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コラムの泉

【レジュメ編】 商法(その1〔1〕)

カテゴリ
その他 > 資格取得
最終更新日
2006年09月27日 11:12
著者
太田誠行政書士事務所 さん
ポイント
681,814ポイント
ランキング 王冠ポイント[ 2 ]ランキング 王冠ポイント[ 2 ] ポイントランキング100

****************************************      ★★★ 新・行政書士試験 一発合格! Vol. ’06-44 ★★★            【レジュメ編】 商法(その1〔1〕) **************************************** ■■■ 商法 ■■■ ■■■ 最近の最高裁判例 ■■■ ■■■ 今年の予想 ■■■ ■■■ お願い ■■■ ■■■ 編集後記 ■■■ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ■■■ 商法 ■■■ ■■ 類似の制度 ■ 組合(民法上の組合) (1)組合契約 ・2人以上の者(法人も可)が出資をして共同事業をすることに合意すれば、民法上の  組合契約が成立する(667条1項)。 ・出資は金銭その他の財産のほか、労務(組合事業のために働くこと)や信用(名前を  連ねる等)でもよい(667条2項)。 ★ 組合は契約であり、組合に法人格は認められない。 (2)組合財産の分割 ・組合員の出資により組合財産が形成されるが、これは共同事業を行うためのものであ  るから、組合の存続中は分割することができない(676条2項)。 (3)組合債権者の権利行使 ・組合の債務については、各組合員が責任を負うが(無限責任)、各組合員の損失負担  の割合は組合契約で定めることができる(674条、675条参照)。 ★ 債権者は組合財産から先に執行する必要はなく、いきなり組合員に対して債務の履   行を請求できる。 (4)業務執行の方法 ・組合の業務執行は、組合員の多数決(1人1票)で行うのが原則であるが、業務執行  者を選ぶこともできる(670条)。 ・日常業務(常務)は、各組合員または各業務執行者が単独でできる(670条3項)。 ・組合契約で組合員に業務の執行を委任した場合には、当該組合員は正当な事由がない  限り辞任できない。また、正当な事由があり、他の組合員の一致がなければ、解任す  ることもできない(672条)。 ●● 最高裁判例「約束手形金請求」(民集第15巻7号1982頁) 【裁判要旨】 民法上の組合の代表者が、組合のために、その組合代表者名義で約束手形を振出した場 合には、同組合の組合員は、共同振出人として、同手形について合同してその責を負う ものと解するのが相当である。 【理由】 本件手形は、民法上の組合の代表者が、その権限にもとづき、組合のために、その組合 代表者名義をもつて振出したものである以上、同組合の組合員は、手形上、各組合員の 氏名が表示された場合と同様、右手形について共同振出人として、合同してその責を負 うものと解するを相当とする。 ●● 最高裁判例「資材代金等請求」(民集第17巻4号600頁) 【裁判要旨】 民法上の組合において組合規約等で業務執行者の代理権限を制限しても、その制限は善 意無過失の第三者に対抗できないものと解するのが相当である。 (5)組合員の持分の処分 ・各組合員は、その持分を譲渡しても、組合および組合と取引をした第三者に対抗でき  ない(676条)。 ・組合員は、脱退により持分の払戻しを受けるが(678条、681条)、組合員の脱退によ  り組合は当然には解散しない。 ●● 最高裁判例「立替金返還等」(民集第53巻2号193頁) 【裁判要旨】 やむを得ない事由があっても任意の脱退を許さない旨の組合契約における約定は、無効 である。 【理由】 民法六七八条(二項)は、組合員は、やむを得ない事由がある場合には、組合の存続期 間の定めの有無にかかわらず、常に組合から任意に脱退することができる旨を規定して いるものと解されるところ、同条のうち右の旨を規定する部分は、強行法規であり、こ れに反する組合契約における約定は効力を有しないものと解するのが相当である。けだ し、やむを得ない事由があっても任意の脱退を許さない旨の組合契約は、組合員の自由 を著しく制限するものであり、公の秩序に反するものというべきだからである。 ■ 匿名組合(商法) (1)匿名組合契約 第535条  匿名組合契約は、当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、その 営業から生ずる利益を分配することを約することによって、その効力を生ずる。 ・事業を行う者(営業者)と名前を出さないで出資をする者(匿名組合員。