ガーデンオフィス【コクヨ】
エコがクリエイティブを刺激する?!屋上の庭で仕事ができるコクヨのオフィス


コクヨ株式会社 東京品川オフィス
所在地/東京都港区港南1丁目8番35号
設立/1905年10月
従業員数/連結 5,505名(2008年12月末現在)
資本金/158億円
「ひらめき はかどり ここちよさ」をブランドメッセージに、文具やオフィス家具、事務機器など数多くの商品を製造・販売している。代表的な商品である「キャンパスノート」は2005年までの30年間で累計約17億冊を出荷した。
文具やオフィス家具など、私たちが毎日を過ごすオフィスに密着したメーカーのコクヨ。そのオフィスの専門家達が「新しいオフィス」への取り組みを昨年より開始した、と聞きつけて「ガーデンオフィス」推進チームのみなさんにお話をお伺いしてきました。
―「ガーデンオフィス」は、「エコライブオフィス」という御社の取り組みの一環のようですね。まずは「エコライブオフィス」という取り組みの全体像について教えていただけますか?
杉山氏:「過去20年ほどで、日本のオフィスから排出されるCO2の量はおよそ40%増えています。普段仕事をしていると、なかなかそんなことは意識しませんが、近い将来に各社がオフィスでのエコ活動を求められるようになるかもしれません。その時に『エコ』を単なるルールで縛られた光熱費の削減としてでなく、働く人が積極的に、創造的にエコに取り組める、人の意識に変化をもたらすようなオフィス作りを目指しています。そのためエコライブオフィス内には例えば、人感センサーと連動して自動的に照明と空調を防ぐと同時に、個人がどれだけCO2削減に寄与したかを見える化する等、様々な仕組みを導入しています」
―ライブオフィスの一角、屋根のないテラススペースが、公園のようになっていますね。周囲は高層のオフィスビルに囲まれていますが、ここだけは緑や水、ベンチなどが配置されまるで別世界のようです。この「ガーデンオフィス」について、概要を教えてください
加藤氏:「ここは以前はただの屋上で、特に利用されていないスペースでした。それを昨年11月のライブオフィスのリニューアルの際に、エコの一環として「ガーデン」として緑や設備を整えたのです」
杉山氏:「屋外のスペースをオフィスとして利用することで、屋内の照明や空調の無駄を省こう、というのがガーデンオフィスの発想です。より多くの人が、よりたくさんの時間を外で過ごすことで、室内の電力消費が減りCO2排出量が削減されます。
このスペースは利用してもらってこそ価値が生まれるものなので、その利用率を上げるために発足されたのが、私たちガーデンオフィス推進チームです。別々の部署から、普段の業務の傍らで集まり活動しています」

―昨年11月から、というと導入から1年が経とうとしていますね。利用状況はいかがですか?
加藤氏:「開設当初はちょうど冬。冬場の寒さや屋外特有の汚れの問題から、利用が進まずなかなか大変でした。ですが最近では業務時間の中で1時間ほど利用してまた室内に戻る、という人が多くなりましたね。例えば私は、朝出勤後、メールチェックはここでして、集中して仕事をするお昼頃には中に戻る、という使い方をしています。お昼時にお弁当を持ってきて食べる人も多いですね」
―いまも10名ぐらいの方が使っていらっしゃいますが、『ガーデンで働く』というスタイルを定着させるために、どのようなことを行ったのですか?
杉山氏:「暑さ・寒さや汚れは屋外環境に特有の不便さです。特にスーツだと寒暖に対して調整もできませんし、ベンチの汚れも気になります。せっかくガーデンで働いて開放的な空間にいるのに、スーツでは窮屈な感じもしますし、夏はノーネクタイでも暑い。そこで夏を迎えるにあたって、せっかくガーデンなのだからシャツと短パンで働ける場所にしたいね、ということになりました。そこで、取り入れたのが『ガーデンワークビズ』、オリジナルのクールビズスタイルです」
相澤氏:「ガーデンでの働きやすさ、を基準にルールをつくりました。ジーンズはOKだけど穴あきはダメ、Tシャツはいいけど、柄物はガーデンでの働きやすさとは関係ないのでダメ、など、ガーデンオフィスもライブオフィスの一角ですから、本来の目的を踏まえてたくさんのお客様がいらっしゃることを意識したルールになっています。導入に際しては、ファッション雑誌から良い例、悪い例を切り抜いたマニュアルを配布しました」
杉山氏:「ガーデンビズスタイルを広く理解してもらうために、社員をモデルにしたファッションショーもオフィスの中で開きました。また「ベスト・ガーデンドレッサー」を選ぶ『ガーデンビズ・ファッションコンテスト』も社員から投票を受け付けて開催しましたね。逆に必要もないのにガーデンビズを着用することのないように、着用時は最低でも1時間ガーデンワークをすることもルールとして定め、『ガーデンビズ着用中』を示す腕輪も用意するなどの配慮もしています。」
―ガーデンビズを取り入れたことによってどんな効果が出ましたか?
