平成23年11月15日 第98号
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人事のブレーン
社会保険労務士レポート
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目次
1.
雇用促進税制について
===================================
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***********************************
1.
雇用促進税制について
***********************************
1.はじめに
今回は
雇用促進税制についてお話し致します。
実務上は、当期事業年度と前期事業年度において事業主の都合による
退職があ
れば適用されませんので、実際に適用される企業というのは非常に限られ、使
いにくいというのが印象です。
この
雇用促進税制は、納税地を管轄する職業安定所に
雇用促進計画を当期事業
年度が始まってから2ヶ月以内に提出をしなければなりません。
この手続きをして初めて適用になるのであり、結果的に増えていましたでは適
用になりません。
この計画を
公共職業安定所に提出した事業年度を適用年度とよぶことにします。
個人事業主の場合には、事業年度は暦年になるので、促進計画を提出した年を
適用年度とよぶことにします。
雇用促進税制とは、平成23年4月1日から平成26年3月31日までに始ま
る事業年度において、前期末の
雇用保険の
被保険者数より、当期末の
被保険者
数が5名以上(中小企業は2名以上)増加、かつ
雇用増加割合が10%以上の
企業を対象に増加
雇用保険被保険者数一人あたり20万円の
法人税の税額控除
を受けることが出来る制度です。
パンフレット等には“
従業員数”と記載されていますが、
従業員とは
雇用保険
被保険者であり、
使用人兼務役員や経営者の親族や生計支援を受けているもの
を除いた方が対象となりますので、この原稿では、敢えて“
雇用保険被保険者”
と表記することとします。
但し、ここでいう
雇用保険被保険者とは所謂“
一般被保険者”の事を指し、
事業年度中に65歳になった
労働者等の高年継続
被保険者は含まれません。
2.税制優遇の対象となる事業主
a
青色申告書を提出する事業主であること
b 当期と前期の事業年度に事業主の都合による
離職者がいないこと
これは、
雇用保険被保険者資格喪失届の喪失原因が“3.事業主の都合によ
る離職”に該当するものであり、人員整理や事業の休廃止等による解雇、事業
主の勧奨等による任意
退職が該当します。事業主の勧奨による任意
退職とは所
謂「肩たたき」で辞めた場合です。
c 事業年度に
雇用保険の
被保険者を5名以上(中小企業は2名以上)増加さ
せており、かつ前期事業年度末日の
雇用者総数から当期事業年度に純増した労
働者数が10%以上であること。
雇用増加割合が算出できない場合、具体的には前期事業年度末や当期事業年
度の中途において、
役員やその親族等の特殊関係者のみで事業を行っている事
業主の場合には、当期事業年度で5人以上(中小企業は2人以上)の
雇用保険
被保険者数の増加があり、他の要件も満たしていれば、
雇用促進税制を受ける
ことが出来ます。
しかし、新設
法人や新規で事業を興した
個人事業主は、当期では
雇用促進税
制の適用は受けられず、
法人の場合は翌事業年度、
個人事業主の場合には翌年
から
雇用促進税制の適用を受けることが出来ます。
d 当期事業年度における給与等の支給額が、
「前期事業年度の給与等の支給額+前期事業年度の給与等の支給額
×
雇用増加割合×30%」以上であること。
これは、
使用人兼務役員や経営者の親族や生計支援を受けているものを除い
た方の給与等の合計額の比較であり、仮に自己都合
退職により事業年度の中途
で
退職した
従業員の給与等は含まれます。
ここでいう給与等とは、月次の給与、
賞与の額であり、その事業年度に
損金
算入されるものです。但し、
退職金は除かれます。
e 風俗営業及び性風俗関連特殊営業は
雇用促進税制の適用はされません。
3.中小企業とは
中小企業に該当すれば、
雇用保険の
被保険者数の増加が2人以上という特例措
置が受けられます。
中小企業の範囲は、試験研究を行った場合の税額控除制度や中小企業投資促進
税制等における中小企業者等の範囲と同様です。
具体的には
法人の場合には
資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下の法
人、
個人事業主と
資本若しくは出資を有しない
法人のうち常時使用する
従業員
数が1000人以下の
法人、農業協同組合等であります。
但し
資本金の要件を満たしている
法人であっても、発行済み株式または出資
の総数または総額が同一の大規模
法人に2分の1以上所有されている場合や同
一
法人ではなくても、3分の2以上が大規模
法人の所有に属する場合には中小
企業に該当しません。
4.
