増永 寛之社長

企業としてのゴールを見据えトップダウンで制度をつくる

―ホームページ上でも「LRカルチャー」として、「給与体系」「プラチナの社員章」「完全禁煙会社」など、たくさんのユニークな制度を紹介されていますね。これらの制度はどのようにして生まれてくるのでしょうか?

まずはじめに、「組織力は徹底力」だと僕は思っています。一部の人はできているのに、一部の人はできないような制度は「制度」とは呼べません。やるからには全メンバーに徹底して取り組んでもらうことをポリシーとしています。みんなが苦になるものはやらないというポリシーが根底にあり、その上で「人間として当たり前のことでしょう」といえることであれば積極的に制度化しています。当たり前のことをやるだけですから、それを制度化しても僕は「空気」といっしょでそれを実践すること自体当たり前になると思っています。「完全禁煙」がよい例で、タバコを吸わない人にとっては「当たり前」という以上に、そもそもまったく意識しなくてもよい制度といえます。それをやることでブランドイメージをつくれるとか、効率がよくなるとか、もっと楽しくなるのであれば、制度として導入するべきではないでしょうか。

それから、『「さん」づけで呼ぶ、敬語で話す』という制度。

上司になったから急に敬語に変えるとか、年齢や役職で使い分けるとか、そういった面倒があるのであれば、上下関係なく敬語にしていたほうがストレスがない。そして人同士が向い合うのであればお互いに高め合うほうがいい、だから敬語を使いましょうと言っています。

僕たちは、ひとつのゴールに向かうために、ある制度をつくりたいと考えます。その制度をつくるための仕組みとして、諸制度を順に構築していくのです

今導入を進めている「8years 1month」という制度、これは8年に1ヶ月、有休をとりましょうという制度です。ライブレボリューションが掲げるゴールに向かうために、いま何が足りていないのかと考えたとき、ノウハウ化やマニュアル化、システム化はまだ全然足りていないことは明白です。これを達成するためにはどうすればよいか、1ヶ月その人がいなくても仕事がまわるような仕組みにしなければならない、その人が辞めてもまわるようにしなければならない。だったら強制的に8年に1回休んでもらえばマニュアル化、仕組み化せざるをえなくなります。だから 8years 1month を導入しようという発想に至りました。

そしてすべての根底には企業理念「LR HEART」があります。「360度評価」もLR HEARTがなければ機能しないのです。

 

―LR HEARTとは?

ミッションステートメントです。これを紙にまとめて明文化したのは2005年4月ですね。でも元となるものは2002年からあったんです。ホームページにも掲載していたけれど、誰も読んでいない、僕も読んでいないという状況で、風化していました。

理念は明確なんだけど、どうやって浸透させるか・・・当時はそのやり方が間違っていたんですね。リッツカールトンが理念を浸透させていると知ったとき、「実際に徹底できるのはなぜだ?」と思い、リッツカールトンの人事部長に直接聞きに行きました。それが2005年3月。「成功した秘訣は何ですか?」と質問をしたら「クレドの効果です」ということでした。その後1時間半、人事制度とクレドについてみっちり話を伺い、その結果、理念を浸透させる仕組みとしてクレドは有効であることに納得しました。そしてライブレボリューションに導入したら成功しましたね。

クレド

もちろん直接聞きに行き理解をしてからつくったことも重要ですが、クレドを導入するという時に「あのリッツカールトンがやっている」ということが重要だったんです。

何をやるか何を言うかも重要ですが、誰がやったか誰が言っているかというのも、制度を浸透させるためには、すごく大切なこと

失敗している人がやっていることをやれ、といっても誰もやりません。でも、「あの成功した人がこうやって成功したからやろうよ」と言えば素直にやるのが人です。

今、全メンバーで月に1冊推薦図書の読み合わせをしています。その1冊1冊には、すでに取り入れた制度はもちろん、僕らがまだやっていない制度もたくさん書いてあります。僕らが真似したい、取り入れたい制度がいっぱい入っているわけです。 今後何かを「始めるよ」という時に、「この本に書いてあったでしょ?」と言えばみんながわかるわけですよ。本を読んで成功事例を見ているから、どういう効果があるか、僕から説明しなくとも、成功者からのメッセージとしてもう伝わっているのです。

