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はっけん!面白制度

第27回: One Day Free制度【mixi】

(2008/10/10 金曜日)

One Day Free制度【mixi】

制度導入後も、一人一人がつくりたいものをつくれる環境を追求
週に1日の自由時間で社員のモチベーションアップ!

headerOne Day Free制度【mixi】


logo_mixi.jpg

株式会社 ミクシィ
所在地/〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-34-17 住友不動産原宿ビル17F
設立/1997年
資本金/37億1270万円(2008年6月30日現在)
従業員数/257名(2008年7月31日現在、契約社員等含む)

mixi

1500万人が利用する(2008年7月31日現在)、日本初のソーシャル・ネットワーキングサービス(SNS)mixiを運営。身近な人や、趣味・興味が同じ人との交流の場を提供している。また、ITベンチャー企業を中心に、未経験者向けからプロフェッショナル向けまでの求人情報を発信するFind Job!の運営も手がける。同サイトは、多様な雇用形態に対応しているのが特徴。1日に約300件の求人情報をほぼリアルタイムで毎日更新している。

2006年5月より、ミクシィで試験的に導入された『One Day Free制度』(以下ODF)について、ミクシィの開発陣を率いるニール氏、津久井氏、アプリケーションの運用業務を担当しており、実際にODFを利用してサービスをつくった加藤氏にお話を伺ってきました。

―開発者向けに「One Day Free制度」(以下ODF)というルールを採用されているそうですね。どのようなルールなのか、またその導入経緯を教えてください。

ニール氏:ODFは、週5日のうち1日を、自分の通常の業務とは別の開発にあてられる制度です。導入されたのは2006年5月ですね。ちょうど会社の規模が急激に拡大していった時期でした。当時はまだアプリケーション開発だけだったので、開発者も10名弱。よって人材採用も求められていましたから、どのような制度があれば開発者をはじめとした人材を集めやすくなるか、そして社員たちが働きやすい環境になるのだろうか、ということがよく話題にのぼっていました。そこで出たのが、「Googleの『20%ルール』のような制度をつくろう」という案。仕事の20%の時間は自分の好きなことに使っていい、というルールですね。ただ、20%といっても、いつどのように使うのか分かりづらいため、ミクシィでは、自由に使える時間を週5日のうち1日と決め、『One Day Free制度』と名づけてスタートしました。

―申請方法など、制度の利用に関して決まりごとはありますか?

ニール氏:導入当初は、トライアルということもあり申請方法などはしっかりと設定されていなかったんですよ。でも、しばらくすると、「誰がいつODFをとっているのかが曖昧で、業務がやりにくい」「どの時間帯にとっているというのがわかれば、その間は仕事の件で話はしない、というメリハリをつけられるのだけれど」などという声があがりはじめました。

そこで誰にでもODFをとっているとわかるように変えようということになり、毎週金曜日をODFの日にしたのです。週末になるので何か不具合が見つかった場合に対応が遅れますので、金曜日にサービスをリリースすることはあまりありませんから、もっとも業務に支障をきたさないであろう日です。これが2007年4月のことです。

津久井氏:周囲が、この人は今業務の時間なのかわからないというのもありますが、ルールを使う側としてODFをとるタイミングの判断に困るということもあると思います。また、ルーズにもなりますね。周囲が知っていることで気持ちを切り替えられます。

subcut

―申請時には、ODFで取り組む内容や期間もあらかじめ周囲にお知らせしていますか。

ニール氏:最初に計画を出してもらいます。もちろん、完成までのだいたいの目安を提示を求めていて、たいていの場合は、3ヶ月でどこまで結果を出すかを事前に知らせてもらうようにしています。3ヶ月の時点で、引き続き進めてもらうかを判断しています。計画に関しては、基本的に本人がやりたいことをやってもらっていますが、多少の調整はしますよ。似たようなトピックが同時に挙がってくることもありますから。その場合には、一緒にやることを提案したり、違うトピックを探すよう勧めることもあります。

―それでは実際にODFを利用して開発した機能をリリースされた加藤さんにお伺いします。加藤さんがODFを利用しようと思ったきっかけと、どのように利用されたのかを教えてください。

加藤氏:2007年の1月に入社しまして、ちょうどその年の4月からODFが金曜日固定になり、その機会にODFを始めました。何をやろうかと考えたとき、やっぱりミクシィのデータを使って面白いことができないかと思いました。データマイニング*という方法で分析すれば、何かできるのではないかと。開発にかけた時間は、私の場合は3ヵ月から半年ぐらいでしたね。結果、「つながり」を分析するデータマイニングを応用して、コミュニティやマイミクシィの中から「この人はあなたの知り合いではないですか?」というのをユーザにお知らせするというサービスだったのです。

→「おすすめマイミクシィ/コミュニティ」
http://indies.mixi.jp/recommend.pl『mixi』へのログインが必要です。

―加藤さんのサービスは、御社の技術者によるブログEngineers’ Blogでも紹介されていらっしゃいますね。このブログ以外でも社内でODFの成果を発表する場はあるのでしょうか。

加藤氏:任意参加ですが、3ヶ月に1回発表する場が設けられています。社員がODFをとることは、期間やテーマとともに全社的に発表されていますから、その情報を見て、興味をもった社員が聞きにきます。技術者だけではなく、企画担当者など新しいものに興味をもっている者も参加しているでしょうか。また、すぐに使えそうなものは、全社にメールしてお知らせすることもありますね。あとは社内にはODFを使ってできあがったものを共有するスペースもあります。

―現在ODFを利用している方はどれぐらいいらっしゃいますか?

