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■
行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第63号/2005/9/1>■
1.はじめに
2.「
会社法務」編(特別企画)―
「中小企業経営者・
ベンチャー創業者のための“
会社法”のポイント(7)」
4.編集後記
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1.はじめに
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皆様、こんにちは。
行政書士の津留信康です。
既にご承知の方も多いと思いますが、
政府系9金融機関の平成16年度
決算は、前年度の黒字から、
1,470億円の赤字に転落したとのことです。中でも、本メルマガでもおなじみの、
「国民生活金融公庫(※1)&中小企業金融公庫(※2)」の
決算は、
前者が、5期連続の
債務超過、後者が、3,000億円近い赤字、
と大変厳しいものであり、今後の「政府系金融機関の統廃合に関する議論」に、
大きな影響を及ぼすことになりそうです。今後の動向に、要注目ですね。
※1)
http://www.kokukin.go.jp/newsrelease/2005/200507290000.html
※2)
http://www.jasme.go.jp/jpn/summary/table/finance.html
それでは、今回もどうぞ最後までお付き合いください。
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2.「
会社法務」編(特別企画)―
「中小企業経営者・
ベンチャー創業者のための“
会社法”のポイント(7)」
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★第58号~第62号(※)において、
会社法における、
「
株式会社設立手続き」上の主な変更ポイントをご紹介しましたが、
本号では、それらを踏まえ、その流れについて、もう一度確認しておきましょう!
なお、
株式会社の設立手続きには、次の2つがあります。
□発起設立(発起人が、設立時発行株式全部を
引受/第25条第1項第1号)
□募集設立(発起人が設立時発行株式を引き受ける以外に、別途、
設立時発行株式を引き受ける者を募集する/同条同項第2号)
ここでは、一般的に、その利用件数の多い、
前者(
取締役1名のみ、検査役の調査が不要の場合)を取り上げます。
※)バックナンバーはこちらから!
http://www.mag2.com/m/0000106995.htm
■
会社法における、「
株式会社の設立手続き」(発起設立)の大まかな流れ
□会社のアウトラインの検討
○
商号&目的
類似
商号規制の撤廃に伴い、法務局での類似
商号調査が、不要になります。
※詳細は、第58号(2005/6/15)をご覧ください。
○
資本金
最低
資本金規制の撤廃に伴い、
資本金1円からの設立が、可能となります。
※詳細は、第59号(2005/7/1)をご覧ください。
○
役員など
機関設計の柔軟性がアップし、
株式譲渡制限会社(
非公開会社)では、
取締役会を設置しない、
取締役1名のみでの設立も、可能となります。
※詳細は、第60号(2005/7/17)をご覧ください。
○その他、発起人、本店所在地、事業年度、株式関係など
▼
□
定款の作成・認証⇒
公証役場
定款の絶対的記載事項等が、変更となります。
※詳細は、第61号(2005/8/1)をご覧ください。
▼
□発起人による株式の
引受と払込⇒金融機関
金融機関からの証明書は「株式払込金保管証明書」に代えて、
「残高証明」等の方法でよくなります。
※詳細は、第62号(2005/8/15)をご覧ください。
▼
□設立時
取締役の調査
▼
□設立
登記⇒法務局
★本号では、「有限責任事業組合
契約に関する法律」(全9章/全76条)のうち、
「第1章」のポイントについて、ご紹介いたします。
■有限責任事業組合
契約に関する法律(以下、LLP法)―第1章(第1条~第10条)
□本法の目的(第1条)
「共同で営利を目的とする事業を営むための組合
契約であって、
組合員の責任の限度を出資の価額とするものに関する制度」の確立し、
▼
個人または
法人が共同して行う事業の健全な発展を図り、
もってわが国の経済活力の向上に資する。
□有限責任事業組合とは?
有限責任事業組合(以下、組合)は、
「有限責任事業組合
契約」(以下、組合
契約)によって、
成立する組合のことです(第2条)。
□組合
契約とは?
組合
契約は、個人または
法人が出資して、
それぞれの出資の価額を責任の限度として、
共同で営利を目的とする事業を営むことを約し、各当事者が、
それぞれの出資に係る払込みまたは給付の全部を
履行することによって、
その効力を生じます(第3条第1項)。
□組合
契約の
契約書とは?
