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コラムの泉

年俸制における時間外手当

カテゴリ
労務管理  >  全般
最終更新日
2005年07月21日 20:56
著者
須藤労務管理事務所 さん
ポイント
4,567,847ポイント
ポイントランキング100

◆事例:年俸制における時間外手当

 年俸制を適用している社員がおりますが、長時間の残業が続いたため時間外
手当を別途支給して欲しいとの申し入れがありました。年俸制なので月々一定
の給与を支払えばよいと思っているのですが、要求に応じなければなりません
か。

◇回答----------------------------------------------------------------
 制度の内容にもよりますが、管理職等以外の社員であれば年俸制の対象者で
も時間外手当の支給が必要となります。特に、想定外の長時間残業を行ったこ
とが明白である場合は時間外手当の支給は免れません。

■解説----------------------------------------------------------------

 最近は企業規模の大小を問わず年俸制の導入が盛んに行われています。導入
の目的は、企業への貢献度、成果に見合った報酬を配分するという、いわゆる
成果主義の考え方に基づくものですが、人件費抑制という部分も垣間見えてい
ます。
 経営側の本音としては、人件費を何とかしたい方が先で、成果主義は後から
のこじつけと言った方が正確かも知れません。もちろん正面切って発言はでき
ませんが。

 特に、年俸制を導入すれば時間外手当の支給が不要となると考える事業主の
方が多いようですが、基準法第41条に該当する管理監督者等を除いては、時間
外手当の支給は必要とされています。また、基準法第38条の2から4に定める
事業場外労働や裁量労働制採用している場合でも、一定の条件の下に時間外
相当の手当は支払わねばならないことから、時間外手当を全く支給しないで済
むと考えるのは誤りです。

 基準法全般にいえることですが、労働とはあくまでも時間をベースに考えて
います。そのため賃金も時間を最重要視しており、質の面は全く考慮されてい
ません。このような中で解釈、運用しなければならないため、かなりの無理が
発生するのは事実です。

 このような事情から、一般的に年俸制は部課長等の管理職層を対象として導
入するケースが多いようです。基準法との衝突も少なくてすむからです。但し、
基準法でいう管理職の定義は以外と厳しく限定されているので、念のためチェ
ックしておきましょう。(弊誌バックナンバー004号15年1月22日もご覧下さい)

 一般職を含む階層において年俸制を導入するにはクリアすべき課題が多いた
め、拙速な導入は避けるべきです。どうしてもという事情がある場合や既に導
入済みの場合でも、特に賃金に関しては次の2点に注意が必要です。

賞与額が事前に確定している場合
 基準法でいう「賞与」とは支給額が予め確定していないものを言います。年
俸制の中で賞与額が予め確定している場合は基準法の「賞与」とは認められず、
賃金の毎月払いの原則の適用を受けることとなるため、本来は月割りで給与と
合算して支払う必要があります。さらに、この場合の時間外手当の算定に当た
っては、年間賞与額の12分の1を割増賃金の基礎額に追加して計算する必要も
あります。
 
★時間外手当相当額を年俸に含んでいる場合
 多少工夫した年俸制においては、年俸額の中に時間外手当に相当する額(定
額の見なし額)を含めて算定しているものもあります。この場合でも、「年俸
に時間外手当が含まれる」旨を明確にしておくことが必要です。方法としては、
賃金規定労働契約において明文化することです。さらに実際の支給に際して
は、時間外手当相当分と本来の所定内賃金相当分とを区分して支給することも
必要となります。
 また、留意点として、定額支給の額より実際の結果による時間外手当の額の
方が高い場合は、差額の支払いが必要だということです。これらは時間外だけ
でなく、休日深夜手当についても当てはまります。

 これらの条件を遵守したら一般職の年俸制は不可能とも思えます。賞与額に
関しては、事前に確定させなければクリアできますが、時間外の方はかなり困
難です。実際には、そのまま実施しているケースが大多数と思われますが、少
なくとも役所に踏み込まれた時の対応は今から考えておいた方がベターです。


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