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【レジュメ編】 e-文書法

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     ★★★ 新・行政書士試験 一発合格! Vol. ’06-43 ★★★
           【レジュメ編】 e-文書法

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■■■ e-文書法 ■■■
■■■ 民法上の和解 ■■■
■■■ 行政手続法と最高裁判例 ■■■
■■■ 答練・公開模試の有効活用 ■■■
■■■ お願い ■■■
■■■ 編集後記 ■■■

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

■■■ e-文書法 ■■■
前回は、「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律」(通称「行政手続
オンライン化法」)を取上げましたが、今回は「民間事業者等が行う書面の保存等にお
ける情報通信の技術の利用に関する法律」(通称「e-文書法」)を取上げます。

行政手続オンライン化法が、民間事業者等から行政機関等に対する申請等の手続および
行政機関等から民間事業者等に対する処分通知等の手続(行政機関等相互間の場合を含
む。)等を対象としているのに対して、e-文書法は、民間事業者等が行う電磁的記録
による保存等を対象としています。

なお、e-文書法は、行政手続オンライン化法と同様に、「民間事業者等が行う書面の
保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」(通則法)および「民間事業者
が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律
の整備等に関する法律」(整備法)から構成されています。

e-文書法は平成16年12月に公布され、平成17年4月1日に施行されました。

■ 目的
第一条 この法律は、法令の規定により民間事業者等が行う書面の保存等に関し、電子
情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法(以下「電磁的方
法」という。)により行うことができるようにするための共通する事項を定めることに
より、電磁的方法による情報処理の促進を図るとともに、書面の保存等に係る負担の軽
減等を通じて国民の利便性の向上を図り、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な
発展に寄与することを目的とする。

(ア)電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法:パソ
   コン等を利用して電磁的記録の保存を行うことを想定している。たとえば、パソ
   コンのハード・ディスク、CD-ROM、フロッピー・ディスク等によって情報
   の保存等を行うことである。
(イ)共通する事項を定めることにより:行政手続オンライン化法と同様に、e-文書
   法は、通則法と整備法から構成されている。

■ 定義
(1)民間事業者等:法令の規定により書面又は電磁的記録の保存等をしなければなら
   ないものとされている民間事業者その他の者をいう。ただし、国の機関、地方公
   共団体及びその機関、行政手続オンライン化法2条2号ニからチまでに掲げるも
   のを除く。
→ 「国の機関」には、国会(立法機関)、裁判所(司法機関)、内閣等(行政機関)
   が含まれる。
→ 「地方公共団体及びその機関」には、地方公共団体(都道府県、市町村等)、議会
  (都道府県、市町村等)をいう。
(2)法令:法律及び法律に基づく命令をいう。
→ 行政手続オンライン化法の場合と同じ(条例、規則を除外)。
(3)書面:書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人
   の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をい
   う。
→ 行政手続オンライン化法の場合と同じ。
(4)電磁的記録 電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することが
   できない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供され
   るものをいう。
→ 行政手続オンライン化法の場合と同じ。
(5)保存:民間事業者等が書面又は電磁的記録を保存し、保管し、管理し、備え、備
   え置き、備え付け、又は常備することをいう。ただし、訴訟手続その他の裁判所
   における手続並びに刑事事件及び政令で定める犯則事件に関する法令の規定に基
   づく手続(以下この条において「裁判手続等」という。)において行うものを除
   く。
(6)作成:民間事業者等が書面又は電磁的記録を作成し、記載し、記録し、又は調製
   することをいう。ただし、裁判手続等において行うものを除く。
(7)縦覧等:民間事業者等が書面又は電磁的記録に記録されている事項を縦覧若しく
   は閲覧に供し、又は謄写をさせることをいう。ただし、裁判手続等において行う
   ものを除く。
(8)交付等:民間事業者等が書面又は電磁的記録に記録されている事項を交付し、若
   しくは提出し、又は提供することをいう。ただし、裁判手続等において行うもの
   及び行政手続オンライン化法2条6号に掲げる申請等として行うものを除く。
(9)保存等:保存、作成、縦覧等又は交付等をいう。
→ 行政手続オンライン化法:手続等とは、申請等、処分通知等、縦覧等又は作成等を
  いう(2条10号)。

