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経営・
労務管理ビジネス用語の
あれっ! これ、どうだった?!
第57回 外国人
労働者の
雇用とその留意事項は?
<第72号> 平成23年10月3日(月)
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こんにちは!
メルマガ初訪問の皆さま、ありがとうございます。
2か月間休載しましたが、再開させていただきます。
亥年のアラ還、小野寺です。
実は、この間に新たなメルマガ(有料)を発行する準備を
していたために休載させていただきました。
何とか9月2日(金)を第1号として発刊することができました。
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社労士として学び続けてきた一つの集大成として、
また各種の労働相談を受けている内容を踏まえて
事業主はもとより、実務担当者だけでなく、専門的な知識を
必要とする、例えば
社労士の資格を取ろうとしている方にも
必ずや大きな力になるものと確信しています。
どうか、本号とともにご愛読のほど、宜しくお願いします。
さて、本論ですが、あるイベントで知り合いの社長と懇談した際、
今度、我が社で外国人
労働者を雇う予定だが、何か法的に
留意しておくことや注意すべきことがあったら教えてほしい、
とのことでした。
今回は、この点について考えてみます。
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採用から
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事項等で必要の都度、合間に臨時号の発行あり。
・なお、申込当月分の購読料は無料ですので、気軽に
覗いてみて下さい。
・詳細は、以下からご覧ください。
http://www.mag2.com/m/0001323932.html
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○ 近年、我が国において海外諸国からの外国人が、
在留資格に基づいて就労する方が増えています。
しかし、その就労実態は日本人に比べてかなり低劣な
労働条件で
過酷な労働を強いられている場合も多く見られます。
そこで平成19年10月1日付で
雇用対策法が改正され、
外国人が
在留資格の範囲内で、その能力を有効に発揮しながら
適正に就労できるよう、外国人
雇用に関する基本ルールが
整備されました。
特に「外国人
労働者の
雇用管理の改善等に関して事業主が
適切に対処するための指針」に具体的に示されていますので、
その中から、外国人の使用に当たって、実務上の
雇用管理の
改善等に関するポイントについて解説します。
◆◆ 我が国で就労できる外国人のカテゴリー ◆◆
○ 海外諸国から来日する多くの外国人の中で、
実際に
報酬を得て就労できるのは、どういうカテゴリーの者か
「出入国管理及び
難民認定法」(以下「入管法」)に基づき
以下の形態における就労が可能とされています。
ここで、「外国人」とは、日本
国籍を有しない者をいい、
特別
永住者並びに
在留資格が「外交」及び「公用」の者を
除くものとすると定義されています。
1.就労目的で在留が認められる者(いわゆる「専門的・
技術的分野」)。
●その範囲は「産業及び国民生活等に与える影響」を総合的に
勘案して個々の職種ごとに決定するものとしています。
その
在留資格は大別して(1)高度な専門的な職業、(2)大卒
ホワイトカラー・技術者、(3)外国人特有又は特殊な能力等を
活かした職業、に分類されています。
そして、各
在留資格に定められた範囲で、
報酬を受ける
活動が可能となっています。
(1)高度な専門的な職業(カッコ内は具体例、以下同じ)。
イ.教授(大学教授)
ロ.投資・経営(外資系企業の経営者、管理者)
ハ.法律・
会計業務(弁護士、
会計士)
ニ.医療(医師、歯科医師、看護師、薬剤師、診療放射線技士)
ホ.研究(政府関係機関、企業等の研究者)
ヘ.教育(高等学校、中学校等の語学教師)
(2)大卒ホワイトカラー、技術者。
