2012年3月24日号 (no. 668)
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---3分労働ぷちコラム---
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本日のテーマ【「事業所」ではなく、「
事業場」という文言の違い。】
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■働く場所が異なるとき、どうやって
労働時間を通算するのか。
働く場所が複数ある人はどれぐらいいるのでしょうか。おそらく、殆どの人は、職業は1つで働く場所も1つなのではないでしょうか。フルタイムで働いているとなると、なおさら職業も勤務場所も1つに集約されやすいはず。
ただ、中には、フルタイムの仕事とパートタイムの仕事を掛け持ちしている人もいるでしょうし、パートタイムの仕事を2つ掛け持ちしている人もいるし、自営業とフルタイム、自営業とパートタイムという組み合わせも考えられる。
全ての人が「1つの職業、1つの勤務場所」とは限らず、人によっては2つ以上の職業と勤務場所があるのですね。
そこで問題になるのが、
労働時間の処理です。
例えば、9時から18時までフルタイムで仕事(食品会社の事務の仕事だと仮定)をして、20時から22時までパートタイムで仕事(コンビニの仕事だと仮定)をしている人がいるとしたら、この人の
労働時間は何時間でしょうか。
9時から18時までの時間には1時間の
休憩時間が含まれているので、フルタイムの仕事では8時間の
労働時間。さらに、パートタイムの仕事は20時から22時だから、2時間。ゆえに、
労働時間は10時間となる。
確かに、
労働時間は10時間ですよね。では、8時間を超えた時間は法定
時間外労働として扱われるでしょうか。
「もちろん、8時間を超えたら残業だから、
残業代が必要だよね」と判断しましたか?
それとも、「うーん、確かに
労働時間は10時間だから、2時間分は残業となるはずだけれども、、、何か違う気がする」と思いましたか?
さて、あなたはどちらでしょうか。
■
労働基準法38条の効果が及ぶ範囲はどこまで?
2時間分は残業となる。いや、2時間分は残業にはならないんじゃないか。
どちらの判断も間違っているわけではありません。ただ、働く場所が途中で変わっているので、はたして
労働時間を通算すべきかどうか分からないのですよね。
労働基準法38条(以下、38条)には、
労働時間の通算に関するルールが書かれています。
(第38条)
労働時間は、
事業場を異にする場合においても、
労働時間に関する規定の適用については通算する。
この条文を素直に読むと、働く場所が変わっても、
労働時間は通算するのだと思えます。それゆえ、上記の例でも9時から18時までフルタイムで仕事をして、20時から22時までパートタイムで仕事しているのだから、両方の
労働時間を通算して、10時間として把握するのが正しいのではないかと思える。
しかし、そう考えると、ちょっと不都合なことがあります。
労働時間が10時間であるとして、8時間を超えた時間はどうするのか。
労働基準法では、1日8時間を超える勤務は法定
時間外労働ですから、8時間を超えた2時間分はいわゆる残業として処理すべきところです。残業として処理したならば、法定
時間外労働の
割増賃金も発生すると考えるのが法律通りの手順ですよね。
さて、では2時間分の
割増賃金は誰が用意するのでしょう。9時から18時まで働いていた事業所でしょうか、それとも20時から22時まで仕事をしていた事業所でしょうか。
「そりゃぁ、20時から22時まで働いていた所が払うんじゃないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、それで問題ありませんか?
2時間しか仕事をさせていないのに、2時間分の
割増賃金が必要になる。これはヘンですよね。あなたがコンビニのオーナーだったらどう思うでしょうか。納得できないはずです。コンビニで8時間を超えて仕事をさせているならば、確かに
割増賃金は必要でしょう。しかし、2時間だけの仕事に対して
割増賃金を支払うとなれば、これはオカシイ。
38条を読むと、「事業"所"」という文言が使われておらず、「事業"場"」と書かれている。これが何を意味するのか。
「
事業場を異にする場合」というのは、「同じ会社で、仕事をする場所が分散している場合」を意味しているのではないでしょうか。つまり、食品会社を例に挙げるならば、工場が4つあって、さらに本社が1つあるという場合、4つの工場や本社をまたがって仕事をした時に、
労働基準法38条で
労働時間を通算するという意味と考えるのが自然です。
同じ会社内で
労働時間を通算するルールを38条に書いたと考えるわけです。おそらく、他の会社と
労働時間を通算することを想定していないと私は考えます。チェーン展開する会社。事務所が複数ある会社。これらを想定していると考えるのが自然な解釈です。
もし、他社と
労働時間を通算するとなると、社員の勤務情報を他社に渡す必要があります。しかし、自社の社員の勤務情報を他社に渡す会社はおそらく無い。なぜならば、それは
個人情報だからです。仮に、他社から勤務情報を集められたとしても、
残業代をどこの会社が負担するのか、さらには
雇用保険料や
健康保険、
厚生年金の
保険料をどこの会社が負担するのかという点を解決できませんので、やはり他社の
労働時間まで含めて通算すると解釈するには無理があります。
もし、他社との通算を想定しているならば、38条では「
事業場」ではなく「事業所」という文言を使っているのではないか。
ゆえに、食品会社で8時間、コンビニで2時間、合計で1日10時間の仕事をしたとしても、8時間を超えた2時間分は残業にはならず、
割増賃金も発生しないと考えることになります。
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メールマガジン【本では読めない
労務管理の"ミソ"】のご紹介
内容の一例・・・
『定額
残業代で
残業代は減らせるのか』
『15分未満の
勤務時間は切り捨て?』
『4週4日以外の
変形休日制度もある』
『長時間残業を減らす方法は2つある』
『管理職は週休3日が理想』
『日曜日=
法定休日と思い込んではいけない』
『
半日有給休暇と
半日欠勤の組み合わせはダメ?』
『寸志は
賃金or贈り物?』
『ケータイは仕事道具か遊び道具か』
など、その他盛りだくさんのテーマでお送りしています。
本に書いていそうなんだけど、書いていない。
そんな内容が満載。