■ 電磁的記録による保存
第三条 民間事業者等は、保存のうち当該保存に関する他の法令の規定により書面によ
り行わなければならないとされているもの(主務省令で定めるものに限る。)について
は、当該法令の規定にかかわらず、主務省令で定めるところにより、書面の保存に代え
て当該書面に係る電磁的記録の保存を行うことができる。
2 前項の規定により行われた保存については、当該保存を書面により行わなければな
らないとした保存に関する法令の規定に規定する書面により行われたものとみなして、
当該保存に関する法令の規定を適用する。

(ア)保存に関する他の法令の規定により書面により行わなければならないとされてい
   るもの:個別法で、電磁的記録による保存が認められていない場合には、この
   e-文書法により、電磁的記録による保存が可能になる。
→ 個別法で、書面等をスキャナーで読み込んだ電磁的記録による保存が認められてい
  る場合には、e-文書法は適用されない(そもそも、書面により行わなければなら
  ないと規定されていないため)。

(イ)「主務省令で定めるものに限る。」が適用されない場合:緊急時に即座に見るこ
   とができなければならないもの(船舶に備える安全確保のための書類等)、法的
   資格等を示すために発行された書面(許可証等)

(ウ)電磁的記録による保存等のための要件
   書面の保存等(保存、作成、縦覧等又は交付等をいう。)を電磁的記録で行う場
   合には、主務省令で定められていることが必要である。そして、この主務省令で
   は、各府省が要件を定めることになっているが、つぎのような要件が一般に求め
   られている。
(ア) 見読性(情報を即座に読み取ることが可能であること)
(イ) 完全性(改ざん、消失、経年劣化等の防止)
(ウ) 機密性(第三者による不正アクセスや情報漏洩などの防止)
(エ) 検索性(大量の情報から必要な情報を効率的に選別できること)

■ 電磁的記録による作成
第四条 民間事業者等は、作成のうち当該作成に関する他の法令の規定により書面によ
り行わなければならないとされているもの(当該作成に係る書面又はその原本、謄本、
抄本若しくは写しが法令の規定により保存をしなければならないとされているものであ
って、主務省令で定めるものに限る。)については、当該他の法令の規定にかかわら
ず、主務省令で定めるところにより、書面の作成に代えて当該書面に係る電磁的記録
作成を行うことができる。
2 前項の規定により行われた作成については、当該作成を書面により行わなければな
らないとした作成に関する法令の規定に規定する書面により行われたものとみなして、
当該作成に関する法令の規定を適用する。
3 第一項の場合において、民間事業者等は、当該作成に関する他の法令の規定により
署名等をしなければならないとされているものについては、当該法令の規定にかかわら
ず、氏名又は名称を明らかにする措置であって主務省令で定めるものをもって当該署名
等に代えることができる。

(ア)保存をしなければならないとされているものであって、主務省令で定めるものに
   限る。:作成義務のみがある場合には、e-文書法は適用されず、作成義務と保
   存義務がある場合に限って、適用がある。
→ e-文書法の目的は、個別法に規定された書面の保存義務を解除することにあるた
  め、保存義務を伴わない書面等の作成については、適用されない。

■ 電磁的記録による縦覧等
第五条 民間事業者等は、縦覧等のうち当該縦覧等に関する他の法令の規定により書面
により行わなければならないとされているもの(主務省令で定めるものに限る。)につ
いては、当該法令の規定にかかわらず、主務省令で定めるところにより、書面の縦覧等
に代えて当該書面に係る電磁的記録に記録されている事項又は当該事項を記載した書類
の縦覧等を行うことができる。
2 前項の規定により行われた縦覧等については、当該縦覧等を書面により行わなけれ
ばならないとした縦覧等に関する法令の規定に規定する書面により行われたものとみな
して、当該縦覧等に関する法令の規定を適用する。