法人も  可。)との間で出資を利益分配の契約をすると、匿名組合が成立する。 ・匿名組合も契約であり、法人格は認められないが、民法上の組合と異なり、出資者相  互間に契約はなく、組合財産も形成されない。 (2)匿名組合員の出資及び権利義務 第536条 匿名組合員の出資は、営業者の財産に属する。 2 匿名組合員は、金銭その他の財産のみをその出資の目的とすることができる。 3 匿名組合員は、営業者の業務を執行し、又は営業者を代表することができない。 4 匿名組合員は、営業者の行為について、第三者に対して権利及び義務を有しない。 ・匿名組合員は、営業者の債権者とは直接の法律関係には立たないので、債権者に対し  て責任は負わず、営業者に対して約束した出資さえすれば、それ以上の責任はない  (有限責任)。 ・事業は営業者のものであり、出資した財産も営業者のものになるが、実質的には「匿  名組合員=出資者」と「営業者=業務執行者」とを分離した制度とみることもでき  る。 ・業務は営業者が行い、事業の利益は契約に基づき匿名組合員に分配される。 (3)利益の配当の制限 第538条  出資が損失によって減少したときは、その損失をてん補した後でなけれ ば、匿名組合員は、利益の配当を請求することができない。 第542条  匿名組合契約が終了したときは、営業者は、匿名組合員にその出資の価 額を返還しなければならない。ただし、出資が損失によって減少したときは、その残額 を返還すれば足りる。 ・匿名組合員が匿名組合契約上の地位を譲渡することは可能である。 ・匿名組合契約が解除等により終了すれば出資は匿名組合員に返還されるが、損失が生  じれば匿名組合員が負担する(その残額が返還される。)。 (4)匿名組合契約の解除 第五百四十条 匿名組合契約で匿名組合の存続期間を定めなかったとき、又はある当事 者の終身の間匿名組合が存続すべきことを定めたときは、各当事者は、営業年度の終了 時において、契約の解除をすることができる。ただし、六箇月前にその予告をしなけれ ばならない。 2 匿名組合の存続期間を定めたか否かにかかわらず、やむを得ない事由があるとき は、各当事者は、いつでも匿名組合契約の解除をすることができる。 ■■ 会社の概念(会社法) ★ 会社とは「株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社をいう。」(2条1号)。 ■ 法人性 (1)法人性 第3条 会社は、法人とする。 ・法人格が認められることにより、団体自身の名において権利を有し義務を負うことが  認められる。 ・法は、法人格取得の要件を定め、その要件が満たされたときは、行政官庁の免許等の  取得を問題としないで、当然に法人格を認める(準則主義)。 (2)法人格否認の法理 会社法に明文の規定はないが、判例法上、特定の事案限りにおいて法人に認められる属 性を否定する法理が認められている。 ●● 最高裁判例「建物明渡請求」(民集23巻2号551頁) 【要旨】 (ア)社団法人において、法人格がまつたくの形骸にすぎない場合またはそれが法律の    適用を回避するために濫用される場合には、その法人格を否認することができ    る。 (イ)株式会社の実質がまつたく個人企業と認められる場合には、これと取引をした相    手方は、会社名義でされた取引についても、これを背後にある実体たる個人の行    為と認めて、その責任を追求することができ、また、個人名義でされた取引につ    いても、商法五〇四条によらないで、直ちにこれを会社の行為と認めることがで    きる。 ●● 最高裁判例「居室明渡等請求」(民集第27巻9号1240頁) 【裁判要旨】 株式会社の代表取締役が、会社が賃借している居室の明渡し、延滞賃料等の債務を免れ るために、会社の商号を変更したうえ、旧商号と同一の商号を称し、その代表取締役、 監査役、本店所在地、営業所、什器備品、従業員が旧会社のそれと同一で、営業目的も 旧会社のそれとほとんど同一である新会社を設立したにもかかわらず、右商号変更およ び新会社設立の事実を賃貸人に知らせなかつたため、賃貸人が、右事実を知らないで、 旧会社の旧商号であり、かつ、新会社の商号である会社名を表示して、旧会社の債務の 履行を求める訴訟を提起したところ、新旧両会社の代表取締役を兼ねる者が、これに応 訴し、一年以上にわたる審理の期間中、商号変更、新会社設立の事実についてなんらの 主張もせず、かつ、旧会社が居室を賃借したことを自白するなど原判示のような事情の もとにおいては、その後にいたつて同人が新会社の代表者として、新旧両会社が別異の 法人格であるとの実体法上および訴訟法上の主張をすることは、信義則に反し許されな い。 (3)会社の能力の制限 ・会社は自然人ではないので、生命、身体、親族等に対する権利義務の主体となること  はできない。 ・法令上の特別の制限があれば、それに服する。 ・会社の権利能力は定款に定めた目的によって制限を受けない。 ●● 最高裁判例「家屋明渡請求」(民集6巻2号77頁) 【要旨】 仮に定款に記載された目的自体に包含されない行為であつても目的遂行に必要な行為 は、また、社団の目的の範囲に属するものと解すべきであり、その目的遂行に必要なり や否やは、問題となつている行為が、会社の定款記載の目的に現実に必要であるかどう かの基準によるべきではなくして、定款の記載自体から観察して、客観的に抽象的に必 要であり得べきかどうかの基準に従つて決すべきものと解すべきである。 ●● 最高裁判例「取締役の責任追及請求(八幡製鉄政治献金事件)」(民集24巻6    号625頁) 【要旨】 会社は定款に定められた目的の範囲内において権利能力を有するわけであるが、目的の 範囲内の行為とは、定款に明示された目的自体に限局されるものではなく、その目的を 遂行するうえに直接または間接に必要な行為であれば、すべてこれに包含されるものと 解するのを相当とする。そして必要なりや否やは、当該行為が目的遂行上現実に必要で あつたかどうかをもつてこれを決すべきではなく、行為の客観的な性質に即し、抽象的 に判断されなければならないのである。 ■ 営利性 ・会社は事業を行い、それによって得た利益を出資者である構成員に分配することを目  的とする団体である(営利法人)。 ・中間法人や公益法人と異なり、構成員の指摘利益を図ることを目的とし、利益の構成  員への分配は剰余金の配当または残余財産の分配という形をとる。 ■ 社団性 ・会社は社団である。 ・社団とは、組合に対する概念で、法的形式として、出資者である団体の構成員が相互  に契約関係で結合する団体を組合、構成員が団体との間の社員関係により団体を通じ  て間接に結合する団体をいう。 ・社団では、各構成員の権利義務は社員の地位という団体に対する権利関係の内容とな  り、団体の財産は団体自身に帰属し、構成員は観念的な持分を有するに過ぎない。 ■■ 会社の類型と種類 ■ 会社法上の会社 ・会社法上の会社には、株式会社と持分会社の二つの類型があり、持分会社には、合名  会社・合資会社・合同会社がある(2条1号、575条1項)。 ・これら以外の会社は認められない(2条、7条)。 ■ 株式会社 ・株式会社の社員は株主と呼ばれ、株主は、株式についての払い込みまたは給付という  形で会社に出資する義務を負うだけで、会社債権者に対して何ら責任を負わない(有  限責任)(104条)。 ・株主の投下資本の回収は、原則として持分(株式)の譲渡による(127条)。 ■ 合名会社 ・合名会社では、社員の全員が会社の債権者に対して無限責任を負う。 ・民法上の組合と異なり、合名会社の各社員は会社債務の全額について連帯責任を負う  が、債権者に会社資産からまず弁済を受けるよう求めることができる(580条1項  1号、605条)。 ・合名会社では、全社員がそれぞれ業務を執行し会社を代表するが、定款等で別段の定  めをすることもできる(590条1項、599条1項)。 ・持分の譲渡も可能であるが、全社員の同意が必要である(585条1項、4項)。 ・社員の氏名や出資の目的は定款記載事項であり、その変更にも(定款で別段の定めが  ある場合を除き)全社員の同意が必要である(637条)。 ・投下資本回収方法としては、持分譲渡のほかに、各社員は出資の払い戻しを請求でき  る(624条)。 ・各社員は、全社員の同意等により退社する(606条〜608条)。 ・退社した社員は原則として持分の払い戻しを受ける(611条)。 ■ 合資会社 ・合資会社では、無限責任社員と有限責任社員があり、前者は合名会社の社員と同じ責  任を負い、後者は定款記載の出資の額までしか責任を負わない(有限責任)(580  条2項)。 ・各社員が無限責任社員か有限責任社員かは定款記載事項であり、有限責任社員の出資  の目的、価額または評価の基準も定款記載事項である(576条1項5号、6号)。 ・有限責任社員の出資は金銭その他の財産に限られる(576条1項6号)。 ・業務執行と会社代表は、合名会社の場合と同じである。 ・持分の譲渡には、全社員の同意を必要とするのが原則であるが、業務を執行しない有  限責任社員の持分の譲渡は、業務を執行する社員全員の同意があればできる(第58  5条1項、2項、4項)。 ・出資の払戻し、退社および退社による持分の払戻しは、合名会社と同じである。 ■■ 会社法総則 ■ 通則 ・会社は法人格を有する(3条)。 ・会社の住所はその本店所在地にあるものとされる(4条)。 ・会社(外国会社を含む。)がその事業としてする行為およびその事業のためにする行  為は、商行為とされる(5条)。 ■ 会社の商号 (1)商号の規制 第6条 会社は、その名称を商号とする。 2 会社は、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社の種類に従い、それぞれその 商号中に株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社という文字を用いなければならな い。 3 会社は、その商号中に、他の種類の会社であると誤認されるおそれのある文字を用 いてはならない。 第7条 会社でない者は、その名称又は商号中に、会社であると誤認されるおそれのあ る文字を用いてはならない。 (2)不正目的での商号の禁止 第8条  何人も、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名 称又は商号を使用してはならない。 2  前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害され、又 は侵害されるおそれがある会社は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれ がある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。 ・旧商法に定められていた類似商号規制は、会社法では廃止された(同一住所地での同  一商号でなければ原則自由)。 (3)自己の商号の使用を他人に許諾した会社の責任 第9条  自己の商号を使用して事業又は営業を行うことを他人に許諾した会社は、当 該会社が当該事業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連 帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。 〔商法〕 (自己の商号の使用を他人に許諾した商人の責任) 第十四条 自己の商号を使用して営業又は事業を行うことを他人に許諾した商人は、当 該商人が当該営業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連 帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。 ★ 商法総則は、会社以外の商人に適用される。 ●● 最高裁判例「示談金」(民集第31巻7号1570頁) 【裁判要旨】 営業につき他人からその名義の使用を許された者が、営業活動上惹起された交通事故に 基づく不法行為上の損害賠償義務者であることを前提とし、被害者との間で、単にその 支払金額と支払方法を定めるにすぎない示談契約を締結した場合には、右契約の締結に あたり、被害者が名義貸与者をもつて営業主と誤認した事実があつたとしても、右示談 契約に基づき支払うべきものとされた損害賠償債務は、商法二三条にいう「其ノ取引ニ 因リテ生ジタル債務」にあたらない。 ●● 最高裁判例「売掛代金請求」(民集第20巻1号111頁) 【裁判要旨】 名板貸人は、自己を営業主と誤認するについて重大な過失があつた者に対しては、商法 第二三条所定の責任を負わないと解するのが相当である。 ●● 最高裁判例「損害賠償」(民集第49巻9号2972頁) 【裁判要旨】 甲の経営するスーパーマーケットの店舗の外部には、甲の商標を表示した大きな看板が 掲げられ、テナントである乙の店名は表示されておらず、乙の出店している屋上への階 段の登り口に設置された屋上案内板や右階段の踊り場の壁には「ペットショップ」とだ け表示され、その営業主体が甲又は乙のいずれであるかが明らかにされていないなど判 示の事実関係の下においては、乙の売場では、甲の売場と異なった販売方式が採られ、 従業員の制服、レシート、包装紙等も甲とは異なったものが使用され、乙のテナント名 を書いた看板がつり下げられており、右店舗内の数箇所に設けられた館内表示板にはテ ナント名も記載されていたなど判示の事情が存するとしても、一般の買物客が乙の経営 するペットショップの営業主体は甲であると誤認するのもやむを得ないような外観が存 在したというべきであって、右外観を作出し又はその作出に関与した甲は、商法二三条 の類推適用により、買物客と乙との取引に関して名板貸人と同様の責任を負う。 ■ 会社の使用人と代理商 【1】会社の使用人 (1)支配人 ・会社の支配人とは、会社の使用人のうちで会社(外国会社を含む。)の本店または支  店の事業の主任者である者をいう(10条)。会社はそのような支配人をおくことが  でき、この場合には登記を要する(918条)。 ・支配人は、会社に代わってその事業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権  限を有し、支配人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない  (11条1項、3項)。 ・支配人は、他の使用人を選任し、又は解任することができる(11条2項)。 ☆ 「他の使用人」は、旧商法では「番頭、手代其ノ他ノ使用人」と規定されていた   が、内容は同じである。 ・支配人は、会社の許可を受けなければ、次に掲げる行為をしてはならない(12条1  項)。 (ア)自ら営業を行うこと、(イ)自己又は第三者のために会社の事業の部  類に属する取引をすること、(ウ)他の会社又は商人の使用人となること、(エ)他  の会社の取締役、執行役又は業務を執行する社員となること。 ・この義務に違反した場合は、その行為によって支配人または第三者が得た利益の額  は、会社に生じた損害の額と推定される(12条2項)。 ・会社の本店又は支店の事業の主任者であることを示す名称を付した使用人(表見支配  人)は、当該本店又は支店の事業に関し、一切の裁判外の行為をする権限を有するも  のとみなされるが、相手方が悪意であったときは、別である(13条)。 ●● 最高裁判例「約束手形金請求」(民集第16巻5号1031頁) 【裁判要旨】 保険会社の支社が、新規保険契約の募集と第一回保険料徴収の取次のみをその業務と し、保険会社の基本的事業行為たる保険契約の締結、保険料の徴収ならびに保険事故あ る場合の保険金の支払業務を独立してする権限、組織を有しない場合、その支社長は商 法第四二条にいう「支店」の営業の主任者にはあたらない。 ●● 最高裁判例「為替手形金請求」(民集第8巻6号1170頁) 【裁判要旨】 支店長代理は、商法第四二条にいう「支店ノ営業ノ主任者タルコトヲ示スベキ名称ヲ附 シタル使用人」にあたらない。 ●● 最高裁判例「約束手形金請求」(民集第18巻3号458頁) 【裁判要旨】 肥料販売会社の支店管下の出張所が、相場の著しい変動ある肥料の仕入にはとくに右支 店の許可を要するが、それ以外はこれを要せずに仕入をすることもでき、年間四千万円 にも達する肥料を所在県下に販売し、それに伴う運送ならびに代金の回収等を行い、出 張所長の下に三名の職員を使用し、職員の給料を除いて日常経費を原則としてその取立 金でまかなう等判事のようなものであるときは、右出張所を商法上の支店と解して妨げ ないから、同出張所長は、商法第四二条の表見支配人にあたると解すべきである。 (2)ある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人 ・事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人は、当該事項に関する一  切の裁判外の行為をする権限を有し、その使用人の代理権に加えた制限は、善意の第  三者に対抗することができない(14条)。 (3)物品の販売等を目的とする店舗の使用人 ・物品の販売等(販売、賃貸その他これらに類する行為をいう)を目的とする店舗の使  用人は、その店舗に在る物品の販売等をする権限を有するものとみなされるが、相手  方が悪意であったときは、別である(15条)。 【2】会社の代理商 (1)意義 ・会社のためにその平常の事業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その会  社の使用人でないものをいう(例:保険代理店)(16条)。 (2)通知義務 ・代理商は、取引の代理又は媒介をしたときは、遅滞なく、会社に対して、その旨の通  知を発しなければならない(16条)。 (3)代理商の競業の禁止 ・代理商は、会社の許可を受けなければ、次に掲げる行為をしてはならない(会社法第  17条第1項)。 (ア)自己又は第三者のために会社の事業の部類に属する取引をすること。 (イ)会社の事業と同種の事業を行う他の会社の取締役、執行役又は業務を執行する社    員となること。 ・代理商がこの義務に違反した場合、その行為によって代理商又は第三者が得た利益の  額は、会社に生じた損害の額と推定される(17条2項)。 (4)通知を受ける権限 物品の販売又はその媒介の委託を受けた代理商は、商法第526条第2項の通知その他 の売買に関する通知を受ける権限を有する(18条)。 (5)契約の解除 会社及び代理商は、契約の期間を定めなかったときは、2ヶ月前までに予告し、その契 約を解除することができる(19条1項)。 ・やむを得ない事由があるときは、会社及び代理商は、いつでもその契約を解除するこ  とができる(19条2項)。 (6)代理商の留置権 ・代理商は、取引の代理又は媒介をしたことによって生じた債権の弁済期が到来してい  るときは、その弁済を受けるまでは、会社のために当該代理商が占有する物又は有価  証券を留置することができる。 ・ただし、当事者が別段の意思表示をしたときは、別である(20条)。 ■ 登記 (1)概観 ・会社法の規定により登記すべき事項は、当事者の申請又は裁判所書記官の嘱託によ  り、商業登記法の定めに従い、商業登記簿に登記する(907条)。 ・登記した事項に変更が生じ、又はその事項が消滅したときは、当事者は、遅滞なく、  変更の登記又は消滅の登記をしなければならない(908条)。 ・登記すべき事項のうち官庁の許可を要するものの登記の期間については、その許可書  の到達した日から起算する(910条)。 ●● 最高裁判例「約束手形金請求」(民集第28巻2号368頁) 【理由】 商法が商人に関する登記事項を定めているのは、商人の取引活動が、一般私人の場合に 比し、大量的、反復的に行われ、一方これに利害関係をもつ第三者も不特定多数の広い 範囲の者に及ぶことから、商人と第三者の利害の調整を図るために、登記事項を定め、 一般私法である民法とは別に、特に登記に右のような効力を賦与することを必要とし、 又相当とするからに外ならない。 (2)登記の効力 第908条  この法律の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これを もって善意の第三者に対抗することができない。登記の後であっても、第三者が正当な 事由によってその登記があることを知らなかったときは、同様とする。 (ア)登記前:登記すべき事項について、善意の第三者に対抗できない(消極的公    示)。 (イ)登記後:登記した事項について、善意の第三者に対抗できる(積極的公示)。た    だし、正当な事由(交通や通信の途絶、登記簿の滅失等)があって、その登記が    あることを知らなかったときは、登記事項を対抗できない。 ●● 最高裁判例「約束手形金請求」(民集28巻2号368頁) 【裁判要旨】 株式会社が代表取締役の退任及び代表権の喪失につき登記したときは、その後その者が 会社の代表者として第三者とした取引については、民法一一二条(代理権消滅後の表見 代理)の適用はない。 【理由】 株式会社の代表取締役の退任及び代表権喪失は、商法一八八条及び一五条によつて登記 事項とされているのであるから、前記法の趣旨に鑑みると、これについてはもつぱら商 法一二条のみが適用され、右の登記後は同条所定の「正当ノ事由」がないかぎり、善意 の第三者にも対抗することができるのであつて、別に民法一一二条を適用ないし類推適 用する余地はないものと解すべきである。 ●● 最高裁判例「約束手形金請求」(民集14巻5号833頁) 【要旨】 実在する会社の代表取締役として約束手形の振出をした者は、会社の商号変更および右 代表取締役の就任につき登記がされていなくても、個人として手形上の責任を負うもの ではない。 ●● 最高裁判例「株主総会決議無効確認請求」(民集22巻12号2402頁) 【要旨】 商法第一二条は、当事者である株式会社を訴訟上代表する権限を有する者を定めるにあ たつては、適用されない。 (3)不実の登記 第908条第2項 故意又は過失によって不実の事項を登記した者は、その事項が不実 であることをもって善意の第三者に対抗することができない。 ●● 最高裁判例「所有権確認等」(民集34巻5号717頁) 【要旨】 登記申請権者の申請に基づかないで不実の商業登記がされた場合には、登記申請権者が 不実の登記の実現に加功し又は不実の登記の存在が判明しているのにその是正措置をと ることなくこれを放置するなど、右登記を登記申請権者の申請に基づく登記と同視する のを相当とするような特段の事情がない限り、商法一四条は適用されない。 ●● 最高裁判例「損害賠償請求」(民集26巻5号984頁) 【要旨】 取締役でないのに取締役として就任の登記をされた者が故意または過失により右登記に つき承諾を与えていたときは、同人は、商法一四条の規定の類推適用により、自己が取 締役でないことをもつて善意の第三者に対抗することができない。 ***************************************  マガジンタイトル:新・行政書士試験 一発合格!  発行者:行政書士 太田誠   東京都行政書士会所属(府中支部)  発行者Web:http://www.ohta-shoshi.com  発行者メールアドレス:e-mail@ohta-shoshi.com  発行協力「まぐまぐ」:http://www.mag2.com/  登録または解除はこちらから:http://www.ohta-shoshi.com/melmaga.html ***************************************

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