■Vol.360(通算599)/2014-9-1号:毎週月曜日配信
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労務・法務の知恵袋
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■■■ 【 派遣
労働者の
解雇・雇止め 】
□□■ 週刊(毎週月曜日発行)
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派遣
労働者の
解雇・雇止め
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派遣
労働者には、
派遣元において
常時雇用する労働者を
派遣先に
派遣する「常用型」と、
派遣元で派遣を希望する
労働者をリスト
に登録しておいて、
派遣先が見つかると、リストに登録された労
働者との間で
派遣先への派遣期間と同じ期間の
労働契約を締結し
て
労働者を
派遣先に派遣する「登録型」とがあります。(「登録
型」の派遣を行う
一般労働者派遣事業者は、厚生労働大臣の許可
を受けなければならないとされています。)
今回は、派遣
労働者の
雇用の打ち切りについて、期間途中の
解雇
と期間満了による雇止めに分けて、問題となる点をまとめておき
ます。
=========================================================
● 派遣
労働者の期間途中の
解雇─「やむを得ない事由」
=========================================================
1.
労働契約法17条が定めるとおり、
使用者は、期間の定めの
ある
労働契約(有期
労働契約)について、「やむを得ない事
由」がある場合でなければ、その
契約期間が満了するまでの
間において、
労働者を
解雇することができません。
したがって、単に、「
派遣元と
派遣先との間の
派遣契約が解
約され、従事させる業務がなくなったから」という理由で、
派遣
労働者を
解雇することはできません。
2.「やむを得ない事由」とは、
契約期間は
雇用するという約束
をしているにもかかわらず、期間満了を待つことなく直ちに
雇用を終了させざるを得ないような重大な事由が必要である
と言われています。
派遣
労働者についても、
【1】通常の
解雇の場合と同様に、「
解雇は、客観的に合理
的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められな
い場合は、その権利を濫用したものとして、無効とす
る。」(
労働契約法16条)という
解雇権濫用法理の
観点から検討をした上で、
【2】さらに
労働契約の期間保障という観点から、当該労働
者を他の
派遣先に派遣する可能性や
派遣元が自社で使
用する可能性についても検討を加え、
労働者の資質に
重大な問題があること等から「期間途中で
解雇するこ
ともやむを得ないと評価できるだけの重大な事由」が
認められ、
解雇が「やむを得ない」と評価できること
が必要です。
3.裁判例としては、
派遣先の
派遣契約解除を理由とする期間途
中の
解雇について、
整理解雇の4要件に即して、
派遣元にお
ける
【1】人員削減の必要性
【2】
解雇回避努力
【3】被
解雇者選択の合理性
【4】
解雇手続の相当性について検討した上、当該
解雇は、
「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であ
ると認められない場合」に該当し、「やむを得ない事
由」があると解し得ないとしたものがあります。
4.
派遣契約が解約されてしまうと、新たな
派遣先が決まるまで
の間、派遣
労働者は就労の機会を失い、
労務提供義務は
履行
不能となりますが、その場合であっても、
派遣元が新たな派
遣先を探す等の方法により、派遣
労働者の就労機会の確保を
図るべき義務を尽くしたと認められない場合には、「
債権者
の
責めに帰すべき事由」(
民法536条2項)があるとして、
派遣
労働者の
賃金請求権は消滅しないという考え方が有力です。
=========================================================
● 派遣
労働者の雇止め-常用型と登録型の違い
=========================================================
1.常用型派遣
労働者の場合、通常の期間の定めのある
労働契約
の場合と同様、「【1】有期
労働契約が反復更新されて、期
間の定めのない
契約と実質的に異ならない状態となった場合
及び【2】
期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態
とまではいえないが、
雇用継続に対する
労働者の期待に合理
性がある場合」については、雇止めをするに当たって
解雇権
濫用法理を類推すべきであり、
労働契約が終了となってもや
むを得ない客観的で合理的理由が必要であると考えられてい
ます(雇止めの法理)。
2.しかし、登録型派遣
労働者については、裁判例は、次のよう
な理由を挙げて、「雇止めの法理」は働かないとする傾向に
あります。
【1】派遣法は、派遣
労働者の
雇用の安定だけでなく、常用
代替防止 すなわち
派遣先の常用労慟者の
雇用の安定
をも立法目的とし、派遣期間の制限、規定をおくなど
して両目的の調和を図っているところ、同一
労働者の
同一事業所への派遣を長期間継続することによって派
遣
労働者の
雇用の安定を図ることは、常用代替防止の
観点から同法の予定するところではないから、派遣労
働者の
雇用継続に対する期待は、派遣法の趣旨に照ら
して、合理性を有さず、保護すべきものとはいえない。
【2】派遣
労働者と
派遣元との間の登録型
雇用契約は、派遣
元と
派遣先との
派遣契約の存在を前提として存在する
ものであるところ、企業間の商取引である
派遣契約に
更新の
期待権や更新義務を観念することはできないか
ら、
派遣元と
派遣先との
派遣契約は、その期間が満了
し、更新がなされなかったことにより終了したものと
認められる。
そうすると、派遣
労働者と
派遣元との間の
雇用契約が
反復継続したとしても、あたかも期間の定めのない契
