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■
行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第81号/2006/6/1>■
1.はじめに
2.「
会社法務編/中小企業・
ベンチャー経営者&
起業予定者のための“
会社法”等のポイント(25)」
3.「市
民法務編/ビジネスに役立つ“
民法”の基礎(8)」
4.編集後記
**********************************************************************
**********************************************************************
1.はじめに
**********************************************************************
皆様、こんにちは。
行政書士の津留信康です。
宮崎では、去る5/26(金)、例年より3日、昨年より2週間ほど早く、
梅雨入りしたとのことですが、皆様のお住まいの地域ではいかがでしょうか?
何となく気分まで晴れないことが多くなるこの季節、
体調維持には、くれぐれも注意しておきたいものですね。
ところで、平成18年中小企業・
ベンチャー挑戦支援事業のうち、
「事業化
助成金(※1)」の第1回募集は6/9(金)で終了しますが、
「スタートアップ支援事業・
補助金(※2)」の第2回公募が、6/8(木)から始まります。
厚労省の
助成金に対し、受給することが難しい経産省の
補助金ですが、
研究開発系の会社経営者・起業予定者の方々は、
一度ご検討されてみてはいかがでしょうか?
※1)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/05/post_d0e9_1.html
※2)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/06/post_0343.html
それでは、今回も、どうぞ最後までおつきあいください。
★当事務所へのご連絡(メルマガに関するご質問・ご要望&業務のご相談・ご依頼)
には、専用アドレス(
n-tsuru@mbr.nifty.com)をご利用ください。
**********************************************************************
2.「
会社法務編―中小企業・
ベンチャー経営者&
起業予定者のための“
会社法”等のポイント(25)」
**********************************************************************
★本号では、『
会社法(全8編/全979条)―「第2編
株式会社」』の中から、
「第4章 機関―第4節
取締役」の概要について、ご紹介します。
■
取締役(第4節/第348条~第361条)
□資格要件
第331条第1項第1号~第4号に規定される欠格事由に該当する者は、
取締役になることができません。
なお、旧
商法では、「
定款をもってしても、
取締役の資格を
株主に限定することはできない」とされていましたが、
会社法においては、
公開会社ではない
株式会社に限り、
認められることとなりました(第331条第2項)。
□人数
旧
商法では、
株式会社は、3人以上の
取締役を置く必要がありましたが、
会社法では、「
株式会社は、1人または2人以上の
取締役を
置かなければならない(第326条第1項)」と規定されています。
また、
取締役会設置会社においては、
取締役は3人以上でなければなりません(第331条第4項)が、
取締役会を設置しない会社については、同様の規定がないため、
取締役は、1人でもよいということになります。
ちなみに、
取締役会は、
定款の定めによって置くことができる、
任意の機関の1つです(第326条第2項)。
□選任
取締役は、
株主総会の決議によって選任されます(第329条第1項)が、
その決議は、
普通決議で足るものとされています(第341条)。
□
解任
旧
商法での
取締役の解任には、
株主総会の
特別決議が必要でしたが、
会社法では、
普通決議で足るものとされました(第339条第1項・第341条)。
□任期
原則として、「選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する
定時株主総会の終結の時」までです(第332条第1項本文)が、
公開会社でない
株式会社(
委員会設置会社を除く)においては、
定款により、
「選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する
定時株主総会の終結の時」まで、伸長することができます(同条第2項)。
□業務の執行
取締役は、原則として、
