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障害者雇用についてのドタバタ劇、次世代育成一時金ほか・・・

● 目 次 ●

1.はじめに

2.交通事故の示談に要注意

3.障害者雇用についてのドタバタ劇

4.市場化テスト~厚生年金等への加入促進事業について~

5.人事担当者のつぶやき~次世代育成一時金~

6.労働判例

7.社長の疑問 Q&A


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1.はじめに 

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■ 大手企業の人事部から独立した人事労務屋がお送りする人事労務情報
 (ブログ 人事労務屋のつぶやき【独立編】http://blog.tashiro-sr.com/
 は、人事労務の有益情報を毎日更新しています。人気ブログランキングでも
 社会・経済部門で上位にランクされています。))

 おはようございます。関東地方では、先週の金曜日あたりから、真夏の天気
が続いています。皆様、お変わりございませんでしょうか?暑さに弱い私です
が、毎日頑張っております。これからは、暑気払いの機会が増えそうですが、
飲みすぎ、食べすぎには十分注意しようと言い聞かせています。

 さて、今号は、事務所便りのスタイルでコンテンツを構成してみましたが、
如何でしょうか?ご意見、ご感想などお聞かせ戴ければ幸いです。ブログ 
人事労務屋のつぶやき【独立編】http://blog.tashiro-sr.com/のコメント欄
にでもコメントをして戴ければ幸いです。


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2.交通事故の示談に要注意

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 Aさんは、夏休みの旅行でぶらり一人旅。お気に入りの単車でツーリングを
していました。 交差点で信号待ちをし、信号が青になったので直進したとこ
ろ、右折をしてきた対向車と衝突し、1か月入院のケガをしました。Aさんは
、加害者Bさんと示談をしたため、特に健康保険組合に連絡をせずに治療を開
始しました。

 ところが、加害者Bさんは、病院の支払を一向にしてくれません。理由は、
健康保険を使った場合の金額に比べて、費用が高いからというもの。Bさんは
、自由診療(健康保険を適用しない診療)の場合、保険診療に比べ割高になる
ことを知らなかったのです(保険証を使わずに診療を受けた場合、医療機関の
考え方にもよりますが通常料金の1.5~2倍程度の料金となります)。

 Aさんは、病院から支払を督促され、Bさんに何度も支払要求をしましたが
、「職場に連絡をされるのは迷惑だ」「健康保険が適用されるよう、今から健
保に働きかけてくれ」の一点張りで、自由診療での治療代を支払う気はさらさ
らない模様。実は、Bさんは、自賠責保険強制保険)にしか加入しておらず
、保険からの治療費は最高120万円までしか出ないため、超過分を自己負担
することがいやだったのです。

 困ったAさんと病院は、健康保険組合に相談しましたが、「示談されている
ので、いまさら健康保険での対応はできません。」と断られてしまいました。
この上は、弁護士に相談して・・・とも考えましたが、弁護士費用のことを考
えると「どうして被害者である私が弁護士費用を負担までして督促をしなけれ
ばならないのか?」と何とも釈然としません。また、今後、万が一後遺症が発
症した場合、健康保険は使えないし、Bさんがすんなり払ってくれるとは思え
ないしと悩みがつきません。

 交通事故にあった場合、上記ケースのように示談してしまうと、後から健康
保険を使おうと思っても使えなくなります。示談は慎重に行いましょう。また
、事故にあって健康保険で治療を受けた場合は、示談の前に保険者へ連絡して
、指示を仰ぐ必要がありますので注意しましょう。


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3.障害者雇用についてのドタバタ劇

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 今年の4月に、ハローワークの障害者雇用促進アドバイザーが、ある会社の
総務部を訪ねてきて、担当者に対して次のように言いました。「御社は障害者
雇用が法定人数に達していません。このままだと事業主に対し、罰金だけで
はなく刑事訴訟に発展するかもしれませんよ!」

