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賃金体系の合理化は基本給の決め方にある

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経営テクノ研究所
2014年7月7日第1・3週月曜日発行
発行人:舘 義之http://www9.plala.or.jp/keiei-techno/
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★★経営のパートナー★★経営学で企業を再生する
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<目次>
賃金体系の合理化は基本給の決め方にある
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賃金体系の合理化は基本給の決め方にある
1.基本給の決める5つの分類
 賃金体系の合理化とは、具体的に何を意味するのでしょうか。根本的には、
それは基本給の合理化を図ることです。基本給は、賃金の基本的部分で諸手
当・賞与退職金等の算定基準としての役割をもち、基本給の決め方によっ
賃金体系の性格づけが左右されるという最も大切なものです。

 そこで、基本給を決める賃金項目を知っておく必要があります。一般的に
は、5つに分類されます。
               
(1)職能給……職務遂行能力に対して支払われる賃金
(2)職務給……職種給、職位給、役割給などを含むもので、仕事の内容に 
        対して支払われる賃金
(3)年齢給……本人給、本給とも言われるもので、年齢に基づいた生活費  
        コストに対して支払われる賃金
(4)年功給……年齢と勤続年数に対して支払われる賃金
(5)能率給……歩合給、出来高給が代表的であり、一定期間内の個人の能
        率に対して支払われる賃金
 
2.職能資格制度を見直そう
 日本企業では、これまで、資格や能力評価で給与を決める職能資格制度
普及してきました。 

 ただ、資格には年功の要素が残る場合が多いほか、能力評価も客観性を保
つことが難しいといった問題点が指摘されています。

 職務給は、これらの課題を解決する手法として注目されており、同一職務
には同一賃金を、という考え方をもとに、職務の相対的な価値を分析・評価
し、その評価に基づいて賃金を決定していく形をとるものです。この職務給
においては、職務が変わらないかぎり賃金は上がらないというのが建前にな
ります。したがって、従業員の能力が向上しても同一職務にいるかぎり賃金
はかわりません。

 職能給は、従業員の職務遂行能力の評価に基づいて決定する賃金体系を言
います。能力とは、従業員が、考えられている企業の仕事の範囲内で、どの
程度の仕事をこなす能力をもっているか、また、能力を活用したら、どのよ
うな貢献をするか、ということを意味します。

 そういった意味で、職能給は、従業員を対象とした賃金であるのに対し、
職務給は、職務を対象にした賃金といえます。

●考え方…………職能給制度は、従業員の保有能力をベースとする。職務給 
        制度は、職務の価値をベースとする。
●評価……………職能給制度は、能力がベースとなるため、能力を発揮しな
        くても評価される。職務給制度は、職務のランクづけで評
        価される。
●昇格・降格……職能給制度は、能力が高まれば昇格する。降格はない。上 
        位等級者が多くなり、ポスト不足となる。職務給制度は、
        職務やポストに制限がある。欠員があれば昇格、または任
        用する。ポストがなくなれば離脱する。
賃金基準………職能給制度は、習熟昇給と昇格昇給により昇給する。右肩
        上がりとなる。職務給制度は、定期昇給はない。同一職務、
        同一賃金である。
●問題点…………職能給制度は、上位等級者が簡単な仕事をしても高賃金
        支給する。同一職務で賃金格差が出る。職務給制度は、簡
        単な仕事をすれば、賃金は低くなる。職務異動で賃金が上
        下する。
●効果……………職能給制度は、若年者の多い場合に適する。職務給制度は、
        人件費の自動膨張がない。

3.技術用語としての職務とは何か
 技術用語としての職務とはなんでしょうか。これを理解するためには、仕
事─職位─職務という 3つの概念について知らなければなりません。

