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医師・看護師の行動特性改革で医療事故はなくせる!

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           シリーズ「コンピテンシーをレビューする!」

<第355回>[(第13話)「医師・看護師の行動特性改革で医療事故はなくせる!」]

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今話題の「会社を救うコンピテンシー」とは何かとコンピテンシーの導入の必要
性について、分かりやすく解説します。今回のシリーズでは、「コンピテンシー
をレビューする!」と題して様々な角度から鋭く分析した記事を紹介していきま
す。中小企業の経営者の方、管理者の方、人事担当者の方に是非ともお読みいた
だきたいと思います。

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今回のメニュー
【1】心に刻んでおきたい言葉
【2】メルマガ本論
1.過度の分業体制でチームワークに欠陥あり!
2.スタッフとカツ丼を食べに行き、自らも縫合のレビューをする医師!
3.100%任務を遂行する高い意識!
【3】今日のまとめ
【4】編集後記

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近年になって、それはもう多くの医療事故が報道されるようになった。かつては
多くの医療事故が闇に葬られていたと推定される。患者も家族もカルテなど見せ
られたこともなく、心不全とか肝不全などで様態が急変したと言われれば返す言
葉もなかったわけだ。裁判沙汰になったときのことを考えてカルテを改ざんした
り、医師と看護師などが口裏合わせをする例もあるくらいだ。

製造業では昔から不良の発生を如何にして低減させようかと日夜取り組んできた
が、バブル期に比べてむしろ不良は増えている。顧客先や市場に出荷されてから
の重要事故も増えており、それが原因で会社が倒産や解体に追い込まれた例もあ
る。

例えば雪印乳業の食中毒事故などは記憶に新しい。管理の網の目をかいくぐって
不良や事故が発生し、社会的制裁を受け、莫大な異常費用(Fコスト)で資金繰
りが悪化し経営が立ち行かなくなるのだ。

品質管理部あるいは品質保証部という組織まで設けて管理していても不良や事故
が生じるのに、医療機関においてはそのような組織はほとんどないに等しい。患
者は大切なお客であるとの観点に立って顧客(患者様)満足度(CS:Customer
Satisfaction)を向上させる活動に取り組んでいる医療機関が果たしていくつあ
るのだろうかと疑いたくなる。従って製造業の不良や事故をはるかに超える頻度
で医療ミスや医療事故が発生していると推定されるわけだ。

医師と看護師、それに医療スタッフとの意思の疎通が不十分で、医師が走り書き
した(最近はPCに入力したりして改善されている医療機関も多い)カルテに基
づいて関係する多くの人が仕事をしている。看護師が間違えた薬剤を注射したり、
薬局が間違えた薬を支給したりする可能性は高い。患者を取り替えて手術したり、
器具を患者の体内に置き忘れる例は頻繁に発生している。患者の確認すらろくに
できていない例で、お粗末過ぎる。

看護師のレベルを疑いたくなる事故もある。消毒薬を注射して死に至らせたり、
動脈と静脈を間違えて注射して死に至らせた例もある。血液型を間違えて輸血し、
死に至らせた例も珍しくない。

そこで今回は「医師・看護師の行動特性改革で医療事故はなくせる!」と題して、
「医療スタッフのチームワーク力を向上する」ための行動特性改革の方法につい
て解説する。



【1】心に刻んでおきたい言葉

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仕事は一人でできるものではない。関係する全ての人が寄り集まって、それぞ
れ知恵を出し合ってこそ、よい仕事ができるものだ。

                          松下幸之助

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【2】メルマガ本論

[(第13話)医師・看護師の行動特性改革で医療事故はなくせる!]

1.過度の分業体制でチームワークに欠陥あり!

公的医療機関の70%以上が赤字経営だというから驚く。そんな中、医師不足や
看護師などのスタッフ不足にあえいでいる医療機関は多い。

だが、不思議でならないのが過度の分業体制だ。医師の指示で看護師Aが採血す
る。看護師Bがその血液を検査室に運ぶ。検査員Cが検査し判明した血液型を記
録する。その逆コースをたどって患者の血液型を医師がカルテに記録する。もう、
このプロセスで他人の血液型と取り違えて記録される。輸血ミスが起こる原因を
分業が作っているようなものだ。中には採血した血液に患者の名前を取り違えて
書いてしまったミスも報道されている。

製造業では「5S」という活動をやっている企業が多い。整理、整頓、清掃、清
潔、躾のことだ。それと並行して「識別表示管理」が徹底される。しかも一人の
担当が極力仕事のフルコースを担う。つまり「セル生産システム」に近い仕事の
やり方だから過度の分業にはなりにくい。つまり、自分の仕事を責任を持って遂
行する仕組みになっているのだ。

過度の分業は責任感を希薄にさせ、しかも非効率化を招く。人手がないからこそ、
前述の製造業のようなシステムを医療機関にも導入すべきなのだ。


2.スタッフとカツ丼を食べに行き、自らも縫合のレビューをする医師!

