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抵当権に基づく物上代位

■Vol.350(通算589)/2014-6-23号:毎週月曜日配信           
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■■■知って得する! 1分間で読める~税務・労務・法務の知恵袋
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■■■  【 抵当権に基づく物上代位 】
□□■                 週刊(毎週月曜日発行)
■■■                 http://www.c3-c.jp
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          抵当権に基づく物上代位
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抵当権に基づく物上代位(民法372条が準用する民法304条
が定める。)には、(1)抵当権の効力が及んでいた抵当不動産
の代わりとして得られたものに対する物上代位(代替的物上代位)
と、(2)抵当権の効力が及んでいるものに対する抵当権実行手
続としての物上代位(付加的物上代位)とがあると理解されてい
ます。

これについて、幾つかの問題を紹介しておきます。


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● 代替的物上代位
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「抵当不動産の滅失・毀損によって抵当不動産所有者が受けるべ
損害賠償請求権」が代表例です。抵当不動産に火災保険が付い
ているときは、「抵当不動産の滅失・毀損によって抵当不動産所
有者が受けるべき火災保険金請求権」にも物上代位の効力が及び
ます。

「土地収用などにおいて公布される補償金・清算金」に対する物
上代位も認められます。

「抵当不動産の売却による代金債権」については、先取特権に基
づく物上代位は認められても、抵当権に基づく物上代位は認めら
れないとするのが多数説です。


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● 付加的物上代位
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「被担保債権について不履行があった後に生じた抵当不動産の賃
債権」が代表例です。


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● 賃料債権に対する物上代位をめぐる幾つかの問題
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【1】「転貸賃料債権」については、もとの賃借人である転貸人
   が有する債権なので、原則として物上代位は否定されます
   が、「所有者の取得すべき賃料を減少させ、又は抵当権
   行使を妨げるために、法人格を濫用し、又は賃貸借を仮装
   した上で、転貸借関係を作出したものであるなど、抵当不
   動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合」
   には物上代位が認められるとする判例(最高裁平成12年
   4月14日決定)があります。

【2】抵当権に基づく物上代位による賃料債権差押えについて
   は、「抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権差押え
   をした後は、抵当不動産の賃借人は、抵当権設定登記の後
   に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権
   との相殺を以って、抵当権者に対抗することはできない。」
   と解されています(最高裁平成13年3月13日判決)。

   これとは逆に、抵当権設定登記の前に反対債権を取得した
   ときについては、担保不動産収益執行がなされた場合につ
   いての判例ですが、「抵当不動産の賃借人は、抵当権に基
   づく担保不動産収益執行の開始決定の効力が生じた後にお
   いても、抵当権設定登記の前に取得した賃貸人に対する債
   権を自働債権とし、賃料債権を受働債権とする相殺をもって
   管理人に対抗することができるというべきである。」とし
   ています(最高裁平成21年7月3日判決)。

【3】しかし、反対債権敷金の性質を有するものであるときは、
   「賃貸借契約における敷金契約は,授受された敷金をもって、
   賃料債権、賃貸借終了後の目的物の明渡しまでに生ずる賃料
   相当の損害金債権、その他賃貸借契約により賃貸人が賃借人
   に対して取得することになるべき一切の債権担保すること
   を目的とする賃貸借契約に付随する契約であり、敷金を交付
   した者の有する敷金返還請求権は、目的物の返還時において、
   上記の被担保債権を控除し、なお残額があることを条件とし
   て、残額につき発生することになる(最高裁昭和48年2月
   2日判決参照)。

   これを賃料債権等の面からみれば、目的物の返還時に残存す
   る賃料債権等は敷金が存在する限度において敷金の充当によ
   り当然に消滅することになる。

   このような敷金の充当による未払賃料等の消滅は、敷金契約
   から発生する効果であって、相殺のように当事者の意思表示
   を必要とするものではないから、民法511条によって上記
   当然消滅の効果が妨げられないことは明らかである。」とし
   ています(最高裁平成14年3月28日判決)。

【4】抵当権に基づく物上代位による差押えを行う場合については、
   その差押え抵当権の実行の一態様にほかならないので、民
   法147条2号の「差押」にあたり、請求債権(主債務)に
   対して時効中断効が生じます。

   しかし、被差押債権については、下級審の判例は肯定・否定
   に分かれていましたが、最高裁は、「抵当権者が物上代位権
   の行使として債務者の有する債権差し押さえても、被差押
   債権消滅時効は中断されない。」という結論を認めました
   (最高裁昭和63年7月15日判決)。



      (弁護士 緒方義行  http://www.fuso-godo.jp/
  
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