 以下、、仕事─職位─職務のそれぞれの意味と、これらの相互関係を明ら
かにすることにします。

(1)仕事とは
 仕事とは、ある目的を果たすために、人間的努力が払われる場合に、それ
が身体的努力であろうと、精神的努力であろうと、それを仕事と呼びます。

(2)職位とは
 職位とは、幾つかの仕事が集まれば、1人または2人以上の作業者が必要
になります。この1人の作業者に割り当てられた仕事の集団を職位といいま
す。
 
 1つの職位は、1人の作業者が占めるものであって、1つの職位を2人の
作業者が閉めることはなく、また、1人の作業者が2つの職位を占めること
は原則としてありません。

 ただし、例外的があります。たとえば、総務部長と総務課長という2つの
職位があって、総務部長が病気になったり、海外出張のために、しばらくの
あいだ不在となるために、その不在のあいだ、総務課長が部長を兼任したと
します。この場合は、1人の作業者が2つの職位を占めたことになります。

 しかし、一般的には、作業者の数と職位の数とは一致するのが原則であり、
作業者が2人いる場合の職位は2つであり、作業者が10人いるときは、職
位は10あるということになります。

(3)職務とは 
 職務とは、職位のうち、主要な仕事と、責任とがまったく同一である一群
の職位をまとめて職務といいます。

 職務の数は、職位の数に等しいか、または、職位の数より少ないのが原則
です。1つの職務が1つの職位を含むときは、職務の数と等しいが、1つの
職務に2つ以上の職位が含まれる場合には、職務の数は職位より少なくなり
ます。

 そして、職位の数は、作業者の数と等しいから、職務の数は作業者の数と
等しいか、それより少ないのが原則であって、職務の数が作業者の数より多
くなることは原則としてありえません。

4.給与体系には3つの原則がある
 年功序列賃金では、全体の賃金を大幅に上昇せざるを得なくなります。企
業にとっては、その負担が大きくなりすぎてしまうのです。

 また、バリバリ働く若い社員には年功序列賃金より仕事に応じた賃金を要
求します。したがって、若い人たちにうんと働いてもらうためには、他の新
しい体系が考えられなければなりません。古い熟練というのがあまり役に立
たなくなってきているのです。

 ところで、給与体系には、3つの基本原則があります。第1は生活保障の
原則、第2は成果配分の原則、第3は同一労働、同一賃金の原則です。

 これらは、一つの体系で全部この原則を満たすことはむずかしいといえま
す。たとえば、同一労働、同一賃金の原則に基づいて、つまり職務給のみに
よって、生活保障ということが満たされるかというと、職務給が非常に高け
れば生活保障は十分に行われるでしょう。

 しかし、職務給の水準が高くないと、生活保障ということは、別の体系か
ら満たされなければならないということになります。つまり子供のたくさん
ある人にとっては、仕事に応じた賃金だけでは不十分で、やはり子供を養う
だけの賃金ということも他面では必要になってきます。

 そこで、今日の給与体系としては、この3つの原則に、それぞれ応じたも
のを総合して作ればいいといえます。

 同一労働、同一賃金の原則に対しては職務給を、成果配分の原則に対して
は業績給を、生活保障の原則に対しては年齢給という形で、この3つを総合
して一つの給与体系を作っていくということが理想的といえます。

 まず職務給では、課業配分表とか職務分析表を作り、これによって職務明
細票を作ります。そして、それぞれの職務を要素別に分けて点数をつけ、ど
ういう仕事は何点というふうにはっきりと定めます。それから、給与を決め
ていくのが普通のやり方です。

 業績給については、各人の業績、会社の業績という2つの要素があります。

 年齢給については、年齢とか勤続とかいった要素が中心になって計算が行
なわれます。最近では年齢給を廃止する企業が多くなってきています。

 こういった3つの配分の比率は、いろいろ考えられます。これは、むしろ
各企業がそれぞれ実状に応じて決めるべきものですが、次のような給与体系
採用するとよいでしょう。
●一般社員…… 職務給+賞与   
●管理職………年俸制
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★舘 義之のポジション
 人事・IE・VE・マーケティングコンサルタント
 人事・IE・VE・マーケティングの三輪で企業体質の仕組みを構築して、
厳しい経営環境の中で勝ち残っていく会社にすることを第一に支援します。
舘 義之への問い合わせstudy@agate.plala.or.jp
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