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高校生のバイトの取り扱い。





2013年1月8日号 (no. 713)
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---3分労働ぷちコラム---
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本日のテーマ【高校生のバイトの取り扱い】
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■高校生のアルバイトはパートタイマーではない?


高校生になるとアルバイトを経験する人が出てくる。中学生まではアルバイトをしたくても、企業が募集をしていないし、もしできるとしても学校の許可が必要になる。中にはアルバイトをしている人もいたみたいだけれども、中学生でアルバイトをするには、何らかの人的なコネクションがないと難しいはず。

私も高校生の頃にはアルバイトを経験した。1つだけではなく、ガソリンスタンド、運送会社、打ちっぱなしゴルフ練習場に併設されているレストラン、ゴルフ場のボール回収、居酒屋、思い出しただけでも5つの仕事を経験している。

居酒屋で働いていたときは、夕方から夜の仕事で、17時から0時30分まで働いていた。チェーン店の居酒屋ではなく、個人経営の居酒屋のためか営業時間は長かった。まあまあ繁盛しているお店で、店の近くに大きな会社があったので、平日のお客さんは多かった。日曜日はその会社が休みになり、ビジネスマンがお店に来ないので、飲食店には珍しく日曜定休日の居酒屋だった。日曜日といえば飲食店にとっては儲け時ですから、定休日にするなんてあり得ないと思えるのですが、平日メインのお店だと日曜日が定休日になることもあるのですね。

さて、高校生が17時から0時30分まで働いていたとすると、労務管理的には問題がありますよね。ご存知のように、高校生が働ける時間は22時までです。そのため、0時30分まで働くことはできないはずです。

私は今でこそ社労士ですけれども、高校生の頃は労務管理についてはほとんど知らず、22時以降は高校生が働けないことも知らなかった。さらには、深夜時間帯に働くと割増賃金が必要なことも知らなかった。22時以降のルールについて知らないのですから、割増賃金について知らないのも当然ではあります。

その当時は、インターネットは今ほどは普及していなかったですし、パソコンも一部のマニア向けの機械であって1台で70万円とかだった頃です。言うまでもなく、ケータイでネットはできなかったし、スマートフォンなんて存在すらしなかった。そのため、働くときのルールについて知ろうとしても、せいぜい本で調べる程度で、手に入れられる情報なんて実に貧弱でした。

高校生が0時30分まで働いていた。深夜割増賃金も無かった。こんな法律違反の居酒屋でしたが、賄いの食事は美味しかった。居酒屋だから大したものは出てこないだろうと思うかもしれないけれども、賄いの食事は色とりどりで、飽きることはなかった。竹輪の天ぷらにマヨネーズをつけて食べることを初めて知ったのはこの居酒屋です。ここで食べた厚揚げ焼きの味は今でも忘れていない。あんなに美味しい厚揚げ焼きはなかなかないと思う。

法的には不備があるお店でしたが、だからといって不満というわけでもなかった。もし、労務管理について知識を持っていたら、おそらく不満を感じていたのではないかと思う。知らないからこその満足。知っているからこその不満。その好例だったように思う。


居酒屋以外にも、ゴルフ場でのボール回収が労務管理で問題があった。ゴルフ場といっても、いわゆる広いコースに落ちているボールではなく、打ちっぱなしで練習するゴルフ場です。打ちっぱなし練習では、お客さんがボールをパンパンと打ち飛ばして練習して、ボールはそのまま放置する。そのため、営業時間が終わると、打ちっぱなしエリアにはボールがビッシリと落ちている。そのボールをキレイに片付けるのがボール集めの仕事。

ゴルフ場の営業時間が23時で終わるので、23時から0時までの1時間が作業時間だった。集めるといっても、手で1つ1つ拾うのではなく、トンボ(T字型の地ならし道具)や重機を使うので、45分から50分程度で終わる。道具を使っているから、ササッと終わるだろうと思うかもしれないが、ゴルフボールをトンボで集めてみると、結構重たい。ボール1個あたりの重さは大したことはないけれども、数が集まると随分と重くなる。その重いボールを回収場所の溝まで運ばないといけないので、仕事は想像するほど簡単ではない。ボール回収用の重機もあったけども、1台しかないので、全員が重機を使って作業できるわけではない。

