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コラムの泉

罰金を払う。手当を貰う。ヤル気が出るのはどっち?

カテゴリ
労務管理  >  労働基準法
最終更新日
2017年11月17日 14:05
著者
社会保険労務士 山口正博事務所 さん
ポイント
7,102,451ポイント
ポイントランキング100







2018年1月6日号 (no. 1063)
3分労働ぷちコラム バックナンバーはこちら
http://www.soumunomori.com/profile/uid-20903/





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---3分労働ぷちコラム---
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本日のテーマ【罰金を払う。手当を貰う。ヤル気が出るのはどっち?】
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引越し作業中に事故を起こすと、その賠償金が従業員に請求される。このような仕組みで給与を天引きされ、支給される給与がなくなったという話。

http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1710/20/news113.html
アートコーポレーション元従業員、引越事故賠償金で11万円以上天引き……給与明細はマイナスに アート側は「問題ない」

給与月額が158,190円。労働時間が230.75時間だと、1時間あたり約685円で最低賃金よりも低い。

さらに、本給が約5万円で、残業手当が約10万円という歪な構造も気になるところ。



 

■小銭をケチって大金を失う


運んでいるときに物を落として壊す。壁に運搬物を当てて穴が開く。引っ越し作業での事故としてはありがちなものです。

本来だと業者側が弁償するのでしょうが、ここを本人責任にしているのが今回の事例です。


公開されている情報が限定的なので、全貌は分かりませんが、人を雇って商売をしていると、利益を得るのは会社側、つまり使用者であるため、仕事中に起こったトラブルや事故の責任もまずは使用者側に回ってきます。


洗い物をしていて、ガラスコップを落として割ったとか、掃除中に備品を倒して壊してしまったとか、仕事中には色々なものが壊れます。

私も学生の頃は、グラスやお皿を割りましたけれども、「このお皿は900円だから、給与から引いとくぞ」とは言われたことが無いです。

お皿投げ大会を実施して、わざとパリン、パリンと割っていけば、それは本人の責任もあるでしょうが、仕事中に不注意で割った、壊したとなると、それは使用者側で負担するものです。


物を壊すときは不注意が主な理由ですから、過失があるかどうかで判断されれば、ほぼ全て過失ありと判定されます。さらに、客観的に過失を判定するのは困難でしょうし、そういう判定作業のために人や時間を使うのは不毛です。

過失がない場面というと、お客さん側に責任がある場合、トラックでの運搬中に物が壊れた場合、搬出重機が故障して運搬物が壊れた場合などが想定されます。


自分に過失があれば賠償させられるとなれば、何とかしてペナルティを回避するために人は責任逃れします。ペナルティは他者に責任をなすりつけるきっかけを与えてしまうのですね。

悪い報告をすると怒られる。だから悪い情報を上に伝えずに、良い情報だけを伝える。こうなると、知りたい情報が伝わって来ず困ってしまいます。事故の損失を本人が賠償させられるのはこれと同じです。



僅か数万円で、払う払わないとスッタモンダし、やれブラック企業だ、酷い会社だと言われることを考えれば、業務中の事故は会社負担と決めてしまったほうが金銭的にも信用面でも得です。

労務管理では、小銭をケチるとろくなことがありません。業務中の事故を賠償させるのもそうですが、1分単位で残業代を払わないとか、そもそも残業代を払わないなど、ちょっとした費用をケチって、後から訴訟を起こされたり、人が辞めたり、ネットで叩かれたり。

1万円を捨てて千円を拾うのではなく、千円を捨てて1万円を拾うような労務管理をするのが賢明です。商売は差し引きでプラスになれば良しとするのが賢い判断です。

 


 

■罰を与えるよりも、ご褒美をあげる


罰金やペナルティでもって、何らかの行動を抑止する。この方法が効果的な場面があれば、一方で、効果的ではない場面もあります。


例えば、交通違反。法定速度を上回ってクルマやバイクを気分良く走らせていると、パトカーが後ろからサイレンを鳴らして追跡してきますよね(経験者だから分かります)。停められたあと、パトカーの中に入って切符処理をして、違反点数、違反金の額を伝えられます。

