”日本版ホワイトカラー・エグゼンプション”とは何ですか?
こんにちは
社会保険労務士の三木です。
今日は一日雨模様で肌寒く、一抹の淋しさを感じさせる日でした。(10/6)
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労働基準法の改正と
労働契約法の制定に向けた、厚労省労働政策審議会の
労働条件分科会の議論が進んでいないようですね。今回は、その目玉?とされている「自律的
労働時間制度」について記載してみます。この制度は特に労使の考え方の違いが際立っている部分で、来年の国会提出には時期尚早の感があります。
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自律的
労働時間制度(仮称)の創設について
(基本的な考え方)
産業構造が変化し就業形態・就業意識の多様化が進む中、高付加価値の仕事を通じたより一層の自己実現や能力発揮を望み、緩やかな管理の下で自律的な働き方をすることがふさわしい仕事に就く者について、一層の能力発揮をできるようにする観点から、現行の
労働時間制度の見直しを行う。
〔対象
労働者の要件等〕
★ 自律的な働き方をすることがふさわしい仕事に就く者とは次のような者ではないか。
.
使用者から具体的な
労働時間の配分の指示がされないこと、及び業務量の適正化の観点から、
使用者から業務の追加の指示があった場合は既存の業務との調節(例えば、
労働者が追加の業務指示について一定範囲で拒絶できるようにすること、労使で業務量を計画的に調整する仕組みを設けていること)ができるようになっていること。
.
労働者の健康が確保されるという視点が重要であり、以下の要件が満たされていること。
ア.週休2日相当の
休日、一定日数以上の連続する
特別休暇があることなど、相当程度の
休日が確保されることが確実に見込まれること。
イ.健康確保のために健康をチェックし、問題があった場合には対処する仕組み(例えば、
労働者の申出により、又は定期的に医師による面接指導を行うこと)が整っていること。
ウ.年間に支払われることが確実に見込まれる
賃金の額が、自律的に働き方を決定できると評価されるに足る一定水準以上の額であること。
★ 上記の事項について、対象
労働者と個別の
労働契約で書面により合意していることが必要ではないか。
★ ネガティブリストとして、物の製造の業務に従事する者等を指定して、この制度の対象とはならないことを明確にすることが必要ではないか。
〔導入要件等〕
★ 労使の実質的な協議に基づく合意により、新制度の対象
労働者の範囲を具体的に定めることとするのが適当ではないか。また、年収が特に高い
労働者については、協議を経ずに対象
労働者とすることができるようにすることが考えられないか。
★ 対象
労働者の範囲を労使合意で具体的に明確にする際には、当該
事業場の全
労働者の一定割合以内とすることが必要ではないか。
★
就業規則において、適用される
賃金制度が他の
労働者と明確に区分されており、
賃金台帳に個別に明示されていることが必要ではないか。
〔効果〕
★
労働基準法第35条(
法定休日)及び第39条(
年次有給休暇)は適用し、その他の
労働時間、
休憩及び
休日に関する規定並びに深夜業の
割増賃金に関する規定を適用しないこととしてはどうか。
〔適正な運用を確保するための措置等〕
★ 適正な運用を確保するため、次のような措置等を講ずることとしてはどうか。
ア.苦情処理制度を設けることを義務付けること。
イ.重大な違背があった場合は、
労働者の年収に一定の割合を乗じた補償金を対象
労働者に支払うものとすること。
ウ.要件違背の場合、行政官庁は、改善命令を発することができること。改善命令に違背した場合は、当該対象
労働者を通常の
労働時間管理に戻す命令や制度(全体)の廃止命令を発出することができるものとすること。
★ 要件違背の場合に、
労働基準法第32条違反等と整理するとともに、別途自律的
労働時間制度の手続違反として厳正な
履行の確保を図ることが考えられないか。
(以上、ほぼ原文のまま)
○労働側の反対意見として、「裁量労働などの既存の制度で十分であり、長時間労働ひいては過労死に繋がる場合もある」、「
法定労働時間の枠から外し、残業時間の圧縮を狙ったもの」など
○経営側は、「ホワイトカラー層は
労働時間の長短ではなく、成果で評価すべき」と歓迎
(もちろん、制度創設の申し入れが経済団体から出されているものですから当然ですが)
ちなみに日本経団連は、対象者の
賃金について「一定水準以上の額」を年収400万円程度と主張しています。(厚生労働省案では1,000万円程度)
★いずれにしても、
裁量労働制ですら抜け穴が多いとされている昨今、まだ議論の域を出るものでなく、多くの問題を含んでいるものと考えます。
///////////////////////////////////////////////////////
【免責条項】
記載内容にには細心の注意を払っておりますが、記載内容によって
生じた損害については責任を負いかねますので、ご了承願います。
三木経営
労務管理事務所
http://www012.upp.so-net.ne.jp/palm/
”日本版ホワイトカラー・エグゼンプション”とは何ですか?
