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健康食品と医薬品

■Vol.281(通算520)/2013-2-20号:毎週月曜日配信           
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■■■    【 健康食品と医薬品 】
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      健康食品と医薬品
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健康食品がブームになってもう30年にもなるでしょうか。
人は皆できれば薬に頼らずに健康になりたいというのが共通の想い
なので、はるか昔から健康食品はみんなの関心事であったとも言える
でしょう。

ところが、健康にいい効果があると極端に宣伝する健康食品は薬事法
違反になる、とも言われています。最高裁の判例を通じて、健康食品と
医薬品の違いを見てみましょう。



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● 薬事法の規制
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薬事法24条1項は、「薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を
受けた者でなければ、業として、医薬品を販売し、授与し、又は
販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列(配置すること
を含む)してはならない」と定めます。
これに違反した者は、3年以下の懲役もしくは300万円以下の
罰金又はその両方が科されます。(84条5号)
医薬品の無許可販売等の行為は処罰されるということになっている
わけですが、この一見すると明確な薬事法の規制は、実はかなり
曖昧です。

特に問題となるのが「医薬品」とは何を指すのかです。

薬事法2条1項は、医薬品とは、次に掲げる物をいうと定めています。

1 日本薬局方に収められている物

2 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが
  目的とされている物であって機械器具、歯科材料、医療用品及び
  衛生用品(以下「機械器具等」という)でないもの
  (医薬部外品を除く)

3 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的と
  されている物であって、機械器具等でないもの
  (医薬部外品及び化粧品を除く)

しかし、この2号、3号の医薬品の限界、特に許可なしに販売し得る
食品との区別は、必ずしも明確ではないのです。

この点、行政解釈では、「人が経口的に服用する物が、薬事法2条
1項2号又は3号に規定する医薬品に該当するか否かは、その物の
成分本質、形状(剤型、容器、包装、意匠等をいう)及びその物に
表示された使用目的・効能効果・用法用量並びに販売方法、販売の
際の演述等を総合的に判断して、通常人が同法同条2号又は3号に
掲げる目的を有するものであるという認識を得るかどうかによって
判断すべきものである」としています。
(昭和46年6月1日薬発第476号厚生省薬務局長通知)


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● 判例(最高裁昭和57・9・28第3小法廷判決)
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薬事法の立法趣旨が、医薬品の使用によってもたらされる副作用や
中毒等の国民の健康への積極的危害だけでなく、薬効に対する過度の
信頼から国民をして適切な医療を受ける機会を失わせるなどの消極的
危害をも未然に防止しようとする点にあることに照らすと、「同法二条
一項二号及び三号にいう医薬品とは、その物の成分、形状、名称、
その物に表示された使用目的・効能効果・用法用量、販売方法、
その際の演述・宣伝などを総合して、その物が通常人の理解において
「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的と
され」又は「人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが
目的とされている」と認められる物をいいます。

これが客観的に薬理作用を有するものであるか否かを問わないと解
するのが相当である」と判示して、クエン酸を主成分とする粉末
「つかれず」と錠剤「つかれず粒」を製品化し、「高血圧が治る」
「低血圧、貧血、胃下垂が治る」などとしただけでなく、現代医学は
全く無力であるが「酢」は万能であり「酢」を飲んでおりさえすれば
これらの疾病から必ず解放されるかのような宣伝をして販売した事案で、
「医薬品」に該当するという判断をしています。

ただ、この最高裁の判断には、この事案のような極端な宣伝をした
からといって、即正しい薬が用いられない危険が生ずるとは限らず、
やはり一般人から見てあくまでも「酢」にすぎないと思われるもの
であれば、処罰に値するだけの法益侵害の危険性は認められない
のではないかという批判もあり、どのような場合に薬事法2条1項
2号又は3号の医薬品と認めるべきか、特に販売に際しての医薬品的
効能効果に関する演述宣伝がどの程度の重要な判断要素となるのか
については、まだまだ明らかにはなっていません。


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● 判例(最高裁昭和63年4月15日第2小法廷判決)
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【事 案】

都道府県知事の許可なく、海藻のわかめの芽株(胞子葉)の水溶液を
冷凍乾燥して顆粒状粉末とし、これを1グラムずつアルミ袋に封入し
30包を紙箱に納めた「ビバ・ナチュラル」という名称の製品を、
高血圧、動脈硬化、肝臓疾患、便秘等に効果があるとして医師、薬局、
美容院等に卸売りした事案。

「ビバ・ナチュラル」が医薬品に当たるかが争われました。
具体的には、以下のとくに(4)が重要であろうと思われます。

(1)本件「ビバ・ナチュラル」の成分は、糖質、灰分、無機質、
   ビタミン類等の海藻の成分そのものであり、通常の食生活に
   おいて、食品の範囲にあると認められる物である

(2)形状・名称は、顆粒状粉末1グラム入りのアルミ袋30包が
   紙箱に納められ、この紙箱の外側に、「海藻のエキス、ビバ・
   ナチュラル」と医薬品を暗示させるかのような名称が付され、
   「1グラム入り30包入り4500円」と普通の海藻の市価に
   較べてかなり高価な小売値の表示が付され、一部については、
   「東京都医師協同組合連合会推奨品」のシールが貼付されており、
   さらに、紙箱中に挿入された通常医薬品に使用される効能書に
   当たるような紙片に、その用法用量として1日、1包の飲用を
   指示したとみられる表現が記載されていました。
   それは、この物自体においては使用目的・効能効果についての
   言及を避け、紙箱の外側に「健康食品」とし、紙箱の中に挿入
   された紙片に「当製品・海藻のエキス『ビパ・ナチュラル』は
   薬ではありません。」と注意書きをしていましたが、なお医薬品に
   相当程度近似した外観を有するものでした。

(3)販売方法としては、食料品店、スーパー等のルートによらず、
   医師、薬局、美容院等に卸して小売させる方法をとっていました。

(4)販売に当たっての演述宣伝として、この製品の使用目的ないし
   医薬品的効能効果につき直接間接に言及している新聞記事、雑誌の
   コピー、宣伝用パンフレットを配付したり、判示のような内容の
   ポスターを添付するなどし、さらにアンケートを基に「ビバ・
   ナチュラル」の薬理作用を明示した「治験例集計紙」を作成して、
   試供品とともにそのコピーを配付したり、販売の際にこれを添付
   したり口頭でその内容を説明したりしていました。

【判決要旨】

  本件「ビバ・ナチュラル」の成分、形状、名称、表示された使用目的・
  効能効果・用法用量、販売方法、特に、販売に際して「このビバ・
  ナチュラルは、高血圧、動脈硬化、肝臓疾患に非常に効果がある」旨
  記載したポスターや、これらの疾患、症状に対する薬理作用を示す
  「治験例集計紙」を添付するなどして、その医薬品的効能効果を演述
  宣伝している事実などを総合すると、本件「ビバ・ナチュラル」は
  薬事法2条1項2号の医薬品に当たる。


      (弁護士 緒方義行  http://www.fuso-godo.jp/)






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