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労働基準監督署・臨検No.2

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   実録『不払い残業・サービス残業対策虎の巻』  第3号 2005.08.03

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労働基準監督署・臨検No.2


前週、最後に記載しました東京都の最低賃金は、『710円』です。
ということは、例えば8時間労働で実労働日数が22日、23日になる場合を
考えてみますとの22日で月額124,960円、23日で130,640円と
いうことになります。
皆さんの会社では、この金額を下回るような賃金を支払っているようなことは
先ずないと思います。
大部分の企業における就業規則は、基本給、その他各種手当が明示されて
給与規則(賃金規程)等が作成されているはずです。
それぞれの企業では、案外、多額の賃金を支給しておられるのではないで
しょうか。
資本主義の原理、競争社会ですから致し方ないところです。

私は、総務業務もおこなってきましたので別の事件から司法警察員の仕事
を考えてみたいと思います。
事件の内容は、『業務上横領』です。
この場合、先ず企業は該当者を特定して刑事告訴をおこないます。
所轄署は、事件の内容を把握して『受理』したことを明示するために事件番
号および受理印を押印します。
ここから捜査がはじまります。
証拠書類の詳細な確認と企業側担当者から事情聴取をおこない具体的な
捜査へと進みます。

捜査の際、事件関係者におこないます任意の事情聴取がありますが、この
対応については、非常に厳格かつ慎重な態度で司法警察員は対応されま
す。
理由は、非常に明快です。
刑事事件の公判を維持するだけの適法な証拠収集をおこなうためです。
決して無理な事情聴取等はおこないません。
あくまで任意捜査に協力していただける方の自主的な判断に基づき捜査
を実施します。
協力を得られない場合、他の挙証可能性を探します。
それはそれは、非常に慎重な態度と姿勢で捜査業務をされています。

他方、臨検の場合も同様に任意で調査をされます。
協力するか、しないかは企業の判断にゆだねられています。
これまで大部分の企業が協力的だったのではないでしょうか。
理由は、今日のような勧告に基づく自主的(?)な是正改善が非常に少な
かったように思われます。
近時の臨検では、人事責任者が抗弁をおこなっていますと『夜間臨検をお
こないますよ』など任意の調査範囲をいささか超えていると思われる言動
があります。

問題はいくつかありますが、第一は本来民事事件であれば時間外割
賃金を請求する従業員立証責任があるのですが、企業側に立証責
任の転換がなされているのではないか、という疑念があります。
第二は、刑事事件になるような場合、適正手続きや令状主義の観点
から問題があるといわざるを得ません。
第三は、行政手続に基づく調査の中立性からみて裁量権の妥当性につ
いて近時の是正改善は、裁量権を超えているのではないか、と人事責任
者の立場からは、そのように見えてなりません。
労働基準法の狭量的、直裁的な判断と運用だと思っているのは、私だけ
でしょうか。

以上のような課題がありますので労働問題専門の弁護士を介入させて
法律上の問題点、および企業活動の率直かつ真摯な内容を具体的に証
明する必要が、各企業の個別活動に準じてなされなければならないと考
えるものです。
私は、現状のままおこなわれる監督権に基づく調査では、企業側に著し
い不利益が課せられていると考えています。

前回記載しました臨検当日任意に提出する書類は、上記の内容から顧
問弁護士と相談の上、慎重な対応をとってください。
顧問弁護士がいないような場合、弁護士会で実施しています法律相談
等を活用することをお勧めします。
『任意ですので、後日提出いたします』を徹底することです。
近時の臨検、調査は、企業防衛を含めて確実な対応をおこなっておか
ないと、人事責任者の権限をはるかに越える結果となります。

労働基準監督署によっては、各署別に若干対応がことなっていること
を念のため申し添えておきます。

【追記】
文頭に記載しました最低賃金のデータは、今後活用しますので記憶し
ておいてください。
これで答えがだせたあなたは相当なレベルです。
私のメルマガを購読していただく理由がございません。(笑)

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月2回発行
発行者:長野幸太郎


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