津久井氏:現状としては、2〜3割がODFを採用して何かを開発している状況です。担当している作業量や締め切りの関係で、ODFを使いたいけれども使えないという社員も多いと思います。今後はもっと増やしていきたいので、今、試行錯誤している段階です。

ニール氏:制度は、会社の組織が変わるのに合わせていく必要があります。さまざまな状況を受けて、7月から制度を若干変更しました。毎週金曜日にODFをとることはできないという人のために、前の月に使えなかったODFを次の月に繰越し、ODFを貯められるようにしたのです。するとそれに伴い、7月から利用率が上がりましたね。

―貯めて、例えば3日間とか5日間とか連続して使用することも可能ですか?

津久井氏:はい。最長1ヶ月まで、まるまるODFとして換算できます。One Month Free になりますね(笑)。

ニール氏:制度を運用していると、新しいニーズが出てきます。そこでどのように対応したらいいのかということを、常に考えます。試験的に導入し周りの反応を見て、もしかしたらまた制度を変えないといけないかもしれないですけれどね。制度自体は、どんどん変わっていくべきものだと思います。ミクシィのODFはGoogleを参考にしたわけですが、国も違えばやり方も違ってきます。たとえば、ODFのようなものをひとりでやるのは、アメリカ人には合うでしょうけど、日本人だと意外とチームでやらせたほうがいいんじゃないかと思うこともあります。今後はそういうところも考えていく必要がある。制度というのは時期に合わせてチューニングしていけばいい。

―この制度を導入して実際にリクルーティングをはじめ、社内外への評判はいかがですか?

ニール氏:採用では、ODFに関する質問も面接時に出てきますよ。採用の過程では、そういう制度への理解がある会社なんだっていうことが重要になっていると思います。ODFがあることで、会社として、技術者一人ひとりがつくりたいものをつくれる環境を持つことを推奨・支援している姿勢を示せますから。

―開発者の技術力の向上にも、役立っている感覚はありますか?

ニール氏:加藤の場合は、業務外の知識を高めるという目標は達成できたと思います。他のメンバーも、ちょっと興味のあることを会社で勉強できていますね。ODFを使ってやりたいことをやれているという状況が、開発陣のモチベーションにつながっているかもしれません。結果的に、モチベーションが上がればサービスの開発も速くなる!というわけで。そういう意味では、この制度をつくってよかったと思います。

―最後にお伺いします。加藤さんは今後もODFを使っていきますか?津久井さん、佐藤さんは今後使われる予定はありますか?

加藤氏:はい、継続的にmixiの「レコメンド」を進めていきたいと思います。当分は続けていきたいですね。

津久井氏:余裕が出てきたらとりたいと思います。

ニール氏:同じく。ただ私は開発部全体を見ている立場として、自分が使うよりも先にみんなにとってもらいたいと思っています。みんながODFを利用できるように環境を整えることに、力と時間を使っていきたいですね。プログラマだけでなくデザイナーやサービスの品質を管理する職の人にも利用できるような環境になればと考えています。

*データマイニング
大量のデータに統計学や人工知能などのデータ解析技法を適用する技術。
それによって、普段は想像もつかないようなデータの利用方法や、情報を抽出することができる。

佐藤ニール

株式会社 ミクシィ
開発部 部長
佐藤ニール(さとう にーる)

1971年カナダで生まれ、アメリカで育つ。中学時代には独学でBASICやアセンブラーを勉強し、ゲームを作る。大学卒業後、シリコンバレーで海外在住者向けのコミュニティサイトの開発を担当。PHPの国際化プロジェクトの立ち上げにも関わる。その後、日米で大手ポータル会社にてバックエンドのシステムやセキュリティを担当するチームに所属。ゲーム業界を経て、2007年に株式会社ミクシィに入社。

津久井 玲宏

株式会社 ミクシィ
開発部 アプリ開発グループ マネージャー
津久井 玲宏 (つくい あきひろ)

1976年生まれ。早稲田大学在学中にWeb制作のアルバイトを始めたことでインターネットに興味を持つ。大学卒業後は大手Web制作会社や大手メディア企業でシステム部長を務めるかたわら、Movable Typeの日本語化に携わる。その後、株式会社ミクシィに入社。

加藤 幹生

株式会社 ミクシィ
開発部 システム運用グループ
加藤 幹生(かとう みきお)

1977年3月生まれ。京都大学大学院情報学研究科 修士課程修了。大学では機械学習等の人工知能の研究を行う。卒業後、大手IT企業でシステム開発業務に携わった後、2007年1月に株式会社ミクシィに入社。



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