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付加価値の向上が急務

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経営テクノ研究所
2014年3月3日第1・3週月曜日発行
発行人:舘 義之http://www9.plala.or.jp/keiei-techno/
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★★経営のパートナー★★経営学で企業を再生する
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<目次>
★付加価値の向上が急務
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★付加価値の向上が急務
 資金の回転率を高めることは、コスト・ダウンにつながり、費用管理の面
からも重要です。企業の経営成果をあげる上において、資本費用の管理の重
要性は見逃すことはできません。

 この方面の費用管理は、企業努力の方向としても力を入れやすく、意味の
ある成果を期待できる唯一の費用管理でもあるのです。それは、利益率を云
々するよりも、資金の回転率を早めることを計るほうが、よりやさしい面が
多分にあるともいえるからです。

 費用効果の測定を、企業の努力対成果の比率によって求めるとすれば、そ
の基準として付加価値を取上げることができます。

 付加価値とは、「企業の経営成果によって加えられた価値」という意味を
持っています。この付加価値を利用しての経営効率の測定には、次のような
ものがあります。

 このような算式によって得られた数値によって、コスト高になっている原
因が、どのような部門にあるかの判定を容易にします。したがって、費用
理の上からも、この算式は、きわめて重要なものです。

●純売上高(1)=売上高-(値引+売上戻)
●原材料(2)
●外注費(3)
●付加価値額(メーカー)(4)=(1)-(2)+(3)
従業員数(5)
●1人当たり付加価値額(労働生産性)(6)=(4)÷(5)
付加価値率(7)=(4)÷(1)
有形固定資産(8)=土地・建物・機械装置・車両
無形固定資産(9)=電話加入権・特許権・営業権
固定資産回転率(10)=(1)÷(8)+(9)+投資
●労働装備率(11)=(9)÷(5)
●人件費(メーカー)(12)=事務員・販売員給料手当+直接・間接労務  
               費+福利厚生+賄費
●人件費比率(13)=(12)÷(1)            
●労働分配率(14)=(12)÷(4)             

(1)社員は仕事を効率的に行っているか<労働生産性> 
 労働生産性は、付加価値を従業員数で除するすることによって求めます。
これは、高利潤、高賃金の基礎となるものであり、企業経営において、最も
重要なものの1つです。労働生産性の向上は、付加価値率を上昇させるか、
従業員1人当たりの売上高を増やすか、以外にないのです。

         付加価値   売上高
労働生産性=──────×────── 
       売上高    従業員


●製造業:10.900千円●建設業:11.561千円
●卸売業:13.911千円●小売業:8.879千円

 付加価値が同一であれば、従業員1人当たりの売上高を上昇させることに
より、労働生産性を向上させることができます。たとえば、
(A)現状:0.35×10.000=3.500千円
(B)売上高増:0.35×12.000=4.200千円
(C)付加価値増:0.40×10.000=4.000千円

 また、従業員を減少させたり、同一従業員売上高の増加を図ったりする
ことによって、労働生産性は上昇します。

      100.000
0.35×─────────=3.500千円
        10人      
     
      100.000
0.35×─────────=4.375千円
         8人  

      120.000
0.35×─────────=4.200千円
        10人 

 そこで、もう少し具体的に労働生産性をあげるための方策を列挙すると、
次のようになります。自社の現状を認識するとともに真剣に取組んでいく
必要があります。
●原材料費の節減。
●製品の改良、新製品の開発。
●工数低減・歩留の向上。
●外注費の引下げ。
●市場開拓と拡売の推進。
●新分野への多角化。

(2)会社が創造した価値はどのくらいか<付加価値率
 付加価値率は、付加価値を売上で除することによって求めることができま
す。付加価値率は、付加価値が増大すればするほど、経営成果があがったこ
とを示し、資本の還元をよくします。したがって、付加価値率は大きいほど
よいわけです。

 会社全体の付加価値率は、いわば平均付加価値率といってよいでしよう。
そこで、製品ごとに個別の付加価値率を計算してみる必要があります。そし
て、平均以下のものについて付加価値向上の対策を講じ、会社の平均付加価
値率まで向上させるようにします。 

 平均付加価値率より低いもので、付加価値率の向上がむずかしいものは、
思い切って整理すべきか否かを判断します。

●製造業:49.5%●建設業:25.5%●卸売業:20.8%
●小売業:36.0%

 付加価値率の具体的な向上策としては、次のような方策が挙げられます。    
●売値の引上げ
 ・加工度の高い製品の開発
 ・デザインの優れた製品の開発
 ・消費者のニーズに合った製品の開発
●付加価値の増加
 ・外製から内製へ切換え 
 ・VEによる原材料の切下げ
 ・購入部品の購入方法の切換え

