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年次有給休暇制度に関するQ&A(その7)

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 経営・労務管理ビジネス用語の
   あれっ! これ、どうだった?!

  第63回 年次有給休暇制度に関するQ&A(その7)
      Q12.海外留学で休職している期間は
         継続勤務期間から除外して良いか?
      Q13.6か月未満の間就労する出稼ぎ
         労働者には年休を与えなくて良いか?
      Q14.生理休暇の取得日は出勤扱いとすべきか?
      Q15.遅刻や早退した日を出勤率算定
         当たって欠勤扱いとして良いか?

                           
<第84号>     平成23年12月26日(月)
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発行人のプロフィル⇒ http://www.ho-wiki06.com
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こんにちは! 
メルマガ初訪問の皆さま、ありがとうございます。

1週間のご無沙汰でした。
亥年のアラ還、小野寺です。
本日も年休に係るQ&Aとして解説します。

なお、本号をもちましてメルマガ配信を
完了させていただきます。

長い間のご購読に心より御礼申し上げます。
(以下、編集後記へ続く)

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

Q12.海外留学で休職している期間は継続勤務期間から
除外して良いか?

○ 労基法第39条第1項で定める年休付与の法定要件の一つ、
「継続勤務」とは、労働契約の存続期間、すなわち「在籍期間」
をいう(昭63.3.14基発第150号)と示されています。

つまり、退職等で当該事業場との雇用契約が終了していない間は
在籍していることになり、継続勤務に該当します。

従って、海外留学のため休職している期間も当該事業場
在籍していることになり、継続勤務期間に通算しなければ
なりません。

同じように、私傷病等で長期療養のため休職している期間、
組合専従役員として休職している期間も、継続勤務期間に
通算しなければなりません。(了)

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◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

Q13.6か月未満の間就労する出稼ぎ労働者には
年休を与えなくて良いか?

○ 一般に「出稼ぎ労働者」とは、通常1年未満の期間、
居住地を離れて某事業場で就労し、

その就労期間経過後に居住地に帰るという形態で
一定期間勤務するものをいいます。

そこで、その出稼ぎ労働者の就労期間によって
年休権が付与されるかどうかが決まることになります。

すなわち、労基法第39条第1項によって
6か月間継続勤務した労働者には年休を与えなければ
ならないことになっているため、

出稼ぎ労働者の就労期間が6か月以上に及ぶ場合は、
6か月経過した時点で年休を付与しなければなりません。
(通常は10労働日)

○ 一方、就労期間6か月未満の者については、
継続勤務要件を満たさない為、
労基法上は年休を与えなくても差し支えありませんが

出稼ぎ労働者の福祉の向上等を図る観点からは、
これらの者に対してもある程度まとまった有給の休暇が
与えられることが望ましいとされており、

就労期間が3カ月以上4カ月未満の者には3日程度、
4か月以上6か月未満の者には5日程度の

有給の休暇を付与するよう啓発指導が行われています。
(平6.3.28基発第167号)

○ なお、解釈例規でも「使用者が継続6箇月間の期間
満了前に、労働者に対し年次有給休暇を与えることは、

何ら差し支えないこと(昭29.6.29基発第355号)と
されていますので、

一般事業場でも、新卒者の入社日に5日前後の年休を
付与している場合もあります。

これは初めて学校等を卒業し、会社の状況も知り合いも
いない環境で、かつ、仕事も知らない中で

精神的にも肉体的にもかなりのプレッシャーがあり
体調を崩すことも考えられることから
大変に良い使用者の配慮だと思います。

同様の趣旨も含めて、出稼ぎ労働者に対しても
何らかの配慮は必要と考えるものです。

また、出稼ぎ労働者であっても、
1年のほとんどを出稼ぎ先で過ごし、何年にもわたって

同一の使用者のもとで就労しているような場合は
就労と就労との間に多少の間隔があっても実態として
継続勤務と認められる場合もあり、

こうした場合には、年休の付与日数も勤続年数に応じて
増やしていくことが必要と考えられます。(了)

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

Q14.生理休暇の取得日は出勤扱いとすべきか?

○ 生理休暇に関しては労基法第68条に
使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が

休暇を請求したときは、その者を生理日に
就業させてはならない。」と定められています。

生理日の症状については男性にはまったく分からない
ことであり、かつ、女性でもその症状の軽重は
一人ひとりで異なるものと言われています。

すなわち、生理期間、その間の苦痛の程度あるいは
就労の難易は各人によって異なるものであり客観的な

一般基準は定められないため、就業規則等で
その日数を限定することは許されないと解されています。

ただし、有給の日数を定めておくことは
それ以上休暇を与えることが明らかにされていれば

差し支えない(昭23.5.5基発第682号、昭63.3.14基発
第150号・婦発47号)としています。

○ 一方、我が国の管理職のほとんどは男性で占められており
生理日の休暇申出をためらう女性が多く、

実際には、生理休暇として休むより年休のある女性で
生理日当日の症状が重く就労に耐えられない者は、
年休を取得する場合も多いようです。

生理期間の就業困難に関する証明についても、
医師の診断書等の厳格な措置は必要ではなく、

例えば、同僚の証言程度の簡単な証明でよい(前掲通達)と
しています。

また、解釈例規では生理休暇期間の賃金については
支給するか否かは使用者の任意であり、就業規則等に
定めれば足りるとしています。(前掲通達

○ そこで、年休の発生要件(取得要件)の1つである
出勤率の計算に当たって、

実際に休業したものを出勤したものとして
取り扱うものとしては、

(1)労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養の為に
休業した期間、(2)育児休業又は介護休業をした期間、
(3)産前産後の休業期間(第39条第8項)であり、

