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健康診断受診後の措置

みなさん、こんにちは!
大震災後の電力需給逼迫で、通勤電車が間引き運転されたり、駅のエスカレータが止められたりなど、あれやこれや
の節電対策が採られているため障害のある方の通勤がとても大変になっています。
先日の朝もオフィス最寄りの地下鉄駅で、電車を降りて駅の出口に向って歩いていると白い杖をついた目の不自由
な方が、私の前を歩いていました。
そして、いつもなら動いているはずのエスカレータの前で、それが運転中止となっていることが分かると、
代わりの階段を見つけるのに随分と難儀をしているようでした。何しろ、駅構内は節電で照明が落とされているため、
ただでさえ暗いのです。いつもと勝手が違えば健常者でもまごついてしまいますから、視力が辛い障害のある方は
尚更です。

私も右足の膝関節炎のため、冬場は随分と痛み、階段の上り下りには殊更に辛いものがあります。この最寄り駅では、
朝は通勤者のためエスカレータを動かすのですが、動かしているのは朝9時までなのです。9時丁度には、駅員が
出てきて情け容赦なくエスカレータを止めてしまいます。
先日、私が電車を降りてそこのエスカレータまで辿り着いたのがこの9時をチョッと回ってしまいました。
私は、心の中で、“チョッとぐらいは待っててくれるだろう”と期待していたのですが、その駅員は私の目の前で
何の躊躇もなく、エスカレータを止めてしまったのです。私は、心の中で“あぁ、待って!”と叫びましたが、
何の効果も無く、結局、“薄情者”と罵りながら(勿論頭の中で)、痛む足をひきずって階段を登る羽目に
なってしまいました。

また最近は、間引き運転のため、朝夕の通勤電車が従来よりも随分と混むようになっています。
私は、「朝は遅く、帰りは早く」の重役時間(?)で通勤しているのですが、
その重役時間帯でも平社員(?)のラッシュ時並に混むようになってしまいました。先日の朝の通勤時も、電車が
ヤケに混んでいました。 次から次と乗り込んでくる乗客で背の小さい私は、隅の方に押し込まれて息も絶え絶えと
なってしまいました。
若い者が、年配者をおもんばからないことが特徴のこの時代は、電車の中でも年配者や肉体条件の悪い人などへの
配慮をする人は、あまり見られません。
帰宅時などの混雑しているときに、優先席には体格が良く1時間や2時間位立っていても屁とも思わないだろうと
見られる若い男女が席を占め、今にも転びそうな杖を突いた老人や障害者がその前に立っているという光景も
それほど珍しくはなくなりました。
老若男女を問わず、あたかもみんなが「兎も角、自分が楽になることが一番」と席の争奪戦にキュウキュウとして
いるかのようです。だから、席が空けば弱者への配慮より先ずは自分が座ろうとするのでしょう。
昔のような他人の目を意識した「自分の格好良さ」を求める気持ちは、無くなってしまったようです。他人の目を
意識した「格好よさ」より自分の目を意識する「自分らしさ」を求めるのかもしれません。
そして、それはみんなで成長した高度成長時代から僅かの少数しか浮かび上がれないデフレ時代への「時代」の
流れがそうさせているのかもしれません。

さて、
前回の「退職後不正発覚した時の処置」についての話、如何でしたでしょうか。
今回は、「健康診断受診後の措置」についての話をします。

──────────◆ 目 次 ◆──────────────
○「健康診断受診後の措置」
定期健康診断は、法律で企業にその実施を義務付けています。
ところで、毎年1回、一般的な健康診断実施機関で健診を実施し、実施機関より送付されてきた結果を単に
個人に渡すのみで、その他特別なことはしていないという会社は、結構多いと思いますが、この処理で何か
問題になることはあるのでしょうか?

法律では、事業主は健康診断の結果について医師等から意見を聴き、就業場所の変更等の適切な対処を
しなければならないとされています。つまり、法的には、個人結果の通知のみでは、会社として適切な
措置を取っているとはいえないとされますので、注意が必要です。
 労働安全衛生法は、企業に健康診断の実施を義務付けており(第66条)、更にその結果に基づき、労働者
健康を保持するために必要な措置について医師等の意見を聴くことを義務付けているのです(第66条の4)。
その上で、この意見に基づき、労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、
深夜業の回数の減少等の措置を講じなければならないとしています(第66条の5)。従って、会社は健康診断実施後
に健診実施機関から送付されてきた結果の、医師の所見を確認する必要があります。
この所見を元に、異常の所見がある従業員と面談をし、状況を確認の上、一人ひとりにあわせた具体的な対処を
する必要があるのです。具体的には、時間外労働の制限、業務負荷軽減のための一時的な配置転換という業務に
直結した内容から、人間ドックの受診斡旋等も考えられるでしょう。詳細は「健康診断結果に基づき事業者
講ずべき措置に関する指針」が厚生労働省より公表されていますので、指針を参考に対策を行うのがよろしいと
思います。

 昨今は、いわゆる過労死の問題により、安全配慮義務を如何に履行するかがクローズアップされています。
定期健康診断を実施すれば大丈夫」という考えでは十分な安全配慮義務履行を行っているとは云いがたく、
従業員に万が一のことが起こった場合、事業主への責任追及は免れないでしょう。
特に中小企業では、時間外の削減は困難であったり、配置転換といっても変えるところがないという実情も
想定されます。しかし、「有所見状態」を放置することで、更に症状が悪化することも容易に想定されます。
周りへの一時的な負荷があったとしても早めの措置は必要不可欠とも云えるでしょう。

今回は、ここまでです。
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