イ.技術(機械工学等の技術者、システムエンジニア等の
エンジニア)
ロ.人文知識(企画、営業、経理などの事務職)
ハ.企業内転勤(外国の事業所からの転勤者で、上記イ.ロ
の
在留資格と同じ)
(3)外国人特有又は特殊な能力等を活かした職業。
イ.国際業務(英会話学校などの語学教師、通訳・翻訳、
デザイナー等)
ロ.技能(外国料理人、外国建築家、宝石加工、パイロット、
スポーツ指導者等)
2.身分に基づき在留する者(「定住者=主に日系人」
「
永住者」「日本人の配偶者等」など)。
●これらの
在留資格は、在留中の活動に制限がないため、
さまざまな分野で
報酬を受ける活動が可能となっています。
3.特定活動等(技能実習、EPAに基づく外国人看護師・
介護福祉士候補者、外交官等に
雇用される家事使用人、
ワーキングホリデー等)
●「特定活動」の
在留資格で我が国に滞在する外国人は、
個々の許可の内容により
報酬を受ける活動の可否が
決定されます。
●技能実習生は、入国時は
雇用関係のない「研修」の
在留資格で
入国し、1年経過後に
雇用関係のある技能実習(
在留資格「
特定活動」)に移行します。
ただし、平成22年7月1日の改正入管法施行後に入国した者は
入国当初から
雇用関係のある「技能実習」の
在留資格が
付与されることになります。
●我が国における民間の、一般事業所ではこれと次のケースで
外国人
労働者を
雇用する場合が多いと考えられますが、その場合、
労働基準法、
最低賃金法等の国内法規が適用となりますので、
その対応には十分注意する必要があります。
4.資格外活動(留学生のアルバイト等)。
●本来の
在留資格の活動を阻害しない範囲内(1週間当り
28時間以内)で、相当と認められる場合に
報酬を受ける
活動が許可されます。
◆◆ 外国人
労働者の
雇用管理の改善等に関して
事業主が講ずべき措置とは ◆◆
1.基本的な考え方:
○ 事業主は、外国人
労働者について、
(1)労働関係法令及び
社会保険関係法令を遵守しなければ
なりません。
(2)外国人
労働者が適切な
労働条件及び安全衛生のもと、
在留資格の範囲内で能力を発揮しつつ就労できるように、
この指針で定める事項について、適切な措置を講ずるようにと
しています。
2.外国人
労働者の募集及び
採用の適正化。
(1)募集に当たって:
○ 募集に当たって、従事すべき業務内容、
賃金、
労働時間、
就業場所、
労働契約期間、労働・
社会保険関係法令の
適用に関する事項について、
書面の交付又は電子メール(希望のあった場合に限る)により
明示すること。
特に、外国人が国外に居住している場合は、事業主による
渡航
費用の負担、住居の確保等の募集条件の詳細について
あらかじめ明確にするよう努める必要があります。
○ また、国外に居住する外国人
労働者のあっせんを受ける
場合には、許可又は届出のある職業紹介
事業者から
受けるものとし、
職業安定法又は
労働者派遣法に違反する者からは
あっせんを受けないよう注意しなければなりません。
さらに、職業紹介
事業者に対して求人の申込みを行う場合、
国籍による条件を付すなどの
差別的取扱いをしないように
十分留意しなければなりません。
(2)
採用に当たって:
○
採用に当たっては、あらかじめ、
在留資格上、
従事することが認められる者であることを確認することとし、
従事することが認められない者については、
採用できません。
在留資格の範囲内で、外国人
労働者がその有する能力を
有効に発揮できるよう、公平な
採用選考に努める
必要があります。
○ 新規学卒者等を
採用する際に、留学生であることを
理由として、その対象から除外することのないように
するとともに、
異なる教育、文化等を背景とした発想が期待できる留学生の
採用により、企業の活性化・国際化を図るために、
留学生向けの募集・
採用を行うことも効果的であることに
留意すべきとしています。
3.適正な
労働条件の確保:
(1)
均等待遇=
労働者の
国籍を理由として、
賃金、
労働時間
その他の
労働条件について、
差別的取扱いをしてはなりません。
(2)
労働条件の明示=外国人
労働者との
労働契約の締結に
際し、
賃金、
労働時間等主要な
