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年次有給休暇に関するQ&A(その1)

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 経営・労務管理ビジネス用語の
   あれっ! これ、どうだった?!

  第63回 年次有給休暇制度に関するQ&A(その1)
        Q1.年休の比例付与とは?
        Q2.年休を取得した日の賃金
               いくら払えばよいか?
                           
<第78号>     平成23年11月14日(月)
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発行人のプロフィル⇒ http://www.ho-wiki06.com
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こんにちは! 
メルマガ初訪問の皆さま、ありがとうございます。

1週間のご無沙汰でした。
亥年のアラ還、小野寺です。

私は現在、某公共機関で労働相談コーナーを担当しています。
その相談内容の4割近くは年次有給休暇に関するものです。

年次有給休暇制度については、労基法第39条に規定があり
本メルマガの第26号から第28号の3回にわたって

その趣旨、法的位置付け及び法的な捉え方等について
詳細に解説しておりますので、

ここでは労働相談の内容も踏まえ、実務面に関する事案について
Q&Aとして解説することにします。

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http://www.mag2.com/m/0001323932.html

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■■ Q1.年次有給休暇(以下「年休」)の比例付与とは?

○「比例付与」とは、パートタイマー、アルバイト、契約社員
派遣社員などの、いわゆる非正規雇用社員の

年休付与日数を計算する際に用いられる方式のことです。

パートタイマー等は一般に「短時間労働者」と位置づけられ
「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される

通常の労働者・・・の1週間の所定労働時間に比し
短い労働者をいう。」(パートタイム労働法第2条)と
規定されています。

ただし、名称がパートタイマーであっても、
通常の労働者と同一の所定労働時間である場合には、

短時間労働者には該当しないとしています(平19.10.1
基発第1001016号)。

すなわち、年休の付与日数についても、週5日以上勤務(
週の勤務日数が不定期な場合は、年間就業日数217日以上)
労働者

あるいは週30時間以上の労働者については、
通常の労働者と同様の日数が付与されることになります。

なお、1週間の所定労働日数が4日以下の労働者であっても
例えば、1日8時間、週4日労働(8時間×4日=32時間
労働者)、

また、1日10時間、週3日労働(10時間×3日=30時間)
労働者などは、通常の労働者と同じ日数の年休が付与され
比例付与の対象とはなりません。

つまり、比例付与の対象となる労働者は、通常の労働者
同等とみなされない労働者についての算定方式のことです。

○ それでは比例付与による具体的な計算方法について
述べることにします。

比例付与の場合の年休は、通常の労働者年次有給休暇
日数を基準として、

通常の労働者の週所定労働時間労働日数とパートタイマー等の
労働者の週所定労働時間労働日数との比率によって
計算された日数となります。

通常の労働者の年休の日数は、労基法第39条第1項及び
第2項において、勤続6か月で10労働日、

以降勤続1年ごとに1日又は2日ずつ増加し、最高20日と
されており、基本的にはこれが基準となります。

そして、具体的な計算方法について例を挙げて説明します。

まず、通常の労働者の週所定労働日数を「5.2日」と
します(労基法施行規則第24条の3第2項)。

そこで例として、通常の労働者が6か月経過後に
10労働日の年休が付与されますが、

それでは週3日勤務のパートタイマーが6か月経過した
場合に何日(X日)の年休が付与されるのか計算します。
年休付与要件はすべて満たしているものとします。以下同じ)

         週所定労働日数    付与年休
  通常の労働者   5.2日 ・・→10労働日の年休
  パートタイマー   3日  ・・→X労働日の年休

これから比例計算により、5.2X=3×10
故に、X=5.77日≒5日(端数は切り捨て。平12.12.27
基発第777号)となります。

また、週2日勤務のパートタイマーが2年6か月勤務した
場合の年休をX日とすると、

通常の労働者への付与日数は12日ですから、
5.2X=2×12より、X=4日となります。

なお、以上の計算により、さまざまな勤務形態における
年休の比例付与日数が計算されますが、

その計算結果は、施行規則第24条の3第3項の表に
掲げる日数となります。

○ 冒頭でも触れたように労働相談の多くが
この年休に関するものです。

しかもその多くは、パートタイマー等の非正規雇用者からの
ものがほとんどです。

それは、採用した時に労働条件に関する書面交付義務
果たさず、口頭説明で終えているか、

あるいは意識して年休に関する部分の説明を省略して
いることから、後日、トラブルに発展するケースが
ほとんどと言えます。

これらはいずれも法令違反となり、労基署による
是正勧告の対象となるものであり注意する必要があります。

本来、年休取得の意義は、労働による疲労を癒す休息と
次の労働への滋養を蓄えるためのものであり、

今や、パートタイマー等は全労働者の3割強を占め、
各事業所においても重要な戦力となっており、

通常の労働者と同じく、パートタイマー等に対しても
適法な年休を付与すべきと考えるものです。

■■Q2.年休を取得した日の賃金はいくら払えばよいのか?

