━━☆━━━━━━━━━━━━━━ 内定と内々定の留意 ━━━━━━━━━━━━━━━
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労働契約が成立しているか
┏┏ ◇ 経団連の倫理憲章
┏┏ ◇ レアケース~内々定取消で賠償命令
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労働契約が成立しているか
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『内々定』と『内定』では、
労働契約を締結しているか否かで異なると考えられます。
つまり、内々定とは、『
労働契約が締結される以前の段階』を指し、
労働契約による拘束関係
は発生しません。
一方、『内定』とは、
採用内定通知書等に記載された取消事由(たとえば3月に大学を卒業でき
ないなど)が発生した場合、企業により
労働契約を解約できる権利が認められた『
労働契約』
を意味します。
このため、企業がたとえ恣意的に『内々定』を取り消しても
労働契約が成立していないため
法的な問題は成立せず、応募者からの
損害賠償請求も原則として認められないことになります。
内定取消が認められるのは、会社が
採用内定当時には知ることができなかったか、知ること
が期待できなかった事実が判明し、内定取消を行うことが『社会通念上相当』と認められる場
合だけに限られます。学歴詐称などもこれに入って来るでしょう。
とはいえ、企業の恣意的な内定取消については、
労働者からの
損害賠償請求が認められますの
で、企業としては留意が必要です。
以上からお解りのように、学生側も「内々定」をもらっただけは安心できないといえるでし
ょう。
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経団連の倫理憲章
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よくあるのは、夏休み前に「内々定」を出し、その後、秋になると「内定」を通知するとい
うパターンですが、このような方式がとられているのは、経団連の倫理憲章で、「正式な内定
日は、卒業・修了学年の10月1日以降とする」と定められていて、9月以前には「内定」を出せ
ないという建前になっているためです。
しかし経団連の「
採用選考に関する企業の倫理憲章」にもとづいて、4月1日から面接選考を
スタートさせた企業も多くあり、なかにはすでに「内々定」をもらった学生もいるようです。
もし、内々定なのかどうか企業側のニュアンスがいまひとつはっきりしないというとき。
例えば最終面接の場で「内々定です」と直接的に言われる場合もあれば、「来春から一緒にが
んばりましょう」「もう就職活動を終えてもらって良いですよ」などと遠まわしに言われる場
合もあります。このような場合は、「内々定と考えてよろしいでしょうか?」と確認しておき
ましょう。すっきりします。
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レアケース~内々定取消で賠償命令
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法的拘束力が及ばないはずの内々定の取り消しですが、内々定取消で賠償命令が発生した、
レアな判例があります。
●コーセーアールイー事件(福岡地裁判決H.22.6.2)
事件の概要:
福岡市の不動産会社・コーセーアールイー(被告)は、平成20年7月に男子学生(原告)に内々
定
通知書と入社承諾書を送付し、原告はこの入社承諾書に記名押印して返送。
同年9月25日、被告は原告に電話で同年10月2日に
採用内定通知書の授与を事務所で行う旨を
連絡するも、その直後の同年9月29日付けで「
採用内々定の取り消しのご通知」を原告に送付。
この通知は、事業計画の見直しから次年度の新卒者の
採用計画を取りやめるというもの。
原告は事情確認のため、被告に電話をしたが、詳しい説明はなされず、原告の
採用内定およ
び本
採用はなされなかった。
判旨:
「本件内々定は、正式な内定とは明らかにその性質を異にするものであって、正式な内定まで
の間、企業が新卒者をできるだけ囲い込んで、他の企業に流れることを防ごうとする事実上の
活動の域をでるものではないというべきであり、本件内々定によって始期付解約権留保付労働
契約が成立したとはいえない」
と、内々定による
労働契約の成立を否定した上で、
被告は平成20年9月下旬に至るまで、経営環境の悪化にかかわらず
採用を行うという一貫した
態度を貫いており、原告が
採用内定を得られることについて強い期待を抱いていたことはむし
ろ当然のことであり、その期待は法的保護に十分値する程度に高まっていたというべきである。
また、被告は、経済状況がさらに悪化するという一般的危惧感のみから、原告への現実的な
影響を十分考慮することなく、内定の直前に内々定取消を行ったものであり、
「本件内々定取消は、
労働契約締結過程における信義則に反し、原告の期待利益を侵害するも
のとして
不法行為を構成するから、被告は原告が
採用を信頼したために被った損害を賠償すべ
き責任を負うというべきである」として被告に
慰謝料85万円の支払いを命じました。
●、内定直前になって突然内々定を取消したり、ましてや十分な説明も行わなかったことが、
民法第1条2項(信義則)違反にあたるとして、
契約締結上の過失を認めたものです。
民法第1条2項:
契約締結の交渉に入った当事者には、相互の利益を配慮し、損害を発生さ
