2013年3月28日号 (no. 722)
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---3分労働ぷちコラム---
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本日のテーマ【ダブルワークしたときの
残業代。】
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勤務時間を合計するか。それとも別々で計算するか。
1つの組織や会社のみで働く。多くの人にとって職場は1つなのかもしれません。
しかし、人によっては、新聞配達の仕事と昼の仕事、これら2つ同時に取り組んでいたり、昼の仕事とは別に夜にも仕事に行くなど、2つ以上の仕事を持っている人もいますよね。
フルタイムの仕事とパートタイムの仕事の組み合わせ。パートタイムの仕事とパートタイムの仕事の組み合わせ。その他にも組み合わせはあるかと思います。
1日に8時間を超えて仕事をすると残業になる。この点について知っている方は多いはず。
では、もし次のような働き方をしたら、残業は発生するでしょうか。それとも、発生しないでしょうか。
とある場所に、相川さんという人がいて、この人は2つの会社で仕事をするダブルワーカーです。
2013年3月11日に、相川さんは会社Aで8時間勤務した。勤務の時間帯は、9時から18時まで。
休憩時間が1時間あったと考えます。
さらに、同日に、会社Bで3時間勤務した。時間帯は、20時から23時まで。
休憩時間は無しとしましょう。
この場合、相川さんは残業したことになるでしょうか。それとも、ならないでしょうか。
会社Aでは、8時間の勤務です。8時間を超えていないので、残業ではないですよね。
一方、会社Bでは、3時間の勤務です。こちらも8時間を超えていないので、残業ではないですね。
ということは、相川さんは残業していないという結論していいのでしょうか。
「いや、ちょっと待って。会社Aと会社Bでの
勤務時間を合計すると、11時間の勤務になる。だったら、3時間分は残業として扱って、
割増賃金も必要なんじゃないの?」そう思う方もいるはず。
確かに、別々に扱えば、8時間と3時間ですから、残業じゃないと判断できる。しかし、合算して扱うと、11時間ですから、残業だろうと判断するところ。
では、どっちの判断が妥当なのか。
さらに気になるのは、もし残業が生じたとして、3時間分の
割増賃金はどちらの会社が支払うのでしょうか。会社Aでしょうか。それとも、会社Bでしょうか。
「そりゃあ、会社Bが支払うべきだろう。8時間を超過した
勤務時間は全て会社Bで発生しているのだから、当たり前だ」このように思いましたか?
しかし、会社Bでは、相川さんはたった3時間しか仕事をしていないですよね。それなのに、3時間分の
割増賃金を会社Bが支払うのでしょうか。
どうでしょうか。意外と難しいでしょう。
バラバラに
勤務時間を計算すると、通算で
勤務時間が8時間を超えているのに残業にならないし、合算して計算すると、
残業代の負担関係がおかしくなる。
この点をどうするかが今回の焦点です。
■勤務情報は
個人情報。だから、他社には教えないし、知ることもできない。
もし、
勤務時間を通算すれば、Bでの3時間は残業であり、
割増賃金が必要であるかと思える。
しかし、会社Bにとってみれば、「3時間しか勤務していないのに、何で残業なんだ?」と思うはず。
この場合、会社Bに対して
割増賃金の支払いを求めるのは酷です。会社Aに比べて公平ではない扱いになりますからね。
今回の問題では、
労働基準法38条1項(以下、38条1項)が根拠として用いられるはず。
38条1項では、「
労働時間は、
事業場を異にする場合においても、
労働時間に関する規定の適用については通算する」と書かれている。
素直に読むと、会社Aでの
勤務時間と会社Bでの
勤務時間を通算するのが正しいと思える。
しかし、条文の文言にある「
事業場を異にする場合」というのはどういう場合を意味するのか。ここの解釈によって結論は変わります。
1つの会社において、支店を変えたり、店舗を変えたりするという意味なのか。会社そのものは異にしないけれども、渋谷支店と四谷支店で同時に勤務するとか、お茶の水店と神田店で同時に勤務するという場合を意味していると考えるべきか。
