の事情のない限り、詐害行為とはならない。 【理由】分与者が、離婚の際既に債務超過の状態にあることあるいはある財産を分与す れば無資力になるということも考慮すべき右事情のひとつにほかならず、分与 者が負担する債務額及びそれが共同財産の形成にどの程度寄与しているかどう かも含めて財産分与の額及び方法を定めることができるものと解すべきである から、分与者が債務超過であるという一事によって、相手方に対する財産分与 をすべて否定するのは相当でなく、相手方は、右のような場合であってもな お、相当な財産分与を受けることを妨げられないものと解すべきである。そう であるとするならば、分与者が既に債務超過の状態にあって当該財産分与によ って一般債権者に対する共同担保を減少させる結果になるとしても、それが民 法七六八条三項の規定の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託し てされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情のない限り、詐害 行為として、債権者による取消の対象となりえないものと解するのが相当であ る。 ★ 他方で、遺産分割狭義は取消しの対象とする最高裁判例もある。 ●● 最高裁判例「貸金及び詐害行為取消請求事件」(民集第53巻5号898頁) 【要旨】共同相続人の間で成立した遺産分割協議は、詐害行為取消権行使の対象とな る。 【3】債務者の行為が債権者を害することを知ってなされたこと ★★ 詐害の意思とは、債務超過を認識することで足りるのか、それとも債権者を害す る意思まで必要なのか? ●● 最高裁判例(抵当権設定契約無効確認等請求事件、民集第11巻12号1832 頁) 【要旨】債務者が、他の債権者に十分な弁済をなし得ないためその利益を害することに なることを知りながら、ある債権者のために根抵当権を設定する行為は、詐害 行為にあたるものと解すべきである。 ●● 最高裁判例(詐欺害行為取消請求事件、民集第12巻13号3022頁) 【要旨】債務超過の状態にある債務者が、一債権者に対しなした弁済が、債権者から強 く要求された結果、法律上当然弁済すべき債務をやむなく弁済したものと認め られる以上、未だこれをもつて債務者が一債権者と通謀し他の債権者を害する 意思をもつてなした詐害行為であると解することはできない。 ●● 最高裁判例「詐害行為取消請求」(民集14巻6号1046頁) 【要旨】詐害行為の成立には、債務者がその債権者を害することを知って法律行為をし たことを要するが、必ずしも害することを意図し、もしくは欲してこれをした ことを要しないと解すべきである。 ●● 最高裁判例「詐害行為取消請求」(民集27巻10号1491頁) 【要旨】債務超過の状態にある債務者が特定の債権者に対する債務の弁済に代えて第三 者に対する自己の債権を譲渡し、この債権の額が右債権者に対する債務の額を 超えない場合であっても、債務者に詐害の意思があるときは、右債権譲渡は、 詐害行為として取消の対象になりうる。 【理由】けだし、債務超過の状態にある債務者が、他の債権者を害することを知りなが ら特定の債権者と通謀し、右債権者だけに優先的に債権の満足を得させる意図 のもとに、債務の弁済に代えて第三者に対する自己の債権を譲渡したときは、 たとえ譲渡された債権の額が右債権者に対する債務の額を超えない場合であっ ても、詐害行為として取消の対象になるものと解するのが相当だからである。 ■ 行為の詐害性とは何か 【1】一部の債権者への弁済:特定の債権者と通謀し、他の債権者を害する意思をもっ て弁済したような場合にのみ詐害行為になる(判例)。 【2】不動産の売却:価格が相当でも詐害行為になりうる(判例)。 ※改正破産法:相当の対価を得てした不動産処分について、厳格な要件を満たし た場合のみ否認できるという方針を採用。 【3】動産の相当価格での処分:取消しの対象とならない。 【4】担保権の設定:詐害行為になるとされてきたが、例外的に詐害行為にならないと した判例もある。 ●● 最高裁判例(詐害行為取消請求事件(担保権の設定)、民集第21巻9号 2323頁) 【要旨】他に資力のない債務者が、生計費および子女の大学進学に必要な費用を借用す るため、その所有の家財衣料等を担保に供する等の事実関係のもとでは、その 担保供与行為は、担保物の価格が借入額を超過したり、借財が右目的以外の不 必要な目的のためにする等特別の事情のないかぎり、詐害行為は成立しない。 ●● 最高裁判例「詐害行為取消請求」(民集第23巻12号2518頁) 【要旨】牛乳小売業者が、継続的に牛乳の卸売を受けて来た仕入先に対し、右取引上の 債務を担保するため、所有店舗に根抵当権を設定し代物弁済の予約を結んでい た場合において、代金の支払を遅滞したため、取引を打ち切り、担保権を実行 する旨の通知を受けるに及んで、これを免れて従前どおりの営業の継続をはか る目的のもとに、原判示(原判決理由参照)のように、右仕入先と示談のう え、債務の支払猶予を受け、前記店舗を営業用動産や営業権等とともに現在お よび将来の債務の担保として譲渡担保に供したとき、右行為は、当時の諸般の 事情に照らし、営業を継続するための仕入先に対する担保提供行為として合理 的限度をこえず、かつ、他に適切な更生の道がなかつたものと認められるかぎ り、詐害行為とならない。 【5】同時交換的取引(新たに資金を借り入れ、その担保として担保権を設定する行 為):否認の対象とならない。 【6】不当処分(不当な廉価での譲渡、代物弁済):詐害行為となる。 ●● 最高裁判例(所有権移転登記抹消登記手続請求事件(財産分与の売却)、民集第 20巻5号1004頁) 【要旨】債務者が、被担保債権額以下の実価を有する抵当不動産を相当な価格で売却 し、その代金を当該債務の弁済に充てて抵当権の消滅をはかる場合には、右不 動産売却行為は、民法第424条所定の債権者を害する行為にはあたらない。 ●● 最高裁判例(詐害行為取消請求事件(財産分与の売却)、民集第18巻9号1851頁) 【要旨】債務超過の債務者が、とくにある債権者と通謀して、右債権者だけに優先的に 債権の満足を得させる意図のもとに、自己の有する重要な財産を右債権者に売 却して、右売買代金債権と同債権者の有する債権とを相殺する旨の約定をした 場合には、たとえ右売買価格が適正価格であるとしても、右売却行為は民法第 424条所定の詐害行為にあたるものと解すべきである。 ■ 受益者・転得者側の要件 【1】受益者・転得者が、受益行為(詐害行為)または転得の当時に、債権者を害すべ き事実を知っている場合に限り、債権者取消権を行使できる。 ・詐害行為の客観的要件が備わっていることの認識が要件であり、債権者を害する意思 は必要ではない。 ・立証責任は、受益者・転得者にある。 (1)受益者悪意・転得者善意→債権者は、転得者からの目的物の返還は請求できない が、受益者から目的物に代わる金銭(価格賠償)を請求できる。 (2)受益者善意・転得者悪意→転得者に対する取消権の行使を認めた判例がある。 ■■ 債権者取消権の行使方法 ・裁判所に請求しなければならない。 ・反訴で行使することはできるが、抗弁による行使はできない。 ・行使期間 (詐害行為取消権の期間の制限) 第四百二十六条 第四百二十四条の規定による取消権は、債権者が取消しの原因を知 った時から二年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から二十年を経 過したときも、同様とする。 ●● 最高裁判例(土地所有権確認等事件、民集第32巻7号1332頁) 【要旨】民法424条の債権者取消権は、窮極的には債務者の一般財産による価値的満足 を受けるため、総債権者の共同担保の保全を目的とするものであるから、この ような制度の趣旨に照らし、特定物債権者は目的物自体を自己の債権の弁済に 充てることはできない。 ●● 最高裁判例(詐害行為取消請求事件、民集第9巻11号1626頁) 【要旨】詐害行為となる債務者の行為の目的物が、不可分な一棟の建物であるときは、 たとえその価額が債権額を超える場合でも、債権者は、右行為の全部を取り消 すことができる。 ★ 取消しの対象となる物が不可分である場合には、その価額が債権者の債権額を超え る場合でも、原則として現物返還が認められる。 ●● 最高裁判例(詐害行為取消請求事件、民集第15巻7号1875頁) 【要旨】抵当権が設定してある家屋を提供してなされた代物弁済が詐害行為となる場合 に、その取消は、家屋の価格から抵当債権額を控除した残額の部分に限って許 されると解すべきである。この場合、取消の目的物が一棟の家屋の代物弁済で 不可分のものと認められるときは、債権者は一部取消の限度で価格の賠償を請 求する外はない。 ★ 取消しの対象となる物が不可分である場合で、抵当権のため、現物返還が妥当では ない場合には、価額賠償が認められる。 ●● 最高裁判例(約束手形金請求事件(民集第18巻1号76頁) 【要旨】詐害行為取消訴訟における取消債権者は、受益者、転得者に対し、直接にその 受けた財産の引渡を求めうる請求権を有する。 ★ 取消しの対象が金銭や動産の場合には、債権者への引渡し請求が認められる。一 方、不動産の場合、債権者は、債務者から受益者や転得者への移転登記の抹消だけ で、自己へ直接に移転登記を請求することはできない。 ■ 債権者取消権の効果 第四百二十五条 前条の規定による取消しは、すべての債権者の利益のためにその効 力を生ずる。 ■ 判例の立場 (1)誰を被告とすべきか:受益者または転得者を相手とすれば足り、債務者を相手と すべきではない。 (2)目的物が転得者のところにある場合の取扱い:受益者は財産を転売しても責任を 免れることはできず、受益者のみを相手に価格賠償を求めることもできる。 (3)物の返還や価格賠償ではなく、取消しだけを請求できるか:民法は取消しの結果 直ちに原状回復の請求を為すと否とを原告債権者適宜の処置に委ねているとして 肯定した。 ■ 債権者が取り消しうるのはどの範囲か 【1】金銭の処分の場合:取消債権者が損害を受ける限度でのみ取消は肯定される。 【2】金銭以外の財産の処分の場合 ●● 最高裁判例「詐害行為取消請求」(民集15巻7号1875頁) 【要旨】 (ア)抵当権が設定してある家屋を提供してなされた代物弁済が詐害行為となる場合 に、その取消は、家屋の価格から抵当債権額を控除した残額の部分に限って許さ れると解すべきである。 (イ)前項の場合において、取消の目的物が一棟の家屋の代物弁済で不可分のものと認 められるときは、債権者は一部取消の限度で価格の賠償を請求する外はない。 【理由】債権者取消権は債権者の共同担保を保全するため、債務者の一般財産減少行為 を取り消し、これを返還させることを目的とするものであるから、右の取消は 債務者の詐害行為により減少された財産の範囲にとどまるべきものと解すべで ある。 ●● 最高裁判例「求償金、不当利得返還、詐害行為取消等」(民集33巻1号12頁) 【要旨】抵当権の付着する土地についてされた譲渡担保契約が詐害行為に該当する場合 において、譲渡担保権者が当該抵当権者以外の債権者であり、右土地の価額か ら右抵当権の被担保債権の額を控除した額が詐害行為取消権の基礎となってい る債権の額を下回っているときは、譲渡担保契約の全部を取り消して土地自体 の原状回復をすることを認めるべきである。 ★ 物が不可分の場合はたとえ取消債権者の債権額を超える場合でも、原則として現物 返済が認められるが、抵当権登記の抹消により、現物返還が不当な場合には、価格 賠償のみが認められる。 ■ 取消し後の返還の相手方 ●● 最高裁判例「土地所有権確認等」(民集32巻7号1332頁) 【要旨】不動産の引渡請求権者は、目的不動産についてされた債務者の処分行為を詐害 行為として取り消す場合に、直接自己に対する所有権移転登記手続を請求する ことはできない。 【理由】特定物引渡請求権(以下、特定物債権と略称する。)は、窮極において損害賠 償債権に変じうるのであるから、債務者の一般財産により担保されなければな らないことは、金銭債権と同様であり、その目的物を債務者が処分することに より無資力となった場合には、該特定物債権者は右処分行為を詐害行為として 取り消すことができるものと解すべきことは、当裁判所の判例とするところで ある。 しかし、民法四二四条の債権者取消権は、窮極的には債務者の一般財産による 価値的満足を受けるため、総債権者の共同担保の保全を目的とするものである から、このような制度の趣旨に照らし、特定物債権者は目的物自体を自己の債 権の弁済に充てることはできないものというべく、原判決が「特定物の引渡請 求権に基づいて直接自己に所有権移転登記を求めることは許されない」とした 部分は結局正当に帰する。 ・現物返還が不可能な場合には、価格賠償を求めることができる。 ・価格賠償の基準時は、財産回復義務を負担する時 ●● 最高裁判例「詐害行為取消請求頁」(民集第29巻11号1847頁) 【要旨】不動産の譲渡が詐害行為になる場合において現物返還に代わる価格賠償をすべ きときの価格は、特別の事情がないかぎり、当該詐害行為取消訴訟の事実審口 頭弁論終結時を基準として算定すべきである。 ・動産・金銭については、債権者への引渡しを請求でき、その結果、債権者は受け取っ た物を債務者に返す義務を負うが、金銭の場合には、本来の債権と相殺することで事 実上優先弁済を受けることができる。 ・取消権者が金銭の引渡しを受けた場合、他の一般債権者は自己への分配請求をするこ とは認められない。 ●● 最高裁判例(分配金請求事件(民集第16巻10号2070頁) 【要旨】詐害行為取消の判決に基づき、取消債権者が受益者より自己に価格賠償金の引 渡を受けた場合、取消債権者は、右価格賠償金を他の債権者に分配する義務を 負うものではない。 ★ 取消債権者が金銭の引渡しを受けた場合、他の債権者のために分配する義務はな い。したがって、債権者代位権の場合と同様に、金銭の場合には、債権者取消権を 行使して、受益者や転得者から金銭の引渡しを受けた債権者は、事実上、他の債権 者に優先して弁済を受けることができる。 ・優先弁済をもたらす債権者取消権の行使が詐害行為となることを肯定すると、詐害行 為取消権の行使が無限に続くことになるため、認められていない。 ■■ 保証 ■ 保証 (1) 保証契約:債権者と保証人間 (2) 保証委託契約:債務者と保証人間(保証に絶対的に必要ではない。) ■ 保証人の責任等 第四百四十六条 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行 をする責任を負う。 2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。 ■ 保証の性質 (1)附従性 (ア)成立の附従性:主たる債務がなければ成立しない。 (イ)内容の附従性:主たる債務より重くなることはない。 (ウ)消滅の附従性:主たる債務が消滅すれば消滅する。 (2)随伴性:主たる債務の債権者が変更するとき(債権譲渡)、保証債務は主たる債 務と一緒に移る。 (3)補充性:主たる債務者が履行しないときに履行しなければならない。 ・催告の抗弁権 第四百五十二条 債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主 たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手 続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。 ・検索の抗弁権 第四百五十三条 債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、 保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明し たときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。 ★ 現実には、ほとんどすべての保証は、催告の抗弁権や検索の抗弁権のない連帯保証 である。 ■ 保証契約の成立 ●● 最高裁判例「貸金請求」(民集第24巻13号2081頁) 【要旨】金融機関が保証人の代理人との間で代理人を借主とする取引元本極度額の定め のない継続的取引契約上の債務につき保証極度額および保証期間の制限のない 連帯保証契約を締結するにあたっては、代理人が本人の実印を所持している場 合においても、他に代理権の存在を信ずるに足りる事情のないかぎり、本人に 対し保証の限度等について照会するなどしてその意思を確かめる義務があり、 これを怠って代理人が実印を所持していたことのみにより代理権があるものと 信じたにすぎないときは、いまだ民法一一〇条にいう代理権ありと信ずべき正 当の理由がある場合にあたるとはいえない。 ★ 債権者(金融機関)側の代理人の代理権の範囲についての調査義務の程度について の判例で、金融機関に正当理由はないと判示した事案。 ■ 保証人の要件 第四百五十条 債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、次に掲げ る要件を具備する者でなければならない。 一 行為能力者であること。 二 弁済をする資力を有すること。 2 保証人が前項第二号に掲げる要件を欠くに至ったときは、債権者は、同項各号に掲 げる要件を具備する者をもってこれに代えることを請求することができる。 3 前二項の規定は、債権者が保証人を指名した場合には、適用しない。 ■ 附従性の問題 【1】成立における附従性 ●● 最高裁判例「貸金等併合請求」(民集第20巻4号849頁) 【理由】(農業協同組合と組合員以外の者の間の貸付契約が無効である場合、当該組合 員以外の者に対する)保証が被上告人(組合員以外の者)の消費貸借契約上の 債務を担保するためになされたことから、右消費貸借が原判示の理由により無 効である以上、右保証もまた無効であり、従って右保証債務を担保するためな された右抵当権設定契約もまた無効であると判断していること・・・に所論審 理不尽、理由不備の違法は認められない。 ★ 主たる債務が無効である場合の保証の効力について判示 (1)取り消すことができる債務の保証 第四百四十九条 行為能力の制限によって取り消すことができる債務を保証した者は、 保証契約の時においてその取消しの原因を知っていたときは、主たる債務の不履行の場 合又はその債務の取消しの場合においてこれと同一の目的を有する独立の債務を負担し たものと推定する。 →附従性の例外。なお、行為能力の制限を理由とする取消しに限定されている。詐欺や 強迫の場合には適用されない(この場合には、附従性がある。)。 【2】主たる債務の存在時期 保証契約の時に、主たる債務は発生していなくてもよい。 →主たる債務がなければ、保証債務は成立しないが、主たる債務は、保証債務と同時ま たはそれ以前に成立している必要はない。 【3】内容の附従性 (1)保証人の負担が主たる債務より重い場合 第四百四十八条 保証人の負担が債務の目的又は態様において主たる債務より重いと きは、これを主たる債務の限度に減縮する。 (2)保証債務の範囲 第四百四十七条 保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他そ の債務に従たるすべてのものを包含する。 2 保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定すること ができる。 (3)主たる債務者について生じた事由の効力 第四百五十七条 主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の中断は、 保証人に対しても、その効力を生ずる。 2 保証人は、主たる債務者の債権による相殺をもって債権者に対抗することができ る。 →一方、保証人に生じた事由は、主たる債務者には影響しない(たとえば、保証人の債 務の承認は、主たる債務者の時効を中断しない。)。 →保証人は主たる債務の時効を援用することが出来る。 →主たる債務者が時効の利益を放棄しても、保証人には影響しなし。 【4】消滅の附従性 ●● 最高裁判例「物件引渡等請求」(民集第19巻4号1143頁) 【要旨】特定物の売買契約における売主のための保証人は、特に反対の意思表示のない かぎり、売主の債務不履行により契約が解除された場合における原状回復義務 についても、保証の責に任ずるものと解するのが相当である。 ★ 有効に成立した主たる債務が解除された場合の保証の効力について判示 ●● 最高裁判例「損害賠償請求」(民集第26巻2号274頁) 【要旨】請負契約が合意解除され、その際請負人が注文主に対し請負契約上前払すべき ものと定められた金額の範囲内で前払金返還債務を負担することを約した場合 において、右合意解除が請負人の債務不履行に基づくものであり、かつ、右約 定の債務が実質的にみて解除権の行使による解除によって負担すべき請負人の 前払金返還債務より重いものではないと認められるときは、請負人の保証人 は、特段の事情のないかぎり、右約定の債務についてもその責に任ずるものと 解するのが相当である。 ★ 有効に成立した主たる債務が、債務不履行によって解除された場合ではなく、合意 解除された場合の保証の効力について判示 →「保証人の関知しない合意解除の当事者の意思によって、保証人に過大な責任を負担 させる結果になるおそれがあり、必ずしも保証人の意思にそうものではない」場合に は、その債務について保証は及ばない。 ■ 連帯保証の場合の特則 (1)催告・検索の抗弁権がない(454条)。 (2)主たる債務者・保証人の一方について生じた事由については、連帯債務の規定が 準用される(458条)。 (3)分別の利益がない(通説)。 ■ 継続的保証 ●● 最高裁判例「約束手形金請求」(民集第18巻10号2179頁) 【要旨】期間の定めのない継続的保証契約は、保証人の主債務者に対する信頼が害され るに至つた等保証人として解約申入れをするにつき相当の理由がある場合に は、右解約により債権者が信義則上看過できない損害をこうむるような特段の 事情がある場合を除いて、保証人から一方的に解約できるものと解するのが相 当である。 ●● 最高裁判例「売掛代金残請求」(民集第16巻11号2270頁) 【要旨】継続的売買取引について将来負担することあるべき債務についてした責任の限 度額ならびに期間の定めのない連帯保証契約における保証人たる地位は、特段 の事由のないかぎり、当事者その人と終始するものであつて、保証人の死亡後 生じた債務については、その相続人においてこれが保証債務を負担するもので はない。 ■■■ お願い ■■■ 継続して発刊するためには読者の皆様のご支援が何よりの活力になります。ご意見、ア ドバイス、ご批判その他何でも結構です。内容、頻度、対象の追加や変更等について も、どうぞ何なりと e-mail@ohta-shoshi.com までお寄せください。 質問は、このメールマガジンの趣旨の範囲内のものであれば、大歓迎です。ただし、多 少時間を要する場合があります。 ■■■ 編集後記 ■■■ いよいよ春めいてきました。民法も中盤が過ぎます。また、この1月から始まったこの メルマガも、そろそろ3か月が経過しようとしています。この辺りで、一度これまでの 経過を振り返り、今後の学習計画の見直しをすることをお勧めします。 計画のないままの学習は、地図のない登山や海図のない航海と同じで、大変に危険で す。しっかりとした計画は、安心感をもたらしてくれます。とにかく計画に沿って学習 を進めれば足り、他人の進捗状況を気にしたり、焦ったりすることもないためです。 なお、今回は、まだ学習していない領域の問題も含まれていますが、先取り学習で対応 して下さい。この場合には、『法律学用語辞典』が便利です。特に、民法の場合には、 二つ以上の分野にまたがる事案が少なくなく、勉強の仕方にも工夫が必要になります (逆に、出題者としては、いずれの知識も有しているかどうかを問うことができ、多様 な内容の問題を、様々なレベルで作ることが可能になります。)。 *************************************** マガジンタイトル:新・行政書士試験 一発合格! 発行者:行政書士 太田誠 東京都行政書士会所属(府中支部) 発行者Web: 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