だから、制度を導入するより前にしておくべきことが、推薦図書の11冊を読むことです。

僕もそうですが、「社長」は突拍子もないアイデアを言いますよね。

そういうときは、理由がなく思いつきのときが多いように思います。でもそうして、やってみては棄てるというのを続けると「またか」と、みんなが嫌になってしまいます。ですから、こういう成功事例がある、これによってこういう成果がある、と説明して理解を得るように常に心がけています。

ライブレボリューション

ライブレボリューションの社員章は「宇宙で一番高い社員章」。プラチナ製で全社員が保有。「ひとつ小さいものでもオリジナルであり、ナンバーワンのものを持って、誇りを持ってやっていこう」という想いがあったとのこと。


―制度をスムーズに導入するためのノウハウですね。

そうですね。初期の頃、「プラチナの社員章」を導入しようとしたときに、「社員章をプラチナでつくりたいんだけど」と、まず役員に伝えたんです。すると理由も聞かずに猛反対を受けました。

会社で何かをはじめますと言うとまずは嫌だ。会社がやることは自分たちを縛ることという発想が先にくるんです。反射神経ですね。

僕はそのときに、制度化するときにはしっかりと根回しをして、理由をつくってあげないとダメだということを学びました。とりわけ、ベンチャーだったり創業当初だと特にルールに対する毛嫌いがあるんです。「自由にやりたいから会社をつくったのに」と。でも起業するということは、「新しいものをつくる」ところから脱皮して「組織をつくるステージ」がいつかやってくるものです。


起業はまず、嫌なルールから開放されたい、自由にやりたいというところからはじめる。つまり組織をつくることにはあまり向いていない人が多い。オレは自由にやりたいのに、なぜ自分からルールをつくっているのだろうということに苛まれるんです。

社長だけでありませんよ。大企業からベンチャーに移ってくる人だって、自由にやりたいから、規則がないから入ってくるわけです。

だから創業の過程で、社長がルールをつくらなければならないと言ったとき、そこにいるすべての社員が変わらなければならないんですよ。「自由だから・ルールがないから楽しい」というところから、「ルールがあったほうが楽しい」という考えに、全員が生まれ変わらなければなりません。そういう時期があるんです。

僕らは先ほどお話したLRHEARTをつくって、劇的に変わりました。もちろん、その変化についてこられなかった人は残念ながら辞めていきました。そして意識転換ができた人だけが残りました。

制度をつくったり導入したりするとき、その過程がうまく進まなかったら、その原因は、社長にあるだけではなく、協力してくれるはずの社員が新しい制度に賛同していないことにあると思います。やらなければならないけれど面倒くさいとか、後回しにしようとか。

―たくさんの制度をすべて、増永社長が発案し導入されているのでしょうか?

はい。それは僕しかできませんから。社長は全メンバーに共通する何かをつくらなければなりません。僕がつくる制度は全メンバーに適用される制度です。

創業当時は営業をやっていましたし、僕のお客さまもいました。しかし、いつのころか、僕はお客さまの戦略を練り、お客さまの会社を成長させるための仕組みはつくっているけれど、自分の会社を成長させるための仕組みをつくっていないことに気づきました。ライブレボリューションは『「宇宙一」を目指す』ことを目標にしていますが、それを実現するための構想は、「見える化」していないと。それが制度をつくることであり、システム化することです。

いまやっているのが、LRレギュレーションブックの作成。規程集ですね。うちは上場企業の倍の規程があります。上場するためにはなるべく規程を減らすのが常です。規程が多いとそれだけ運用しなければならず、証券取引所の審査に通りにくくなりますからね。未公開企業は規程なんて興味がないので作りませんし、上場企業でも規程に対する意識はその程度。だから当社は自信を持って規程に関してはNo.1だと胸を張っていえます。通常の会社では規程があることすら知らない人も多い。それに対してうちは、規程を明文化して、きっちりと浸透させていくことを目指します。もちろん就業規則もすべて僕がつくりましたよ。

―「社員第一主義」を謳われていらっしゃるように、増永社長にとっては社員がお客さまといえるでしょうか?

そうですね。まずメンバーの人に幸せになってもらわないと、お客さまを幸せにできないと思っています。まず身の回りの目に映る人たちを幸せにすることが僕のミッションです。

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