それとも、単に支店や店舗を異にするという意味ではなく、2つ以上の異なる会社ごとに勤務場所を変えて働いた場合を意味するのか。
どちらの解釈を取るかによって、結論が変わる。
もし、前者ならば、相川さんの
勤務時間は、8時間と3時間に分割されますので、残業は発生しない。
しかし、後者の解釈だと、相川さんの
勤務時間は、11時間と考えるべきなので、残業が生じることになる。
就業規則の取り扱いや
変形労働時間制度の取り扱いでは、各店舗や各支店を1つの
事業場(もしくは事業所)として扱うので、38条1項でも、店舗や支店が異なることをもって「
事業場を異にする場合」と考えて不自然なことはない。
とはいえ、「
事業場を異にする場合」という表現には、会社そのものを異にするという意味も含んでいると解釈することが可能なので、どちらの解釈も成り立ちうる。
条文だけの解釈では限界があるので、
労務管理の現場から考えてみる。
会社にとって、自社の勤務データは自社のものであって、社員の
個人情報ですし、他の会社に教えるものでもない。となると、会社間で情報がやり取りされない以上、他社との間で
勤務時間は通算できない。
仮に、
勤務時間を会社間で通算できたとしても、
割増賃金をどの会社が負担するかという点を解決できない。
よって、異なる会社間での
勤務時間を連続したものとして扱うことはできないと考えるべき。
38条1項の内容を考えれば通算するのが理想ですが、現実には無理です。
労働基準法は、「1人の人間は、同時に2箇所以上の事業所で働くことはない」という前提で設計されているのではないかと思います。店舗や支店を跨ぐことはあっても、会社を跨いで働くことはないだろうと。
法律上は妥当でも、現実に処理ができない。そんな問題なのかと思います。
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メールマガジン【本では読めない
労務管理の"ミソ"】のご紹介
内容の一例・・・
『定額
残業代で
残業代は減らせるのか』
『15分未満の
勤務時間は切り捨て?』
『4週4日以外の
変形休日制度もある』
『長時間残業を減らす方法は2つある』
『管理職は週休3日が理想』
『日曜日=
法定休日と思い込んではいけない』
『
半日有給休暇と
半日欠勤の組み合わせはダメ?』
『寸志は
賃金or贈り物?』
『ケータイは仕事道具か遊び道具か』
など、その他盛りだくさんのテーマでお送りしています。
本に書いていそうなんだけど、書いていない。
そんな内容が満載。
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労務管理の"ミソ"】
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カードを使わないタイムカード Clockperiod のご紹介です。
タイムカードを使うときに負担なのは、専用の打刻機を用意しなければいけないし、
新しい紙のカードを毎月作らないといけない。さらに、カードを見ながら、電卓や
表計算ソフトで
勤務時間を集計しないといけない。
しかも、給与の締め日から支給日までの短期間で集計作業をしないといけないので、
作業する人にとっては
勤務時間の集計は悩みのタネですよね。
そんな悩みをどうやって解決するか。
そこで、電子タイムカードの Clockperiod が登場です。
Clockperiod は、紙のカードと打刻機を使わない電子タイムカードですから、
打刻機を用意しなくても
勤務時間を記録できますし、給与計算のためにカードを
集める必要はありません。さらに、毎月、新しい紙のカードに社員全員の名前を
書いてカードストッカーに入れることもなくなります。
始業や終業、
時間外勤務や
休日勤務の出勤時間を自動的に集計できれば勤怠集計
の作業は随分とラクになるはず。
Clockperiodは、出退勤の時刻をタイムカード無しで記録できます。タイムカード
や
出勤簿で
勤務時間を管理している企業にオススメです。
さらに、タイムカードのコピーをメールで送信して社員ごとに保存することができ
ますので、個人別に毎月の勤務記録を取り置くことができます。
また、勤務記録の改ざんや不正な打刻を把握できるログ機能もあります。
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残業で悩んでいませんか?
