━━☆━━━━━━━━━━━━━━━ 転勤命令は断れるのか ━━━━━━━━━━━━━━━
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┏┏ ◇ 転勤命令の有効性
┏┏ ◇
権利の濫用にならないか
┏┏ ◇ 法的な縛り
┏┏ ◇ 転勤拒否を理由とした
懲戒解雇の有効性
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転勤命令の有効性
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転勤を含む
人事異動命令が有効であるためには、その異動命令権に根拠があり、異動命令が
権利の濫用にならないことが必要です。
すなわち
就業規則に
人事異動についての規定があり、周知されていれば通常は
人事異動命令権限があるといえることになります。
併せて入社時に、転勤を含む
人事異動があること、それは
就業規則に規定されていることであり遵守されるべきであること、等を確認してあることが重要です。
注意しなければならないのは、勤務地限定の合意があるからと言って転勤命令に応じる義務はないとばかりは言い得ないことがあることです。そもそも勤務地が複数ある会社については、勤務地限定の合意そのものが認定されないことがままあるからです。
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権利の濫用にならないか
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転勤を伴うよる配転命令は
1.業務上の必要性が存しない場合
2.不当な動機・目的をもってなされたものである場合
3.
労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき
などの特段の事情のある場合でない限り
権利の濫用になりません(東亜ペイント事件 最高裁 昭61.7.14)。
●業務上の必要性
東亜ペイント事件最高裁判決で
「当該転勤先への異動が余人をもっては容易に替え難いといった高度の必要性に限定することは相当でなく…」
と示しているように、要は適正配置や業務の能率、業務運営の円滑化など企業経営上意味のある転勤であると認められる限りは、業務上の必要性がある、と言えるのではないかということです。
ただしその必要性の程度を検討するにあたっては、上記2.3.に該当するような場合は当然除外されるため、会社としては業務上の必要性が高いことの主張立証はしっかり行う必要があります。
●不当な動機・目的
例えば、
退職勧奨したところ
退職を断られ、転勤を命じたような場合です。
通常は、業務上の必要性をしっかり説明し、本人の納得が得られるれば事足りるでしょうが。
退職勧奨は行き当たりばったりで何となく行うのではなくそのプロセスが重要になってきますので、計画的に行う必要があります。
●通常甘受すべき程度を著しく超える不利益の有無
単身赴任となり、配偶者や子供と別居を余儀なくされるとか、
通勤時間が今より長くなるとか、多少の経済的負担が生じるといった程度では、‘通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる’ものであるとはいえません。
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法的な縛り
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● 育児
介護休業法26条
就業場所の変更を伴う
配置転換について子の養育又は家族の介護の状況に配慮する義務があること(育児
介護休業法26条)には注意が必要です。
育児や介護などを抱えている正社員については、本人の言い分を特によく聞き、転勤命令を出すかどうか慎重に判断する必要があります。
一方的に転勤を命じ、本人から育児・介護の問題を理由として転勤命令撤回の要求がなされた場合に転勤命令撤回の可否を全く検討していないなど、育児・介護の問題に対する配慮がなされていない場合は、上述3.の‘
労働者の不利益が配転に伴い通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるもの’であるとして、転勤命令が無効とされるリスクが高まることになります。
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転勤拒否を理由とした
懲戒解雇の有効性
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人事異動命令自体が無効の場合は、それを拒否することを理由とする
懲戒解雇は認められません。
有効な
人事異動命令を正社員が拒否した場合は重大な
業務命令違反となるため、
懲戒解雇は
懲戒権の濫用(労契法15条)とはならず、有効と判断されることが多いですが、そうかといって直ちに
懲戒解雇が可能と判断するのは待ってください。無効と判断されることがあります。
有効な配転命令に従わないことを理由とする
懲戒解雇が無効とされた事例では、
懲戒解雇が性急に過ぎることが問題とされることが多くなっています。
社員が転勤に伴う利害得失を考慮して、合理的な決断をするのに必要な情報を提供して
人事異動命令に従うよう説得する努力を尽くしてもなお、転勤命令に従う見込みが無いことを確認するというステップを踏む事が必要です。
