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ホンダの課税処分取り消し

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.252-2014.09.11
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
会計基準は、今、IFRSで揺れ動いています。一方で税制も改正されており、
上場会社及び上場準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく
変化していきます。これらのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理
担当者の皆さん向けに、出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。

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【上場会社・上場準備会社グループ経営支援】
エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人は「監査人ではない」会計
税務専門家として、会社側の視点にたった各種支援を行っています。

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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]ホンダの課税処分取り消し
2.[IFRS]ハンスフーガ─ホースト議長のコメント
3.[IFRS]IFRSがJ-GAAPにすり寄り?
4.[税務]経団連税制改正に関する要望
5.[IFRS]問題163
6.[編集後記]

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1.[税務]ホンダの課税処分取り消し
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このメルマガは、今までずっと紺野がひとりで書いてきましたが、うちの飯田
清和税理士が表記に関する記事を書いてくれましたので、以下ご紹介しますね。
飯田はずっと国際税務に携わってきた税理士ですので、今後も国際税務関係の
記事を書いてくれるはずですよ。乞うご期待!以後、よろしくお願いいたしま
す。

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先日の新聞報道等でご存じの方もいらっしゃると思いますが、自動車メーカ
ーのホンダが、国に移転価格税制による課税処分の取り消しを求めていた訴
訟の判決で、東京地裁がホンダの主張を全面的に認め、約75億円の課税処
分を取り消したということです。移転価格に関する裁判で、国側が第一審で
敗訴したケースは初めてのことです。

判決によると、ホンダは1975年に税の優遇措置があるブラジルのマナウス
に子会社(モトホンダ・ダ・アマゾニアという社名らしいです)を設立。子
会社は、ホンダから部品や技術の提供を受けて現地でバイクを製造・販売し
ていました。
東京国税局はこの取引を巡る子会社の利益を、ブラジル国内の類似企業の利
益率などと比較し「ホンダは子会社に所得を移して課税を逃れているので、
子会社の利益の一部は日本で申告すべき」と判断。移転価格税制を適用して、
2003年3月までの6年間で約254億円の申告漏れを指摘しました。移転価格
税制は過去6年に遡って適用されるので、課税される金額も大きいのが特
徴です。

この訴訟で裁判長は「子会社の利益は優遇税制の影響が大きい」と指摘した
上で、比較対象になった類似企業が優遇措置の区域外にあることから「両社
は類似しているといえず比較できない。両社の差を調整せずに利益を算定
たのは誤り」と述べました。

ここで指摘されている「類似企業」とは、ホンダのブラジル子会社と「機
能」や「リスク」が類似している企業を指します。おそらく、部品を仕入れ
て製造し、在庫を抱えながら製品を販売するという「機能」と「リスク」を
持ったホンダの子会社と、ブラジル国内の類似企業とが比較できないと判示
されたのではないでしょうか。この訴訟では、類似企業が優遇措置の区域外
であったそうですが、優遇税制が利益に影響を与えることが客観的に見て明
らかであれば、その影響分を調整する必要があります。

ちなみに、移転価格に関する判例はこの判決以外に4件(うち3件が国側勝訴)
しかありません。いずれも興味深いと思いますので、このメルマガでも解説
していきたいと思います。
エキスパーツリンクでも、移転価格に関するセミナーを開催する予定ですの
で、興味のある方は是非参加してください。機能とリスクって何?とお考え
の方、お待ちしております。
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いかがですか?私(紺野)ですと、こういうテーマは避けてしまっていたかも
しれません。今後はより充実してまいります!
飯田の記事でも最後に触れてありますが、

「移転価格に関するセミナー」11月を予定しています。詳細は、また別途ご
案内しますが、今後は、飯田をはじめ、セミナー再開いたしますので、是非
ご参加ください!

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2.[IFRS]ハンスフーガ─ホースト議長のコメント
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ハンスフーガ─ホースト議長は、平成26年9月3日、東京で日本のIFRS及び
JMIS(Japan’s modified international standards)についてコメントし
ています。

http://www.ifrs.org/Alerts/Conference/Pages/Speech-Hans-Hoogervorst-The-dangers-of-ignoring-unrealised-income-September-2014.aspx

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
The drawback of JMIS, however, will be that they will not be
recognised by foreign investors as IFRS, simply because JMIS differ
from IFRS. Even when such differences are small, they tend to
confuse investors. Also, a company reporting in JMIS would continue
to work with two different accounting languages, one for its
Japanese activities and another for its subsidiaries abroad.
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しかしながら、JMISの欠点は、外国の投資家たちには、IFRSとしては認識さ
れないだろうという点です。これは単にJMISはIFRSとは違うということが理
由です。この差異が小さくても、投資家を混乱させるでしょう。また、JMIS
採用している会社は、二つの異なる会計言語を扱うことを続けなければな
りません。一つは日本での活動のためのもの、もう一つは海外子会社のものと
いうように。

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a company that decides to adopt JMIS would have to incur all the
costs of conversion to new accounting standards, without gaining
the full benefits of IFRS in terms of cost reduction and improved
international investor relations. For that reason, my preliminary
expectation would be that for the majority of Japanese companies
that are a considering a change in accounting standards, adoption
of IFRS will probably remain the more attractive option.
Finally, I would like to remark that both the issues of goodwill
and recycling will be considered very seriously in the
Post-implementation Review of business combinations and our work
on the Conceptual Framework.
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