「長時間の残業が続いている」
「
残業代の支払いが多い」
「残業が減らない」
こういう悩み、よくありますよね。
ニュースでも未払い
残業代の話題がチラホラと出てくるぐらい、残業に対する関心は高くなっています。
法律では、1日に8時間まで、1週間では40時間までしか仕事ができません。その水準を超えてしまうと、残業となり、
割増賃金が必要になります。
とはいえ、1日で8時間と固定されていると不便だと感じませんか? 1週間で40時間と固定されていると不便だと感じませんか?
毎日8時間の時間制限があると、柔軟に
勤務時間を配分できませんよね。
例えば、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。
仕事に合わせて、ある日は
勤務時間を短く、ある日は
勤務時間を長くできれば、便利ですよね。
でも、実は、「月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務なので、残業は無し」こんなことができる仕組みがあるんです。
「えっ!? そんな仕組みがあるの?」と思った方は、ぜひ『残業管理のアメと罠』を読んでみてください。
『残業管理のアメと罠』
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本日のテーマ【ダブルワークしたときの残業代。】
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■勤務時間を合計するか。それとも別々で計算するか。
1つの組織や会社のみで働く。多くの人にとって職場は1つなのかもしれません。
しかし、人によっては、新聞配達の仕事と昼の仕事、これら2つ同時に取り組んでいたり、昼の仕事とは別に夜にも仕事に行くなど、2つ以上の仕事を持っている人もいますよね。
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では、もし次のような働き方をしたら、残業は発生するでしょうか。それとも、発生しないでしょうか。
とある場所に、相川さんという人がいて、この人は2つの会社で仕事をするダブルワーカーです。
2013年3月11日に、相川さんは会社Aで8時間勤務した。勤務の時間帯は、9時から18時まで。休憩時間が1時間あったと考えます。
さらに、同日に、会社Bで3時間勤務した。時間帯は、20時から23時まで。休憩時間は無しとしましょう。
この場合、相川さんは残業したことになるでしょうか。それとも、ならないでしょうか。
会社Aでは、8時間の勤務です。8時間を超えていないので、残業ではないですよね。
一方、会社Bでは、3時間の勤務です。こちらも8時間を超えていないので、残業ではないですね。
ということは、相川さんは残業していないという結論していいのでしょうか。
「いや、ちょっと待って。会社Aと会社Bでの勤務時間を合計すると、11時間の勤務になる。だったら、3時間分は残業として扱って、割増賃金も必要なんじゃないの?」そう思う方もいるはず。
確かに、別々に扱えば、8時間と3時間ですから、残業じゃないと判断できる。しかし、合算して扱うと、11時間ですから、残業だろうと判断するところ。
では、どっちの判断が妥当なのか。
さらに気になるのは、もし残業が生じたとして、3時間分の割増賃金はどちらの会社が支払うのでしょうか。会社Aでしょうか。それとも、会社Bでしょうか。
「そりゃあ、会社Bが支払うべきだろう。8時間を超過した勤務時間は全て会社Bで発生しているのだから、当たり前だ」このように思いましたか?
しかし、会社Bでは、相川さんはたった3時間しか仕事をしていないですよね。それなのに、3時間分の割増賃金を会社Bが支払うのでしょうか。
どうでしょうか。意外と難しいでしょう。
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この場合、会社Bに対して割増賃金の支払いを求めるのは酷です。会社Aに比べて公平ではない扱いになりますからね。
今回の問題では、労働基準法38条1項(以下、38条1項)が根拠として用いられるはず。
38条1項では、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と書かれている。
素直に読むと、会社Aでの勤務時間と会社Bでの勤務時間を通算するのが正しいと思える。
しかし、条文の文言にある「事業場を異にする場合」というのはどういう場合を意味するのか。ここの解釈によって結論は変わります。
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