雇用促進税制を受けるためには
a 事前にやること
当期事業年度開始後2ヶ月以内に、目標の
雇用増加数などを記載した
雇用促進
計画を作成し、事業主の主たる事業所(納税地)を管轄する
公共職業安定所に
提出します。
b
確定申告を行う場合
事業年度終了後2ヶ月以内(
個人事業主の場合には3月15日)に、公共職
業安定所でaで提出した
雇用促進計画の達成状況の確認を求めます。
確認を求めたから、
確定申告に添付する
雇用促進計画の写しが職業安定所から
返送されるのには2週間(4月、5月は1ヶ月)かかるとのことですので、確
定申告時期に間に合うように手続きを行う必要があります。
そして、
公共職業安定所より届いた達成状況の確認を受けた
雇用促進計画を
確定申告書に添付して税務署に申告をし、優遇税制の適用を受けます。
5.まとめ
雇用促進税制についての問い合わせが増えています。
しかし、
助成金同様に事業主の都合による
離職者がいる場合には適用がされま
せん。
助成金同様に、適用されたらラッキー!と思う様にしなければなりません。
事業計画に入れてしまうことは、
助成金同様やめるべきであると思います。
しかし、
雇用促進計画の提出自体はコストがかかるものではありません。
念のため出してみて、結果として適用になったらいいなという程度で考えてお
いた方が良いでしょう。
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1.雇用促進税制について
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1.はじめに
今回は雇用促進税制についてお話し致します。
実務上は、当期事業年度と前期事業年度において事業主の都合による退職があ
れば適用されませんので、実際に適用される企業というのは非常に限られ、使
いにくいというのが印象です。
この雇用促進税制は、納税地を管轄する職業安定所に雇用促進計画を当期事業
年度が始まってから2ヶ月以内に提出をしなければなりません。
この手続きをして初めて適用になるのであり、結果的に増えていましたでは適
用になりません。
この計画を公共職業安定所に提出した事業年度を適用年度とよぶことにします。
個人事業主の場合には、事業年度は暦年になるので、促進計画を提出した年を
適用年度とよぶことにします。
雇用促進税制とは、平成23年4月1日から平成26年3月31日までに始ま
る事業年度において、前期末の雇用保険の被保険者数より、当期末の被保険者
数が5名以上(中小企業は2名以上)増加、かつ雇用増加割合が10%以上の
企業を対象に増加雇用保険被保険者数一人あたり20万円の法人税の税額控除
を受けることが出来る制度です。
パンフレット等には“従業員数”と記載されていますが、従業員とは雇用保険
被保険者であり、使用人兼務役員や経営者の親族や生計支援を受けているもの
を除いた方が対象となりますので、この原稿では、敢えて“雇用保険被保険者”
と表記することとします。
但し、ここでいう雇用保険被保険者とは所謂“一般被保険者”の事を指し、
事業年度中に65歳になった労働者等の高年継続被保険者は含まれません。
2.税制優遇の対象となる事業主
a 青色申告書を提出する事業主であること
b 当期と前期の事業年度に事業主の都合による離職者がいないこと
これは、雇用保険被保険者資格喪失届の喪失原因が“3.事業主の都合によ
る離職”に該当するものであり、人員整理や事業の休廃止等による解雇、事業
主の勧奨等による任意退職が該当します。事業主の勧奨による任意退職とは所
謂「肩たたき」で辞めた場合です。
c 事業年度に雇用保険の被保険者を5名以上(中小企業は2名以上)増加さ
せており、かつ前期事業年度末日の雇用者総数から当期事業年度に純増した労
働者数が10%以上であること。
雇用増加割合が算出できない場合、具体的には前期事業年度末や当期事業年
度の中途において、役員やその親族等の特殊関係者のみで事業を行っている事
業主の場合には、当期事業年度で5人以上(中小企業は2人以上)の雇用保険
被保険者数の増加があり、他の要件も満たしていれば、雇用促進税制を受ける
ことが出来ます。
しかし、新設法人や新規で事業を興した個人事業主は、当期では雇用促進税
制の適用は受けられず、法人の場合は翌事業年度、個人事業主の場合には翌年
から雇用促進税制の適用を受けることが出来ます。
d 当期事業年度における給与等の支給額が、
「前期事業年度の給与等の支給額+前期事業年度の給与等の支給額
×雇用増加割合×30%」以上であること。
これは、使用人兼務役員や経営者の親族や生計支援を受けているものを除い
た方の給与等の合計額の比較であり、仮に自己都合退職により事業年度の中途
で退職した従業員の給与等は含まれます。
ここでいう給与等とは、月次の給与、賞与の額であり、その事業年度に損金
算入されるものです。但し、退職金は除かれます。
e 風俗営業及び性風俗関連特殊営業は雇用促進税制の適用はされません。
3.中小企業とは
中小企業に該当すれば、雇用保険の被保険者数の増加が2人以上という特例措
置が受けられます。
中小企業の範囲は、試験研究を行った場合の税額控除制度や中小企業投資促進
税制等における中小企業者等の範囲と同様です。
具体的には法人の場合には資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下の法
人、個人事業主と資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員
数が1000人以下の法人、農業協同組合等であります。
但し資本金の要件を満たしている法人であっても、発行済み株式または出資
の総数または総額が同一の大規模法人に2分の1以上所有されている場合や同
一法人ではなくても、3分の2以上が大規模法人の所有に属する場合には中小
企業に該当しません。
4.雇用促進税制を受けるためには
a 事前にやること
当期事業年度開始後2ヶ月以内に、目標の雇用増加数などを記載した雇用促進
計画を作成し、事業主の主たる事業所(納税地)を管轄する公共職業安定所に
提出します。
b 確定申告を行う場合
事業年度終了後2ヶ月以内(個人事業主の場合には3月15日)に、公共職
業安定所でaで提出した雇用促進計画の達成状況の確認を求めます。
確認を求めたから、確定申告に添付する雇用促進計画の写しが職業安定所から
返送されるのには2週間(4月、5月は1ヶ月)かかるとのことですので、確
定申告時期に間に合うように手続きを行う必要があります。
そして、公共職業安定所より届いた達成状況の確認を受けた雇用促進計画を
確定申告書に添付して税務署に申告をし、優遇税制の適用を受けます。
5.まとめ
雇用促進税制についての問い合わせが増えています。
しかし、助成金同様に事業主の都合による離職者がいる場合には適用がされま
せん。
助成金同様に、適用されたらラッキー!と思う様にしなければなりません。
事業計画に入れてしまうことは、助成金同様やめるべきであると思います。
しかし、雇用促進計画の提出自体はコストがかかるものではありません。
念のため出してみて、結果として適用になったらいいなという程度で考えてお
いた方が良いでしょう。
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