■【週刊】『今さら聞けない「
決算書」』 □[2014.06.30■[vol.00332]■
http://www.keiei-s.com
みなさん、こんにちは!
税理士の安井伸夫です。
いつもお世話になりましてありがとうございます。
今日は税務調査についてお話したいと思います。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
この税務調査というのは、行政手続きの中でも一番不明瞭で、課税庁の裁
~~~~~~ ~~~~~~~~~~~
量に委ねられている部分が多かったのですが、平成23年に
国税通則法の
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
大改正がありました。
にもかかわらず、それに関する書籍が少なく、あっても反税系の
税理士さ
んの書籍であったり、また、
税理士会の研修では、採り上げにくいテーマ
でもあり、結局は、自分の研究と経験値からしか語れないものなんですが、
あえてお知らせしたいと思います。
まず、税務調査を受ける義務があるのか?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ということですが、判例では、国民は税務調査を受ける義務を負う。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
という見解が一般的ですし、私もそう思います。
税務調査というのは、一般の方には、相当な精神的苦痛を伴うことが多
く、何も誤魔化していないのにも関わらず、かなりの心理的な圧迫があ
ることは事実です。
しかし、法律には直接の受任義務規定がなく、
罰則規定のみであるので、
断固拒否するのはともかくとして、仕事の都合や関係者の不在、
税理士
の都合など、様々な事情を理由にして税務調査の延期や中止を求めるこ
とは可能なのです。
税法上は、「当該職員の質問に対して答弁せず若しくは偽りの答弁をし、
又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ若しくは忌避した者」に対し
て、一年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する、とありますので、
調査での質問検査権の行使に対し拒否したときは
罰則があります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
しかし、この
罰則規定が適用されたことがあるのでしょうか?
いわゆる反税団体に対して適用したことがあるとは聞いてますが、一般
の方には、その適用はほとんどありません。
何故ならば、この「一年以下の懲役又は罰金」は誰が決めるのでしょうか?
税務職員でしょうか?
それとも、税務署長でしょうか?
違います! そのような決定は、裁判官にしかできないのです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
実際には、税務職員は検査拒否の事実認定を行い、「質問
顛末書」とい
う自白調書のような書類を作成し、納税者自身に署名押印させ、検察庁
に送ることになるのです。
そして、検察庁が
起訴するかどうかを判断することになるのです。
さらに、最終的に
罰則規定を適用するかどうかを判断するのは、裁判官
となります。
税務職員がいくら
罰則規定があるから税務調査を受けなさい!と言って
も税務職員が
罰則を適用できるのではありません。
なので、
罰則規定の適用が行われることは皆無に等しく、現実には、
罰則規定を適用するのと同じような、というより、
罰則規定を適用する
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
よりももっと重い効果をもたらす処分をするのです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
調査を合理的理由もなく拒否し、帳簿書類等を見せないということは、
そもそも帳簿の作成、保存、備付がないものとして、「
青色申告の取り
消し」「反面調査の実施」「
消費税の仕入税額控除否認」といった処分
が行われるのです。
「
青色申告の取り消し」が行われれば、
青色申告だから認められている
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
各種の特典、例えば、
欠損金の繰越控除などが、過去に遡って適用不可
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
となります。
また、「
消費税の仕入税額控除否認」が行われれば、売上に付加した消
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
費税をまるまる国に支払えということになります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そのようなことになるのだったら、はっきり言って、50万円の罰金の
方がはるかに安い!と思います。
金銭的な損得の問題からだけではなく、税務調査というのは、行政手続
きの一環なので、当初の申告が正しいのかどうか、課税要件の確認作業
の一環だと思って割り切って受けるべきだと思います。
もっとも、調査の日程が合わないなど、合理的な理由があるならば、
調査日時の延期を申し出ることは可能ですし、それは、調査拒否には
当たりません。
みなさんも無駄な抵抗はやめた方がいいですよ~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ お勧め小冊子
★ 小冊子
○ 今さら聞けない
決算書
○ 今さら聞けない
決算書二の巻
○ あなたの会社も元気会社に!