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┏┏ ◇ 権利の濫用にならないか
┏┏ ◇ 法的な縛り
┏┏ ◇ 転勤拒否を理由とした懲戒解雇の有効性
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転勤命令の有効性
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転勤を含む人事異動命令が有効であるためには、その異動命令権に根拠があり、異動命令が権利の濫用にならないことが必要です。
すなわち就業規則に人事異動についての規定があり、周知されていれば通常は人事異動命令権限があるといえることになります。
併せて入社時に、転勤を含む人事異動があること、それは就業規則に規定されていることであり遵守されるべきであること、等を確認してあることが重要です。
注意しなければならないのは、勤務地限定の合意があるからと言って転勤命令に応じる義務はないとばかりは言い得ないことがあることです。そもそも勤務地が複数ある会社については、勤務地限定の合意そのものが認定されないことがままあるからです。
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権利の濫用にならないか
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転勤を伴うよる配転命令は
1.業務上の必要性が存しない場合
2.不当な動機・目的をもってなされたものである場合
3.労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき
などの特段の事情のある場合でない限り権利の濫用になりません(東亜ペイント事件 最高裁 昭61.7.14)。
●業務上の必要性
東亜ペイント事件最高裁判決で
「当該転勤先への異動が余人をもっては容易に替え難いといった高度の必要性に限定することは相当でなく…」
と示しているように、要は適正配置や業務の能率、業務運営の円滑化など企業経営上意味のある転勤であると認められる限りは、業務上の必要性がある、と言えるのではないかということです。
ただしその必要性の程度を検討するにあたっては、上記2.3.に該当するような場合は当然除外されるため、会社としては業務上の必要性が高いことの主張立証はしっかり行う必要があります。
●不当な動機・目的
例えば、退職勧奨したところ退職を断られ、転勤を命じたような場合です。
通常は、業務上の必要性をしっかり説明し、本人の納得が得られるれば事足りるでしょうが。
退職勧奨は行き当たりばったりで何となく行うのではなくそのプロセスが重要になってきますので、計画的に行う必要があります。
●通常甘受すべき程度を著しく超える不利益の有無
単身赴任となり、配偶者や子供と別居を余儀なくされるとか、通勤時間が今より長くなるとか、多少の経済的負担が生じるといった程度では、‘通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる’ものであるとはいえません。
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法的な縛り
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● 育児介護休業法26条
就業場所の変更を伴う配置転換について子の養育又は家族の介護の状況に配慮する義務があること(育児介護休業法26条)には注意が必要です。
育児や介護などを抱えている正社員については、本人の言い分を特によく聞き、転勤命令を出すかどうか慎重に判断する必要があります。
一方的に転勤を命じ、本人から育児・介護の問題を理由として転勤命令撤回の要求がなされた場合に転勤命令撤回の可否を全く検討していないなど、育児・介護の問題に対する配慮がなされていない場合は、上述3.の‘労働者の不利益が配転に伴い通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるもの’であるとして、転勤命令が無効とされるリスクが高まることになります。
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転勤拒否を理由とした懲戒解雇の有効性
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人事異動命令自体が無効の場合は、それを拒否することを理由とする懲戒解雇は認められません。
有効な人事異動命令を正社員が拒否した場合は重大な業務命令違反となるため、懲戒解雇は懲戒権の濫用(労契法15条)とはならず、有効と判断されることが多いですが、そうかといって直ちに懲戒解雇が可能と判断するのは待ってください。無効と判断されることがあります。
有効な配転命令に従わないことを理由とする懲戒解雇が無効とされた事例では、懲戒解雇が性急に過ぎることが問題とされることが多くなっています。
社員が転勤に伴う利害得失を考慮して、合理的な決断をするのに必要な情報を提供して人事異動命令に従うよう説得する努力を尽くしてもなお、転勤命令に従う見込みが無いことを確認するというステップを踏む事が必要です。
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