せないように行動する義務があり、その義務に違反した当事者は、相手方
がその
契約を有効と信じたことによる損害(信頼利益)を賠償する責任が
ある。
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労働契約が成立しているか
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『内々定』と『内定』では、労働契約を締結しているか否かで異なると考えられます。
つまり、内々定とは、『労働契約が締結される以前の段階』を指し、労働契約による拘束関係
は発生しません。
一方、『内定』とは、採用内定通知書等に記載された取消事由(たとえば3月に大学を卒業でき
ないなど)が発生した場合、企業により労働契約を解約できる権利が認められた『労働契約』
を意味します。
このため、企業がたとえ恣意的に『内々定』を取り消しても労働契約が成立していないため
法的な問題は成立せず、応募者からの損害賠償請求も原則として認められないことになります。
内定取消が認められるのは、会社が採用内定当時には知ることができなかったか、知ること
が期待できなかった事実が判明し、内定取消を行うことが『社会通念上相当』と認められる場
合だけに限られます。学歴詐称などもこれに入って来るでしょう。
とはいえ、企業の恣意的な内定取消については、労働者からの損害賠償請求が認められますの
で、企業としては留意が必要です。
以上からお解りのように、学生側も「内々定」をもらっただけは安心できないといえるでし
ょう。
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経団連の倫理憲章
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よくあるのは、夏休み前に「内々定」を出し、その後、秋になると「内定」を通知するとい
うパターンですが、このような方式がとられているのは、経団連の倫理憲章で、「正式な内定
日は、卒業・修了学年の10月1日以降とする」と定められていて、9月以前には「内定」を出せ
ないという建前になっているためです。
しかし経団連の「採用選考に関する企業の倫理憲章」にもとづいて、4月1日から面接選考を
スタートさせた企業も多くあり、なかにはすでに「内々定」をもらった学生もいるようです。
もし、内々定なのかどうか企業側のニュアンスがいまひとつはっきりしないというとき。
例えば最終面接の場で「内々定です」と直接的に言われる場合もあれば、「来春から一緒にが
んばりましょう」「もう就職活動を終えてもらって良いですよ」などと遠まわしに言われる場
合もあります。このような場合は、「内々定と考えてよろしいでしょうか?」と確認しておき
ましょう。すっきりします。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
レアケース~内々定取消で賠償命令
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
法的拘束力が及ばないはずの内々定の取り消しですが、内々定取消で賠償命令が発生した、
レアな判例があります。
●コーセーアールイー事件(福岡地裁判決H.22.6.2)
事件の概要:
福岡市の不動産会社・コーセーアールイー(被告)は、平成20年7月に男子学生(原告)に内々
定通知書と入社承諾書を送付し、原告はこの入社承諾書に記名押印して返送。
同年9月25日、被告は原告に電話で同年10月2日に採用内定通知書の授与を事務所で行う旨を
連絡するも、その直後の同年9月29日付けで「採用内々定の取り消しのご通知」を原告に送付。
この通知は、事業計画の見直しから次年度の新卒者の採用計画を取りやめるというもの。
原告は事情確認のため、被告に電話をしたが、詳しい説明はなされず、原告の採用内定およ
び本採用はなされなかった。
判旨:
「本件内々定は、正式な内定とは明らかにその性質を異にするものであって、正式な内定まで
の間、企業が新卒者をできるだけ囲い込んで、他の企業に流れることを防ごうとする事実上の
活動の域をでるものではないというべきであり、本件内々定によって始期付解約権留保付労働
契約が成立したとはいえない」
と、内々定による労働契約の成立を否定した上で、
被告は平成20年9月下旬に至るまで、経営環境の悪化にかかわらず採用を行うという一貫した
態度を貫いており、原告が採用内定を得られることについて強い期待を抱いていたことはむし
ろ当然のことであり、その期待は法的保護に十分値する程度に高まっていたというべきである。
また、被告は、経済状況がさらに悪化するという一般的危惧感のみから、原告への現実的な
影響を十分考慮することなく、内定の直前に内々定取消を行ったものであり、
「本件内々定取消は、労働契約締結過程における信義則に反し、原告の期待利益を侵害するも
のとして不法行為を構成するから、被告は原告が採用を信頼したために被った損害を賠償すべ
き責任を負うというべきである」として被告に慰謝料85万円の支払いを命じました。
●、内定直前になって突然内々定を取消したり、ましてや十分な説明も行わなかったことが、
民法第1条2項(信義則)違反にあたるとして、契約締結上の過失を認めたものです。
民法第1条2項:契約締結の交渉に入った当事者には、相互の利益を配慮し、損害を発生さ
せないように行動する義務があり、その義務に違反した当事者は、相手方
がその契約を有効と信じたことによる損害(信頼利益)を賠償する責任が
ある。
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