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○
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○
損益計算書
○ キャッシュフロー計算書
○ 変動
損益計算書
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許可無く複製及び転載をすることを禁止します。
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みなさん、こんにちは! 税理士の安井伸夫です。
いつもお世話になりましてありがとうございます。
今日は税務調査についてお話したいと思います。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
この税務調査というのは、行政手続きの中でも一番不明瞭で、課税庁の裁
~~~~~~ ~~~~~~~~~~~
量に委ねられている部分が多かったのですが、平成23年に国税通則法の
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
大改正がありました。
にもかかわらず、それに関する書籍が少なく、あっても反税系の税理士さ
んの書籍であったり、また、税理士会の研修では、採り上げにくいテーマ
でもあり、結局は、自分の研究と経験値からしか語れないものなんですが、
あえてお知らせしたいと思います。
まず、税務調査を受ける義務があるのか?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ということですが、判例では、国民は税務調査を受ける義務を負う。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
という見解が一般的ですし、私もそう思います。
税務調査というのは、一般の方には、相当な精神的苦痛を伴うことが多
く、何も誤魔化していないのにも関わらず、かなりの心理的な圧迫があ
ることは事実です。
しかし、法律には直接の受任義務規定がなく、罰則規定のみであるので、
断固拒否するのはともかくとして、仕事の都合や関係者の不在、税理士
の都合など、様々な事情を理由にして税務調査の延期や中止を求めるこ
とは可能なのです。
税法上は、「当該職員の質問に対して答弁せず若しくは偽りの答弁をし、
又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ若しくは忌避した者」に対し
て、一年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する、とありますので、
調査での質問検査権の行使に対し拒否したときは罰則があります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
しかし、この罰則規定が適用されたことがあるのでしょうか?
いわゆる反税団体に対して適用したことがあるとは聞いてますが、一般
の方には、その適用はほとんどありません。
何故ならば、この「一年以下の懲役又は罰金」は誰が決めるのでしょうか?
税務職員でしょうか?
それとも、税務署長でしょうか?
違います! そのような決定は、裁判官にしかできないのです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
実際には、税務職員は検査拒否の事実認定を行い、「質問顛末書」とい
う自白調書のような書類を作成し、納税者自身に署名押印させ、検察庁
に送ることになるのです。
そして、検察庁が起訴するかどうかを判断することになるのです。
さらに、最終的に罰則規定を適用するかどうかを判断するのは、裁判官
となります。
税務職員がいくら罰則規定があるから税務調査を受けなさい!と言って
も税務職員が罰則を適用できるのではありません。
なので、罰則規定の適用が行われることは皆無に等しく、現実には、
罰則規定を適用するのと同じような、というより、罰則規定を適用する
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
よりももっと重い効果をもたらす処分をするのです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
調査を合理的理由もなく拒否し、帳簿書類等を見せないということは、
そもそも帳簿の作成、保存、備付がないものとして、「青色申告の取り
消し」「反面調査の実施」「消費税の仕入税額控除否認」といった処分
が行われるのです。
「青色申告の取り消し」が行われれば、青色申告だから認められている
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
各種の特典、例えば、欠損金の繰越控除などが、過去に遡って適用不可
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
となります。
また、「消費税の仕入税額控除否認」が行われれば、売上に付加した消
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
費税をまるまる国に支払えということになります。
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そのようなことになるのだったら、はっきり言って、50万円の罰金の
方がはるかに安い!と思います。
金銭的な損得の問題からだけではなく、税務調査というのは、行政手続
きの一環なので、当初の申告が正しいのかどうか、課税要件の確認作業
の一環だと思って割り切って受けるべきだと思います。
もっとも、調査の日程が合わないなど、合理的な理由があるならば、
調査日時の延期を申し出ることは可能ですし、それは、調査拒否には
当たりません。
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