交通ルールというのは、運転する人に対して、法律に違反するような運転をすると、違反金などのペナルティを課します。このペナルティによって、運転者は「事故を起こさないようにしよう」、「お酒を飲んで運転しないようにしよう」と行動を改めます。

ただ、違反金を取られて嬉しいと感じる人はいないはず。「くそ〜、やられたな。あー、勿体無い」と感じる人が多数でしょう。

罰を理由に行動を改める。確かにそういうインセンティブの与え方もありますが、人間の感情に対する効果は良いものではありません。


会社でも、例えば、掃除当番をサボったら500円の罰金、ロッカー掃除をやらなかったら300円の罰金。金額は小さいですけれども、罰金を取られる側としては嫌なものです。

罰金によるインセンティブは交通違反の違反金と同じで、人に対して良い感情を与えないのです。

掃除の罰金を集めた後、半年に1回実施する飲み会の費用にそのお金を全て充当するという形で還元すれば、必ずしも悪いものではありません。しかし、罰金以外の方法で掃除をしてもらう方が有意義です。



1.罰があるから事故を起こさないようにしよう。
2.手当を貰えるから事故を起こさないようにしよう。

どちらが嬉しいと感じるか。


目的は同じです。違うのは目的を達成するための手段。前者は、罰を手段として事故を起こさないようにさせています。後者は、手当を手段として事故を起こさないようにさせています。


1.事故を起こせば、5,000円の罰金が取られる。
2.事故を起こさなければ、5,000円の手当が貰える。

どちらが嬉しいかと聞かれれば、嬉しいのは後者です。狙っている効果は同じですが、人の感情として受け入れやすいのは後者でしょう。


引越しで事故を起こすと賠償しなければいけなくなるというと、仕事にヤル気は出ないものです。プレッシャーや緊張感はありますけれども、良い意味でのものではなく、負のエネルギーで圧迫されている状況で仕事をするようなものです。

何かをやって手当が貰えるとか、ポイントが付くとか、そういうプラスのインセンティブを付けたほうがヤル気が出ます。


引越し業務ならば、無事故手当や無事故報奨金のようなものを用意すると良いでしょうね。事故を起こしたときに賠償させるのではなく、例えば、半年間、事故を起こさずに仕事をやり遂げた場合には3万円の無事故手当が出る。

無事故だと手当が貰えるのですから、「よし。事故を起こさずに仕事をするぞ」という前向きな気持ちになれます。


「じゃあ、事故が起こってしまったらどうするの?」と思うところですが、その場合は保険で対処するのが妥当です。「業務遂行賠償責任保険」という保険がありますから、これに加入すれば、業務中に対人事故や対物事故が起これば補償してもらえます。

https://goo.gl/6w2bJK
『業務遂行賠償責任保険』を検索


保険に加入しておけば、従業員に賠償請求する手間はかかりませんし、僅か数万円、数十万円の係争金額で訴訟になることも避けられます。SNSに給与明細の画像をアップされて炎上するなんてこともなくなるでしょう。


事故は保険で対応できるので、マイナスの出来事は評価しません。一方で、事故を起こさずに半年間過ごした人には無事故のご褒美が3万円出る。

従業員の立場では、リスクがほぼゼロでリターンを得られるわけですから、これは嬉しい話です。

こういう会社ならば、良い意味でSNSで話題になるでしょうね。「ほ〜、事故を起こさずに引越し作業を半年続けたら3万円貰えるのか」、「ということは、年間で事故ゼロならば6万円だ」、「そりゃあ、いいね!」とプラスの方向でバスられる。会社に対するイメージがアップしますし、人材も集まりやすくなるでしょうし、お客さんからの印象も良くなると期待できます。


物を壊したら、「あぁ〜、壊しちゃったね〜。ということで、壊した分もこれから働いて稼いでね」と言う。給与から引くのではなく、さらに稼いでもらって(会社に利益をもたらしてもらう)、それを実質的な弁償と捉える。損失をカバーするだけのリターンをもたらしてくれればそれでいい。まさに、千円を捨てて1万円を拾うような判断です。