労働条件について、
当該外国人
労働者が理解できるように、その内容を明らかにした
書面を交付しなければなりません。
(3)適正な
労働時間の管理等=適正な
労働時間の管理はもとより
労働者名簿等の調製を行う必要があります。
また、外国人
労働者の旅券等を保管してはなりません。
さらに、
退職の場合には、その
労働者の権利に属する金品を
返還しなければなりません。
(4)労基法等関係法令の周知=関係法令の定めにより
その内容について周知すべきこと。その際には、分かり易い
説明書を用いるなど、
外国人
労働者の理解を促進するために必要な配慮を
するよう努めなければなりません。
4.安全性の確保:
(1)
安全衛生教育の実施=外国人
労働者に対して「安全衛生
教育」を実施する場合には、当該外国人
労働者がその内容を
理解できる方法により行うこととしています。
特に、外国人
労働者に使用させる「機械設備、安全装置又は
保護具」の使用方法等が確実に理解されるよう留意する
必要があります。
(2)
労働災害防止に関する標識、掲示等=
事業場内における
「
労働災害防止に関する標識、掲示等」について、
図解等の方法を用いるなど、外国人
労働者がその内容を
理解できる方法により行うように努めることとしています。
また、
労働安全衛生法等の定めに基づいて「
健康診断」を
実施しなければなりません。
5.
雇用保険、
労災保険、
健康保険及び
厚生年金保険の適用:
(1)制度の周知及び必要な手続の
履行=
雇用保険、
労災保険、
健康保険及び
厚生年金保険に係る法令の内容及び
保険給付に係る請求手続等について、周知に努めるべきと
しています。
また、労働・
社会保険に係る法令に基づき、
被保険者に
該当する外国人
労働者に係る適用(加入)手続等、必要な
手続を取らなければなりません。
(2)
保険給付の請求等についての援助=外国人
労働者が
離職する場合には、「
離職票」の交付等、必要な手続を
行うとともに、
失業等給付の受給に係る
公共職業安定所の窓口の案内、
その他必要な援助を行うよう努めなければなりません。
労働災害等が発生した場合には、労災
保険給付の請求その他の
手続に関し、外国人
労働者からの相談に応じるとともに、
当該手続を代行する必要があります。
厚生年金保険の加入期間が6か月以上の外国人
労働者が帰国する
場合、帰国後に「
脱退一時金」の支給を請求できる旨を説明し、
年金事務所等の関係機関の窓口を案内するよう努めることと
しています。
※ 指針ではまだ様々な部門に関して具体的に定めていますが
詳細を参照したい場合は、以下のURLからご覧下さい。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/gaikokujin-koyou/01.html
◆◆ 外国人
労働者の雇入れ及び離職の際の
届出が義務化 ◆◆
○ 冒頭に述べたように、平成19年10月1日の改正
雇用
対策法において、外国人の雇入れ及び離職の際に、
その氏名、
在留資格等について
ハローワークへの届出が
必要となりました。
その際、その外国人
労働者が
雇用保険の
被保険者であると
否とを問わず、届出が必要です。
なお、対象となる外国人とは、日本の
国籍を有しない
「特別
永住者」又は
在留資格「外交・公用」以外の者と
されています。
1.
雇用保険の
被保険者である外国人の場合。
○ 届出には、通常の「
雇用保険被保険者資格取得(喪失)
届」の様式を用い、次の内容を記載して届け出ることに
なります。
(1)氏名、(2)
在留資格、(3)在留期限、(4)生年月日
(5)性別、(6)
国籍、(7)資格外活動の許可の有無、
(8)雇入れに係る事業所の名称及び所在地、
(9)
賃金その他の
雇用状況に関する事項、(10)住所、
(11)離職に係る事業所の名称及び所在地
○ 届出先は、
雇用保険設置事業所を管轄する
ハローワーク
であり、提出期限は、雇入れの場合は翌月10日まで、
離職の場合はその翌日から起算して10日以内となっています。
※ 上記のうち(7)(8)については雇入れ時のみの届出
事項であり、(9)(10)(11)については離職時のみの
届出事項となっています。
2.