(ア)電磁的記録として保存されている書面等の縦覧等について、いったん書面に出力
   して縦覧等を行うことは、e-文書法の目的に反することになることから、電磁
   的記録による縦覧を認めた(例えば、民間事業者等の事務所に置かれた専用端末
   から電磁的記録を人ができる形態に変換のうえ、縦覧する方法)。
(イ)縦覧等の場合には、電磁的記録による保存が前提になっていることから、対象に
   ついて保存義務があることは条件になっていない。

■ 電磁的記録による交付等
第六条 民間事業者等は、交付等のうち当該交付等に関する他の法令の規定により書面
により行わなければならないとされているもの(当該交付等に係る書面又はその原本、
謄本、抄本若しくは写しが法令の規定により保存をしなければならないとされているも
のであって、主務省令で定めるものに限る。)については、当該他の法令の規定にかか
わらず、政令で定めるところにより、当該交付等の相手方の承諾を得て、書面の交付等
に代えて電磁的方法であって主務省令で定めるものにより当該書面に係る電磁的記録
記録されている事項の交付等を行うことができる。
2 前項の規定により行われた交付等については、当該交付等を書面により行わなけれ
ばならないとした交付等に関する法令の規定に規定する書面により行われたものとみな
して、当該交付等に関する法令の規定を適用する。

(ア)作成の場合と異なり、署名等の代替規定(4条3項)がない(その必要性が乏し
   いため。)。
(イ)保存をしなければならないとされているものであって、主務省令で定めるものに
   限る。:交付義務のみがある場合には、e-文書法は適用されず、交付義務と保
   存義務がある場合に限って、適用がある。

■ 条例等に基づく書面の保存等に係る情報通信の技術の利用の推進等
第七条 地方公共団体は、条例又は規則に基づいて民間事業者その他の者が行う書面の
保存等における情報通信の技術の利用の推進を図るため、この法律の趣旨にのっとり、
条例又は規則に基づく書面の保存等について必要な措置を講ずることその他の必要な施
策の実施に努めなければならない。
2 国は、条例又は規則に基づいて民間事業者その他の者が行う書面の保存等における
情報通信の技術の利用の推進を図るため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう
努めなければならない。

■ 政令又は主務省令の制定改廃に伴う経過措置
第八条 この法律の規定に基づき政令又は主務省令を制定し、又は改廃する場合におい
ては、それぞれ、政令又は主務省令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断さ
れる範囲内において、所要の経過措置罰則に関する経過措置を含む。)を定めること
ができる。


■■■ 民法上の和解 ■■■
裁判外紛争解決手続とは、「訴訟手続によらずに民事上の紛争の解決をしようとする紛
争の当事者のため、公正な第三者が関与して、その解決を図る手続」(裁判外紛争解決
手続の利用の促進に関する法律1条)をいいます。なお、同法は、来年4月1日に施行
される予定です。

そして、民間紛争解決手続とは、「民間事業者が、紛争の当事者が和解をすることがで
きる民事上の紛争について、紛争の当事者双方からの依頼を受け、当該紛争の当事者と
の間の契約に基づき、和解仲介を行う裁判外紛争解決手続」(2条2号)です。そこ
で、ここでは、民法上の和解を取上げます。

■ 和解
第六百九十五条 和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめること
を約することによって、その効力を生ずる。

(1)要件
(ア)争いが存在すること
→ 争いの種類についての制限はない(財産関係の争いに限られない。)。なお、法律
  関係に関する争いは、裁判によっても争うことができる(裁判所の権限は、「法律
  上の争訟」に限られる。裁判所法3条1項)。
(イ)当事者が互いに譲歩すること
→ 当事者の一方だけが全面的に譲歩する場合には、民法上の和解にはならない。
(ウ)争いをやめることを約すること
→ 和解契約の定めによって、法律関係は確定する。したがって、それ以降、当事者
  は、それまでの法律関係を持ち出して権利を主張することはできない。

(2)類似の仕組み
(ア)示談:多くの示談和解であるが、当事者の一方だけが全面的に譲歩する場合
   も、示談には含まれる。
(イ)仲裁:当事者の事前の合意によって、予め定めた仲裁人の判断に従うことによっ
   て、紛争を解決する。