JMISを採用した会社は、コスト低減と改善された国際投資家との関係という
IFRSのすべてのベネフィットを得ることなく、新しい会計基準に変更するた
めのすべてコストを負担しなければなりません。このため、会計基準の変更を
検討している多くの日本の会社にとって、IFRSの採用は依然としてより魅力
的な選択肢として残るだろうと考えています。
最後に、のれんとリサイクリングの問題は企業結合に関する適用後レビュー及
び概念フレームワークの対応のなかでとても真剣に検討されています。

基本そうですよね。やはり共通言語をもつという視点をもう少し大事にすべき
かなと思います。

ところが、ですね。のれんの処理については、ちょっと風向きが変わりつつあ
るんです。

===================================
3.[IFRS]IFRSがJ-GAAPにすり寄り?
===================================
みなさんもうお目通し済みの記事かと思いますが、
平成26年9月6日の日経有料記事
http://www.nikkei.com/money/features/32.aspx?g=DGXLMSGD04H2C_05092014000000&n_cid=kobetsu

「現在のIFRSの基準が完璧でないことは認める。現在の減損の基準は緩
すぎる。批判が多いのは、減損処理のタイミングが遅すぎることだ。のれんを
費用化しないことで、のれんがあまりに多く残っている。これは望ましくない」
>>>現在でも、IFRS上、のれんの減損テストは毎年同時期に実施する限り、
年度中のどの時点で実施してもよく、資金生成単位ごとに異なる時期に実施す
ることも認められます。ただし、資金生成単位に配分されたのれんが当年度中
の企業結合で取得したものである場合は、期末日までに減損テストを実施しま
す。減損処理のタイミングが遅すぎるという意味は、減損テストのタイミング
をより早めるべきということなのか、減損の兆候が出るまでに時間がかかると
いう意味なのか、よくわかりません。

「かといって、日本のように最長20年という定期償却は長すぎる。定額である
ことに合理的な理由もみつけにくい」
>>>まあ、そうですけど、償却する、という場合は、定額が一番現実的なので
は?確かに20年は長いかもしれません。いずれにしてもある時点において対
価を払って取得したのれんは、その時点におけるのれんなので、徐々に減価し
ていくと考えるべきだと思います。私は、仮に維持されているとするなら、そ
れはむしろ何等かの償却で減価していくのれんを新たな企業努力で補っている
のだと考えるべきように思っています。

「(日本のように)定期的に償却していくか、より早く減損を認識するのかな
ど、のれんの処理をどうするかについては慎重に検討していく」
>>>というわけで見直しをするということなんでしょうか?

前回ご紹介しましたすかいらーくなどはのれんが償却されているか償却されて
いないかで大違いということでしたから、この処理の考え方をどうするのかに
よって大きく影響を受ける企業もあります。

日経のインタビューで、本気の話をしているのかどうか、よくわかりませんが、
今後の動向に注目です。

===================================
4.[税務]経団連税制改正に関する要望
===================================
経団連は、平成26年9月10日、「平成27年度税制改正に関する提言」を公表
しています。
http://www.keidanren.or.jp/policy/2014/074.html

骨子簡単に記載します。

消費税率の引き上げ
・2015年10月に消費税率10%へと着実に引き上げ
消費税の転嫁に適正に対応
・単一税率を維持。低所得者対策としては当面の間、簡素な給付措置を実施

法人課税の抜本改革
(法人実効税率の引き下げ)
法人実効税率を2015年度に2%以上引き下げ、3年を目途に20%台とする。
 将来的にOECD諸国の平均、また競合するアジア諸国並みの25%へと引き下
 げる。
・利益を生み出す企業に対する実質的な税負担軽減を着実に実行

(地方法人課税の改革)
・地方法人課税は法人税に統合し、交付税等により適切に配分
外形標準課税の安易な拡大はすべきでない。賃金が相当部分を占め、雇用
 維持・創出、所得拡大の方向に逆行
・償却資産税は廃止含め抜本的見直し、少なくとも新規取得した機械装置は免
 除

(研究開発税制)
・期限を迎える税額控除限度額の引き上げ措置(20%-30%)や研究開発費の範囲
 を含め、現行制度を維持・拡充

その他多いので詳細は原文にあたってください。

直近の経済の状況は増税によりやや足踏みをしている状況かと思いますが、経
団連は来年10月の消費税10%への引き上げを着実に実行せよとしているわけ
ですね。潔いですね。外形標準の主張も全くそのとおりと思います。全体的に
よくまとまっています。

===================================
5.[IFRS]問題163
===================================
[問163]
以下のうち誤っているのはどれ?

a.固定資産の減損テストで、日本基準では、割引前キャッシュ・フローと帳簿
 価額を比較するが、IFRSでは回収可能価額と帳簿価額を比較するため、日本
 基準のほうがIFRSよりも早期に減損損失を認識する傾向にある。
http://clap.mag2.com/hesouwraga?a
b.日本基準において減損損失の戻入れは認められていない。
http://clap.mag2.com/hesouwraga?b
c.IFRSでは、企業の純資産の帳簿価額が、その企業の株式の時価総額を超過
 していることが減損の外部の兆候として例示されている。
http://clap.mag2.com/hesouwraga?c

[答]
[前回の解答]
前回の正答はb。

===================================
6.[編集後記]
===================================
今回も遅くなってしまいました。申し訳ございません。
1.で飯田の記事を載せましたが、飯田の加入により、私どもの移転価格な
どの国際税務の事案についての対応力が充実してきております。ホームページ
も追加する予定ですし、セミナーも行う予定です。国際税務関係でお困りのこ
とがございましたら、お気軽にご連絡ください!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
*URL: http://www.expertslink.jp
 →決算・開示サポート、内部統制会計に強い税理士をお求めならこちら
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