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台風接近に備えて事務所に社員を待機させた場合、賃金を…

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 経営・労務管理ビジネス用語の
   あれっ! これ、どうだった?!

  第60回 台風接近に備えて事務所に社員を
        待機させた場合、賃金は支払うべきか?
                                   
<第75号>     平成23年10月24日(月)
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発行人のプロフィル⇒ http://www.ho-wiki06.com
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こんにちは! 
メルマガ初訪問の皆さま、ありがとうございます。

1週間のご無沙汰でした。
亥年のアラ還、小野寺です。

さて本論ですが、ある事業所の所在地が台風のコースに
入っており、事務所や工場が浸水したり破損した場合のために

社員を待機させることにした場合、
実際に大事にいたらず仮眠室で寝るだけで終わる可能性も
あります。

この場合、実際に労働しなくても賃金を支払う必要が
あるかとの相談がありました。

今回は、この点について考えてみます。

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http://www.mag2.com/m/0001323932.html

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◆◆ 労基法上の労働時間とは ◆◆

○ 労基法上の労働時間について行政通達で次のように
示しています。

「『労働』とは、一般的に、使用者の指揮監督のもとに
あることをいい、必ずしも現実に精神又は肉体を活動させて
いることを要件とはせず、

したがって、例えば貨物取扱いの事業場において、
貨物の積込係が、貨物自動車の到着を待機して身体を
休めている場合とか、

運転手が2名乗り込んで交替で運転に当たる場合において、
運転しない者が助手席で休息し、又は仮眠しているときで
あっても、それは『労働』であり、

その状態にある時間は、労働時間である。」(昭33.10.11
基収第6286号)としています。

○ 通達にある「その状態にある時間」とは、一般に
「手待時間」といい、

例えば、飲食店における昼食・夕食時以外の客待ちの
時間が該当します。

また、労基法第34条の「休憩時間」と、この「手待時間」
との違いは、使用者の指揮監督のもとにあるか否かによります。

つまり、休憩時間使用者の指揮監督から外れ、労働義務を
免除された時間であり、かつ、当該時間の自由利用が
保障された時間のことです。

従って、例えば昼食休憩時間中に来客当番をさせれば、
その時間は、実際に来客がなくても労働時間となります。
(昭23.4.7基収第1196号、昭63.3.14基発第150号
平11.3.31基発第168号)

なお、使用者の指揮監督下にあるか否かは、
明示的なものである必要はなく、

現実に作業に従事している時間のほかに、
就業前に行う準備や作業後の後始末・掃除等が

使用者の明示又は黙示の指揮命令下で行われている限り、
労働時間となります。

○ 労働時間の法的捉え方については、判例(「三菱重工業
長崎造船所事件」平12.3.9最高裁第一小法廷判決)でも
次のように示しています。

労働基準法32条の労働時間とは、労働者使用者
指揮命令下に置かれている時間をいい、

右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が
使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することが

できるか否かにより客観的に定まるものである。」と
判示している通りです。

◆◆ 災害に備え事務所における待機の場合 ◆◆

○ 本件の場合、台風の接近に備えて事業所敷地内で
待機を命じられている場合は、

上記の通達・判例のように、使用者の指揮命令下に
あるものとして労働時間に該当するものと考えられます。

そして待機の結果、現に作業に従事することがあった場合、
それが短時間の軽作業でも労働時間であることは明白です。

○ 次に、待機中の仮眠が許されている場合、
その仮眠時間労働時間に該当するのでしょうか。

この点については、裁判例として建物の管理・警備業務に
ついて仮眠時間労働時間として認定された「大星ビル
管理事件」(平14.2.28最高裁第一小法廷判決)があります。

判決で、次のように示しています。
「不活動仮眠時間において、労働者が実作業に従事して
いないというだけでは、

使用者の指揮命令下から離脱しているということはできず、
当該時間に労働者が離れることを保障されていてはじめて、

労働者使用者の指揮命令下に置かれていないものと
評価することができる」と示すとともに、

仮眠室における待機と、警報や電話等に対して直ちに
相当の対応することを義務付けられている以上、

実作業の必要が生じることが皆無に等しいなどの事情が
ない限りは、労働からの解放が保障されているとはいえず、
仮眠時間労働時間に該当すると判示しました。

○ つまり、仮眠時間であっても作業を必要とする際には
直ちに対応することが義務付けられているような場合、
その仮眠時間労働時間となります。

本件の場合も、待機中の仮眠が認められていますが、
台風による浸水などの被害が生じた場合には

直ちに対応する必要があることから、やはりこの場合も
仮眠時間労働時間になると考えられます。

◆◆ 賃金の支払について ◆◆

○ 賃金の支払に関して、前掲の「大星ビル管理事件」の
判決では、

労基法上の労働時間であったとしても、当然に通常の
賃金請求権が発生するものではなく、

この点は、労働契約によっていかなる賃金を支払うものと
されているかによって決まるとしています。

我が国において毎年のように台風の進路に当たる地域や
西日本において本件のような事例が多く発生するような
場合には、

労働契約就業規則等で通常とは異なる賃金の支払等、
例えば「災害待機手当」などの名目で支払うなど、

別段の定めをしている場合には、その定めにより
支払うことになります。

○ 一方、台風被害等が稀な地域で特段の定めがない場合、
通常労働した時に支払う賃金を支払うことになります。

そして、法定労働時間を超えた部分の時間外労働
対する割増賃金、及び午後10時以降も労働が続く
場合には、深夜労働に対する割増賃金の支払が必要です。

また、先に述べた定額の「災害待機手当」についても、
実際に労働した時間外労働に係る金額よりも少ない場合は
その差額を支払う必要があります。

なお、いずれの場合も、労基法第37条及び同法
施行規則第19条等に具体的な計算方法が定められており、

「通常の労働時間1時間当たりの賃金額」を基に
計算することになります。(了)

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■■ 編集後記 ■■
きょうも最後までお読みいただきありがとうございます。

東日本大震災からすでに7か月が経過しましたが、
未だに行方不明者が約4000人、避難所暮らしの方は
7万人余りいます。

新聞で1面にあった被災状況が38面に小さく載り、
メディアからもほとんど放送されなくなっていますが、
未だ復旧すらできていない状況です。

「親にとって子供とは、ずっとそばに置き、見守り続けたい
存在ですが、いずれ独り立ちさせなければなりません。

親が子供のために残せるものは、物質的なものから精神的な
ものまで数多くありますが、最も重要な役割は、

親がいなくても生きていける術(すべ)を、ともに過ごす
限られた時間のなかで教えることかも知れません。」

これは女優・中村メイコさんが語っていたことですが、

日々の親子の生活の中で、親が子に教え伝え、子が親に
甘えつつ独り立ちする力をつける緊張感のなかで
人生があります。

行方不明者の中には、まだ教え足りない子供もいるでしょう。
まだまだ甘え教えてほしい親もいることでしょう。

もっともっと国の総力を挙げて行方不明者の
捜索に力を入れるべきと思います。

1人の人間の持つ可能性は宇宙大のものとも言われ
単に数字で掌握するものではない筈です。

では、また次号でお会いしましょう。
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