組合
契約を締結しようとする者は、
「組合
契約の
契約書」(以下、組合
契約書)を作成し、
その全員がこれに署名し、または記名押印しなければならず、
次のような事項を記載(記録)しなければなりません(第4条第1項・第3項)。
なお、組合
契約書には、下記の項目以外に、LLP法に違反しない事項を、
記録(記録)することができます(同条第5項)。
1.組合の事業
2.組合の名称
※名称中には、必ず、「有限責任事業組合」という名称を、
用いなければなりません(第9条第1項)。
3.組合の事務所の所在地
4.組合員の氏名または名称および住所
5.組合
契約の効力が発生する年月日
6.組合の存続期間
7.組合員の出資の目的およびその価額
8.組合の事業年度
※1年を超えることができません(第4条第4項)
□組合
契約の変更
組合
契約の変更は、原則として、
総組合員の同意によらなければならず(第5条第1項)、
その際には、遅滞なく、当該組合
契約書の記載(記録)を、
変更しなければなりません(同条第3項)。
□組合の業務
1.組合員が、組合の業務として行う行為は、商行為とされます(第10条)。
2.組合員は、次の業務を、組合の業務として行うことができません。
1)その性質上、
組合員の責任の限度を出資の価額とすることが適当でない業務として、
政令(※1)で定めるもの(第7条第1項第1号)。
2)組合の
債権者に不当な損害を与えるおそれがある業務として、
政令(※2)で定めるもの(同条同項第2号)。
※1・2)有限責任事業組合
契約に関する法律施行令
http://www.meti.go.jp/press/20050726001/20050726001.html
□
登記の対抗力
LLP法により
登記すべき事項は、
登記後でなければ、善意の第三者に対抗することができず、
登記後であっても、
第三者が正当な事由によってその
登記の存在を知らなかったときは、
対抗することができません(第8条第1項)。
また、故意または過失によって不実の
登記をした者は、
その事項が不実であることをもって、
善意の第三者に対抗することができません(同条第2項)。
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4.編集後記
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■第63号は、いかがでしたか?
ところで、現在、法務省は、「“戸籍法”の改正」の方針を固め、
その準備を進めているようですが、そのポイントについて、
下記ブログ(※)にまとめてみましたので、是非ご覧ください。
※)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2005/08/post_5e1b.html
★事務所からのご案内
「当メールマガジンへのご意見・ご要望」や「業務のご依頼・ご相談」は、
事務所HP(
http://www.n-tsuru.com )のメールリンクから、ご送信願います。
■次号(第64号)の発行予定⇒2005/9/15、
「市
民法務」編―「
遺言・
相続の法務に活かす、
民法親族編の基礎(11)」
■編集責任者:
行政書士 津留信康
http://www.n-tsuru.com
■ブログ:「徒然なるままに」
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/
■発行システムは、「まぐまぐ」
http://www.mag2.com/ を利用しています。
■購読の解除は、
http://www.mag2.com/m/0000106995.htm からできます。
■当メールマガジンの無断転載等を禁じます。
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■行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第63号/2005/9/1>■
1.はじめに
2.「会社法務」編(特別企画)―
「中小企業経営者・ベンチャー創業者のための“会社法”のポイント(7)」
4.編集後記
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1.はじめに
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皆様、こんにちは。行政書士の津留信康です。
既にご承知の方も多いと思いますが、
政府系9金融機関の平成16年度決算は、前年度の黒字から、
1,470億円の赤字に転落したとのことです。中でも、本メルマガでもおなじみの、
「国民生活金融公庫(※1)&中小企業金融公庫(※2)」の決算は、
前者が、5期連続の債務超過、後者が、3,000億円近い赤字、
と大変厳しいものであり、今後の「政府系金融機関の統廃合に関する議論」に、
大きな影響を及ぼすことになりそうです。今後の動向に、要注目ですね。
※1)
http://www.kokukin.go.jp/newsrelease/2005/200507290000.html
※2)
http://www.jasme.go.jp/jpn/summary/table/finance.html
それでは、今回もどうぞ最後までお付き合いください。
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2.「会社法務」編(特別企画)―
「中小企業経営者・ベンチャー創業者のための“会社法”のポイント(7)」
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★第58号~第62号(※)において、会社法における、
「株式会社設立手続き」上の主な変更ポイントをご紹介しましたが、
本号では、それらを踏まえ、その流れについて、もう一度確認しておきましょう!
なお、株式会社の設立手続きには、次の2つがあります。
□発起設立(発起人が、設立時発行株式全部を引受/第25条第1項第1号)
□募集設立(発起人が設立時発行株式を引き受ける以外に、別途、
設立時発行株式を引き受ける者を募集する/同条同項第2号)
ここでは、一般的に、その利用件数の多い、
前者(取締役1名のみ、検査役の調査が不要の場合)を取り上げます。
※)バックナンバーはこちらから!