仲裁法(2条1項)〕
この法律において「仲裁合意」とは、既に生じた民事上の紛争又は将来において生ずる
一定の法律関係(契約に基づくものであるかどうかを問わない。)に関する民事上の紛
争の全部又は一部の解決を一人又は二人以上の仲裁人にゆだね、かつ、その判断(以下
仲裁判断」という。)に服する旨の合意をいう。

■ 和解の効力
第六百九十六条 当事者の一方が和解によって争いの目的である権利を有するものと認
められ、又は相手方がこれを有しないものと認められた場合において、その当事者の一
方が従来その権利を有していなかった旨の確証又は相手方がこれを有していた旨の確証
が得られたときは、その権利は、和解によってその当事者の一方に移転し、又は消滅し
たものとする。

(1)和解の確定効
和解した結果と異なる事実を証する証拠が、後日、出てきても、和解はなおその効力を
有する。
→ 例えば、和解により、権利の存在を認めた場合には、その後権利がなかったことが
  判明しても、当該権利は、和解によって当事者に移転したものとして取扱われる。
→ 和解契約である以上、一方当事者に債務履行があれば、他方当事者は和解契約
  を解除することができる。また、当事者の合意によって、当初から和解契約をなか
  ったものとすることもできる。

(2)和解の確定効が否定される場合
●● 最高裁判例「商品代金請求」(民集第12巻9号1492頁)
【裁判要旨】
仮差押の目的となつているジヤムが一定の品質を有することを前提として和解契約をな
したところ、右ジヤムが原判示の如き粗悪品であつたときは、右和解は要素に錯誤があ
るものとして無効であると解すべきである。
【理由】
本件和解は、本件請求金額六二万九七七七円五〇銭の支払義務あるか否かが争の目的で
あつて、当事者である原告(被控訴人、被上告人)、被告(控訴人、上告人)が原判示
のごとく互に譲歩をして右争を止めるため仮差押にかかる本件ジャムを市場で一般に通
用している特選金菊印苺ジャムであることを前提とし、これを一箱当り三千円(一罐平
均六二円五〇銭相当)と見込んで控訴人から被控訴人に代物弁済として引渡すことを約
したものであるところ、本件ジャムは、原判示のごとき粗悪品であつたから、本件和解
に関与した被控訴会社の訴訟代理人の意思表示にはその重要な部分に錯誤があつたとい
うのであるから、原判決には所論のごとき法令の解釈に誤りがあるとは認められない。
★ 和解の結果、給付することとなったものに瑕疵があった場合には(特選金菊印苺ジ
  ャムでなく、粗悪品のジャムであった。)、錯誤の主張が認められる。

●● 最高裁判例「損害賠償請求」(民集第22巻3号587頁)
【裁判要旨】
交通事故による全損害を正確に把握し難い状況のもとにおいて、早急に、小額の賠償金
をもつて示談がされた場合において、右示談によつて被害者が放棄した損害賠償請求
は、示談当時予想していた損害についてのみと解すべきであつて、その当時予想できな
かつた後遺症等については、被害者は、後日その損害の賠償を請求することができる。
【理由】
一般に、不法行為による損害賠償示談において、被害者が一定額の支払をうけること
で満足し、その余の賠償請求権を放棄したときは、被害者は、示談当時にそれ以上の損
害が存在したとしても、あるいは、それ以上の損害が事後に生じたとしても、示談額を
上廻る損害については、事後に請求しえない趣旨と解するのが相当である。
★ 示談書には、一般に、加害者が損害賠償を行うとともに、被害者は、それ以降、そ
  れ以上の請求を行わない旨が規定されている(これが、被害者側の譲歩に該当し、
  和解契約が成立することになる。)。最高裁は、「その当時予想できなかつた後遺
  症等」の損害については、なお賠償請求することができる場合があることを認め
  た。