 この会社は従業員の人数が300人未満なので、障害者雇用が法定人数(5
6人に対して1人)に達していなくても、障害者雇用納付金を支払う義務はあ
りませんが、法律上は障害者を1名雇わなければならないことになっておりま
す。このように障害者の法定雇用率が未達成の事業主全員に、「障害者の雇入
れに関する計画」を作成するように命じ、この命令に違反した事業主に対し、
20万円以下の罰金や刑事訴訟に発展する可能性があるというのです。

 このアドバイザーは、「御社の現状を考えると、障害者を新しく雇い入れる
ことは難しいかもしれませんね。しかし、社員の中には視力が弱い方も多いと
思います。そういった方の中に障害認定が可能な人もいますので、社内で調査
をしてもらい、該当者に対し障害認定をしてもらうのが良いでしょう。

 「障害者雇用状況報告書」は、本来6月1日現在の状況を記載して6月30
日までに提出してもらうのですが、今回の場合、特別に報告書の提出を9月く
らいまで遅らせても良いので、是非とも障害者の法定雇用率を達成してくださ
い。」と言って帰りました。

 アドバイザーの言葉に疑問を感じた担当者は、直接ハローワーク雇用指導
官に相談したところ、次のような回答が帰ってきました。

 「確かに法定雇用率が未達成の事業主に対し、障害者の雇入れに関する計画
を作成するように命じる場合はありますが、それは障害者の数が著しく不足し
ている場合や、一定の規模以上の事業主に限定されているので、未達成の事業
主全員に作成を命じるわけではありません。御社のように障害者の不足数が1
名の場合、計画書の作成を命じることはありえません。また、障害者雇用状況
報告書は法律で6月1日現在の状況を7月15日までに提出することが義務付
けられておりますので、報告書の提出を延期することはできません。従いまし
て、6月1日現在の障害者の雇用状況を記載して法律の期限どおり提出してく
ださい。アドバイザーの発言に不適切な説明があったことに深くお詫びいたし
ます。」

 国が障害者の雇用を促進するために努力していることは良くわかりますが、
今回の障害者雇用アドバイザーのように、社員に対して無理矢理障害者認定さ
せるように指導したり、事業主に前科がつくような発言をすることは行き過ぎ
た行為のように感じます。役所は、とかく数値目標を掲げて、その達成に全力
を注ぐように指導してきますが、障害者雇用の実態を把握してから正しく行動
して欲しいものです。


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4.市場化テスト~厚生年金等への加入促進事業について~

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 このたび、東京都社会保険労務士会は、社会保険庁の市場化テストのモデル
事業である厚生年金健康保険加入促進事業を落札いたしました。

 この市場化テストは、公共サービスの担い手を行政と民間の競争入札で決め
る制度で、行政の業務を民間企業などに開放し、効率性やサービス向上を狙う
ものです。結果、民間のほうが優れていれば、同事業を民営化、民間譲渡、民
間委託などを勧めることになります。

 社会保険労務士会は、これまでも毎年、社会保険加入促進事業について行政
協力を行なっており、今回この事業が入札制度になったこと自体、多少心外で
はありました。しかし、強制加入といいながら、未加入事業所を放置してきた
行政に、気持ちを新たに協力し、既加入事業所との公平を保つべく努力いたし
ます。

 今回のテストは、港区、足立区、渋谷区の3地区で行なわれるものですが、
その他の地域については、その後波及することは間違いありません。未加入事
業所の事業主の方は、強制的に職権で適用を迫られる前に、社会保険労務士
ご相談戴き、社会保険にかかる今後のコストの問題等充分ご検討ください。


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5.人事担当者のつぶやき~次世代育成一時金~

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 7月2日の新聞各紙に、「大和ハウス工業」が子供が生まれた社員に、一人
当たり100万円の一時金を支給する制度(次世代育成一時金制度)を導入し
たという記事が掲載されていました。日経新聞から記事の一部を引用します。