(3)遊休資産は思い切って処分せよ<固定資産回転率>
 固定資産回転率は、売上高固定資産で除することによって求めます。固
資産は、有形固定資産無形固定資産、投資などがあります。

 有形固定資産は、土地を除き減価償却により投下資本が回収されます。無
固定資産は、一部が償却で回収れるが、償却できないものもあります。

 投資等は、むしろ投資有価証券長期貸付金のように直接資金で回収され
るものが多いのです。

 これらの固定資産は、一旦投資すると、その回収には長期間かかるので会
社が活力を失うことになります。したがって、自己資本の範囲内で調達され
るのが普通です。

●製造業:3.9回●建設業:7.8回●卸売業:15.1回
●小売業:10.8回

 設備投資や土地に対する過大な投資と回転率の低下は、操業度の低下とな
り、原価高を招き、経営を圧迫することになります。そのため、売上高の増
加が期待できなければ、売却処分するより方法がありません。

 固定資産回転率は、高いほど設備資産が有効に活用されていることになる
ので、低いときは、以下のような方策を講じなければなりません。
●土地・建物の有効利用
●機械設備の稼働率の維持および向上
遊休資産の有効活用
売掛金の回転率の向上
●原材料・製品・仕掛品などの回転率の向上  

(4)省力化・合理化が進んでいるか<労働装備率>
 労働装備率は、有形固定資産従業員数で除することによって求めます。
労働装備率の高いほうが、省力化、合理化が進んでいると見ることができ
ます。 

●製造業:2.537千円●建設業:1.372千円●卸売業:6.496
 千円●小売業:4.718千円

 労働装備率は、労働生産性の向上と密接な関連があります。労働生産性
向上は、従業員数の減少が大きな要素ですが、そのためには、設備投資が必
要です。

 人のかわりに機械にやらせる、換言すれば、人のかわりに資本で勝負する
ことになります。このことは、人を無視することではなく、むしろ人を尊重
し、重視するために資本、すなわち設備におきかえるということなのです。

 省力化、人員の削減、あるいは同一人数によって、より効果的な生産を確
保することは必要です。したがって、世間の水準くらいの労働装備率を持つ
ことは重要です。

 労働装備率を高めるには、次のような方策が必要になります。
●省力化の推進
●新鋭設備・新鋭技術に更新
●労働集約的な作業や工程の改善
●運搬作業や荷役作業の改善

(5)売上高と人件費とのバランスがとれているか<人件費比率>
 人件費比率は、総人件費を売上高で除することによって求めます。人件費
の問題は、売上高の伸びとのバランスにおいてとらえるべきです。

 会社の売上が伸びている段階における人件費の上昇はそれほどこわくあり
ません。しかし、売上の伸びがとまってくるようになると、人件費の増加は
容易ならない問題となります。人件費管理は、経営計画→要員計画→総人件
費予算→標準個別人件費の手順で実施されます。

●製造業:20.7%●建設業:9.6%●卸売業:7.4%
●小売業:14.8%

 人件費比率は、低いほど好ましく、高いときは、次の方策が必要になります。
●人材の採用と確保
●教育訓練の実施
●合理的な組織の仕組み

(6)付加価値のうちの人件費への配分は適切か<労働分配率>
 労働分配率とは、付加価値のうち人件費へ配分された率がどのくらいかを
見るためのものです。

 付加価値の中に占める人件費の割合が多くなれば、人件費に対する分配が
多いことで、従業員側にとってはよいかも知れないが、経営にとっては危険
信号となります。特に、労働生産性との関連を見ることが大切です。

●製造業:41.9%●建設業:37.7%●卸売業:35.7% 
●小売業:41.0%

 1人当り人件費が高く、一人当たり付加価値が低い場合は、労働分配率は高
くなります。したがって、あまりこの数字が高くなると、売上高や利益に比
較して給料が高すぎるのではないかという疑問が生じます。

 労働分配率について、50%以上は危険とか、それ以下は安全と決めること
ができないといわれていますが、一般に40までの場合、安全性は抜群といえ
ます。41~45まではまずまずの段階です。46~50までは、問題はある
が許容範囲内といえます。51を越した場合は、危険信号が出たと考えるべき
です。

 労働分配率が高いときの方策としては、次の方策が有効となります。
付加価値率を高める
●労働装備率を高める
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★舘 義之のポジション
 人事・IE・VE・マーケティングコンサルタント
 人事・IE・VE・マーケティングの三輪で企業体質の仕組みを構築して、
厳しい経営環境の中で勝ち残っていく会社にすることを第一に支援します。
舘 義之への問い合わせstudy@agate.plala.or.jp
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