株式会社の業務を執行し(第348条第1項)、
取締役が2人以上ある場合には、
原則として、
取締役の過半数をもって決定されます(同条第2項)。
□
株式会社の代表
取締役は、原則として、
株式会社を代表します(第349条第1項本文)。
また、
取締役が2人以上ある場合には、
各自、
株式会社を代表します(同条第2項)が、
定款、
定款の定めに基づく
取締役の
互選または
株主総会の決議によって、
取締役の中から、
代表取締役を定めることもできます(同条第3項)。
☆「お一人での脱サラ・起業の場合」や「個人
事業者が
法人成りする場合」などは、
日本公証人連合会による
定款記載例(
http://www.koshonin.gr.jp/ti.html)中、
「1.小規模会社(非公開、
取締役1名、
監査役・
会計参与非設置)」タイプが、
参考になると思われます。
★次号(2006/6/1発行予定の第81号)では、
株式会社における任意の設置機関(
取締役会、
会計参与、
監査役、
監査役会、
会計監査人または
委員会)について、ご紹介する予定です。
★当事務所では、「
会社法の施行に伴う諸手続き」(※)に関して、
ご相談・ご依頼を承っておりますので、
専用アドレス(
n-tsuru@mbr.nifty.com)をご利用の上、
どうぞお気軽にご連絡ください。
※)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/05/post_ac8d.html
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3.「市
民法務編―ビジネスに役立つ“
民法”の基礎(8)」
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★本号では、「
民法第1編 総則―第5章
法律行為&第7章
時効」の基礎について、
行政書士試験の過去問(○×式)を通じて、確認していただきます。
※「第4章 物」、「第6章 期間の計算」については、
スペースの都合上、割愛しましたので、ご了承ください。
■第5章
法律行為(第90条~第137条)
□Aは、譲渡の意思がないのに、
債権者の
差し押さえを免れるため、
Bと通じて、A所有の土地をBの名義にした。
Cは、その事実を知らずに、その土地を購入したが、
その土地は、C所有のものとはならない(H8)。
⇒× Aの
意思表示(通謀虚偽表示)は無効となります(第94条第1項)が、
善意の第三者Cには対抗することができず(同条第2項)、
土地は、C所有となります。
□Aは、土地売買の際に、重大な過失から
錯誤を生じ、
B所有の土地を買う
意思表示をしてしまった。
このとき、相手方Bが悪意であれば、
Aは、当然に、当該土地売買の
契約の無効を主張できる(H8)。
⇒× Aの
意思表示には重大な過失があるため、
自らその無効を主張することはできません(第95条但書)。
よって、Aは、Bの悪意を理由に、
当然に無効を主張できるわけではありません。
□Aは、第三者Cの
詐欺により、B所有の土地を買ってしまったが、売主Bに対して、
この
意思表示を常に取り消すことができるとは限らない(H8)。
⇒○ 第三者Cが
詐欺を行った場合、
相手方Bがその事実を知っていたときに限り、
Aは、その
意思表示を取り消すことができます(第96条第2項)。
□
代理行為の効果は、
代理してなされた
法律行為から生ずる法律的な効果が、
直接本人に帰属することである(H5)。
⇒○ 第99条第1項を参照のこと。
□
任意代理人は、制限行為能力者でもなることができる(H5)。
⇒○ 第102条を参照のこと。
□
復代理人は、
代理人の
代理人である(H5)。
⇒×
復代理人は、その権限内の行為について、
本人を代表します(第107条第1項)。
□
代理権は、本人の死亡によって消滅する(H5)。
⇒○ 第111条第1項第1号を参照のこと。
□
代理権のない者が行った行為は、本人が追認すると、
最初から
代理権があったと同様の効果を生じさせる(H5)。
⇒○ 第113条第1項・第116条を参照のこと。
□無効の
法律行為は、追認によってその法律効果を生じる(H6)。
⇒× 無効の
法律行為は、追認によっても、
その効力を生じることはありません(第119条本文)。
□取り消した
法律行為は、取り消したときから無効となる(H6)。
⇒× 取り消した
法律行為は、
初めから無効であったものとみなされます(第121条本文)。
□取り消すことのできる
法律行為は、取消権者がこれを追認したときは、
追認したときから有効となる(H6)。
⇒× 取り消すことができる
法律行為は、
第120条の取消権者が追認したときは、
原則として、初めから有効とみなされます(第122条本文)。
☆実際のビジネスの場面において、
法律行為について、特に意識することは少ないかもしれませんが、
契約等の意思決定上、必要不可欠な内容を数多く含んでいます。
各条文を理解すると同時に、
「