 大和ハウス、子供1人誕生で一時金100万円を支給

 大和ハウス工業は社員に子供が生まれた場合、1人あたり一律100万円の
一時金を支給する制度を導入した。出産費用などの負担を和らげ、社員やその
家族の出産・育児を支援する。これまでの家族手当(月額5000円)は原則
廃止するが、一度に受け取れる額を増やし、運用や貯金など社員の選択肢を広
げる狙いもある。

 新制度の名称は「次世代育成一時金制度」。第一子、第二子などを区別せず
、一子ごとに100万円を支給する。役員を除く正社員が対象で、少子化時代
への対応の一環として導入を決めた。

 同社は、これまで家族手当では、社員の子供が満18歳に達するまで毎月5
千円を支給してきたが、一時金の金額は家族手当の累計支給額とほぼ同じだと
いうことです。家族手当を廃止する場合、その原資分を基本給に組み入れたり
するケースが多いと思いますが、この例のように一時金での支給のほうが、も
らう側からみても必要なときに纏まった金額を受け取ることができるので、あ
りがたいのではないでしょうか?

 100万円という金額、次世代育成一時金という名称、いずれもインパクト
がありますし、うまいやり方だと思います。金額の設定をいくらにするかとい
う問題はありますが、少子化問題が深刻度を増していく昨今、このような取り
組みは参考になるのではないでしょうか?


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6.労働判例 

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 ■ 東京地裁:平成14年(ヨ)21038号:Y社懲戒処分禁止等命令申立事件

 女性の容姿での就労を求めた男性従業員懲戒解雇はいけません!

 この事件は、性同一性障害の診断を受けた男性社員Aさんが就労する際に、
「男性として就労するのは精神的、身体的に困難なので、女性として就労させ
て下さい。」との申立からはじまりました。この人は、医師からも性同一性障
害として診断され、精神療法等の治療を受けておりました。

 しかし、会社としては「企業秩序や業務遂行に対して、悪影響がある。」と
判断してこの人を聴聞手続き後、懲戒解雇としました。

 このことに納得のいかない従業員Aさんは裁判所に判断を委ねました。そし
て裁判所は「本件は懲戒解雇の事由としては認められるものではない。よって
この件は権利の濫用であり、無効である。」との判断が下されました。

 なかなか、このような事例に遭遇することは少ないかもしれませんが、上記
のような判例もありますのでご注意を!!


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7.社長の疑問 Q&A

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 夏休みを取ると言ったきり半月も出社してきません。すぐに解雇できますか?

 夏休み期間を過ぎても出社してこない、そもそも何の連絡もないまま無断欠
勤が続いているなど、本人と連絡がつかないような状況では、なにか事件に巻
き込まれたのか、はたまた思うところがあって家を飛び出したのか…、と会社
としてもどうにも困ってしまいます。

 いずれにしても、無断で出社してこない者をこのままにするわけにはいかず
、“解雇”ということになるでしょうが、こういう問題に備えるには、「一定
期間勤務しない場合は、当然に自然退職とする」と就業規則に定めておくこと
です。

 このような規定がないと会社が安易に解雇するわけにはいかず、「公示によ
意思表示」という裁判所がからむ面倒な手続きが必要となってきます。同時
に、労働基準法の定めによる解雇予告手当の支払いなどの必要性も生じるでし
ょう。労働者が勝手に会社をやめてしまった場合でも、就業規則にこの規定を
定めておけば、実務的な処理がしやすくなります。

 ただし、会社に残った私物の整理や退職金、未払い賃金の問題、その間の社
会保険料の負担など、処理すべき問題はたくさん残されていますが。


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● 編集後記 ●

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 3連休明けは、土日も含め、エキサイティングな日が続きそうです。本業の
ほうをしっかり固めたうえで、少し範囲を広げて、自分の興味ある分野にも進
出していきたいと思っています。

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しました。従来のURLでもアクセスできますが、新URLにて
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