雇用保険の
被保険者でない外国人の場合。
○ 届出様式に、次の事項を記載して、当該外国人が
勤務する事業所施設(店舗、工場等)を管轄する
ハローワークとなっています。
(1)氏名、(2)
在留資格、(3)在留期限、(4)生年月日、
(5)性別、(6)
国籍、(7)資格外活動の許可の有無。
なお、(7)については、雇入れ時のみの届出となります。
○ 提出期限は、雇入れ、離職の場合ともに翌月末日までと
されています。また、届出様式は、
ハローワークの窓口で
配布されているほか、ホームページからもダウンロード
することができます。
○ 最後に、筆者が担当している某公共機関の労働相談
コーナーにも、よく外国人
労働者からの相談があります。
ほとんどは、労基法違反、
最低賃金法違反の可能性のある
内容のものです。
必要に迫られて働く外国人にとって、言葉の壁や
日本の法律について無知なこともあり、
使用者がその弱みに付け込んだ措置を採ることから
発生しているようです。
今や、国際交流の時代。
日本の恥とならないよう、本号で示した指針の内容を
踏まえて、適切な対応を採っていただくよう、
衷心よりお願いして本稿を終えたいと思います。
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
■■ 編集後記 ■■
きょうも最後までお読みいただきありがとうございます。
厚生労働省は、今春の新卒者のうち、
内定を取り消された人が598人(8月末時点)になったと
発表しました。
東日本大震災の影響が大きいとみられ、7月末時点から
さらに42人も増加しているとのこと。
また、震災の影響で入社時期が延期された人は2556人で
うち226人は8月末でも出社していないといいます。
まだまだ、震災の影響が大きいようです。
しかも、台風12号と15号のダブルパンチで
被害が更に広がっており、
復旧・復興はまだまだ遠い状況であり、
かける言葉もありません。
「人は支え合い、協力し合うことで希望を見いだし、
未来へ進むことができると信じています。
いつまでも下を向いていては何も変わりません。」
これは、自宅を津波で流された宮城県柴田高校野球部主将、
佐藤祐次さんが全国高校野球選手権宮城大会の選手宣誓の
ときの言葉です。
被災地の方々のほうがしっかりと未来を見据えて希望を
もって生き抜いている姿に逆に教えられます。
では、また次号でお会いしましょう。
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★メールマガジン「経営・
労務管理ビジネス用語の
あれっ!これ、どうだった?!」
★発行責任者 小野寺 弘
★E-mail
info@ho-wiki06.com
★発行者サイト
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★発行システム:『まぐまぐ』
http://www.mag2.com/
★配信中止:
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経営・労務管理ビジネス用語の
あれっ! これ、どうだった?!
第57回 外国人労働者の雇用とその留意事項は?
