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出張期間中の労働時間の捉え方は?

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 経営・労務管理ビジネス用語の
   あれっ! これ、どうだった?!

  第58回  出張期間中の労働時間の捉え方は?
                                   
<第73号>     平成23年10月10日(月)
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発行人のプロフィル⇒ http://www.ho-wiki06.com
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こんにちは! 
メルマガ初訪問の皆さま、ありがとうございます。

1週間のご無沙汰でした。
亥年のアラ還、小野寺です。

さて、本論ですが、ある事業所の経営管理部長から問合せが
ありました。

出張から帰って来た社員が、出張期間中に休日があり、
その日も1日仕事をしたので、休日労働手当を支払ってほしいと
言われたとのこと。

その部長は、出張期間中は毎日、日当を支払っているのだから
必要ないと考えていましたが、社員のいうように休日労働手当を
支払わなければならないのでしょうか、とのことでした。

今回は、この点について考えてみます。

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◆◆ 出張期間中の労働時間の捉え方 ◆◆

○ 労基法第32条に定める労働時間とは、「労働者使用者
指揮命令下に置かれている時間」(平12.3.9最高裁判決)のことを
指していますが、

社命(使用者の決裁)に基づく出張も、包括的に使用者
指揮命令下にあるとされています。

また、労働時間の管理についても「労基法においては、
労働時間休日、深夜業等について規定を設けていることから、

使用者は、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に
管理する責務を有していることは明らかである」(平13.4.6
基発第339号)としています。

ただし、この通達で対象外とされているのが、管理監督者(法
第41条)と、みなし労働時間制が適用される労働者です。

社員が出張した場合の、出張期間中も使用者の指揮命令下に
あるとされますが、その間の労働時間管理については、
みなし労働時間制が適用されるとしています。

みなし労働時間制事業場外の労働に適用。

○ みなし労働時間制とは、「労働者労働時間の全部又は
一部について事業場外で業務に従事した場合において、

労働時間算定し難いときは、所定労働時間労働したものと
みなす」(労基法第38条の2第1項)という規定が
適用される場合をいいます。

しかし、実際には事業場外で業務を遂行する場合、
所定労働時間を超える労働が必要なときも、よく起こり得る
ものです。

そうした場合まで所定労働時間労働したとみなしてしまうと、
結果的に、いわゆるサービス残業を認めてしまうことに
なります。

このため同条には「ただし、当該業務を遂行するためには
通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合に
おいては、

当該業務に関しては、厚生労働省令で定めるところにより、
当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものと
みなす」(同項)という条件が付けられています。

労使協定で、所定労働時間を定めることができる。

○ みなし労働時間制は、労働時間算定しがたい場合に
適用が認められるものです。

従って、事業場外での業務の遂行に通常必要とされる時間に
ついては、

「業務の実態が最もよくわかっている労使間で、その実態を
踏まえて協議した上で決めることが適当であるので、

労使協定労働時間を定めた場合には、当該時間を、
当該業務の遂行に通常必要とされる時間とする」(昭63.1.1
基発第1号)ことができるものとしています。

つまり、事業場の過半数労働者で組織する労働組合、組合が
ない場合には労働者の過半数を代表する者との間で

労使協定を締結することにより、その協定で定める時間を
「業務の遂行に通常必要とされる時間」(同条第2項)と
することができます。

そして、労使協定が締結されると、実際の労働時間にかかわらず
当該協定に定められた時間、労働したものとみなされることに
なります。

なお、労使協定に定められた時間が法定労働時間を超える
場合には、当該協定を所轄労働基準監督署に届け出る必要が
あります。

従って、協定で定める時間が法定労働時間以下である場合には
届け出る必要はありません(前掲通達、平11.3.31基発第168号)。

事業場外労働の範囲。

○ みなし労働時間制が適用される事業場外労働とは、
常時、事業場の外で業務に就いている営業担当者はもとより、

通常は事業場内で勤務する事務担当社員であっても、
出張の場合などには、事業場の外で常時、上司や管理監督者
指揮命令の下にない状態で勤務することになり、

労働時間の管理ができないことから、このような場合には、
みなし労働時間制を適用することができます。

ただし、みなし労働時間制を採った場合でも、
休憩、深夜業、休日に関する労基法の規定は適用除外には
なりません(前掲通達)。

○ みなし労働時間制は、事業場外での労働時間の把握が
困難な場合の労働時間についてのみ認められる例外的な
措置とされています。

従って、何らかの方法で時間管理が可能である場合には、
みなし労働時間制は認められないことになります。

具体的には、次のような場合が該当するとしています
(前掲通達)。

(1)何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、
そのメンバーの中に労働時間の管理をする者がいる場合。

