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受注・販売計画段階でのコスト・ダウンのあり方

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経営テクノ研究所
2014年3月17日第1・3週月曜日発行
発行人:舘 義之http://www9.plala.or.jp/keiei-techno/
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★★経営のパートナー★★経営学で企業を再生する
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<目次>
★受注・販売計画段階でのコスト・ダウンのあり方
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★受注・販売計画段階でのコスト・ダウンのあり方
1.スケール・メリットで稼げ
 コストは、材料費、外注加工費などの比例費と労務費、製造間接費などの
固定費で構成されています。この固定費は、製品原価の計算上からいえば固
定費÷生産数量という考え方で製品に割り付けられます。したがって、分母
が大きくなれば、製品単位当たりの割付額が小さくなるわけです。

 スケール・メリットとは、固定費÷生産数量のことを言います。この観点
から販売計画を立てる際は、拡販余地というスケール・メリットを検討する
ことが肝要です。

 拡販の見込みがあるか、もしも、見込みがないと判明したら、販売対策の
建て直しを急がなければなりません。この傾向があまり長く続くと、スケー
ル・メリットどころか、企業の運命を決定する大きな要素になってしまうか
らです。

 もし、拡販の余地があるとしても、安心はできません。それは、スケール
・メリットには、マージンという点がぬけているからです。したがって、ス
ケール・メリットの増分とマージンの増分との合計が大きいものから優先的
にとらえ、販売計画を立ていく必要があります。

2.原価見積で損をするな 
 マスプロ製品では、製品売価は原価から決まるというよりも、市場で決ま
ります。したがって、原価率(売上原価÷売上高)をどれだけにおさえるか
は、スケール・メリットとコスト・ダウンの水準で決まってしまいます。

 しかし、個別受注生産の場合は、受注契約段階での『原価見積』で勝負が
決まります。もちろん、オーダーの見積原価と実際原価は同じではなく、そ
のオーダーの儲けは実際原価と売価の関係で決まりますが、売価は見積原価
を基礎にしているので、見積を出した時に基本的に原価率が決まるといえま
す。

 その意味で受注段階の原価見積のいかんは、広義のコスト・ダウンを左右
する1つの要素なのです。

 受注段階での原価見積は、概算見積と詳細見積の2ステップがあります。

 概算見積は、ユーザーのマクロ的な検討資料、あるいは購入予算作成資料
として用いられるもので、その段階で知ることのできる概略のデータから、
型式、重量、揚量、キャパシティ、馬力数などのコストを基本的に決める変
動要因をつかみ、実績に基づいて作成したカーブで見積ることになります。

 詳細見積は、契約段階での見積です。客先からは、詳細資料、希望条件が
示され、これに基づいて部品表・図面に展開され見積が行われます。一品料
理的な色彩が強い場合は、図面は順次出図され、全部揃った時点では製造は
50%くらい進行済みであることも少なくありません。この場合、概略見積
で受注することもあります。       

3.加工費こそ付加価値獲得の源泉
 詳細見積は材料費加工費経費などについて行われますが、見積、実績
に大きな狂いが生じるのは、加工費です。コスト比率からすれば、加工費
材料費に比して小さいですが、加工費こそ付加価値獲得の源泉ですから、こ
れが狂っては儲けが大きくとんでしまいます。   

 加工費は、次式から求めます。
加工費=所要時間×加工費
 所要時間=標準時間×割増係数×労働効率
 加工費率=設備費率+労務費率+共通費率

 加工費を適確に、かつ精度を向上させながら設定するポイントは、次のと
おりです。
Time StudyやPTS(Predetermined Time Standards)によっ
   て、正味時間を設定する。余裕時間については、生活研究・ワークサ
   ンプリングなどによって設定します。
(2)正味時間に余裕時間を乗ずることによって標準時間を設定します。
(3)実測値・実験式・文献値などから割増係数を決めます。
(4)作業能率管理などから労働効率を決めます。
(5)標準時間に割増係数と労働効率を乗じて所要時間を設定します。
(6)社内データ・カタログ・文献などから設備費率・労務費率・共通費を  
   求め、それぞれを乗ずることによって加工費率を求めます。
(7)所要時間に加工費率を乗じて加工費を設定します。

4.品質協定は明確にせよ
 親企業との間で、いちばん困ることは、部品基準が明確にされないまま契
約が行われることです。そして、量産後品質基準が固まった段階で計算して
みると、工程が増えていたり、手直し工数、修正仕上工数が増えて、赤字受
注になっていて泣寝入りしなければならなかった、という問題が決して少な
くないという点です。

 技術水準の高い親企業なら、試作から図面を固定し量産準備に移る段階で
品質基準を明示し、量産以降後の基準変更に対しては費用を負担するという
態度をとります。しかし、親企業に自信がなければ、そのへんは曖昧にし、
ものができてから現物合わせ的試行錯誤を繰り返し、あとから品質基準を決
めるという態度に出ます。

 しかし、受注側にも問題がないとはいえません。それは、受注引合の際の
技術打合わせにおける曖昧な態度と、部品を単体でしか考えないシステム思
考の弱さです。

 その部品が組立てられるときの品質ポイント、機能、組立作業性というよ
うな観点から、部品単体としてではなく部品システムという見方をすれば、
品質基準がどうあるべきなのかが、はっきりしてくるはずです。

 また、自社の生産技術のレベル、過去の経験から判断すれば、その品質基
準を維持するうえで、それがコストにどんな影響を与えそうかは推測がつく
はずです。

 このような心構え、意識をもって資料を準備し、技術打合せに望めば、こ
のようなコスト・アップは、かなり受注段階で回避できるはずです。
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★舘 義之のポジション
 人事・IE・VE・マーケティングコンサルタント
 人事・IE・VE・マーケティングの三輪で企業体質の仕組みを構築して、
厳しい経営環境の中で勝ち残っていく会社にすることを第一に支援します。
舘 義之への問い合わせstudy@agate.plala.or.jp
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