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企業は取引先に心配りのできる人がほしい!

     ◆◆コンピテンシーを磨けば仕事のできる人になれる◆◆

    <第271回>中途採用、企業はこんな人がほしい<その20>!

    ==■「企業は取引先に心配りのできる人がほしい!」■==

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人は誰でも能力を保有しています。しかし、せっかくの保有能力が宝の持ち腐れとな
り、成果に結び付けられない人が実に多いのです。

仕事のできる人とできない人の決定的な違いは「行動特性の差」に現れます。コンピ
テンシーを磨けば誰でも仕事のできる人に自己変革できます。経営トップ・管理者・
社員の皆様、そして求職中の離職者の方や就職を目指す学生さんにも是非ともお読み
いただきたいと思います。

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<今回のメニュー>
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【1】下請けいじめしたことありますか!
【2】取引は対等という原則を守る!
【3】Win Winの関係を築く!
【4】下請けになることを断った本多プラス!
【5】編集後記

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「百姓と胡麻の油は、絞れば絞るほど出る」。江戸時代の統治思想だった。油は絞れ
ば絞るほど出てくるように百姓も絞れば絞るほど年貢が出てくると言うわけだ。

日本ではどの業界も下請け構造になっている。大きなビルを受注するのは大手ゼネコ
ンだが、一次下請けに丸投げする。一次下請けはそれを二次下請けに丸投げする。次
々マージンだけが吸い取られていく。そして実際に末端で作業をしているのは一人親
方と言われる「○○工務店」などだ。

製造業も同じことが言える。ドンドンマージンを吸い取られ、末端の零細企業が七難
八苦を押し付けられて苦しんでいる。そこには「搾取の法則」が横たわっているのだ。

もはや、そのようなことをやっている時代ではない。例えば沼津市に本社のある平成
建設では大工を自前で育てている。大工仕事だけでなく多能工に育てている。建設機
械を運転して自ら溝を掘り、型枠を組んでコンクリートも流す。設計から土木工事、
基礎工事、建築工事も全てインテリ職人がこなす。ここは有名大学から学生が殺到す
る会社なのだ。下請けは一切使わないから各工事間の待ち時間がない分工期も早く、
出来栄えも最高で、施主に対する対応もサービス業顔負けの接客コンピテンシーを発
揮する。

一社でフルコースを担当するのは合理的か非合理的か、よく考えるべき時代になって
いる。そうは言ってもまだまだ広く下請け企業は存在し、その存在意義も大きい。パ
ートナーと位置付けてWin Winの関係を構築する必要性は高まっているのだ。

どこの企業も取引先に「心配りのできる社員」を求めている。これまでふんぞり返っ
て威張り散らしていた担当者たちはおいそれと行動特性を変えることができない。む
しろ新しい血を入れるほうが早道なのだ。



【1】下請けいじめしたことありますか!

調達部門で働いている人、品質管理部門・技術部門で働いている人は、取引先と接す
る機会が多い。私もかつてそうだった。

不良率の高い取引先が結構多く、そのため生産ラインが止まり、納期に影響が出る。
品質指導のために出向いて現場を見ながら品質改善の指導をしたものだ。指導内容を
素直に受け入れて実行してくれる取引先は早晩改善されるが、中にはどんなに指導し
ても一向によくならない取引先もあった。怒鳴ったり、叱ったりの連続だったことを
覚えている。それでもよくならない場合は「転注」と称して発注先を変える強硬手段
にも出たことがあった。

コストダウンのお願いもしなければならない。一方的にコストカットをすれば相手企
業の不平不満が募り、モチベーションにも影響するので双方が協力して改善活動をす
るようにしたものだ。改善して下がったコストの半分を還元してもらうやり方は概ね
快く受け入れられたと思っている。

皆さんの会社ではどうだろうか。中には一方的にバイイングパワーにものを言わせて
問答無用でコストカットしたり、今注文して直ぐに納入してくれといった横暴なこと
を要求したりしていないだろうか。時々新聞やテレビで下請けいじめが報道されるが、
それは氷山の一角なのである。今の時代このようなやり方は通用しない。

取引先をパートナーとみなすことから始める必要があり、そのために取引先に対して
「心配りのできる社員」の存在が必須条件になるのだ。



【2】取引は対等という原則を守る!