ここでも、22時以降の仕事が問題となっていますね。高校生が23時から0時まで仕事をするのは、法的にはダメです。ただ、時給が1,000円だったので、高校生としては魅力的に思えた。

居酒屋にしろ、ゴルフ場にしろ、管理者が法律を知らなかったのか、それとも知っていた上でのことだったのか、事実は定かではないけれども、高校生が22時以降は働けない点について知らない会社が多かったのかもしれない。今だと、ニュースでも新聞でも、インターネットでも労務管理についての情報がたくさんありますので、高校生の扱いについては知っている人も多くなっているはず。しかし、昔は情報を集めるには、本を読むか人から聞くぐらいしかなく、知らずに過失で法律に違反している事業所も多かったのかもしれませんね。


学生のアルバイトはパートタイマーのおばちゃんとは違う。そう思っている方も結構いらっしゃるのではないでしょうか。アルバイトとパートは別物。そう思っている人もいるかもしれない。

確かに、学生とパートのおばちゃんでは働く時間の長さが違うでしょうし、仕事の内容も違うかもしれない。勤務日数も、学生は週に2日や3日の勤務であっても、パートの人は週に5日で働いているのかもしれない。そう考えると、学生とパートのおばちゃんは違うと思うのも無理のないことです。







■高校生もパートのおばちゃんと一緒。


アルバイトとパートタイマーは労務管理ではほぼ同じものと扱います。「アルバイト=学生。パート=おばちゃん」というようにパカっと分けて理解している方も多いのでしょうけれども、労務管理での取り扱いは変わりません。

ただし、高校生だと、22時以降は働けないので、この点はパートタイマーの人との違いです。22時で終業して、着替えて退社するところもあれば、22時で終業すると22時までに退社や退店ができないので、22時ちょっと前、21時45分とか21時50分に仕事を終えて、22時までに会社やお店を出れるようにしているところもあります。前者は終業時点で22時、後者は退店まで含めて22時ですね。後者の方がよりキッチリしています。

ちなみに、高校生にも有給休暇はありますから、もし週5日で働いていれば、フルタイム社員と同じ日数の有給休暇がある。週3日や週4日でも、勤務日数に応じた有給休暇がありますので、有給休暇が全くない高校生のバイトはほとんどいないのではないかと思います。

高校生で有給休暇を使っている人はどれぐらいるんでしょうね。おそらく、限りなくゼロに近いのではないかと思います。採用時の面接では、勤務時間や曜日、休みや時給の話は出てくるけれども、有給休暇の話は出てこないはず。私が高校生の頃も、有給休暇について説明を受けたことはありませんでした。高校生に年休なんて無いと思っていましたからね。

高校生にも有給休暇があると会社側の人は知らないのか。それとも、知っているけれどもあえて隠しているのか。色々な理由があるのかもしれませんが、高校生が有給休暇を使うのは難しいのでしょうね。


高校2年の夏休みに、お中元の配達がたくさんある時期で、運送会社の庫内作業の仕事をしていたときは、働き始めて3週間から4週間ぐらいで、「今週いっぱいで終わりということで」と言われてリストラされた経験があります。私を含めて、高校生は確か12人ほどいたと思います。その12人のうち、8人か9人減らされ、残った人で仕事を続けたそうです。

仕事が想定より少なかったか。それとも、トラブルが多かった(バイトが原因となった配送ミスが多発していた)から人数を減らしたのか。理由は定かではないですが、パタッと解雇されましたね。

解雇予告と言えるものは1週間だけでしたし、残りの期間に対する解雇予告手当も無かった。

高校生でしたから、解雇の手続きについて知っているはずもなく、今週いっぱいで終わりと言われても、「あぁ、そうなのか」という程度で、また別の仕事を探そうかと思っていた。


その運送会社では、高校生で8時間を超えて仕事をしている奴もいて、残業代が出ていたのかどうかは知らないけれども、労務管理に関してはルーズだったのかもしれない。ただ、ルーズといっても、悪い職場というわけではなく、高校生にしては時給は高かったし、給与が高い割には仕事はさほど過酷なものではなく、倉庫内でピッキングと梱包をサクサクとやっていく。そんな仕事でした。ただ、夏でしたから、倉庫内は暑かったですね。悪い点と言えば、暑かったという点ぐらいでしょうか。