こんにちは 社会保険労務士の三木です。
今日は一日雨模様で肌寒く、一抹の淋しさを感じさせる日でした。(10/6)
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労働基準法の改正と労働契約法の制定に向けた、厚労省労働政策審議会の労働条件分科会の議論が進んでいないようですね。今回は、その目玉?とされている「自律的労働時間制度」について記載してみます。この制度は特に労使の考え方の違いが際立っている部分で、来年の国会提出には時期尚早の感があります。
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自律的労働時間制度(仮称)の創設について
(基本的な考え方)
産業構造が変化し就業形態・就業意識の多様化が進む中、高付加価値の仕事を通じたより一層の自己実現や能力発揮を望み、緩やかな管理の下で自律的な働き方をすることがふさわしい仕事に就く者について、一層の能力発揮をできるようにする観点から、現行の労働時間制度の見直しを行う。
〔対象労働者の要件等〕
★ 自律的な働き方をすることがふさわしい仕事に就く者とは次のような者ではないか。
.使用者から具体的な労働時間の配分の指示がされないこと、及び業務量の適正化の観点から、使用者から業務の追加の指示があった場合は既存の業務との調節(例えば、労働者が追加の業務指示について一定範囲で拒絶できるようにすること、労使で業務量を計画的に調整する仕組みを設けていること)ができるようになっていること。
.労働者の健康が確保されるという視点が重要であり、以下の要件が満たされていること。
ア.週休2日相当の休日、一定日数以上の連続する特別休暇があることなど、相当程度の休日が確保されることが確実に見込まれること。
イ.健康確保のために健康をチェックし、問題があった場合には対処する仕組み(例えば、労働者の申出により、又は定期的に医師による面接指導を行うこと)が整っていること。
ウ.年間に支払われることが確実に見込まれる賃金の額が、自律的に働き方を決定できると評価されるに足る一定水準以上の額であること。
★ 上記の事項について、対象労働者と個別の労働契約で書面により合意していることが必要ではないか。
★ ネガティブリストとして、物の製造の業務に従事する者等を指定して、この制度の対象とはならないことを明確にすることが必要ではないか。
〔導入要件等〕
★ 労使の実質的な協議に基づく合意により、新制度の対象労働者の範囲を具体的に定めることとするのが適当ではないか。また、年収が特に高い労働者については、協議を経ずに対象労働者とすることができるようにすることが考えられないか。
★ 対象労働者の範囲を労使合意で具体的に明確にする際には、当該事業場の全労働者の一定割合以内とすることが必要ではないか。
★ 就業規則において、適用される賃金制度が他の労働者と明確に区分されており、賃金台帳に個別に明示されていることが必要ではないか。
〔効果〕
★ 労働基準法第35条(法定休日)及び第39条(年次有給休暇)は適用し、その他の労働時間、休憩及び休日に関する規定並びに深夜業の割増賃金に関する規定を適用しないこととしてはどうか。
〔適正な運用を確保するための措置等〕
★ 適正な運用を確保するため、次のような措置等を講ずることとしてはどうか。
ア.苦情処理制度を設けることを義務付けること。
イ.重大な違背があった場合は、労働者の年収に一定の割合を乗じた補償金を対象労働者に支払うものとすること。
ウ.要件違背の場合、行政官庁は、改善命令を発することができること。改善命令に違背した場合は、当該対象労働者を通常の労働時間管理に戻す命令や制度(全体)の廃止命令を発出することができるものとすること。
★ 要件違背の場合に、労働基準法第32条違反等と整理するとともに、別途自律的労働時間制度の手続違反として厳正な履行の確保を図ることが考えられないか。
(以上、ほぼ原文のまま)
○労働側の反対意見として、「裁量労働などの既存の制度で十分であり、長時間労働ひいては過労死に繋がる場合もある」、「法定労働時間の枠から外し、残業時間の圧縮を狙ったもの」など
○経営側は、「ホワイトカラー層は労働時間の長短ではなく、成果で評価すべき」と歓迎
(もちろん、制度創設の申し入れが経済団体から出されているものですから当然ですが)
ちなみに日本経団連は、対象者の賃金について「一定水準以上の額」を年収400万円程度と主張しています。(厚生労働省案では1,000万円程度)
★いずれにしても、裁量労働制ですら抜け穴が多いとされている昨今、まだ議論の域を出るものでなく、多くの問題を含んでいるものと考えます。
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【免責条項】
記載内容にには細心の注意を払っておりますが、記載内容によって
生じた損害については責任を負いかねますので、ご了承願います。
三木経営労務管理事務所
http://www012.upp.so-net.ne.jp/palm/