■ 和解に係る最高裁判例
●● 最高裁判例「共有権確認等請求」(民集第15巻12号3092頁)
【裁判要旨】
本家と分家との間に議定書と題する書面により成立した利益配分に関する契約の効力に
ついて争があり、右議定書による契約上の権利の無効を確認することを含む和解契約
成立した場合において、議定書上の権利が和解前に消滅していたということでこれを確
認する趣意で和解をしたところ、当時右権利は消滅していなかつたことが判明したとい
う理由で、和解の無効を主張することは民法第六九六条により許されない。

●● 最高裁判例「小切手金請求」(民集第25巻3号264頁)
【裁判要旨】
賭博による債務履行のために第三者振出の小切手の交付を受けた所持人が、振出人
の間で小切手金の支払に関し和解契約を締結した場合においては、右契約の内容である
振出人の所持人に対する金銭支払の約定は、公序良俗に違反し無効である。

●● 最高裁判例「請求異議」(民集第30巻11号1036頁)
【裁判要旨】
訴訟上の和解によつて、建物の賃借人が賃料の支払を一か月分でも怠つたときは賃貸借
契約は当然解除となる旨の定めがされた場合においても、賃料の延滞が一か月分であ
り、賃借人は、和解成立後賃貸人から賃料の受領を拒絶されるまで、約二年間右一か月
分を除いては毎月の賃料を期日に支払つており、右延滞もなんらかの手違いによるもの
であつて賃借人がその当時これに気づいていなかつたなど判示の事情があり、賃貸借当
事者間の信頼関係が賃貸借契約の当然解除を相当とする程度にまで破壊されたといえな
いときは、右和解条項に基づき賃貸借契約が当然に解除されたものとは認められない。


■■■ 行政手続法と最高裁判例 ■■■
この9月11日に、総務省から「公職選挙法施行令の一部を改正する政令案」及び「公職
選挙法施行規則及び在外選挙執行規則の一部を改正する省令案」に対する意見の募集が
行われています。

この意見募集は、新設された行政手続法「第6章意見公募手続等」に基づくものです
(平成17年6月22日公布、平成18年4月1日施行)。

■ 意見公募手続
第三十九条 命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案
(命令等で定めようとする内容を示すものをいう。以下同じ。)及びこれに関連する資
料をあらかじめ公示し、意見(情報を含む。以下同じ。)の提出先及び意見の提出のた
めの期間(以下「意見提出期間」という。)を定めて広く一般の意見を求めなければな
らない。
2 前項の規定により公示する命令等の案は、具体的かつ明確な内容のものであって、
かつ、当該命令等の題名及び当該命令等を定める根拠となる法令の条項が明示されたも
のでなければならない。
3 第一項の規定により定める意見提出期間は、同項の公示の日から起算して三十日以
上でなければならない。
4 次の各号のいずれかに該当するときは、第一項の規定は、適用しない。
一 公益上、緊急に命令等を定める必要があるため、第一項の規定による手続(以下
「意見公募手続」という。)を実施することが困難であるとき。
二 納付すべき金銭について定める法律の制定又は改正により必要となる当該金銭の額
算定の基礎となるべき金額及び率並びに算定方法についての命令等その他当該法律の
施行に関し必要な事項を定める命令等を定めようとするとき。
三 予算の定めるところにより金銭の給付決定を行うために必要となる当該金銭の額の
算定の基礎となるべき金額及び率並びに算定方法その他の事項を定める命令等を定めよ
うとするとき。
四 法律の規定により、内閣府設置法第四十九条第一項 若しくは第二項 若しくは国家
行政組織法第三条第二項 に規定する委員会又は内閣府設置法第三十七条 若しくは第五
十四条 若しくは国家行政組織法第八条 に規定する機関(以下「委員会等」という。)
の議を経て定めることとされている命令等であって、相反する利害を有する者の間の利
害の調整を目的として、法律又は政令の規定により、これらの者及び公益をそれぞれ代
表する委員をもって組織される委員会等において審議を行うこととされているものとし
て政令で定める命令等を定めようとするとき。
五 他の行政機関が意見公募手続を実施して定めた命令等と実質的に同一の命令等を定
めようとするとき。
六 法律の規定に基づき法令の規定の適用又は準用について必要な技術的読替えを定め
る命令等を定めようとするとき。
七 命令等を定める根拠となる法令の規定の削除に伴い当然必要とされる当該命令等の
廃止をしようとするとき。
八 他の法令の制定又は改廃に伴い当然必要とされる規定の整理その他の意見公募手続
を実施することを要しない軽微な変更として政令で定めるものを内容とする命令等を定
めようとするとき。
★ 詳しくは、「【レジュメ編】行政法(その6〔1〕)(Vol. ’06-25)をご覧くだ
  さい。そして、この機会を利用して、行政手続法の意見公募手続等の復習をお願い
  します。