http://www.mag2.com/m/0000106995.htm
■会社法における、「株式会社の設立手続き」(発起設立)の大まかな流れ
□会社のアウトラインの検討
○商号&目的
類似商号規制の撤廃に伴い、法務局での類似商号調査が、不要になります。
※詳細は、第58号(2005/6/15)をご覧ください。
○資本金
最低資本金規制の撤廃に伴い、資本金1円からの設立が、可能となります。
※詳細は、第59号(2005/7/1)をご覧ください。
○役員など
機関設計の柔軟性がアップし、株式譲渡制限会社(非公開会社)では、
取締役会を設置しない、取締役1名のみでの設立も、可能となります。
※詳細は、第60号(2005/7/17)をご覧ください。
○その他、発起人、本店所在地、事業年度、株式関係など
▼
□定款の作成・認証⇒公証役場
定款の絶対的記載事項等が、変更となります。
※詳細は、第61号(2005/8/1)をご覧ください。
▼
□発起人による株式の引受と払込⇒金融機関
金融機関からの証明書は「株式払込金保管証明書」に代えて、
「残高証明」等の方法でよくなります。
※詳細は、第62号(2005/8/15)をご覧ください。
▼
□設立時取締役の調査
▼
□設立登記⇒法務局
★本号では、「有限責任事業組合契約に関する法律」(全9章/全76条)のうち、
「第1章」のポイントについて、ご紹介いたします。
■有限責任事業組合契約に関する法律(以下、LLP法)―第1章(第1条~第10条)
□本法の目的(第1条)
「共同で営利を目的とする事業を営むための組合契約であって、
組合員の責任の限度を出資の価額とするものに関する制度」の確立し、
▼
個人または法人が共同して行う事業の健全な発展を図り、
もってわが国の経済活力の向上に資する。
□有限責任事業組合とは?
有限責任事業組合(以下、組合)は、
「有限責任事業組合契約」(以下、組合契約)によって、
成立する組合のことです(第2条)。
□組合契約とは?
組合契約は、個人または法人が出資して、
それぞれの出資の価額を責任の限度として、
共同で営利を目的とする事業を営むことを約し、各当事者が、
それぞれの出資に係る払込みまたは給付の全部を履行することによって、
その効力を生じます(第3条第1項)。
□組合契約の契約書とは?
組合契約を締結しようとする者は、
「組合契約の契約書」(以下、組合契約書)を作成し、
その全員がこれに署名し、または記名押印しなければならず、
次のような事項を記載(記録)しなければなりません(第4条第1項・第3項)。
なお、組合契約書には、下記の項目以外に、LLP法に違反しない事項を、
記録(記録)することができます(同条第5項)。
1.組合の事業
2.組合の名称
※名称中には、必ず、「有限責任事業組合」という名称を、
用いなければなりません(第9条第1項)。
3.組合の事務所の所在地
4.組合員の氏名または名称および住所
5.組合契約の効力が発生する年月日
6.組合の存続期間
7.組合員の出資の目的およびその価額
8.組合の事業年度
※1年を超えることができません(第4条第4項)
□組合契約の変更
組合契約の変更は、原則として、
総組合員の同意によらなければならず(第5条第1項)、
その際には、遅滞なく、当該組合契約書の記載(記録)を、
変更しなければなりません(同条第3項)。
□組合の業務
1.組合員が、組合の業務として行う行為は、商行為とされます(第10条)。
2.組合員は、次の業務を、組合の業務として行うことができません。
1)その性質上、
組合員の責任の限度を出資の価額とすることが適当でない業務として、
政令(※1)で定めるもの(第7条第1項第1号)。
2)組合の債権者に不当な損害を与えるおそれがある業務として、
政令(※2)で定めるもの(同条同項第2号)。
※1・2)有限責任事業組合契約に関する法律施行令
http://www.meti.go.jp/press/20050726001/20050726001.html
□登記の対抗力
LLP法により登記すべき事項は、
登記後でなければ、善意の第三者に対抗することができず、
登記後であっても、
第三者が正当な事由によってその登記の存在を知らなかったときは、
対抗することができません(第8条第1項)。
また、故意または過失によって不実の登記をした者は、
その事項が不実であることをもって、
善意の第三者に対抗することができません(同条第2項)。
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4.編集後記
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■第63号は、いかがでしたか?
ところで、現在、法務省は、「“戸籍法”の改正」の方針を固め、
その準備を進めているようですが、そのポイントについて、
下記ブログ(※)にまとめてみましたので、是非ご覧ください。
※)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2005/08/post_5e1b.html
★事務所からのご案内
「当メールマガジンへのご意見・ご要望」や「業務のご依頼・ご相談」は、
事務所HP(
http://www.n-tsuru.com )のメールリンクから、ご送信願います。
■次号(第64号)の発行予定⇒2005/9/15、
「市民法務」編―「遺言・相続の法務に活かす、民法親族編の基礎(11)」
■編集責任者:行政書士 津留信康
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