(2)事業場外で業務に従事するが、無線や携帯電話等によって
随時、使用者の指示を受けながら労働している場合。

(3)事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の
具体的指示を受けたのち、事業場外で指示どおりに業務に従事し、
その後、事業場に戻る場合。

以上のような場合は、実際の労働時間を把握するうえで
支障があるとはいえないため、みなし労働時間制をとることは
認められないことになります。

◆◆ 出張中の休日の取扱い ◆◆

○ そこで、冒頭のご質問について、出張日程の途中に
休日がある場合の取扱いについては、

その休日当日に、出張先で用務を処理すべきことを事前に
命じられていた場合は、その用務を処理するために

客観的に必要な時間が労基法第37条に定める
休日労働となります。

逆に、その休日に業務を処理すべきことを明示的にも
黙示的にも指示されていないと認められる場合、
当日は休日として処理されることになります。

従って、出張期間中の休日に、業務処理について何らの
指示をしていない場合に、

出張社員が自発的に用務を処理したとしても、それが
黙示的指示に基づいてなされたと認められない限り、
それを休日労働として取扱う必要はありません。

◆◆ 出張の出発日が休日の場合 ◆◆

○ また、所定休日に出張することを命じられた場合は
どのように捉えるべきでしょうか。

この点について解釈例規では「休日当日に旅行しなければ
ならない場合であっても、

旅行中において物品の監視をすべき義務など、特別の義務が
課されていないときは、休日労働として取扱わなくても
よい」(昭23.3.17基発第461号)としています。

従って、物品運搬とか書類看守等のための旅行、あるいは
特にそのような目的のための旅行でなくとも、

持参物品の監視等、特別の指示があった場合は労働時間となり
休日労働と解されます。

なお、会議のための資料等を携行する場合でも、
会議資料等を現地に運搬輸送することが出張目的のような場合は
休日労働として取扱うことが考えられますが、

会議に出席することが目的の旅行で、その必要上資料等を
運搬するようなときは、別段の指示がない限り、
休日労働として取扱う必要はないと言えます。

○ いずれにしても、休日労働の必要がある場合には、
何らかの形で休日労働時間について、把握・管理する
方法を講じる必要があります。

例えば、休日労働を命じた場合、その日の労働時間について
出張社員の自己申告を認めるとか、

もし、自己申告を認めない場合には、事前に使用者側から
経験則に基づき必要な休日労働時間を、
あらかじめ指示しておくなどの方法が考えられます。

この点を明確にするために、就業規則や出張に関する規定に
出張期間中の休日労働等について、

例えば、会社が事前に指示する場合以外は原則禁止する等の
規定を設けておくことが考えられます。

ただし、事前に指示することができない場合も
考えられるのであれば、

例外措置として、出張終了後に労働者からの申告を
認めるという規定も設けておいたほうが良いと
考えるものです。(了)

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■■ 編集後記 ■■
きょうも最後までお読みいただきありがとうございます。

今回のケースと似たものに、出張中に深夜(通常は午後
10時から午前5時まで)に勤務する場合の深夜業割増賃金
支払の有無の問題も生ずることがあります。

本論で述べたように、出張中の労働時間について
みなし労働時間制を適用したとしても、深夜業に関する
労基法の規定は適用除外とはなりません。

従って、「実際の労働時間算定しづらいが、午後10時以降の
深夜時間帯に勤務することが確実な場合」については
当然に深夜割増賃金の支払が必要となります。

そのため、休日労働と同じく、深夜の労働時間について
何らかの形で把握・管理する方法を講じる必要があります。

つまり、事前に深夜労働の必要がある場合には、
労働者の自己申告を認めるか、事業所側で必要な深夜時間
あらかじめ指示しておくようにすべきでしょう。

いずれにしても、就業規則や出張に関する規定にその旨の
定めを明確にしておくべきと考えます。

では、また次号でお会いしましょう。
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