■ 公職選挙法の一部改正
これまで、在外選挙制度に関しては、衆議院と参議院の比例代表選挙について、在外公
館投票と郵便等投票の選択制が認められてきました。これが、公職選挙法の一部改正に
より、選挙区選挙も対象になりました(平成18年6月23日公布)。

ただし、施行は、公布後1年以内において政令で定める日とされていますが、このメル
マガ発行の日現在では、まだ施行されていません。したがって、一般知識等の対象にも
ならないはずです。

しかしながら、この意見公募手続は、つぎの最高裁判決が基になっています。少々長く
なりますが、裁判要旨の全文と理由の一部を掲載するので、憲法と絡めて、復習してお
いて下さい。

●● 最高裁判例「在外日本人選挙権剥奪違法確認等請求事件」(民集第59巻7号2087
   頁)
【裁判要旨】
(1)平成8年10月20日に施行された衆議院議員の総選挙当時、公職選挙法(平成10年法
   律第47号による改正前のもの)が、国外に居住していて国内の市町村の区域内に
   住所を有していない日本国民が国政選挙において投票をするのを全く認めていな
   かったことは、憲法15条1項、3項、43条1項、44条ただし書に違反する。
(2)公職選挙法附則8項の規定のうち、国外に居住していて国内の市町村の区域内に
   住所を有していない日本国民に国政選挙における選挙権の行使を認める制度の対
   象となる選挙を当分の間両議院の比例代表選出議員の選挙に限定する部分は、遅
   くとも、本判決言渡し後に初めて行われる衆議院議員の総選挙又は参議院議員の
   通常選挙の時点においては、憲法15条1項、3項、43条1項、44条ただし書に違反
   する。
(3)国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民が、次
   回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常
   選挙における選挙区選出議員の選挙において、在外選挙人名簿に登録されている
   ことに基づいて投票をすることができる地位にあることの確認を求める訴えは、
   公法上の法律関係に関する確認の訴えとして適法である。
(4)国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民は、次
   回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常
   選挙における選挙区選出議員の選挙において、在外選挙人名簿に登録されている
   ことに基づいて投票をすることができる地位にある。
(5)国会議員の立法行為又は立法不作為は、その立法の内容又は立法不作為が国民に
   憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合や、国
   民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執
   ることが必要不可欠であり、それが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理
   由なく長期にわたってこれを怠る場合などには、例外的に、国家賠償法1条1項の
   適用上、違法の評価を受ける。
(6)国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民に国政
   選挙における選挙権行使の機会を確保するためには、上記国民に上記選挙権の行
   使を認める制度を設けるなどの立法措置を執ることが必要不可欠であったにもか
   かわらず、上記国民の国政選挙における投票を可能にするための法律案が廃案と
   なった後、平成8年10月20日の衆議院議員総選挙の施行に至るまで10年以上の長
   きにわたって国会が上記投票を可能にするための立法措置を執らなかったこと
   は、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものというべきであり、国
   は、上記選挙において投票をすることができなかったことにより精神的苦痛を被
   った上記国民に対し、慰謝料各5000円の支払義務を負う。