労務管理には、法律や規則、契約といった厳格なルールがあります。しかし、現場では人と人が接しながら仕事を進めますから、人の感情をいかに扱うかがキモになります。

働く人に恐怖やプレッシャーを与えて仕事をしてもらうのか。ワクワク、ニコニコしながら働いてもらうのか。


目的は1つでも、それを達成するための手段は1つとは限りません。

 

 

 




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メールマガジン【本では読めない労務管理の"ミソ"】のご紹介


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『定額残業代残業代は減らせるのか』
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半日有給休暇半日欠勤の組み合わせはダメ?』
『寸志は賃金or贈り物?』
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本に書いていそうなんだけど、書いていない。
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http://www.growthwk.com/entry/2008/05/26/125405?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_common_20180106_1




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合格率0.07%を通り抜けた大学生。


今、私はこうやって社労士という職業で仕事をしているわけですが、子供の頃からなりたかった職業というわけではなくて、大学生の頃に遭遇したきっかけが始まりです。

子供の頃になりたい職業というと、男の子ならば、警察官やスポーツ選手、パイロットというのが良くあるもの。女の子だと、スチュワーデス(今はキャビンアテンダント)、花屋さん、ケーキ屋さん、保育園の先生とか。そういう社会的に広く認知されたものが選ばれるので、小学生や中学生が社労士になりたいなんてことはゼロではないのでしょうが、極めて稀でしょう。

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。だって、簡単そうなイメージがするでしょ、社労士なんて。チョチョッと勉強すれば、スルッと合格できるだろう。そう思っている人も少なくないはず。

「よく知られている資格 = 難しい」、「あまり知られていない資格 = 難しくない」。こういう判断基準があって、社労士は後者に該当するため、難しくないだろうと思われてしまうわけです。

私もそうやってナメていたクチですから、不合格になったんです。

実際は、想像しているよりも難易度は高くて、大学生の頃に約1年ほど時間を投じて、やっとこさ合格したのが本当のところ。


どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

とはいえ、学生の人が社労士に興味を持つというのはやはりレアで、何らかのきっかけが無ければ出会えないでしょうね。ただ、珍しいといっても、毎年、1割弱ほどは学生の受験者がいるので、受験者の総数を5万人と仮定すると、その1割弱なら3,000人から4,000人ぐらいは学生がいます。

そういう方の役に立つならば、私の経験も使っていただきたいですね。


http://www.growthwk.com/entry/2017/02/28/121910?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_common_20180106_2
大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡




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残業で悩んでいませんか?

「長時間の残業が続いている」
残業代の支払いが多い」
「残業が減らない」

こういう悩み、よくありますよね。

ニュースでも未払い残業代の話題がチラホラと出てくるぐらい、残業に対する関心は高くなっています。

法律では、1日に8時間まで、1週間では40時間までしか仕事ができません。その水準を超えてしまうと、残業となり、割増賃金が必要になります。

とはいえ、1日で8時間と固定されていると不便だと感じませんか? 1週間で40時間と固定されていると不便だと感じませんか?


毎日8時間の時間制限があると、柔軟に勤務時間を配分できませんよね。

例えば、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。

でも、実は、「月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務なので、残業は無し」こんなことができる仕組みがあるんです。

「えっ!? そんな仕組みがあるの?」と思った方は、ぜひ『残業管理のアメと罠』を読んでみてください。


『残業管理のアメと罠』
http://www.growthwk.com/entry/2012/05/22/162343?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_common_20180106_3





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決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。

他には、雇用保険社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。

労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。


一例として、

Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
Q:残業しないほど、残業代が増える?
Q:喫煙時間は休憩なの?
Q:代休振替休日はいつまでに取ればいいの?


このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

▽    ▽   『仕事のハテナ 17のギモン』    ▽    ▽
http://www.growthwk.com/entry/2017/05/23/132023?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_clockperiod_common_20180106_4



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