もし、上記のような職場で、「この取り扱いは法律に違反している」と指摘しても、「自分が望んで働いているんだろう?」と言われれば言い返せない。気に入らないならばヤメてもいいという態度を示されたら、こちらとしてはどうしようもない。

不正を指摘しても、"大人の交渉"をされてしまう。悩ましいですよね。

確かに、強制されてやっている仕事じゃない。だから、気に入らないならば辞めるといい。この論法で来られたら、切換しにくい。

もちろん、上記のように対応されたら、労働基準監督署に相談したり、法律を利用して直接交渉することもできる。ただ、その方法で解決できるかどうかはやってみないと分からない。ほとんどの会社は不備を指摘されれば直すとは思いますが、中には変わった会社もありますから、このような会社に出会ってしまうと厄介です。

「法律を守るのは義務であって最低限のことだから、法律の水準までは交渉不要で企業が対処すべき」という考えもある。しかし、現実にはそうならないときもあります。


自分の思い通りにならないときに、何を妥協して、何を求めるか。自分で環境を変えられるならば変えてしまえばいいのでしょうけれども、自分では変えられない環境もあります。そういうときは、自分自身でその環境から逃げる(退職する)のが良い解決策ではないかと思います。






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メールマガジン【本では読めない労務管理の"ミソ"】のご紹介


内容の一例・・・
『定額残業代残業代は減らせるのか』
『15分未満の勤務時間は切り捨て?』
『4週4日以外の変形休日制度もある』
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『管理職は週休3日が理想』
『日曜日=法定休日と思い込んではいけない』
半日有給休暇半日欠勤の組み合わせはダメ?』
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本に書いていそうなんだけど、書いていない。
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※配信サンプルもあります。


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カードを使わないタイムカード Clockperiod のご紹介です。


タイムカードを使うときに負担なのは、専用の打刻機を用意しなければいけないし、
新しい紙のカードを毎月作らないといけない。さらに、カードを見ながら、電卓や
表計算ソフトで勤務時間を集計しないといけない。

しかも、給与の締め日から支給日までの短期間で集計作業をしないといけないので、
作業する人にとっては勤務時間の集計は悩みのタネですよね。

そんな悩みをどうやって解決するか。

そこで、電子タイムカードの Clockperiod が登場です。


Clockperiod は、紙のカードと打刻機を使わない電子タイムカードですから、
打刻機を用意しなくても勤務時間を記録できますし、給与計算のためにカードを
集める必要はありません。さらに、毎月、新しい紙のカードに社員全員の名前を
書いてカードストッカーに入れることもなくなります。


始業や終業、時間外勤務休日勤務の出勤時間を自動的に集計できれば勤怠集計
の作業は随分とラクになるはず。

Clockperiodは、出退勤の時刻をタイムカード無しで記録できます。タイムカード
出勤簿勤務時間を管理している企業にオススメです。
さらに、タイムカードのコピーをメールで送信して社員ごとに保存することができ
ますので、個人別に毎月の勤務記録を取り置くことができます。
また、勤務記録の改ざんや不正な打刻を把握できるログ機能もあります。

▽    ▽   < Clockperiodの利用はこちら >    ▽    ▽
https://www.clockperiod.com/Features?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_clockperiod20160308HT



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残業で悩んでいませんか?

「長時間の残業が続いている」
残業代の支払いが多い」
「残業が減らない」

こういう悩み、よくありますよね。

ニュースでも未払い残業代の話題がチラホラと出てくるぐらい、残業に対する関心は高くなっています。

法律では、1日に8時間まで、1週間では40時間までしか仕事ができません。その水準を超えてしまうと、残業となり、割増賃金が必要になります。

とはいえ、1日で8時間と固定されていると不便だと感じませんか? 1週間で40時間と固定されていると不便だと感じませんか?


毎日8時間の時間制限があると、柔軟に勤務時間を配分できませんよね。

例えば、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。

でも、実は、「月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務なので、残業は無し」こんなことができる仕組みがあるんです。

「えっ!? そんな仕組みがあるの?」と思った方は、ぜひ『残業管理のアメと罠』を読んでみてください。


『残業管理のアメと罠』
http://www.growthwk.com/entry/2012/05/22/162343?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm20160308HT



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