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HOMEはっけん!面白制度第6回:全社員に毎月配布!課題図書【株式会社リンク・ワン】

はっけん!面白制度

第6回:全社員に毎月配布!課題図書【株式会社リンク・ワン】

(2006/5/30 火曜日)

コージー: 会社によっていろいろな教育制度があるよね。
カオリ: 新卒や若い社員に対しては、教育の制度を用意してあげることも必要だと思う。
中小企業や若いベンチャー企業の課題のひとつだよね。設立からまだ5年足らずだけど社員教育に力を入れて、さまざまな独自の制度を導入している会社があるから紹介するよ。

全社員に毎月配布!課題図書【株式会社リンク・ワン】

利益の10%を社員教育費に。
成長機会提供業を謳う外食人材サービス企業の教育制度

株式会社リンク・ワン
用意する物: 書籍(社員数分)、レポート報奨金
つくりかた : 1)毎月、課題図書1冊を用意して、全社員に郵送
2)その書籍についてレポートを提出した社員には報奨金2000円を支給
3)書籍代と報奨金とは図書費として計上

株式会社リンク・ワン

株式会社リンク・ワン
株式会社リンク・ワン
所在地/東京都渋谷区桜丘町20-1渋谷インフォスタワー9階
設立/2001年7月9日
従業員数/180名(平均年齢28歳)
・・・オフィス勤務70名 飲食店舗勤務110名
資本金/5億8,907万6,500円
直営店舗数/9業態21店舗
http://www.link-one.co.jp/

外食業界に特化した人材派遣事業、教育コンサルティング事業などの人材関連サービス、飲食店舗運営事業やFC事業を主要事業とする。『プロ店長事業』は自社の社員を全国の飲食店に店長として派遣し、オペレーション面から収益を改善するというオリジナルモデルで創業当初より展開する。関東を中心にスープカレー「心」やお好み焼き「わっはっはっ風月」を直営。2004年7月東証マザーズに上場。

−毎月、全社員に対して課題図書を配布しているそうですね。どのような仕組みで?

毎月1冊ずつ課題図書を決めて、全社員に配布しています。それに対してレポートを提出した社員には2000円を報奨金として給与と一緒に振り込んでいます。

2000円の報奨金を設けたのは、まず第一に、レポートの品質を追求するため。2000円に見合う価値あるアウトプットをして欲しかった。それには1時間程度はかかるだろうと、その時間に対しては2000円程度を支払うべきだろうと考えたわけです。そしてマネージャーは部下に対して「2000円もらえるんだから書けよ」って促しやすくなるでしょう?

課題図書をはじめて今年で3年になります。現在ではレポート提出率は90%を超えていますね。

−この制度の狙いは?

人格形成です。

僕は『人が幸せになれるかは、ものの考え方次第』と考えています。
あるひとつの出来事に数名が同時に直面したとき、人はそれぞれ異なる捉え方をするものです。それは、自分とその物事の関係性や過去の人生経験などが絡んでくるからですが。

幸せな人生を送れる人というのは、問題に出会った時に、ある種のものの考え方ができる人だと思う。でもその考え方というのはなかなか掴み取れるものではないと思いますよ。だからまずは、どんな時でもできるだけ多くの視点から物事を見つめられる人間になって、たくさんの選択肢の中から抽出できるようになればいい。僕はそう考えています。

では、どうしたらそのように人を育てることができるか?

本はたったの千何百円で過去にいろいろな経験をした人が考えたことや感じたことを教えてくれます。だから、僕が本を読んで学んだことの中に、これはいい!と思うものがあったときにその本を渡す。これを繰り返し行なうことで、多くの人の経験と考えに触れ、それにより多角的なものの見方を習得できればいいと考えています。

各自が自主的に読んでくれればいいですよ。僕自身は若い頃、給与の10%を書籍代に使おうと決めて、毎月2万ぐらいは書籍を買っていましたし。でも実際、うちの社員を見ていると読んでいない。はじめの頃は書籍購入の申請をしたら会社がお金を出す制度を設けていました。でも申請もしてこない。なら強制的に与えようと。そこで課題図書の配布をはじめたんです。人格形成を目的に。

−社員教育の一環ということですね。御社の経営理念には『成長機会提供業』とありますが、それを具現化した制度のひとつと言えますね。なぜ理念を『成長機会提供業』と定義されたのでしょうか?