日本で初めて肺の移植手術を成功させた凄腕の呼吸器外科医が京都大学医学部付
属病院にいる。伊達洋至医師(51歳)だ。伊達医師の元には25人のスタッフ
がおり、もちろん伊達医師がリーダーだ。

伊達医師は日本だけでなく世界でも飛びぬけて優秀な呼吸器外科医の一人と言わ
れている。だが、最善を尽くしても命を救ってやれなかった少女がいて、懺悔の
気持ちにさいなまれる。その少女の写真を見て、「力をください」とお願いして
から手術室に向かう。

朝の通勤では通りすがりのお寺に寄り、手を合わせるのが日課だ。心静かに自分
を戒める時間を大切にしている。難しい手術の前夜、ガーゼを使って縫合のレビ
ューをする。短時間で確実に縫合を終え、患者の負担を少なくするためだ。大き
な手術の前にはスタッフを連れて行きつけのカツ丼屋に食事に行く。チームワー
クを強固なものにして「手術に勝つ」という思いを込めている。そして、肺がん
の手術や肺の移植手術は成功するのだ。

伊達医師の下には他の病院でさじを投げられた患者が数多くやってくる。わらを
も掴む覚悟でやってきた患者を助けるためにはスタッフ全員のチームワークと連
携が欠かせないことを伊達医師は百も承知しているのだ。

NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」に出演したとき、「プロフェッショ
ナルとは」の問いに対して「自分がプロフェッショナルかどうかは分からないで
すが、イメージとしては努力をしてですね、他の人には真似のできないような技
術を持った人と思います」と静かな口調で答えていたのが印象的だ


3.100%任務を遂行する高い意識!

多くの医療機関においては「チームワーク」や「連帯感」が不足している。医師
の多くはプライドが高く看護師や医療スタッフを従属者、平たく言えば“手下”
ぐらいに思っているのではないか。

看護師やスタッフもドクターに叱られたり嫌われるのを敬遠して疑問があっても
質問して確認することを怠りがちだ。

さらに「「冷静さ」、「慎重さ」、「几帳面さ」などが欠けている。患者を動物
実験のマウスぐらいに考えてはいないだろうか。

伊達医師のリーダーシップの下にスタッフ一同は100%任務を遂行するという高
い意識(モチベーション)を持って手術に臨んでいる。

もちろん、マニュアルやそれに基づいた教育訓練は重要だしIT化でミスを防
ぐことも重要だ。それだけでは十分とは言えず100%任務を遂行するという一人
ひとりの高い意識の基にチームワーク力を発揮しなければ医療事故はなくせない。



【3】今日のまとめ

1.多くの医療事故が報道されているのに減る気配がないこと。その原因の一つ
  が過度の分業体制による責任感の希薄さにあること。

2.呼吸器外科医として世界的にも有名な伊達洋至医師は、通勤途中にお寺に
  寄り、手を合わせ、静かに自分を戒める時間を取っていること。

3.手術前、ガーゼを使って縫合のレビューをしたり、スタッフを食事に誘い、
  カツ丼を食べてチームワークを盛り上げていること。

4.一人ひとりが100%任務を遂行する高い意思を持ち、かつチームワーク力を
  発揮しなければ医療事故はなくせないこと。

コンピテンシーの導入について支援します。ご相談はこちらへ
⇒ 3223898301@jcom.home.ne.jp



【4】編集後記

医療ミスをなくすために患者にバーコードを付け、看護師がバーコードリーダー
で読み取って確認をしながら仕事をしている医療機関もある。それはそれとして
ミス撲滅に役立つ。

だが、難しい手術などは医師を中心としたスタッフ全員のチームワークがものを
言う。チームワーク力なるコンピテンシーを磨けば医療事故はきっと激減できる。

=長文を最後までお読みいただきましてありがとうございます。=


次回に続く。

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発行責任者:さいたま市中央区上落合5丁目19-29
        彩愛コンサルピア代表 下山明央
この記事に関するご感想、ご意見はこちらから 3223898301@jcom.home.ne.jp
彩愛コンサルピアのHPは、
こちらから http://members.jcom.home.ne.jp/3223898301/

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