<第72号> 平成23年10月3日(月)
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○ 近年、我が国において海外諸国からの外国人が、
在留資格に基づいて就労する方が増えています。
しかし、その就労実態は日本人に比べてかなり低劣な労働条件で
過酷な労働を強いられている場合も多く見られます。
そこで平成19年10月1日付で雇用対策法が改正され、
外国人が在留資格の範囲内で、その能力を有効に発揮しながら
適正に就労できるよう、外国人雇用に関する基本ルールが
整備されました。
特に「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が
適切に対処するための指針」に具体的に示されていますので、
その中から、外国人の使用に当たって、実務上の雇用管理の
改善等に関するポイントについて解説します。
◆◆ 我が国で就労できる外国人のカテゴリー ◆◆
○ 海外諸国から来日する多くの外国人の中で、
実際に報酬を得て就労できるのは、どういうカテゴリーの者か
「出入国管理及び難民認定法」(以下「入管法」)に基づき
以下の形態における就労が可能とされています。
ここで、「外国人」とは、日本国籍を有しない者をいい、
特別永住者並びに在留資格が「外交」及び「公用」の者を
除くものとすると定義されています。
1.就労目的で在留が認められる者(いわゆる「専門的・
技術的分野」)。
●その範囲は「産業及び国民生活等に与える影響」を総合的に
勘案して個々の職種ごとに決定するものとしています。
その在留資格は大別して(1)高度な専門的な職業、(2)大卒
ホワイトカラー・技術者、(3)外国人特有又は特殊な能力等を
活かした職業、に分類されています。
そして、各在留資格に定められた範囲で、報酬を受ける
活動が可能となっています。
(1)高度な専門的な職業(カッコ内は具体例、以下同じ)。
イ.教授(大学教授)
ロ.投資・経営(外資系企業の経営者、管理者)
ハ.法律・会計業務(弁護士、会計士)
ニ.医療(医師、歯科医師、看護師、薬剤師、診療放射線技士)
ホ.研究(政府関係機関、企業等の研究者)
ヘ.教育(高等学校、中学校等の語学教師)
(2)大卒ホワイトカラー、技術者。
イ.技術(機械工学等の技術者、システムエンジニア等の
エンジニア)
ロ.人文知識(企画、営業、経理などの事務職)
ハ.企業内転勤(外国の事業所からの転勤者で、上記イ.ロ
の在留資格と同じ)
(3)外国人特有又は特殊な能力等を活かした職業。
イ.国際業務(英会話学校などの語学教師、通訳・翻訳、
デザイナー等)
ロ.技能(外国料理人、外国建築家、宝石加工、パイロット、
スポーツ指導者等)
2.身分に基づき在留する者(「定住者=主に日系人」
「永住者」「日本人の配偶者等」など)。
●これらの在留資格は、在留中の活動に制限がないため、
さまざまな分野で報酬を受ける活動が可能となっています。
3.特定活動等(技能実習、EPAに基づく外国人看護師・
介護福祉士候補者、外交官等に雇用される家事使用人、
ワーキングホリデー等)
●「特定活動」の在留資格で我が国に滞在する外国人は、
個々の許可の内容により報酬を受ける活動の可否が
決定されます。
●技能実習生は、入国時は雇用関係のない「研修」の在留資格で
入国し、1年経過後に雇用関係のある技能実習(在留資格「
特定活動」)に移行します。
ただし、平成22年7月1日の改正入管法施行後に入国した者は
入国当初から雇用関係のある「技能実習」の在留資格が
付与されることになります。
●我が国における民間の、一般事業所ではこれと次のケースで
外国人労働者を雇用する場合が多いと考えられますが、その場合、
労働基準法、最低賃金法等の国内法規が適用となりますので、
その対応には十分注意する必要があります。
4.資格外活動(留学生のアルバイト等)。
●本来の在留資格の活動を阻害しない範囲内(1週間当り
28時間以内)で、相当と認められる場合に報酬を受ける
活動が許可されます。
◆◆ 外国人労働者の雇用管理の改善等に関して
事業主が講ずべき措置とは ◆◆
1.基本的な考え方:
○ 事業主は、外国人労働者について、
(1)労働関係法令及び社会保険関係法令を遵守しなければ
なりません。
(2)外国人労働者が適切な労働条件及び安全衛生のもと、