約と実質的に異ならない状態で存在している場合、あ
るいは期間満了後も
使用者である
派遣元が
雇用を継続
すべきものと期待することに合理性が認められる場合
には当たらない。
(弁護士 緒方義行
http://www.fuso-godo.jp/)
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派遣する「常用型」と、派遣元で派遣を希望する労働者をリスト
に登録しておいて、派遣先が見つかると、リストに登録された労
働者との間で派遣先への派遣期間と同じ期間の労働契約を締結し
て労働者を派遣先に派遣する「登録型」とがあります。(「登録
型」の派遣を行う一般労働者派遣事業者は、厚生労働大臣の許可
を受けなければならないとされています。)
今回は、派遣労働者の雇用の打ち切りについて、期間途中の解雇
と期間満了による雇止めに分けて、問題となる点をまとめておき
ます。
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● 派遣労働者の期間途中の解雇─「やむを得ない事由」
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1.労働契約法17条が定めるとおり、使用者は、期間の定めの
ある労働契約(有期労働契約)について、「やむを得ない事
由」がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの
間において、労働者を解雇することができません。
したがって、単に、「派遣元と派遣先との間の派遣契約が解
約され、従事させる業務がなくなったから」という理由で、
派遣労働者を解雇することはできません。
2.「やむを得ない事由」とは、契約期間は雇用するという約束
をしているにもかかわらず、期間満了を待つことなく直ちに
雇用を終了させざるを得ないような重大な事由が必要である
と言われています。
派遣労働者についても、
【1】通常の解雇の場合と同様に、「解雇は、客観的に合理
的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められな
い場合は、その権利を濫用したものとして、無効とす
る。」(労働契約法16条)という解雇権濫用法理の
観点から検討をした上で、
【2】さらに労働契約の期間保障という観点から、当該労働
者を他の派遣先に派遣する可能性や派遣元が自社で使
用する可能性についても検討を加え、労働者の資質に
重大な問題があること等から「期間途中で解雇するこ
ともやむを得ないと評価できるだけの重大な事由」が
認められ、解雇が「やむを得ない」と評価できること
が必要です。
3.裁判例としては、派遣先の派遣契約解除を理由とする期間途
中の解雇について、整理解雇の4要件に即して、派遣元にお
ける
【1】人員削減の必要性
【2】解雇回避努力
【3】被解雇者選択の合理性
【4】解雇手続の相当性について検討した上、当該解雇は、
「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であ
ると認められない場合」に該当し、「やむを得ない事
由」があると解し得ないとしたものがあります。
4.派遣契約が解約されてしまうと、新たな派遣先が決まるまで
の間、派遣労働者は就労の機会を失い、労務提供義務は履行
不能となりますが、その場合であっても、派遣元が新たな派
遣先を探す等の方法により、派遣労働者の就労機会の確保を
図るべき義務を尽くしたと認められない場合には、「債権者
の責めに帰すべき事由」(民法536条2項)があるとして、
派遣労働者の賃金請求権は消滅しないという考え方が有力です。
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● 派遣労働者の雇止め-常用型と登録型の違い
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1.常用型派遣労働者の場合、通常の期間の定めのある労働契約
の場合と同様、「【1】有期労働契約が反復更新されて、期
間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となった場合
及び【2】期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態
とまではいえないが、雇用継続に対する労働者の期待に合理
性がある場合」については、雇止めをするに当たって解雇権
濫用法理を類推すべきであり、労働契約が終了となってもや
むを得ない客観的で合理的理由が必要であると考えられてい
ます(雇止めの法理)。
2.しかし、登録型派遣労働者については、裁判例は、次のよう
な理由を挙げて、「雇止めの法理」は働かないとする傾向に
あります。
【1】派遣法は、派遣労働者の雇用の安定だけでなく、常用
代替防止 すなわち派遣先の常用労慟者の雇用の安定
をも立法目的とし、派遣期間の制限、規定をおくなど
して両目的の調和を図っているところ、同一労働者の
同一事業所への派遣を長期間継続することによって派
遣労働者の雇用の安定を図ることは、常用代替防止の
観点から同法の予定するところではないから、派遣労
働者の雇用継続に対する期待は、派遣法の趣旨に照ら
して、合理性を有さず、保護すべきものとはいえない。
【2】派遣労働者と派遣元との間の登録型雇用契約は、派遣
元と派遣先との派遣契約の存在を前提として存在する
ものであるところ、企業間の商取引である派遣契約に
更新の期待権や更新義務を観念することはできないか
ら、派遣元と派遣先との派遣契約は、その期間が満了
し、更新がなされなかったことにより終了したものと
認められる。
そうすると、派遣労働者と派遣元との間の雇用契約が
反復継続したとしても、あたかも期間の定めのない契
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るいは期間満了後も使用者である派遣元が雇用を継続
すべきものと期待することに合理性が認められる場合
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(弁護士 緒方義行
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