コトバの領収書【プレジデンツ・データ・バンク株式会社】
「問題があったら解決策を考える」そして「とにかくやってみる」
ここから生まれたユニーク制度


プレジデンツ・データ・バンク株式会社
所在地/東京中央区京橋1−1−5セントラルビル10階
設立/2002年4月4日(創業2001年4月)
従業員数/39人(アルバイト含む)
資本金/4392.5万円
平均年齢/24.9歳
http://www.p-db.com/
PR、資金調達、IPO、M&Aなど企業活動のさまざまな側面からベンチャー企業の成長支援を事業とする。ベンチャー企業ポータルサイト「ベンチャーファクトリー」の運営やベンチャー専門求人サイト「エクセレントベンチャーを探せ!」、プレスリリース配信代行サービスの運営などを手がける。
―「コトバの領収書」を使っていらっしゃるとお伺いしましたが、いったいどのような領収書なのでしょう?
2001年に創業して約半年経った頃からはじめ、それ以来私がずっと続けているのが「コトバの領収書」です。
この会社をつくってから、お会いした方全員に手紙を書いていたんですね。会社をつくったけど、人脈はない、お金もない。人に覚えてもらいたい、そういう下心もあって(笑)。でも、これが相当しんどいんですよ。続きそうにもない。手紙を書く行為は良いことだとわかっています。でも続かない。
「問題があったら解決策を考えればいい」と私は考えているので、その続かない理由をまず突き詰めました。まずひとつは「持ち帰るから」。その場で処理しないことです。もうひとつは「いいことを書こうと考える」。そう考えることがストレスになるわけです。このふたつを解決する策は「その場で書いて考えない」これしかない。
また、その当時26歳だったわたしに「目上の人からいい言葉やアドバイスをもらうでしょう。それには御礼を言わなきゃだめだよ」と助言をしてくれた人がいました。そして、ある方から「言葉には領収書を書きなさい」と言われたこともありました。これらのことがきっかけとなって、コトバの領収書をはじめました。
やってみるとこれが仕事にもつながりました。領収書をきったことで「君がそういう姿勢で仕事をしているのなら、ぜひいっしょに仕事をやろうか」と。営業ツールにもなったんです。いろいろな人からたくさんの言葉をもらっていることもわかるし、相手にも喜んでいただけていると思います。これを知ってやってみたいという人も出てきたので、2,000円でネットで販売もしています。やりたい人がいたらどうぞ。
社内でやっている人は今、僕以外にいないんじゃないかな。強制することじゃありませんし。もしも、いいと思う人がいたらとにかくやってみればいいんです。続けなければいけないと思うから、はじめるのを躊躇してしまうんですよ。
物事を長く続けるコツは「とにかくやってみること」
最初からダメだろうなと思わずに、つらくてもいいからやってみる。やってみて疲れることだったら辞めようと思ってはじめてみてください。続けられる自分に合うものというのは人それぞれですが、自分をよくしようと思ってひとつのことを続けることは重要ですね。