【理由】
【裁判要旨】
(3)について:選挙権は、これを行使することができなければ意味がないものといわ
ざるを得ず、侵害を受けた後に争うことによっては権利行使の実質を回復することがで
きない性質のものであるから、その権利の重要性にかんがみると、具体的な選挙につき
選挙権を行使する権利の有無につき争いがある場合にこれを有することの確認を求める
訴えについては、それが有効適切な手段であると認められる限り、確認の利益を肯定す
べきものである。
【裁判要旨】
(5)について:国会議員の立法行為又は立法不作為が同項の適用上違法となるかどう
かは、国会議員の立法過程における行動が個別の国民に対して負う職務上の法的義務に
違背したかどうかの問題であって、当該立法の内容又は立法不作為の違憲性の問題とは
区別されるべきであり、仮に当該立法の内容又は立法不作為が憲法の規定に違反するも
のであるとしても、そのゆえに国会議員の立法行為又は立法不作為が直ちに違法の評価
を受けるものではない。
【裁判要旨】
(6)について:在外国民であった上告人らも国政選挙において投票をする機会を与え
られることを憲法上保障されていたのであり、この権利行使の機会を確保するためには
、在外選挙制度を設けるなどの立法措置を執ることが必要不可欠であったにもかかわら
ず、昭和59年に在外国民の投票を可能にするための法律案が閣議決定されて国会に提
出されたものの、同法律案が廃案となった後本件選挙の実施に至るまで10年以上の長
きにわたって何らの立法措置も執られなかったのであるから、このような著しい不作為
については、過失の存在を否定することはできない。このような立法不作為の結果、上
告人らは本件選挙において投票をすることができず、これによる精神的苦痛を被ったも
のというべきである。したがって、本件においては、上記の違法な立法不作為を理由と
する国家賠償請求はこれを認容すべきである。


■■■ 答練・公開模試の有効活用 ■■■
■ 開始時期に注意
いよいよ9月も下旬に入り、行政書士試験まで2ヵ月を切るまでになりました。今回
は、答練や公開模試の有効活用をご説明します。特に、今年に限っては、答練や公開模
試を有効活用できるかどうかが、行政書士試験の合否に大きく影響すると思われます。

しかしながら、まだ基礎体力が必ずしも十分ではない段階で無理して受験しても、時間
の無題に終わる可能性が高いので、開始時期には注意が必要です。予備校によっては、
夏休みに答練が始まっていますが、必ずしも賛成できません。それは、私の経験から
も、「合格」に至るための実力のピークは10月(できれば、中旬頃)に形成すべきであ
るからです。

また、無理して早期に実力を形成しても、今度はそれを試験当日まで維持するのが結構
大変です。答練の成績が上位の方でも、レベルの維持に失敗して涙を飲んだ方が多くい
ます。残念ながら、「不」合格体験記は公表されないので、あまり詳しい実態はわかり
ませんが、毎年こうした方々がいることだけは間違いありません。

答練・公開模試の目的は、何よりも「実戦」感覚を認識し、それに耐えられるように、
これまでに養成してきた基礎体力のレベルアップを図ることになります。そのために、
また、一発合格を目指すためにも、開始時期には注意して下さい。

■ 複数の予備校で腕試しを
今年から試験制度が変わります。いろいろな予想が可能ですが、こればかりは実際に初
回の試験が行われてみないことには分かりません。したがって、受験予備校のいろいろ
な予想パターンを知って、出題形式を想定しておくことは大事なことです。

また、記述式問題についても、穴埋め形式の出題から40字程度で記述する出題に変更さ
れることになっています。これに関しても、受験予備校のいろいろな予想パターンを知
って、出題形式を想定しておくことは大事なことです。

同時に、ある特定の受験予備校にのみ依存することが極めて危険であることを意味して
います。このことは、昨年までも一般教養(知識)について当てはまりましたが、今年
は、試験全体、記述式出題等の先例がないことから、それ以上に幅広い準備が必要で
す。

したがって、複数の予備校(できれば、3校程度以上)の答練や公開模試にチャレンジ
することをお勧めします。

■ 回数はほどほどに
予備校は3校程度(以上)にすることをお勧めしましたが、回数はほどほどで十分で
す。答練・公開模試を有効活用し、実力をアップされるには、復習が大事です。同じ問
題、あるいは類似したタイプや傾向の出題があった場合には、絶対に取りこぼさないよ
うに備えることに意味があります。