中小企業と言えどもその会社を経営している社長は一国一城の主なはずだ。規模の大
小にかかわらず取引は対等でなければならない。だがこれはあくまでも建て前である。

発注側は「上から目線」で一方的にさまざまな要求を押し付けているケースが多い。
受注側は仕事をもらっている手前、理不尽だと思ってもじっと我慢する。だが、取引
消滅を覚悟の上で当局に垂れ込む企業もあり、明るみになるのだ。

例えば、建設機械のコマツは取引先に資本を注入したり系列化を図ることはしない。
だが、資金繰りで困っている取引先には資金面で支援する。品質管理や技術の向上、
改善活動では全面的に協力したり支援する。

つまり、取引先をパートナーと位置付けているのだ。パートナー企業同士の横の連絡
を強固にする組織もできていて、情報交換と情報の共有もできている。したがってコ
マツに対する忠誠心はかなり高い。コマツが困っていればパートナー企業同士が連合
軍を編成してでも協力してくれるそうだ。

取引は対等。そして、取引先はパートナー。パートナーだから指導したり支援するこ
とは惜しまずやる。取引先とかかわりを持つ担当者は、パートナー企業に「心配りの
できる社員」に育て上げられているのだ。



【3】Win Winの関係を築く!

政治の世界ではよく日米同盟というキーワードが頻繁に使われる。だが果たして対等
なのだろうか。有事のときにそれは証明されよう。駐留軍のために日本が負担してい
るコストだけでも大変な額だ。沖縄の人たちが負っている精神的負担・ストレスも大
きい。アメリカの欲望を満たすために利用されている面が多いように思えてならない。

中小企業は、Win Winの関係を持たずに大企業の傘の下で生きていくには限界がある。
大企業はほとんどが海外に進出している。一緒に現地に行ってくれと言われて海外に
出た中小企業は多い。国内にいても仕事が来ないからだ。

だが、大企業はメリットがなくなり次第、閉鎖してもっとコストの安い国に移動する。
つまりジプシーだ。行動を共にしようと思えば新たな借り入れも必要となり、中小企
業にとっては荷が重過ぎる。結局破綻した中小企業も多いのだ。Winがなかいどころか
、負け犬にまでなってしまった。

取引先企業を負け犬にしてしまう施策はもう通用しない。やはりコマツのようにパー
トナーに対してWinを与える必要がある。トップとしてのパートナー企業との取引に関
するフィロソフィの確立が重要であり、それを支えるパートナー企業に「心配りので
きる社員」の存在も必要なのである。



【4】下請けになることを断った本多プラス!

愛知県新城市に本多プラスという小物容器をブロー成型で大量生産するすごい会社が
ある。かつては、お習字で使う筆のさやを手加工で生産していた零細企業だった。二
代目の本多克弘社長はブロー成型に目をつけ、研究の末ブロー成型で筆のさやの大量
生産ら成功した。あるとき最大手の自動車メーカーから傘下に入らないかと誘いを受
けたが断った。

下請けのほうが楽な経営ができたはずだが、あえて断り、自主独立の道を歩んできた。
修正液の小さな容器、化粧品の容器、さらには医療用の容器にも進出を果たしている
オンリーワン企業に育っている。

大企業の傘下に入ることを断ったのは「ルビコン川を渡る決断」だったわけだ。

下請けや外注というキーワードは響きの悪いキーワードだと思う。

本多プラスの社是は「他人のやらないことをやる」だ。他人のやらないことをやれば
道は開けると本多社長は胸を張る。今日も提案書とサンプルを携えた美人の営業兼デ
ザイナーの社員が顧客先に出向いてにこやかにプレゼンしている姿が浮かぶ。



【5】編集後記

「脱下請け」を目指している中小企業は多い。この通りやってくれと言われ、規格も
品質水準もみんな決まっている。しかも頭を押さえつけられ、不良や納期遅れを出せ
ばいじめられ、コストを下げろと脅される。恐怖の取引ではWin Winなどありえない。

今や、多くの企業は、パートナー企業に「心配りのできる社員」を求めている。この
辺のスキルを磨いて応募すれば採用されるチャンスはあるはずだ。

一方、「脱下請け」は簡単ではないが、「他人のやらないことをやる」という本多プ
ラスの社是がヒントになる。




次回に続く


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        彩愛コンサルピア代表 下山明央

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