僕はリンク・ワンを創業するまで、日本エル・シー・エーというコンサルティング会社でずっと人事の仕事をしていたんです。採用面接や社員面談を何度も繰り返す過程で、将来と今の仕事に対していろいろな考えを持った人に出会った。夢を明確に持ち働く人は幸せかもしれない、でも、中には自分の将来を諦めて、なんとなく仕事をしている人もいる、自分の楽しみは違うところにもってね。でも、人生における大半の時間は仕事に費やしているわけだし、もったいないなぁと思っていたんですよ。そこで会社をつくったときに、そういう人をサポートできないかと考えました。

ここで僕の考え方をお話します。
僕はまず人生を4つに分けて考えています。20歳まで、40歳まで、60歳まで、80歳まで。20歳までにどのような生き方をしたかによって、残りの60年が決まることは意外に多い。でもその頃に自分の生き方を真剣に考えている人というのは稀です。大学卒業後から30歳ぐらいまでが一番人生を真剣に考える時期なんですよね。生まれたときは誰もが360度の可能性をもっていたのに、そのときには90度ぐらいに狭まっている。それだから「どうせ俺なんか・・」となる人が多いのかもしれないと思った。そして、人生が80年あるのなら、その地点を“よーいドン”として、そこから戦い始めてもいいじゃないか、と考えたのです。

ビジネスの世界で僕と出会った時、リンク・ワンと出会った時をスタートとしてその人のビジネスの世界での可能性を拡げる支援をしたい

そこで成長機会提供業を理念に据えました。
ただ必ずしも「リンク・ワンに入る=成長」ではない。リンク・ワンは成長を実現するのではなく、チャンスを与えるだけ。リンク・ワンと組んだとしても、組織での個人の姿勢によって、成果は変わりますから。僕たちはきちんとチャンスを提供しますよ、でもプラスαは本人の『自助努力』次第。この考えはクライアント企業に対しても同じです。

だから『機会提供』なのです。
まず、ものの考え方のベースをつくるために与える機会が課題図書。そして、知識を与え、さらに得た内容を忘れないために確認のための場をつくり、それを実践の場で生かせるようにする、それぞれの段階で機会を提供するための教育制度を設けています。

−具体的に教えていただけますか?

まず知識を与えるのが集合研修です。それはOJT(on the job training)であったり、外部コンサルティングによる研修であったり。月に1度は知識を得るための研修をおこなっています。

そして確認の場は試験。週1回20分ぐらいでおこなえるテストを自社でつくりました。『52週間プロ店長養成試験』。マーケティング関連、労務関連、体系的に確認できるテスト。

しかし身につけただけではただの評論家になるにすぎない。

人の能力が伸びる時というのは、ものを学んだ瞬間ではなく、学んだ上でそれをアウトプットした時。だから学んだ人に、どのような仕事を与えてアウトプットさせるかというところに、僕はこだわる。そしてどういう仕事の仕方をさせるか。
物事を成し遂げるときに目的意識をもってやっていなければ、本当の知識はつかないし、成長もしませんから。

株式会社リンク・ワン

そこで知識を行動に落とし込み、目的を明確にする“EMDC(Every Month Dips Campaign”という仕組みを導入しています。(※1)

−EMDCとは?

毎月マネージャーがチームメンバーと売上やコストなどについて、それぞれの現状把握をします。そして目標を設定し、それを実現するための具体的施策とアクションに落とし込みます。
利益をあげるに売上を伸ばすのか、コストを削減するのか。売上を伸ばすのなら、そのためには客数をとるのか、それなら新規のお客様を増やすのかリピーターを増やすのか。ではそのために具体的に何を行なうのかということまで、具体的に。
それらの目標と具体的アクションはイントラネット内の共通のフォーマットに入力し、全社員が閲覧できるようになっています。

そして全社員の中から毎月優秀者を5名ノミネートし、外部の方も招いて成果発表会を行ない、全員投票のうえ最優秀賞を選んでいます。優秀賞ノミネート者には2万円の報奨金を与え、さらに最優秀賞受賞者にはストックオプションを付与しています。最初の頃は半年に1度でしたが、2年ほど前から毎月に変えましたね。褒められる数は多いほうがいい。来月は自分も頑張ろうと思うし。
そして多くの成功事例を共有することもできる。

自分の成功事例を隠すのではなく、活動内容を報告して共有したほうが評価される仕組みにして、成功を前に出していく組織文化をつくりたい

リンク・ワンは外食のコンサルティングもおこなっていますから、ここで共有化された内容は外部へのコンサルティングにも生かせます。社内は実験施設でもあり、そこで成果が出たものをお客様に提供し、収益をあげさせていただいたなら、また社内で実験をする、その繰り返しです。

−他にも面白い教育制度はありますか?

