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■会社のもうけにかかる税金、
法人税について
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今回は、
税理士の福佐先生の内容です。
みなさん、こんにちは。
税理士の福佐英士(ふくさえいじ)です。
前回から「日本で一番分かりやすい税金の解説書」を目指して、
このメルマガ原稿を書いています。
難解な規定は極力省略し、実務において必要かつ重要な部分のみを
ピックアップしてまとめていきます。
今回も前回に引き続き、会社のもうけにかかる税金、
法人税について
みていきます。
■
役員賞与と
役員報酬
ご存知の方も多いと思いますが、会社の
役員(
取締役、
監査役など)に
対する
賞与(ボーナス)は、
法人税の計算において
費用(
損金)
として認められません。
この「
役員賞与」は、会社に利益が出たときに
成功報酬で支払うべきもの
ですし、これを
費用として認めると、利益操作に利用されてしまうからです。
これに対し、
役員に対する
報酬(月々の
報酬)については、
法人税の
計算上
費用(
損金)として認められます。
しかし、無制限にこれを認めるわけにもいきませんから、不相当に高額な
部分があるのなら、その部分については、たとえ「
役員報酬」という名目
であったとしても、
費用(
損金)として認められません。
ここで、「不相当に高額な部分」は、どのように判定するのでしょうか。
この判定基準には、「形式基準」と「実質基準」の2通りの方法があります。
まず「形式基準」ですが、この方法は、
商法の支払限度額に照らして
判定する方法です。
商法では「
株主総会(有限会社の場合は社員総会)で
役員報酬の支払限度額
を決めて、その枠内で支給しなければならない」という規定があります。
この枠内を超えて
役員報酬の支払いがあったのなら、
「不相当に高額」と判断されることになります。
しかし、この「形式基準」をクリアするのは実に簡単で、
株主総会議事録で
その限度額を増額すれば済む話です。
したがって、
法人税の計算において、
役員報酬を
費用(
損金)と
するためには、もうひとつの判定基準である「実質基準」を考慮して、
その金額を決める必要があります。
■
役員報酬の金額の決定
上記の「実質基準」とは、
(1)
役員の職務内容
(2) 会社の
収益状況
(3) 一般の
従業員に対する給料の支給状況
(4) 事業規模が類似する同業他社における支給状況
これらの状況に照らして、
役員報酬が過大かどうかを判定する方法です。
(1)
役員の職務内容
その
役員の実際の仕事の内容や量から判定します。
したがって、名目的な
役員(社長の家族など)に
役員報酬を支払ったとしても、
その金額は、「不相当に高額な部分」として、
費用(
損金)として
認められません。
(2)会社の
収益状況
会社がそれほど儲かってもいないのに、
役員報酬は大盤振る舞い・・・。
さすがに、これは認められません。
(3)一般の
従業員に対する給料の支給状況
一般の
従業員は低
賃金で働かせて、
役員の
報酬はたっぷり・・・。
これでは、「不相当に高額」と言われても仕方ないですよね。
(4)事業規模が類似する同業他社における支給状況
同じような事業規模の同業者における
役員報酬と比較して、あまりに高額な
部分があれば、その部分は
費用(
損金)として認められません。
このような考え方に基づいて、
役員報酬の金額は決めていかなければ
ならないのです。
■
役員報酬の金額の変更
会社の業績が好調なので、
役員報酬の金額を増額する。
これは、上記の基準を満たすものならば認められます。
ただし、その時期には注意が必要です。
役員報酬の増額は、
取締役会(有限会社の場合には社員総会)の決議事項です。
3月
決算の会社なら、通常5月の
決算取締役会で決議をして、
その翌月である6月から増額するのが妥当です。
もし、もう少し早くから、ということなら期首にさかのぼって4月からでも
認められます。
いずれにしても、実務上
取締役会議事録(社員総会議事録)を
作成しておいた方がよいでしょう。
正当な手順をふまずに
役員報酬の金額を引き上げると、利益操作と判断され、
役員賞与として、
費用(
損金)として認められないこととなって
しまいますから注意しましょう。
■
役員の範囲
法人税法の規定では、「
役員」の範囲については、いろいろ細かく、
また難しい規定があります。
中小企業の場合で、実務上注意が必要なのは、「みなし
役員」の規定です。
中小企業の場合、
株主(出資者)は社長とその家族のみ、という会社
も多いと思います。
例えば、出資者は社長(100%出資)のみ、また
取締役として
登記したのも
社長のみ、という有限会社があったとします。
この会社で、社長の奥さんと息子を一般の
従業員として、この二人に給料と
ボーナスを支払ったとします。
この二人は
取締役(
役員)として
登記していないのだから、 給料も
ボーナスも
費用(
損金)として認められるだろう、 と思うかもしれません。
しかし、税務上、この二人は「みなし
役員」として、給料については
「
役員報酬」の取扱いを、そしてボーナスについては「
役員賞与」
の取扱いをされてしまう可能性があるのです。
法人税法では、形式上は
役員でなくても、「その会社の主要な業務執行の
意思決定に参与している者」は
役員とみなされます。
したがって、奥さんと息子は上記の意思決定に全く参与していない、
つまり全く経営にタッチしていない、と税務当局に対抗できる場合は
別として、
役員とみなされた場合の事を考慮して、給与の支払いを
するべきです。
つまり、ボーナスの支給はゼロに、そして毎月の給料を適正額として
おくのが賢明でしょう。
■おわりに
今回は、
役員賞与と
役員報酬についてみてきました。
他の
費用に比べて、金額が大きくなるものですから、実務上十分
注意して下さい。
次回は、
交際費や
寄付金を支払った場合の
法人税の取扱いについて