在留資格の範囲内で能力を発揮しつつ就労できるように、
この指針で定める事項について、適切な措置を講ずるようにと
しています。
2.外国人労働者の募集及び採用の適正化。
(1)募集に当たって:
○ 募集に当たって、従事すべき業務内容、賃金、労働時間、
就業場所、労働契約期間、労働・社会保険関係法令の
適用に関する事項について、
書面の交付又は電子メール(希望のあった場合に限る)により
明示すること。
特に、外国人が国外に居住している場合は、事業主による
渡航費用の負担、住居の確保等の募集条件の詳細について
あらかじめ明確にするよう努める必要があります。
○ また、国外に居住する外国人労働者のあっせんを受ける
場合には、許可又は届出のある職業紹介事業者から
受けるものとし、
職業安定法又は労働者派遣法に違反する者からは
あっせんを受けないよう注意しなければなりません。
さらに、職業紹介事業者に対して求人の申込みを行う場合、
国籍による条件を付すなどの差別的取扱いをしないように
十分留意しなければなりません。
(2)採用に当たって:
○ 採用に当たっては、あらかじめ、在留資格上、
従事することが認められる者であることを確認することとし、
従事することが認められない者については、採用できません。
在留資格の範囲内で、外国人労働者がその有する能力を
有効に発揮できるよう、公平な採用選考に努める
必要があります。
○ 新規学卒者等を採用する際に、留学生であることを
理由として、その対象から除外することのないように
するとともに、
異なる教育、文化等を背景とした発想が期待できる留学生の
採用により、企業の活性化・国際化を図るために、
留学生向けの募集・採用を行うことも効果的であることに
留意すべきとしています。
3.適正な労働条件の確保:
(1)均等待遇=労働者の国籍を理由として、賃金、労働時間
その他の労働条件について、差別的取扱いをしてはなりません。
(2)労働条件の明示=外国人労働者との労働契約の締結に
際し、賃金、労働時間等主要な労働条件について、
当該外国人労働者が理解できるように、その内容を明らかにした
書面を交付しなければなりません。
(3)適正な労働時間の管理等=適正な労働時間の管理はもとより
労働者名簿等の調製を行う必要があります。
また、外国人労働者の旅券等を保管してはなりません。
さらに、退職の場合には、その労働者の権利に属する金品を
返還しなければなりません。
(4)労基法等関係法令の周知=関係法令の定めにより
その内容について周知すべきこと。その際には、分かり易い
説明書を用いるなど、
外国人労働者の理解を促進するために必要な配慮を
するよう努めなければなりません。
4.安全性の確保:
(1)安全衛生教育の実施=外国人労働者に対して「安全衛生
教育」を実施する場合には、当該外国人労働者がその内容を
理解できる方法により行うこととしています。
特に、外国人労働者に使用させる「機械設備、安全装置又は
保護具」の使用方法等が確実に理解されるよう留意する
必要があります。
(2)労働災害防止に関する標識、掲示等=事業場内における
「労働災害防止に関する標識、掲示等」について、
図解等の方法を用いるなど、外国人労働者がその内容を
理解できる方法により行うように努めることとしています。
また、労働安全衛生法等の定めに基づいて「健康診断」を
実施しなければなりません。
5.雇用保険、労災保険、健康保険及び厚生年金保険の適用:
(1)制度の周知及び必要な手続の履行=雇用保険、労災保険、
健康保険及び厚生年金保険に係る法令の内容及び
保険給付に係る請求手続等について、周知に努めるべきと
しています。
また、労働・社会保険に係る法令に基づき、被保険者に
該当する外国人労働者に係る適用(加入)手続等、必要な
手続を取らなければなりません。
(2)保険給付の請求等についての援助=外国人労働者が
離職する場合には、「離職票」の交付等、必要な手続を
行うとともに、
失業等給付の受給に係る公共職業安定所の窓口の案内、
その他必要な援助を行うよう努めなければなりません。
労働災害等が発生した場合には、労災保険給付の請求その他の
手続に関し、外国人労働者からの相談に応じるとともに、
当該手続を代行する必要があります。
厚生年金保険の加入期間が6か月以上の外国人労働者が帰国する
