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整理解雇の4要件とは?(その1)

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 経営・労務管理ビジネス用語の
   あれっ! これ、どうだった?!

  第39回  整理解雇の4要件とは?(その1)

<第52号>      平成23年3月7日(月)
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発行人のプロフィル⇒ http://www.ho-wiki06.com
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こんにちは! 
メルマガ初訪問の皆さま、ありがとうございます。

1週間のご無沙汰でした。
亥年のアラ還、小野寺です。

さて現在、会社更生法手続中の日本航空(JAL)の大西社長が
年も押し迫った昨年12月27日の定例記者会見の席上、
整理解雇の対象者が170人になると発表しました。

内訳は、パイロット80人、客室乗務員60人、休職者30人と
なっており、12月31日付で行うとしました。

これに対し、解雇の撤回を求める客室乗務員や副操縦士らで作る
労働組合員100余名が、本年1月中旬に集団訴訟を
起こしたことはご承知の通りです。

今回は、この整理解雇の4要件について考えてみます。

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まずは、info@ho-wiki06.com にご一報ください。
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◆◆ 整理解雇の4要件とは ◆◆

○ 整理解雇とは、不況などによる経営不振のため
企業の経営維持が困難となった際に、

経費縮小等の経営スリム化を目的として人員削減のために
行う解雇のことをいいます。

しかし、その場合でも使用者の一方的・恣意的に行うことは
許されず、4つの要件を合理的に充足した場合に
有効とされています。

○ 整理解雇が解雇権の濫用とならないための要件のことを
整理解雇の4要件」といいますが、それは次の4点です。

第一要件:企業経営上の理由による人員削減の必要性。
第二要件:解雇回避努力義務の履行
第三要件:被解雇者選定基準とこれに基づく人選の相当性。
第四要件:労働者労働組合に対する説明協議等の整理解雇手続の
     妥当性。

○ この4要件については、1つでも充足しなければ
合理的理由が認められず解雇が無効になるとされています。

ただし、これに対してこの4要件と呼ばれているものは、
権利濫用に当たるか否かの考慮要素を類型化したものに過ぎず、

これらの要素を総合評価して判断すべきであるという
「判断要素論」という捉え方もあります。

また、4要件のうちの「整理解雇手続の妥当性」を除外した
3要件論を採る場合もあるようです。

しかし、多くの裁判や学説でも4要件論が最も多く
優勢であることから、本号でも4要件論として
述べることにします。

◆◆ 第一要件:人員削減(整理)の必要性 ◆◆

○ この必要性については、解雇を必要とする程度に
高度の経営上の必要性が存在することが要件となります。

つまり、人員削減をしなければ倒産必至となる状況を
要するとの厳格な判断がなされています。

例えば、経営不振が使用者の経営判断の誤りによるものでなく
社会倫理的な責任にとどまるものであったとしても、

次のような場合に、はじめて整理解雇が合理的な
理由のあるものとして正当と認められるとされています。

「業績は悪化の一途を辿り、これに対処するために
新規採用の中止、自然減の補充停止、整備費の節減など

経費の節減を計ったが、このような企業努力にもかかわらず
経営は依然不振だったので、この苦境を打開するためには

企業規模を縮小して再建を計るほかはない。」
(「近鉄大東京観光バス事件」昭44.9.19東京地裁判決)

○ ただし、単に採算上赤字になりそうだとか、
赤字が予想されるからというだけの理由で労働者
解雇する訳にはいかず、

企業防衛対策として人員整理以外の他の方法、
例えば企業設備・組織・経営の合理化、技術・技能上の対策、

新規開発その他経営者として最大限の努力をした後、
それでも採算が採れず、

もはや企業維持のためには人員整理以外にないという
状況でなければならず、

いわば先見的・予防的解雇は、解雇権の濫用として
無効とされる場合が多いと考えられます。

○ そこで、この第一要件において、人員削減の必要性が
明確に否定されるのは、次のような場合とされています。

1.企業の財政状況にまったく問題がない場合。

2.人員整理後、使用者が新規採用など、明らかに矛盾する
行動を取った場合。

○ なお、同志社大学の土田道夫教授は、近年の裁判例を踏まえ
戦略的合理化型の整理解雇も認められるようになってきたと
指摘しています。

すなわち、近年における企業間競争の激化や企業組織の
再編に伴い、経営困難に陥る前の段階で

経営合理化や競争力強化を目的に事業部門を廃止・縮小し
余剰人員を解雇するケースも認容されているとしています。

ただし、この場合でも以下の第2~第4要件を充足する
必要があることは言うまでもありません。

◆◆ 第二要件:解雇回避努力義務の履行 ◆◆

○ 本要件は、4要件の中でも中心に位置する
要件とされています。

このことは、次の判例からも明らかです。

「およそ企業に雇用されている労働者の大部分は、
その稼得する賃金に依存して生活しているのであって、

これを解雇する事は再就職までの間、物心両面から
その生活を脅かすことになるので、

たとえ企業が経営不振に陥った場合でも、なるべく
大量の人員整理を避け、他の各種の営業上の施策により

経費を節し、収益を増大し利益をあげて企業の再建を
達成することが望ましく、これらは経営の任に当る者の
責任ともいうべきである。」
(「三井化学事件」昭42.5.15福岡地裁判決)

○ そこで解雇回避の為の具体的な施策としては
次のようなものがあります。

1.新規採用の停止
2.役員報酬カット
3.昇格、賞与等の停止
4.時間外労働の削減
5.希望退職者の募集
6.一時帰休、配転・出向

使用者には上記内容を踏まえて真摯な解雇回避努力を
求められます。

つまり、回避努力を全く欠いたまま行われた整理解雇
無効とされます。

○ このうち5の「希望退職者の募集」は、
解雇に先立って行われることが多く、解雇回避措置の
基本的内容とされています。

そのため、希望退職者募集を経ない整理解雇
解雇回避努力義務の履行を否定されやすいと言えます。

○ 6の「配転・出向」については多くの場合、
整理解雇労働者に帰責事由のない解雇であることから

職種等限定の合意や企業間の法人格の違いにかかわらず
配転・出向義務を広く認めています。

ただし、配転・出向の受入先がなかったり、労働者があくまで
拒否するなど、それらの措置が客観的に期待不可能な場合にまで
使用者雇用確保の義務がないとされています。

(以下、次号に続く)

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よく日本語は難しいといいます。

そこで、間違いやすい日本語について考えてみましょう。

次の文章のうち、どちらが正しいでしょうか

■A このセーターは編み目が「荒い」と評判だ。
■B. このセーターは編み目が「粗い」と評判だ。

答えは、編集後記で。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
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■■ 編集後記 ■■
きょうも最後までお読みいただきありがとうございます。

さて、どちらが正しいか分かりましたか?

答えは「B」です。

「荒い」とは、「勢いが激しく乱暴なこと」という意味で
用例としては「金遣いが荒い」「人使いが荒い」などがあります。

一方、「粗」という漢字は、よくつかれていない米を表す文字で
そこから、粒が大きいことや織物の目が大きいこと、さらには
大ざっぱなこと、粗末なことなどの意味が生じたものです。

従って、この文意の場合は、「粗い」が正しい表現となります。

では、また次号でお会いしましょう。
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