相澤氏:「ガーデンビズだと、ちょっとしたイスの汚れなんかは気にならなくなるので、当初の目的の通り利用率は上がったと思います」
加藤氏:「それだけでなく、普段目にしないカジュアルな格好のおかげで、会話が増えましたね(笑)カラフルなシャツを着てきたら『いつもと違いますね」と言われたりと、刺激的です」
杉山氏:「普段全く関わりがない人とも他部署の人とも『どこで買ったんですか?』『妻と一緒に良くいくあの店で…』など、バックグラウンドまで見える会話ができるのはすごく楽しいですね。部署が違うと、その人のプライベートな部分まで触れる機会がない中、新鮮です」
加藤氏:「弊社はまじめな社員が多くて、衣替えなんかもきちっとしていたんですが、今年は10月に入ってもノータイの社員がいるなど、特に男性社員の意識が柔軟になってきている感じがします」
―ガーデンオフィスは、オフィスとして以外にはどんな形で利用されているのですか?
加藤氏:「日中はセミナーを、夜は社員の懇親会の場所として、夏場は特に頻繁に利用されていました。宝探しなど、他ではできない企画を盛り込んでいることもあったようですね。また社員の家族会もここで行いました。お父さんお母さんが働く場所というだけでなく、カブトムシを放し、屋台を出すなどして300人ほどが集まりました」
杉山氏:「10月には月見をやってみようとか、季節を感じられるイベントができるのはいいですね。ちょうどススキも生えていますし、せっかくなのでお団子も私たちで手作りをする予定です。実は今日これから、その試作をしてみるところなんです(笑)」
相澤氏:「外部からのお客さまも増えています。今日も高校生が見学に来ていますし、幼稚園生が来てくれたこともありました。個人で見学に来てくださる方もいます。私たち社員だけでなく、外部の方にとってもプラスになる場所にできればいいな、と思っています」
―ガーデンオフィスには、特有のご苦労もありそうです
杉山氏:「室内はある程度他のオフィスと一緒といっていいと思うのですが、ここでは非日常的なことが起こります。コガネムシが大量発生して花を食べられるとか。もう毎日が問題だらけで、それを1つ1つチームや、時にはチーム外の社員の力を借りて解決していっています。風で書類が飛ぶから、じゃあ川からきれいな石ころを拾ってこようとか(笑)」
加藤氏:「中でも大きな課題は、デスクトップのPCを利用している人に、どうやってガーデンを使ってもらうか。彼らはガーデンのメリットを享受できていないので、職種による利用のバリアをどうやって解消していくかは検討課題ですね」
―今後の展望は?
相澤氏:「『やりたいこと』、のアイデアはたくさんあります。野菜を育てたり、もみの木を植えてみたい、会議をできるような環境にもしたい。アサガオを育てて、それをお客様にプレゼントできたらいいね、なんていう話も出ています」
杉山氏:「社員からも『こうしたい』『ああしたらいいんじゃないか』という声がたくさん寄せられます。小さな不便がたくさんある分、自分たちが働きやすくするための意見がたくさん出てくるのだと思います。私自身もはじめは伝統的な企業なので無理ではないか、と思うようなことも社長が率先して取り入れてくれ、こんなことも実現できるんだ、考えてもいいんだ、というマインドになりました」
加藤氏:「ガーデンオフィスに興味を持っていただける方は、たくさんいらっしゃいます。ここにある設備は、製品としては実験段階のものがほとんどですが、社内での取り組みにとどまらず新しいオフィス作りのご提案として、一連の取り組みをまとめたパッケージとしてお客様にご提供できるようにしていきたい、とも考えています」
コクヨファニチャー株式会社
海外営業部
杉山 由希子(すぎやま ゆきこ)
2006年4月に入社、マーケティング部に所属。
コーポレートウェブサイト、ウェブ版総合カタログ制作等プロモーションを中心に担当。
2008年6月に海外営業部に異動。ドイツで開催される世界最大のオフィス家具展示会オルガテックを担当、英語販促物を制作。
現在はタイのエリア担当として現地設計事務所にコクヨ商品を提案中。
趣味は、ヨガ!おいしい料理を食べつつ友達とリラックスできる時間も大切にしています。
コクヨファニチャー株式会社
医療教育営業部 東日本グループ 教育営業チーム
相澤里美(あいざわ さとみ)
2007年3月入社。小学校から大学までの学校家具のメーカー営業。
営業活動に加え、商品企画などを行っている。
今年度からガーデンワークサポートツールPJに所属しており、部門を越えた活動を含め
充実した毎日を送っている。
コクヨファニチャー株式会社
設計推進部 東京設計グループ リーダー
加藤 晃(かとう あきら)
1988年4月に入社。
オフィスを中心とした設計ワークを行いながら日々邁進中。
近年は東京大学KALSや福武ホール、某生命移転PMなどを手がける。
趣味は、休日にバイクでフライフィッシングに行くこと。