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カードを使わないタイムカード Clockperiod のご紹介です。
タイムカードを使うときに負担なのは、専用の打刻機を用意しなければいけないし、
新しい紙のカードを毎月作らないといけない。さらに、カードを見ながら、電卓や
表計算ソフトで
勤務時間を集計しないといけない。
しかも、給与の締め日から支給日までの短期間で集計作業をしないといけないので、
作業する人にとっては
勤務時間の集計は悩みのタネですよね。
そんな悩みをどうやって解決するか。
そこで、電子タイムカードの Clockperiod が登場です。
Clockperiod は、紙のカードと打刻機を使わない電子タイムカードですから、
打刻機を用意しなくても
勤務時間を記録できますし、給与計算のためにカードを
集める必要はありません。さらに、毎月、新しい紙のカードに社員全員の名前を
書いてカードストッカーに入れることもなくなります。
始業や終業、
時間外勤務や
休日勤務の出勤時間を自動的に集計できれば勤怠集計
の作業は随分とラクになるはず。
Clockperiodは、出退勤の時刻をタイムカード無しで記録できます。タイムカード
や
出勤簿で
勤務時間を管理している企業にオススメです。
さらに、タイムカードのコピーをメールで送信して社員ごとに保存することができ
ますので、個人別に毎月の勤務記録を取り置くことができます。
また、勤務記録の改ざんや不正な打刻を把握できるログ機能もあります。
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残業で悩んでいませんか?
「長時間の残業が続いている」
「
残業代の支払いが多い」
「残業が減らない」
こういう悩み、よくありますよね。
ニュースでも未払い
残業代の話題がチラホラと出てくるぐらい、残業に対する関心は高くなっています。
法律では、1日に8時間まで、1週間では40時間までしか仕事ができません。その水準を超えてしまうと、残業となり、
割増賃金が必要になります。
とはいえ、1日で8時間と固定されていると不便だと感じませんか? 1週間で40時間と固定されていると不便だと感じませんか?
毎日8時間の時間制限があると、柔軟に
勤務時間を配分できませんよね。
例えば、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。
仕事に合わせて、ある日は
勤務時間を短く、ある日は
勤務時間を長くできれば、便利ですよね。
でも、実は、「月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務なので、残業は無し」こんなことができる仕組みがあるんです。
「えっ!? そんな仕組みがあるの?」と思った方は、ぜひ『残業管理のアメと罠』を読んでみてください。
『残業管理のアメと罠』
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そこで問題になるのが、労働時間の処理です。
例えば、9時から18時までフルタイムで仕事(食品会社の事務の仕事だと仮定)をして、20時から22時までパートタイムで仕事(コンビニの仕事だと仮定)をしている人がいるとしたら、この人の労働時間は何時間でしょうか。
9時から18時までの時間には1時間の休憩時間が含まれているので、フルタイムの仕事では8時間の労働時間。さらに、パートタイムの仕事は20時から22時だから、2時間。ゆえに、労働時間は10時間となる。
確かに、労働時間は10時間ですよね。では、8時間を超えた時間は法定時間外労働として扱われるでしょうか。
「もちろん、8時間を超えたら残業だから、残業代が必要だよね」と判断しましたか?
それとも、「うーん、確かに労働時間は10時間だから、2時間分は残業となるはずだけれども、、、何か違う気がする」と思いましたか?
さて、あなたはどちらでしょうか。
■労働基準法38条の効果が及ぶ範囲はどこまで?
2時間分は残業となる。いや、2時間分は残業にはならないんじゃないか。
どちらの判断も間違っているわけではありません。ただ、働く場所が途中で変わっているので、はたして労働時間を通算すべきかどうか分からないのですよね。
労働基準法38条(以下、38条)には、労働時間の通算に関するルールが書かれています。
(第38条)
労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。
この条文を素直に読むと、働く場所が変わっても、労働時間は通算するのだと思えます。それゆえ、上記の例でも9時から18時までフルタイムで仕事をして、20時から22時までパートタイムで仕事しているのだから、両方の労働時間を通算して、10時間として把握するのが正しいのではないかと思える。
しかし、そう考えると、ちょっと不都合なことがあります。
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さて、では2時間分の割増賃金は誰が用意するのでしょう。9時から18時まで働いていた事業所でしょうか、それとも20時から22時まで仕事をしていた事業所でしょうか。
「そりゃぁ、20時から22時まで働いていた所が払うんじゃないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、それで問題ありませんか?
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「事業場を異にする場合」というのは、「同じ会社で、仕事をする場所が分散している場合」を意味しているのではないでしょうか。つまり、食品会社を例に挙げるならば、工場が4つあって、さらに本社が1つあるという場合、4つの工場や本社をまたがって仕事をした時に、労働基準法38条で労働時間を通算するという意味と考えるのが自然です。
同じ会社内で労働時間を通算するルールを38条に書いたと考えるわけです。おそらく、他の会社と労働時間を通算することを想定していないと私は考えます。チェーン展開する会社。事務所が複数ある会社。これらを想定していると考えるのが自然な解釈です。
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もし、他社との通算を想定しているならば、38条では「事業場」ではなく「事業所」という文言を使っているのではないか。
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