意思表示」や「
代理(特に、
無権代理や
表見代理)」の主要判例について、
判例付六法などで、確認しておくとよいでしょう。
■第7章
時効(第144条~第174条の2)
□
時効による権利の取得または消滅は、
時効が完成した時から、その効力を生ずる(H2)。
⇒×
時効の効力は、その起算日にさかのぼります(第144条)。
□被
保佐人が、
保佐人の同意を得ずに
債務を承認しても、
時効は中断しない(H2)。
⇒× 被
保佐人による
債務の承認も、
時効を中断します(第156条、判例:大判大正7.10.9)。
□
時効中断後、
時効中断事由が終了した時には、
時効は新たに進行を開始するのではなく、
時効中断時における残りの期間を経過することによって完成する(H9)。
⇒× 中断した
時効は、その中断事由が終了した時から、
新たにその進行を始めます(第157条第1項)。
□
債務の
履行不能による
損害賠償請求権の
消滅時効は、
債務の
履行が不能になった時から進行するとするのが、
判例の立場である(H9)。
⇒×
債務不
履行による
損害賠償請求権(第415条)の
消滅時効は、
本来の
債務の
履行を請求できる時から、
進行します(第166条第1項、判例:最判昭和35.11.1)。
☆2つの
時効のうち、特に重要となるのは、
「
売掛債権の
消滅時効」になりますので、注意しておきましょう。
ただ、実際のビジネスの場面においては、
「
与信管理⇒
契約⇒請求⇒
未入金の場合の確認・督促」の流れに沿って、
「入金遅れの
売掛債権を出さない!」、「仮に発生しても、早めに対処する!」
という点について、常に注意しておきたいものです。
★次号(2006/6/1発行予定の第81号)では、
「
民法第2編
物権」の全体像について、ご紹介する予定です。
**********************************************************************
4.編集後記
**********************************************************************
■「2006FIFAワールドカップ」の開幕を間近に控え、マスコミでは、
連日、「日本代表のキーマンは誰か?」といった話題でもちきりですが、
個人的には、ジーコ監督その人だと思っています。
たとえば、レギュラーFWといわれる柳沢・高原両選手にこだわらず、
「切り札・大黒&巻の両選手を、いかに効果的に起用することができるか?」
と言った点などには、大いに注目しているところです。
もちろん、どんな形であれ、初戦のオーストラリア戦に勝利できれば、
とりあえず、何も言うことはありませんが・・・。
■第81号は、いかがでしたか?次号(第82号)は、2006/6/15発行予定です。
■編集責任者:
行政書士 津留信康
□津留
行政書士事務所
http://www.n-tsuru.com
□
行政書士・津留信康の法務サポートblog
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/
□ご連絡専用アドレス
n-tsuru@mbr.nifty.com
■当メルマガの発行は、「まぐまぐ(
http://www.mag2.com/)」を利用しており、
購読の解除は、「
http://www.mag2.com/m/0000106995.html」からできます。
■当メールマガジンの無断転載等を禁じます。
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■行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第81号/2006/6/1>■
1.はじめに
2.「会社法務編/中小企業・ベンチャー経営者&
起業予定者のための“会社法”等のポイント(25)」
3.「市民法務編/ビジネスに役立つ“民法”の基礎(8)」
4.編集後記
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1.はじめに
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皆様、こんにちは。行政書士の津留信康です。
宮崎では、去る5/26(金)、例年より3日、昨年より2週間ほど早く、
梅雨入りしたとのことですが、皆様のお住まいの地域ではいかがでしょうか?
何となく気分まで晴れないことが多くなるこの季節、
体調維持には、くれぐれも注意しておきたいものですね。
ところで、平成18年中小企業・ベンチャー挑戦支援事業のうち、
「事業化助成金(※1)」の第1回募集は6/9(金)で終了しますが、
「スタートアップ支援事業・補助金(※2)」の第2回公募が、6/8(木)から始まります。
厚労省の助成金に対し、受給することが難しい経産省の補助金ですが、
研究開発系の会社経営者・起業予定者の方々は、
一度ご検討されてみてはいかがでしょうか?