場合、帰国後に「脱退一時金」の支給を請求できる旨を説明し、
年金事務所等の関係機関の窓口を案内するよう努めることと
しています。
※ 指針ではまだ様々な部門に関して具体的に定めていますが
詳細を参照したい場合は、以下のURLからご覧下さい。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/gaikokujin-koyou/01.html
◆◆ 外国人労働者の雇入れ及び離職の際の
届出が義務化 ◆◆
○ 冒頭に述べたように、平成19年10月1日の改正雇用
対策法において、外国人の雇入れ及び離職の際に、
その氏名、在留資格等についてハローワークへの届出が
必要となりました。
その際、その外国人労働者が雇用保険の被保険者であると
否とを問わず、届出が必要です。
なお、対象となる外国人とは、日本の国籍を有しない
「特別永住者」又は在留資格「外交・公用」以外の者と
されています。
1.雇用保険の被保険者である外国人の場合。
○ 届出には、通常の「雇用保険被保険者資格取得(喪失)
届」の様式を用い、次の内容を記載して届け出ることに
なります。
(1)氏名、(2)在留資格、(3)在留期限、(4)生年月日
(5)性別、(6)国籍、(7)資格外活動の許可の有無、
(8)雇入れに係る事業所の名称及び所在地、
(9)賃金その他の雇用状況に関する事項、(10)住所、
(11)離職に係る事業所の名称及び所在地
○ 届出先は、雇用保険設置事業所を管轄するハローワーク
であり、提出期限は、雇入れの場合は翌月10日まで、
離職の場合はその翌日から起算して10日以内となっています。
※ 上記のうち(7)(8)については雇入れ時のみの届出
事項であり、(9)(10)(11)については離職時のみの
届出事項となっています。
2.雇用保険の被保険者でない外国人の場合。
○ 届出様式に、次の事項を記載して、当該外国人が
勤務する事業所施設(店舗、工場等)を管轄する
ハローワークとなっています。
(1)氏名、(2)在留資格、(3)在留期限、(4)生年月日、
(5)性別、(6)国籍、(7)資格外活動の許可の有無。
なお、(7)については、雇入れ時のみの届出となります。
○ 提出期限は、雇入れ、離職の場合ともに翌月末日までと
されています。また、届出様式は、ハローワークの窓口で
配布されているほか、ホームページからもダウンロード
することができます。
○ 最後に、筆者が担当している某公共機関の労働相談
コーナーにも、よく外国人労働者からの相談があります。
ほとんどは、労基法違反、最低賃金法違反の可能性のある
内容のものです。
必要に迫られて働く外国人にとって、言葉の壁や
日本の法律について無知なこともあり、
使用者がその弱みに付け込んだ措置を採ることから
発生しているようです。
今や、国際交流の時代。
日本の恥とならないよう、本号で示した指針の内容を
踏まえて、適切な対応を採っていただくよう、
衷心よりお願いして本稿を終えたいと思います。
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■■ 編集後記 ■■
きょうも最後までお読みいただきありがとうございます。
厚生労働省は、今春の新卒者のうち、
内定を取り消された人が598人(8月末時点)になったと
発表しました。
東日本大震災の影響が大きいとみられ、7月末時点から
さらに42人も増加しているとのこと。
また、震災の影響で入社時期が延期された人は2556人で
うち226人は8月末でも出社していないといいます。
まだまだ、震災の影響が大きいようです。
しかも、台風12号と15号のダブルパンチで
被害が更に広がっており、
復旧・復興はまだまだ遠い状況であり、
かける言葉もありません。
「人は支え合い、協力し合うことで希望を見いだし、
未来へ進むことができると信じています。
いつまでも下を向いていては何も変わりません。」
これは、自宅を津波で流された宮城県柴田高校野球部主将、
佐藤祐次さんが全国高校野球選手権宮城大会の選手宣誓の
ときの言葉です。
被災地の方々のほうがしっかりと未来を見据えて希望を
もって生き抜いている姿に逆に教えられます。
では、また次号でお会いしましょう。
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