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コーポレートガバナンス・コードへの対応

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.285-2015.05.07
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させていた
だきます。

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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]国際税務入門13
2.[最新J-GAAP&監査]工事進行基準等の適用に関する監査上の取扱い
3.[税務]アップル、EUの判断で相当な影響を予想
4.[ディスクローズ]コーポレートガバナンス・コードへの対応
5.[編集後記]

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1.[税務]国際税務入門13
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 国際税務担当飯田の記事です。
「恒久的施設(PE)なければ課税なし」というのが共通のルールですが、近
年は、海外に物理上の固定施設を有しないにも関わらず、従業員を現地国に派
遣しただけで、日本企業が海外で法人税を課税される事例が増えています。従
業員の活動内容が日本企業のために業務を行っているとみなされ、その活動が
日本企業の代理人PEと認定され、日本企業が現地国で法人税を課税されるケー
スが生じているのです。

PE認定リスクの高い業務とは、海外に派遣された従業員派遣元の日本企業の
収益獲得に貢献する役務提供を行う場合です。例えば、事業に関する契約締結
権限の行使、営業活動、アフターサービスなど、現地に日本企業の事務所等が
無くても、派遣された従業員が勤務する海外子会社の事務所や工場、従業員
居住するアパートやホテル等が、派遣元である日本企業のPEとみなされる可能
性があります。

特に中国では、日本の親会社から派遣されて現地で生産ラインの指導等を行う
技能工の方が親会社のPEとみなされ、親会社が法人税を課税されるケースが多
く生じています。中国では、外国人出向者の業務実態が出向元外国企業による
役務提供とされる場合には、出向契約がPE認定課税の対象となるからです。

その場合、PEに係る法人税の課税対象所得が認定利益率により算出され、また
従業員の人件費をPEが負担しているとの理由で、短期滞在にも関わらず、給与
として日本人従業員自身にも中国の所得税が課税されることになります。出向
役務提供と認定された場合には、企業所得税に加えて増値税または営業税お
よび付加費が課されることになります。

逆に日本では、2009年に米国インターネット通販大手アマゾン・ドット・コ
ムの関連会社が東京国税局から課税処分を受けたという報道がありました。

この会社は、日本国内に支店を置かずに日本の顧客との売買契約を直接結び、
米国で売上げを上げる一方、販売業務や物流業務は日本にある別の関連会社等
に委託して手数料を支払っていました。東京国税局は、これらの日本法人が米
国の会社のPEとしての機能を果たしているとして、日本顧客への販売に関する
所得を日本での事業所得と認定したようです。
これを不服として、アマゾンは日米両国の当局による相互協議を申請した結果、
2010年に追徴課税が取り消しになっています。

===================================
2.[最新J-GAAP&監査]工事進行基準等の適用に関する監査上の取扱い
===================================
日本公認会計士協会(監査・保証実務委員会)では、監査・保証実務委員会
務指針第91号「工事進行基準等の適用に関する監査上の取扱い」を4月30日
付で公表しています。

http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/91.html

これは、工事進行基準により施行者における工事契約に係る収益及びその原価
の認識を行っている企業の財務諸表の監査において、留意する事項を適用指針
として取りまとめたものです。