※1)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/05/post_d0e9_1.html
※2)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/06/post_0343.html
それでは、今回も、どうぞ最後までおつきあいください。
★当事務所へのご連絡(メルマガに関するご質問・ご要望&業務のご相談・ご依頼)
には、専用アドレス(
n-tsuru@mbr.nifty.com)をご利用ください。
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2.「会社法務編―中小企業・ベンチャー経営者&
起業予定者のための“会社法”等のポイント(25)」
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★本号では、『会社法(全8編/全979条)―「第2編 株式会社」』の中から、
「第4章 機関―第4節 取締役」の概要について、ご紹介します。
■取締役(第4節/第348条~第361条)
□資格要件
第331条第1項第1号~第4号に規定される欠格事由に該当する者は、
取締役になることができません。
なお、旧商法では、「定款をもってしても、
取締役の資格を株主に限定することはできない」とされていましたが、
会社法においては、公開会社ではない株式会社に限り、
認められることとなりました(第331条第2項)。
□人数
旧商法では、株式会社は、3人以上の取締役を置く必要がありましたが、
会社法では、「株式会社は、1人または2人以上の取締役を
置かなければならない(第326条第1項)」と規定されています。
また、取締役会設置会社においては、
取締役は3人以上でなければなりません(第331条第4項)が、
取締役会を設置しない会社については、同様の規定がないため、
取締役は、1人でもよいということになります。
ちなみに、取締役会は、定款の定めによって置くことができる、
任意の機関の1つです(第326条第2項)。
□選任
取締役は、株主総会の決議によって選任されます(第329条第1項)が、
その決議は、普通決議で足るものとされています(第341条)。
□解任
旧商法での取締役の解任には、株主総会の特別決議が必要でしたが、
会社法では、普通決議で足るものとされました(第339条第1項・第341条)。
□任期
原則として、「選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する
定時株主総会の終結の時」までです(第332条第1項本文)が、
公開会社でない株式会社(委員会設置会社を除く)においては、
定款により、
「選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する
定時株主総会の終結の時」まで、伸長することができます(同条第2項)。
□業務の執行
取締役は、原則として、株式会社の業務を執行し(第348条第1項)、
取締役が2人以上ある場合には、
原則として、取締役の過半数をもって決定されます(同条第2項)。
□株式会社の代表
取締役は、原則として、株式会社を代表します(第349条第1項本文)。
また、取締役が2人以上ある場合には、
各自、株式会社を代表します(同条第2項)が、
定款、定款の定めに基づく取締役の互選または株主総会の決議によって、
取締役の中から、代表取締役を定めることもできます(同条第3項)。
☆「お一人での脱サラ・起業の場合」や「個人事業者が法人成りする場合」などは、
日本公証人連合会による定款記載例(
http://www.koshonin.gr.jp/ti.html)中、
「1.小規模会社(非公開、取締役1名、監査役・会計参与非設置)」タイプが、
参考になると思われます。
★次号(2006/6/1発行予定の第81号)では、
株式会社における任意の設置機関(取締役会、会計参与、監査役、監査役会、
会計監査人または委員会)について、ご紹介する予定です。
★当事務所では、「会社法の施行に伴う諸手続き」(※)に関して、
ご相談・ご依頼を承っておりますので、
専用アドレス(
n-tsuru@mbr.nifty.com)をご利用の上、
どうぞお気軽にご連絡ください。
※)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/05/post_ac8d.html
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3.「市民法務編―ビジネスに役立つ“民法”の基礎(8)」
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★本号では、「民法第1編 総則―第5章 法律行為&第7章 時効」の基礎について、
行政書士試験の過去問(○×式)を通じて、確認していただきます。
※「第4章 物」、「第6章 期間の計算」については、
スペースの都合上、割愛しましたので、ご了承ください。
■第5章 法律行為(第90条~第137条)
□Aは、譲渡の意思がないのに、債権者の差し押さえを免れるため、
Bと通じて、A所有の土地をBの名義にした。
Cは、その事実を知らずに、その土地を購入したが、
その土地は、C所有のものとはならない(H8)。
