• HOME
  • コラムの泉

コラムの泉

このエントリーをはてなブックマークに追加

専門家が発信する最新トピックスをご紹介(投稿ガイドはこちら

雇用契約と天変事変

━━☆━━━━━━━━━━━━━━ 雇用契約と天変事変 ━━━━━━━━━━━━━━━
         
┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏ C O N T E N T S┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏
┏┏┏
┏┏    ◇ 賃金請求権
┏┏      ・休業手当
┏┏      ・雇用調整助成金による雇用維持 
┏┏    ◇ 雇用保障    
┏┏      ・震災を理由とする解雇の効力
┏┏      ・雇用維持のための労働条件引き下げ
┏┏┏   
┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏┏┏      

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
                  賃金請求権 
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

賃金請求権の愚弟的な発生時期については、労働が実際になされた場合に初めて発生するもの
と理解されています。(民法624条)
しかし今回の東日本大震災のような大規模災害の場合は、事業所の損壊、労働者自身の被災や
避難、公共交通機関の被災、計画停電の影響などにより、労働が提供できないことになりま
す。
となると賃金請求権は発生しないのでしょうか。
否、上記民法624条の原則は、強行法規ではなく、異なる合意が労働者使用者にあれば、そ
ちらが優先的効力を持つ、という理解が強行法規ではないから可能なのです。
つまりその場合の異なる合意すなわち、労働協約就業規則、個別労働契約、労使慣行を通じ
個別事例ごとに確定されている合意事項が優先されるわけです。
例えば、災害時の通勤困難を理由とする特別休暇就業規則で定められている場合には、その
特別休暇の要件を満たす限り、労働者はその欠勤日の賃金を請求できる、というように。

しかしそういった特別の根拠規範が無い場合には、その判断は民法上の危険負担の原則(民法
536条)に拠るところとなり、労働者使用者いずれの責めにも帰すことのできない事由によ
る労働債務の不履行は、賃金請求権を有しないことになります。(同536条1項)
不可抗力はこの事由に当たり、震災のような天変事変の被害はその典型。

休業手当
不可抗力および使用者の帰責事由の範囲については、労基法26条の休業手当の成否判断にも密
接に関係してきます。

一般的に労基法26条の使用者の帰責事由のほうが、民法536条2項の帰責事由…故意・過失また
は信義則上これと同視すべき事由…よりも範囲が広く、使用者側に起因する経営、管理上の障
害(経営障害)を含むものと解されています。
また、労基法26条の帰責事由の不可抗力とは、
1.原因が事業の外部より発生し、かつ、
2.事業主が通常の経営者としての最大の注意を尽しても避け得ない事故、
をいうもの。

雇用調整助成金による雇用維持
雇用保険法は、景気の変動など経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主
がその雇用する労働者を休業、教育訓練、または出向させた場合に、休業手当の一部を助成し
ます。
中小企業向けに拡張した中小企業緊急雇用安定助成金制度も設けられており、東日本大震災の
被災地の事業主に、特別措置が設けられています。
要件を満たす事業主であれば、労基法26条にいう、使用者の帰責事由の有無にかかわらず、休
業させた労働者休業手当を支払っていれば、助成金を受給することができるということを留
意しておきましょう。

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
                   雇用保障  
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

●震災を理由とする解雇の効力
典型例は、経営悪化を理由とする整理解雇と考えられます。
使用者側の事情に基づく解雇の為、整理解雇の四要件に沿って判断されることになります。

 <四要件>
1.人員削減の必要性
2.解雇回避努力
3.人選の合理性
4.手続きの妥当性

事業場が直接被害を受けたか、間接被害にとどまったかでも判断基準は違ってきますが、後者
では事業が再開可能となるまで助成金の活用等により休業措置をとれば、解雇は回避できる場
合も多いのではないでしょうか。

雇用維持のための労働条件の引き下げ
上記整理解雇の四要件のうち、2.の要素として考慮されることもあります。
しかし、当然に引き下げが有効とされるわけではなく、労働条件の不利益変更の問題が生じま
す。
また、引き下げに、労働者の同意が必要となるとき…例えば、就業規則ではなく、個別の合意
で設定した労働条件を引き下げる場合など…には、引き下げを拒否した者を解雇対象とする場
合、2.に加え、3.も検討する必要が出てきます。


  _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
   
 ┏━━━━━┓CHECK >>> ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┛┃┏━┳━┛ ̄ ̄ ̄  ┃     社労・暁(あかつき)     ┃
  ┃┣━┫       ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
  ┗┣━┫         
 ┓ ┗┳┛         http://www18.ocn.ne.jp/~akatukip/ 
 ┗━━┛ 
     _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

名無し

閲覧数(6,341)

絞り込み検索!

現在22,361コラム

カテゴリ

労務管理

税務経理

企業法務

その他

≪表示順≫

※ハイライトされているキーワードをクリックすると、絞込みが解除されます。
※リセットを押すと、すべての絞り込みが解除されます。

スポンサーリンク

経営ノウハウの泉より最新記事

スポンサーリンク

労働実務事例集

労働新聞社 監修提供

法解釈から実務処理までのQ&Aを分類収録

注目のコラム

注目の相談スレッド

スポンサーリンク

PAGE TOP