ビジュアライズというのを昨年からはじめています。
リンク・ワンの社員は25年ライフプランというのを毎年つくっていますが、25年の中で、この1年間絶対に実現したいことを目に見えるようにこういう形に。

人はそんなに強くない。年のはじめには決意していても3月ぐらいに忘れたりとか、諦めたりとか。そうならないように毎日朝礼で見続けるようにしています。時には他の人と交換して、お互いに紹介しあったり。

ビジュアライズ

25年ライフプランもこのビジュアライズも、個人・家庭・会社、3つの軸で実現したいことを明記させます。「夢を見るから人間なんだ」というコーポレートスローガンを掲げていますが、万物霊長のなかで将来に目標をもち、実現に向けて実行できるのは人間だけですから、人として生まれてきたからには、自分の幸せな姿を思い描きそれに向かって動いて欲しい。

そして、社員個々人が自分の人生でこれを実現したい!と強く思い描いたとき、成長したいという意欲も本物になります。それを持たせ続けるためにライフプランやビジュアライズを研修の一環としておこなっています。意欲を持った人にさらに成長機会を提供すれば伸びますから。

−ビジュアライズなら毎日、EMDCなら毎月、繰り返しやり続けることが重要なんですね。

1人ひとりが成長する流れや、組織全体が成長していく流れをつくるためにはね。EMDCにしても、やり続けていくうちにフォーマットも修正されて、今のような形になった。毎月の活動報告の事例の中には他の企業が買い取ってくれたものもあります。

制度は形からつくるよりも、日常的に自分たちが行なっていることの中から、価値あるものを見出して、それを正しいと信じてブラッシュアップしながらやり続けていたら、結果として制度になるものだと思います

もちろん制度をつくるためのスタッフも必要ですよ。総務や人事、経営企画などのサポートスタッフですね。その人材配置を怠たると、つくりあげた制度もブラッシュアップされず、制度として機能しなくなりますからね。

これらの制度は今後も継続していきます。教育に関するコストは、費用というよりも、投資。当然の事ながら、すぐではないかもしれないけれども適正な金額のリターンが会社に戻ってくると信じています。

※1)Dips・・・(株)日本エル・シー・エーが提唱する、ホワイトカラーの生産性向上手法を体系化した「正しい仕事の仕方」を獲得するためのノウハウを集めた商品パッケージ。

株式会社リンク・ワン 代表取締役社長 河原庸仁(かわはら つねひと)
株式会社リンク・ワン 代表取締役社長 河原庸仁(かわはら つねひと)
1965年11月30日 京都出身。実家は飲食店を経営。1988年、経営コンサルティング会社(株)日本エル・シー・エーに入社。2001年7月に同社から独立し、2004年7月には東証マザーズ上場を実現。今期の目標はフードビジネスに特化した学校の設立、および、海外出店。

コラム利益の10%は教育費に使いたい

リンク・ワンの利益の10%は、教育という形で社員に還元していきたいと考えています。課題図書のコストだったり、EMDCの報奨金、外部コンサルを呼んで行なう教育研修などの形で。

年に1万、2万昇給したとしても20年たっても20万や30万にしかなりませんが、もしも自分や会社が急速に力をつけたとしたら年で300万ぐらい給与をあげることもできます。

ひとり当たり2万円を自分の教育に使うなら、150名分をあわせて300万の教育をみんなで受けて、力を高めた方が、収益もあがり来年の給与はもっとあげられるはず。

リンク・ワンは人材ビジネスをやっている会社です。だからこそ人材というソフトへの投資は絶対に重要。そこで会社が成り立っていく範囲で10%を教育費として再投資にあてようと決めています。


秘書の森





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