⇒× Aの意思表示(通謀虚偽表示)は無効となります(第94条第1項)が、
善意の第三者Cには対抗することができず(同条第2項)、
土地は、C所有となります。
□Aは、土地売買の際に、重大な過失から錯誤を生じ、
B所有の土地を買う意思表示をしてしまった。
このとき、相手方Bが悪意であれば、
Aは、当然に、当該土地売買の契約の無効を主張できる(H8)。
⇒× Aの意思表示には重大な過失があるため、
自らその無効を主張することはできません(第95条但書)。
よって、Aは、Bの悪意を理由に、
当然に無効を主張できるわけではありません。
□Aは、第三者Cの詐欺により、B所有の土地を買ってしまったが、売主Bに対して、
この意思表示を常に取り消すことができるとは限らない(H8)。
⇒○ 第三者Cが詐欺を行った場合、
相手方Bがその事実を知っていたときに限り、
Aは、その意思表示を取り消すことができます(第96条第2項)。
□代理行為の効果は、代理してなされた法律行為から生ずる法律的な効果が、
直接本人に帰属することである(H5)。
⇒○ 第99条第1項を参照のこと。
□任意代理人は、制限行為能力者でもなることができる(H5)。
⇒○ 第102条を参照のこと。
□復代理人は、代理人の代理人である(H5)。
⇒× 復代理人は、その権限内の行為について、
本人を代表します(第107条第1項)。
□代理権は、本人の死亡によって消滅する(H5)。
⇒○ 第111条第1項第1号を参照のこと。
□代理権のない者が行った行為は、本人が追認すると、
最初から代理権があったと同様の効果を生じさせる(H5)。
⇒○ 第113条第1項・第116条を参照のこと。
□無効の法律行為は、追認によってその法律効果を生じる(H6)。
⇒× 無効の法律行為は、追認によっても、
その効力を生じることはありません(第119条本文)。
□取り消した法律行為は、取り消したときから無効となる(H6)。
⇒× 取り消した法律行為は、
初めから無効であったものとみなされます(第121条本文)。
□取り消すことのできる法律行為は、取消権者がこれを追認したときは、
追認したときから有効となる(H6)。
⇒× 取り消すことができる法律行為は、
第120条の取消権者が追認したときは、
原則として、初めから有効とみなされます(第122条本文)。
☆実際のビジネスの場面において、
法律行為について、特に意識することは少ないかもしれませんが、
契約等の意思決定上、必要不可欠な内容を数多く含んでいます。
各条文を理解すると同時に、
「意思表示」や「代理(特に、無権代理や表見代理)」の主要判例について、
判例付六法などで、確認しておくとよいでしょう。
■第7章 時効(第144条~第174条の2)
□時効による権利の取得または消滅は、
時効が完成した時から、その効力を生ずる(H2)。
⇒× 時効の効力は、その起算日にさかのぼります(第144条)。
□被保佐人が、保佐人の同意を得ずに債務を承認しても、
時効は中断しない(H2)。
⇒× 被保佐人による債務の承認も、
時効を中断します(第156条、判例:大判大正7.10.9)。
□時効中断後、時効中断事由が終了した時には、
時効は新たに進行を開始するのではなく、
時効中断時における残りの期間を経過することによって完成する(H9)。
⇒× 中断した時効は、その中断事由が終了した時から、
新たにその進行を始めます(第157条第1項)。
□債務の履行不能による損害賠償請求権の消滅時効は、
債務の履行が不能になった時から進行するとするのが、
判例の立場である(H9)。
⇒× 債務不履行による損害賠償請求権(第415条)の消滅時効は、
本来の債務の履行を請求できる時から、
進行します(第166条第1項、判例:最判昭和35.11.1)。
☆2つの時効のうち、特に重要となるのは、
「売掛債権の消滅時効」になりますので、注意しておきましょう。
ただ、実際のビジネスの場面においては、
「与信管理⇒契約⇒請求⇒未入金の場合の確認・督促」の流れに沿って、
「入金遅れの売掛債権を出さない!」、「仮に発生しても、早めに対処する!」
という点について、常に注意しておきたいものです。
★次号(2006/6/1発行予定の第81号)では、
「民法第2編 物権」の全体像について、ご紹介する予定です。
**********************************************************************
4.編集後記
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■「2006FIFAワールドカップ」の開幕を間近に控え、マスコミでは、
連日、「日本代表のキーマンは誰か?」といった話題でもちきりですが、
個人的には、ジーコ監督その人だと思っています。
たとえば、レギュラーFWといわれる柳沢・高原両選手にこだわらず、
「切り札・大黒&巻の両選手を、いかに効果的に起用することができるか?」
と言った点などには、大いに注目しているところです。
もちろん、どんな形であれ、初戦のオーストラリア戦に勝利できれば、
とりあえず、何も言うことはありませんが・・・。
■第81号は、いかがでしたか?次号(第82号)は、2006/6/15発行予定です。
■編集責任者:行政書士 津留信康
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