○ 年次有給休暇を取得した日に支払うべき賃金については
労基法第39条第7項に定められています。

すなわち、(1)平均賃金、(2)所定労働時間労働した場合に
支払われる通常の賃金、(3)健康保険法に定める標準報酬
日額に相当する金額、

の3種類を定めており、このいずれかを支払えば
よい旨を規定しております。

この点に関して解釈例規では、
年次有給休暇賃金の選択は、手続簡素化の見地より
認められたものであるから、

労働者各人についてその都度使用者の恣意的選択を
認めるものではない。」(昭27.9.20基発第675号)と
しています。

○ 上記の3種類のうち、(1)及び(2)の賃金を原則とし、
そのいずれを選択するかは就業規則その他において明確に
規定する必要があり、

かつ、定めた場合にはその定めに従って支払うべきと
しています。

また労基法第36条に規定する時間外・休日労働に係る
労使協定と同様の方式により(3)の賃金を選択することを
協定した場合は、

例外的に(3)の賃金を支払えばよいこととしています。

この場合も、同方式が選択された場合には、必ずその方法に
よる賃金を支払わなければならないことは上記と同様です。

なお、平成22年4月1日付改正施行された労基法で
新たに「時間単位年休」制が規定(同法第39条第4項)
されましたが、

当該時間単位の年休を取得した際に支払うべき賃金
ついては、各事業所で上記3種類の中で選択した

日単位の賃金支払方式と同じ支払方式を選択しなければ
なりません(平21.5.29基発第0529001号)。

◆◆ 賃金計算上の留意事項 ◆◆

(1)平均賃金による場合;

○ 平均賃金については労基法第12条に詳細に規定されて
いますが、平均賃金算定の原則は、

当該労働者算定事由発生日以前(賃金締切日がある
場合には直前の賃金締切日以前)3か月間の賃金支払総額を

同期間の総日数(暦日数)で除した金額が1日当たりの
平均賃金となります。

ただし、これを選択した場合でも先に述べた計算の
簡素化を図る観点から、

月給により算定した通常の労働日の賃金平均賃金
上回る限り、その月給を支給すれば足りる。」(昭22.12.26
基発第573号)としています。

つまり、年休取得の都度、平均賃金を算出して支払うのでは
なく、年休を取得した日を「出勤」の代わりに「年休」と
表示し、

通常の月給額を支払えば良いとしています。

(2)所定労働時間労働した場合に支払われる通常の
賃金による場合;

○ この場合も厳密には、労基法施行規則第25条に
規定されている(この規定は割増賃金計算の際の基本賃金
算出する場合と同様)とおりに計算しなければなりませんが

「出来高払等の請負制の場合を除き、
通常の出勤をしたものとして取り扱えば足り、施行規則

第25条に定める計算をその都度行う必要はない。」
(昭27.9.20基発第675号)と示しています。

(3)健康保険法に定める標準報酬日額に相当する
金額による場合;

○ 健康保険法第99条に定める標準報酬日額に相当する
金額を選択する場合には、

労基法第36条第1項の時間外労働協定と同様の労使協定
締結し、年休取得の際の支払賃金として

これを就業規則に定めておかなければなりません。
(前掲通達

標準報酬日額とは標準報酬月額の30分の1に相当する
金額で、その額に5円未満の端数があるときはこれを切捨て、

5円以上10円未満の端数がある場合には
これを10円に切り上げるものとされています。
健康保険法第99条第1項)

なお、標準報酬月額については、
健康保険等の被保険者資格取得届を事業所を管轄する
年金事務所に提出することにより、

同事務所から交付される「標準報酬決定通知書」の金額を
基準として計算することになります。(了)

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■■ 編集後記 ■■
きょうも最後までお読みいただきありがとうございます。

前号で最低賃金に関して取り上げましたが、
もう一方の生活保護受給者が205万人を超え、

戦後の混乱期を上回り、過去最多となったことが
報じられました。

これも長引く不況のあおりの結果と言えますが、
特に注目されるのは、高齢や病気、障害ではない
働き盛りと見られる受給者の増加です。

それらの受給世帯は、10年前の7%から16%に
急増していることからも明らかです。

近年、雇用保険に未加入の非正規労働者が、失業によって
一気に生活保護受給者になるケースが多いといいます。

この10月から、雇用保険が適用されない人を対象に
職業訓練中の生活費を支給する「求職者支援制度」が
スタートしました。

介護資格の取得など、実践的な技能を身につけることで
失業者の再就職を促すものとしています。

これも一つの方策でしょうが、
今、我が国に喫緊に必要なのは大きな景気回復です。

数年前に100年に1度といわれる不況に直面した際に
当時の麻生政権は、周囲の解散内閣と揶揄されながらも

景気回復のために矢継ぎ早に政策を断行し、
特にエコポイント、エコ減税は自動車、テレビ、エアコン等

消費者の需要を一気に高め景気の底上げに
大きく貢献したことは記憶に新しいところです。

日本全体の景気が回復軌道に乗れば、さまざまな分野の
課題・問題が大きく解決へのカジを切ることは
間違いないと感ずるのは筆者だけでしょうか。

では、また次号でお会いしましょう。
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