みていきます。
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■会社のもうけにかかる税金、法人税について
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今回は、税理士の福佐先生の内容です。
みなさん、こんにちは。税理士の福佐英士(ふくさえいじ)です。
前回から「日本で一番分かりやすい税金の解説書」を目指して、
このメルマガ原稿を書いています。
難解な規定は極力省略し、実務において必要かつ重要な部分のみを
ピックアップしてまとめていきます。
今回も前回に引き続き、会社のもうけにかかる税金、法人税について
みていきます。
■役員賞与と役員報酬
ご存知の方も多いと思いますが、会社の役員(取締役、監査役など)に
対する 賞与(ボーナス)は、法人税の計算において費用(損金)
として認められません。
この「役員賞与」は、会社に利益が出たときに成功報酬で支払うべきもの
ですし、これを費用として認めると、利益操作に利用されてしまうからです。
これに対し、役員に対する報酬(月々の報酬)については、法人税の
計算上費用(損金)として認められます。
しかし、無制限にこれを認めるわけにもいきませんから、不相当に高額な
部分があるのなら、その部分については、たとえ「役員報酬」という名目
であったとしても、費用(損金)として認められません。
ここで、「不相当に高額な部分」は、どのように判定するのでしょうか。
この判定基準には、「形式基準」と「実質基準」の2通りの方法があります。
まず「形式基準」ですが、この方法は、商法の支払限度額に照らして
判定する方法です。
商法では「株主総会(有限会社の場合は社員総会)で役員報酬の支払限度額
を決めて、その枠内で支給しなければならない」という規定があります。
この枠内を超えて役員報酬の支払いがあったのなら、
「不相当に高額」と判断されることになります。
しかし、この「形式基準」をクリアするのは実に簡単で、株主総会議事録で
その限度額を増額すれば済む話です。
したがって、法人税の計算において、役員報酬を費用(損金)と
するためには、もうひとつの判定基準である「実質基準」を考慮して、
その金額を決める必要があります。
■役員報酬の金額の決定
上記の「実質基準」とは、
(1) 役員の職務内容
(2) 会社の収益状況
(3) 一般の従業員に対する給料の支給状況
(4) 事業規模が類似する同業他社における支給状況
これらの状況に照らして、役員報酬が過大かどうかを判定する方法です。
(1)役員の職務内容
その役員の実際の仕事の内容や量から判定します。
したがって、名目的な役員(社長の家族など)に役員報酬を支払ったとしても、
その金額は、「不相当に高額な部分」として、費用(損金)として
認められません。
(2)会社の収益状況
会社がそれほど儲かってもいないのに、役員報酬は大盤振る舞い・・・。
さすがに、これは認められません。
(3)一般の従業員に対する給料の支給状況
一般の従業員は低賃金で働かせて、役員の報酬はたっぷり・・・。
これでは、「不相当に高額」と言われても仕方ないですよね。
(4)事業規模が類似する同業他社における支給状況
同じような事業規模の同業者における役員報酬と比較して、あまりに高額な
部分があれば、その部分は費用(損金)として認められません。
このような考え方に基づいて、役員報酬の金額は決めていかなければ
ならないのです。
■役員報酬の金額の変更
会社の業績が好調なので、役員報酬の金額を増額する。
これは、上記の基準を満たすものならば認められます。
ただし、その時期には注意が必要です。
役員報酬の増額は、取締役会(有限会社の場合には社員総会)の決議事項です。
3月決算の会社なら、通常5月の決算取締役会で決議をして、
その翌月である6月から増額するのが妥当です。
もし、もう少し早くから、ということなら期首にさかのぼって4月からでも
認められます。
いずれにしても、実務上取締役会議事録(社員総会議事録)を
作成しておいた方がよいでしょう。
正当な手順をふまずに役員報酬の金額を引き上げると、利益操作と判断され、
役員賞与として、費用(損金)として認められないこととなって
しまいますから注意しましょう。
■役員の範囲
法人税法の規定では、「役員」の範囲については、いろいろ細かく、
また難しい規定があります。
中小企業の場合で、実務上注意が必要なのは、「みなし役員」の規定です。
中小企業の場合、株主(出資者)は社長とその家族のみ、という会社
も多いと思います。
例えば、出資者は社長(100%出資)のみ、また取締役として登記したのも
社長のみ、という有限会社があったとします。
この会社で、社長の奥さんと息子を一般の従業員として、この二人に給料と
ボーナスを支払ったとします。
この二人は取締役(役員)として登記していないのだから、 給料も
ボーナスも費用(損金)として認められるだろう、 と思うかもしれません。
しかし、税務上、この二人は「みなし役員」として、給料については
「役員報酬」の取扱いを、そしてボーナスについては「役員賞与」
の取扱いをされてしまう可能性があるのです。
法人税法では、形式上は役員でなくても、「その会社の主要な業務執行の
意思決定に参与している者」は役員とみなされます。
したがって、奥さんと息子は上記の意思決定に全く参与していない、
つまり全く経営にタッチしていない、と税務当局に対抗できる場合は
別として、役員とみなされた場合の事を考慮して、給与の支払いを
するべきです。
つまり、ボーナスの支給はゼロに、そして毎月の給料を適正額として
おくのが賢明でしょう。
■おわりに
今回は、役員賞与と役員報酬についてみてきました。
他の費用に比べて、金額が大きくなるものですから、実務上十分
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みていきます。
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