また、(4)法の趣旨から年次有給休暇を取得した期間等々と
なっており、生理休暇については、このような特別な
取り扱いは示されていません。

従って、生理休暇による休業を出勤として取り扱わなくても
違法ではないが、出勤として取り扱うことも自由です。

この点についても解釈例規では次のように示しています。
「法第39条第1項の規定の適用について、

生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求して
就業しなかった期間は労働基準法上出勤したものとは
みなされないが、

当事者の合意によって出勤したものとみなすことも、
もとより差し支えない。」(昭23.7.31基収第2675号)

○ 生理日の発生は、当該女性労働者の個人的事情に
よるものとは言い難く、女性全般に平等に生ずるもので
あることを踏まえると、

労働者保護の観点からも、最低限必要な日数を
有給の特別休暇としても良いと考えるものです。

例えば、月2日間の生理休暇を取得したとしても年間
24日間となり、場合によっては出勤率に影響する場合も
あるかも知れません。

あるいは、1日だけを有給の特別休暇とし、それ以上の
必要な休暇は欠勤扱いとする旨、規定しても良い。

当該労働者は年休対応もできることから、
安心して体調を整えることができるのではないかと思います。

ともあれ、今や女性労働者の企業への貢献度は
大変に大きなものがあるだけに

使用者においては寛大な規定の制定と運用を
念願するものです。(了)

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

Q15.遅刻や早退した日を出勤率算定に当たって
欠勤扱いとして良いか?

○ 遅刻や早退は、1労働日の所定労働時間の一部について
就労しないものですが、

出勤率の計算上の出欠は、労働日を単位として
みるべきものと考えられるので

これを欠勤として取り扱うことは認められないと
解されています。(了)

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■■ 編集後記 ■■
きょうも最後までお読みいただきありがとうございます。

本メルマガの第1号の発信は2010年3月7日付でした。
以来、約1年8か月間にわたり多くの方に愛読していただき
衷心より御礼申し上げます。

最後に、ある新聞のコラム記事を踏まえて
私自身の思いを記しておきます。

○ 将棋界の最高位の1つとされる竜王戦7番勝負では
対局者が、それぞれ扇子に記念の揮毫をすることになっています。

今期の竜王戦で未踏の8連覇を成し遂げた渡辺明竜王は
「想」と書き、挑戦者の丸山忠久9段は「創」と書きました。

この揮毫について渡辺竜王は「棋士は将棋を指すことしか
できない。被災地への想いを込めて指したい。」と。

一方、丸山9段は「被災地は大きな打撃を受けたが、これから
新しいものを創っていかなければならない。」と、
それぞれの心境を語っていました。

○「想」には「ああではなかろうか、こうではなかろうか、と
心の中で思う」との意味がありますが、

真剣勝負の大舞台でも被災地の皆さまへ寄り添う温かなこころが
にじみ出ています。

また「創」には「初めて作る」との意味があり、
何もなくなった地域に従来とは異なる全く新しい街づくりを
始めるが、決して平坦な道ではないとの思いやりがあります。

両者の選んだ一文字は、政府も国民も決して忘れてはならない
過去から未来への日本の歩むべき道が示されていると思います。

○ このコラム記事が載った同じ日の一面に、野田首相の
「冷温停止状態」宣言が発表されていました。

確かに、原子炉のみに限定したこととは言え、「事故収束」の
一語に強烈な違和感を覚えました。

新聞には少なくなったとはすえ、いまだに死亡者の氏名が載り、
行方不明者がまだ4千名近くおり、さらに福島原発の影響で

全国的な避難者が約35万人もいる時に
果たして、事故収束で片づけてよいものでしょうか。

○ 先哲の言葉に『天子の一言、空しかるべからず』、つまり
一国の中心者、指導者の一言は大変に重いものがあるとの
ことであり、

また、論語に「九思一言」とあるように、
指導者たるもの、何かを発しようとする場合には、

9回熟慮してから初めて一言を発するほど慎重でなければ
ならないとの指導です。

巷間、言われるように財務官僚や経産官僚の拡声器に
なってしまっては、ますます国民の想いからズレることに
なってしまうのではと心配になります。

政治家は、「観世音菩薩」でなければならないと言われます。

つまり、世音(世の中の状況、国民の心)を観ずることが
利他行と言われる菩薩の働きであり、公僕たる政治家の
あるべき姿であるとの意です。

○ 最後に、明年のNHK大河ドラマは「平清盛」ですが
文豪・吉川英治の「平家物語」にある言葉を、現在のすべての
政治家・官僚に贈って終わりたいと思います。

●世の中が乱れることもわきまえず、庶民の憂いや苦しみに
無関心である。

●自らの快楽を求め、人の諫言を顧みない。

すなわち、「慢心」であり「無慈悲」であり「背信」である点を
強調している言葉です。

最後に、重ねて長い間のご購読に感謝申し上げ、本号で
終了とさせていただきます。

本当にありがとうございました。
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