―「とにかくやってみる」その考え方が、高橋社長がコトバの領収書など、新しいことに次々とチャレンジできる所以でしょうか。こちらも面白い会社紹介ツールですね。
新卒採用に向けてつくったトランプです。これを見ればうちの会社のことがわかります。
―いろいろありますね。これは、目新しいかも!ここに「家庭訪問」というのがありますが。
はい、毎年、私が新入社員の親御さんのところに家庭訪問に伺っています。佐渡島、能登半島、島根、北海道、いろいろなところに行きましたよ。内定を出した後、入社前の冬に、全員の家を訪問します。土曜日に行くことが多いですが、昨年は11名のお宅を2ヶ月かけてまわりました。
家庭訪問を始めたきっかけは、2003年にひとりだけ採用した新入社員でした。すごく優秀な学生だった。うちの会社は母の日に会社から贈り物をしているのですが、彼に「お前のお母さんのところに送るから、住所を教えてくれ」と言ったら「いない」と言うんですね。「お母さんは?お父さんは?」「いない」と教えてくれなかった。そして彼は5月末に会社を辞めました。後から聞いたところ、虐待を受けて育っていたそうです。もし知っていたら私の対応は違ったと思います。そこで、次の年の新入社員から、どういう環境で育ったのか、どういう親御さんなのか見に行くことにしました。それからずっと続けています。
内定者が「うちの会社の社長は家庭訪問するのよ」って言っちゃっているから今年も行かないとね。今年はいいんですが、来年は20名が目標ですから・・・。参観日に変更するかも検討しています。
―ぜひ続けてください。これまでに挑戦してきた制度を他にも教えていただけますか?
電話の枕詞というのがありました。創業当時は本当に会社に電話がかかってこなかった。どうやったらかかってくるのか、そして、せっかくかけてきてくれた人がいたらら、その瞬間に「この会社はなんてクリエイティブで前向きなんだ」って思わせる事ができるか、考えました。そこではじめたのが電話の枕詞です。
たとえば御社なら
「世界に羽ばたくカヤックでございます!」
「日本一元気な会社、かやっくでございます」
って出るんですよ。そして電話口で「実はわれわれの会社はクリエイティブで前向きであることを伝えたくて、枕詞を毎日変えているんです」って話すわけです。毎日変えるんだから、次の日もみんなで考える。これをはじめると、もうすさまじい勢いで電話がかかってきますよ。毎日かけてくる人もいるし他の人に伝えてくれる人もいます。新規のお客さまも随分と見つかりました。
でも続けていると、正直嫌になってきた。朝来て今日はどうしようか、と悩むぐらいなら辞めてしまおう、効果は十分にあったのですが辞めました。今でも営業力をアップさせたいとか、電話がかかってきてほしいという会社には、これやったら?って勧めています(笑)。簡単ですから。
今ではお客さまも増えて、トランプのような販促物もあります。でも最初は何もなかったから、どうにかしなきゃいけない、お金をかけずにみんなで一緒に取り組めることをいろいろやってみようと日々考えていましたね。
あとは「請求書の中だけに入っている広報誌」っていうのもやりました。3年ぐらい続けたかな。私が手書きで毎号書いたものを印刷して請求書に同封するんです。
内容はですね、たとえば一番反響がよかったのが「牛乳に負けるな」。
家に帰って子どもに「パパとママどちが好き?」と聞いた。もちろん負けるでしょう。次に「じいじいとパパは?」。もう、どんどん負けていくわけですね。ヒーロー者に負ける、動物に負ける。最後に牛乳に負けたわけです。そうすると、妻に「当たり前でしょう、毎日遅くに帰ってきていれば負けるわ」と。「お客さんにはちゃんとアポとるんでしょう、家にもアポ取りなさい」と。そういうエピソードを書いて、最後に「これもビジネス的に考えると、牛乳に負けるようなお客さまいませんか?大事なお客さま忘れていませんか?」というように〆るんです。そんなちょっとしたことを手書きで書いて請求書に入れて送るわけですよ。手書きってのがミソです。最近はなかなかお目にかかりませんので思わず見てしまいます。
そうすると請求書を開けるのが楽しくなってくる。さらにびっくりしたのは「次号に続く」って書いたときですね。次号が来ないって電話がかかってくるんですよ。「だから社長、これは請求書に入っている広報誌なんですよ。それが来ないってことはどういうことかわかりますか?」「あ、うちが仕事を出さなかったってことか!」「続きが読みたければ、仕事くださいね」って。一種のコミュニケーションツールにもなるわけです。
これがないと請求書を出さないというルールにしていたんですよ。そうすると書くまでは請求書が出せないんですね。そのため辞めました(笑)。
―トランプの中に「給与明細に手書きのメッセージ」というのがありますがこちらは?
その言葉のとおり、バイトのスタッフも含めて全部で40名ぐらいの給与明細にすべて私が手書きでメッセージを添えています。毎月給料日前は徹夜です。でもこれはいいこともある。時々ですが、書いている途中で「あれ、何書こう?」って思う人が出てくるんですね。そうか、オレ1ヶ月間彼が何をしていたか知らないんだって気づいて、じゃあ見に行こう、聞きにいこうとなります。
―御社の制度や高橋社長の取り組みには、自分の手で書いたり、自分の口で伝えたりするものが多いですね。
そうですね。うちのサービスを利用するお客さまに毎日メルマガを発行しています。それは持ち回りで社員が書いていますし、1ヶ月に1回は新聞も出していて、それも社内のスタッフが担当しています。話す、書くというのはコミュニケーションの手段であり、最低限身につけていてほしいビジネススキルですね。

プレジデンツ・データ・バンク株式会社 代表取締役
高橋 礎(たかはし はじめ)
1972年生。出身は岩手県盛岡市。1995年、芝浦工業大学 工学部 機械工学科を卒業後、株式会社アルプス技研に入社。技術職・営業職を経て、1999年アクロスザユニバース株式会社を設立し、専務取締役に就任。2002年プレジデンツ・データ・バンク株式会社を設立し代表取締役に就任する。現在、IPO支援や新聞の発行などベンチャー企業を多角的に支援する事業を展開。「趣味は飲み会の幹事(笑)」とのこと。