このことは、復習に相当の時間を要することを意味しています。最後の詰めの段階です
から、時間を掛け、じっくりとその分野に関する総仕上げをして下さい。したがって、
回数が多過ぎる場合には、十分な復習の時間が不足してしまいますので、かえって逆効
果になります。

なお、答練や公開模試では、通常、問題の解説が行われます。直前期に問題(特に、解
けなかった問題)に関する解説は意外に記憶に残ります。ぜひ、この解説も有効活用し
て下さい。

したがって、答練と公開模試は5回から7回程度が適当です(それぞれ3回前後)。な
お、公開模試は、実際の試験感覚(時間配分、問題を解く順番や解き方等)を磨くこと
に意味がありますので、できるだけ会場で受験して下さい。

■ 場合によっては、自宅受験を
答練の時期は必ずしも自己のペースに合っていない場合があります。この場合には、無
理して会場で受験せず、自宅受験とし、場合によっては、問題と解説の収集を主な目的
として、後日ゆっくり解いて下さい。

特に、答練は、これまでの基礎体力をベースに、実戦感覚を磨くことが主目的です。ど
のようなレベルであるのか(自己のレベルと試験のレベル)、その差はどの程度か、ど
こが弱点か、どの分野は基準に達しているのか等を確認することができれば十分です。

一見すると無駄なようにも思われますが、後日、復習(特に、解説の重点的な復習)を
行うことができれば、答練に関しては、十分に目的を達成することができます。こうし
た自宅受験も検討して下さい。

■ 商法に注意
今年に限って、「商法については、平成18年4月1日現在施行されている法令に関し
て出題しますが、会社法により実質的な改正が行われた部分については、原則出題しな
い」とされています。したがって、商法に関しては、出題分野が相当に限定されると思
われることから、答練や公開模試で出題された範囲に絞り込んで、対策を講じることが
有効です。

こうした状況では、商法の何が実質的に変更されていないのかを確認することは時間的
にも無駄ですから、こうした答練や公開模試で出題された範囲を有効活用することをお
勧めします。

また、憲法、行政法、民法、地方自治法等で十分な対応をしている限り、商法の得点が
たとえ50%以下(最悪の場合、全滅)であっても、合否には直接影響しない筈です。し
かも、商法会社法)の勉強は、今年改正された点が実務でも中心であるので、無理し
て実質的に変更されていないだけ箇所を探し、そこだけ勉強するのは時間的には、合格
後の実務を勘案すると、とても非効率です。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
★ 開始時期に注意
★ 複数の予備校で腕試しを:3校程度(以上)
★ 回数はほどほどに:5回から7回程度が適当(それぞれ3回前後)
★ 場合によっては、自宅受験
★ 商法に注意
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


■■■ お願い ■■■ 
継続して発刊するためには読者の皆様のご支援が何よりの活力になります。ご意見、ア
ドバイス、ご批判その他何でも結構です。内容、頻度、対象の追加や変更等について
も、どうぞ何なりと e-mail@ohta-shoshi.com までお寄せください。

質問は、このメールマガジンの趣旨の範囲内のものであれば、大歓迎です。ただし、多
少時間を要する場合があります。


■■■ 編集後記 ■■■
今回は、前回取上げた行政手続オンライン化法と対をなすe-文書法を取上げました。
いずれの法律とも条文数はわずかですから(それぞれ12条と9条)、すべての条文に目
を通すことをお勧めします。それによって、それぞれの法律の全体像を把握でき、ま
た、キーポイントの把握が容易になると思います。

ここまで来ると、これまでに勉強してきた箇所と重複したり、関連する箇所がいろいろ
出てきます。この場合、その都度丁寧にフォローアップしておくことが、合格につなが
ります。まだ時間は十分にありますので、「横」比較表やメモを作成しておくと、直前
期の総復習や総仕上げの際、とても便利です。

商法会社法)は、次回取上げる予定です。順序が変更になってしまい、申し訳ありま
せん。


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 マガジンタイトル:新・行政書士試験 一発合格!
 発行者:行政書士 太田誠   東京都行政書士会所属(府中支部)
 発行者Web:http://www.ohta-shoshi.com
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