不正リスクが明示されていますね。
(1) 工事進行基準の適用に当たっては、実行予算に基づく工事損益率及び決算
日における工事進捗度等の会計上の見積りが不可欠であるため、経営者の
偏向の存在を完全には排除できないこと。
(2) 一般的に工事契約は、工事の進行途上において当事者間の新たな合意によ
って工事契約の変更が行われる傾向にあるが、その変更金額が工事契約
変更の都度決まらない場合があること。
(3) 工事契約は基本的な仕様や作業内容が顧客の指図に基づいて行われるため、
工事契約内容の個別性が強い。したがって、工事原価総額の見積りに当た
っては、全ての工事契約に適用可能な画一的な判断尺度を得られにくく、
工事契約内容に関する専門的知識及び実務経験を有する、当該工事契約
原価管理又は進捗管理に直接的又は間接的に責任を有する者(以下「工事
契約の管理者」という。)による判断が恣意的に行われる可能性があるこ
と。
(4) 各工事契約に対する監視活動は、工事契約所管部署等、取締役会監査役
等又は内部監査部門等によって行われるが、労務安全管理又は工程管理が
重視される傾向にあること。また、原価管理について監視活動が実施され
ていても、工事進行基準の適用の妥当性という観点からは必ずしも十分に
実施されていない可能性があること。
(5) 工事の進行途上においては、顧客や原材料の納品業者及び外注業者(以下
両者を合わせ「外注業者等」という。)又は監督官署等との間で各種の協
議が頻繁に行われ、このような協議の結果が、工事進行基準の適用に関す
会計上の見積りに影響を及ぼし、工事収益総額や工事原価総額の見直し
が必要となる場合がある。このような場合には、工事進行基準の適用のた
めの信頼性をもった見積りを実施する部署(以下このような部署を「見積
担当部署」という。)が、当該協議の結果に関する情報を適時かつ網羅的
に収集できず、最新の状況を会計上の見積りに適時に反映できない可能性
があること。

不正とはいえないようなリスクも含まれているような気がしますが。

これらは確かに工事進行基準が適用されている場合に、収益や利益を過大に計
上することにつながるかもしれませんね。

詳細は原本にあたってください。

===================================
3.[税務]アップル、EUの判断で相当な影響を予想
===================================
アップルはアイルランド政府の多国籍企業に対する税金の優遇措置について、
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会が不公正な政府補助金に相当すると
判断した場合、相当な影響が出るとの見方を示したそうです。

http://www.bloomberg.com/news/articles/2015-04-29/apple-says-eu-irish-tax-probe-could-lead-to-material-costs

最大10年遡って税金の支払いを命じられる可能性があるとしていますが、この
影響は推計できないとしています。

何度かご紹介していますが、アップルは例の

「ダブルアイリッシュダッチサンドイッチ」ですよね。

概要まとめると、

税率の低いアイルランド(12.5%.アメリカは35%)に二つの法人(アイルランド
第一法人、アイルランド第二法人)を設立し、米国本社が開発する無形資産をコ
ストシェアリングによりアイルランド第一法人に移す。

アイルランド第一法人の管理機能をバージン諸島におくことで、アイルランド
税法上では非居住者となり法人税課税を受けない。

この無形資産をオランダ法人にライセンスし、オランダ法人はアイルランド第二
法人サブライセンスする。このサブライセンス料を第二法人がオランダ法人
支払い、ライセンス料をオランダ法人がアイルランド第一法人に支払うことによ
り、ライセンス料を非課税でアイルランド第二法人からアイルランド第一法人
移転できる。

さらに、アメリカではcheck-the-box条項を使って、オランダ法人とアイルラン
ド第二法人をアイルランド第一法人の支店扱いすることによりタックスヘイブン
課税を逃れる。

アイルランド第二法人は課税されますが、オランダ法人に支払うサブライセンス
料が損金になりますから、かなり所得を圧縮できるわけです。

税率の低いアイルランドに所得を移すんですが、その低い税率でさえ課税されな
いような仕組みを作っているというわけですね。

これをどのように覆すのかよくわかりませんが、たとえ合法の仕組みだとして
も、やはり、税金払えよ~。というのが普通の感覚のように思います。

アップルだけじゃなくて、グーグルや、アマゾン、などもそうですよね。

===================================
4.[ディスクローズ]コーポレートガバナンス・コードへの対応
===================================
どうもわかりにくい感じがしているんですけど、コーポレートガバナンス・コ
ード。整理してみます。

2015年2月24日、東京証券取引所は「コーポレートガバナンス・コード策定
に伴う上場制度の整備について」を公表しています。

http://www.jpx.co.jp/rules-participants/public-comment/detail/d1/20150224-01.html

2015年3月5日、金融庁と東証が共同事務局を務める「コーポレートガバナン
ス・コードの策定に関する有識者会議」が「コーポレートガバナンス・コー
ドの基本的な考え方≪コーポレートガバナンス・コード原案≫~会社の持続
的な成長と中長期的な企業価値の向上のために~」を公表しています。

http://www.fsa.go.jp/news/26/sonota/20141217-4.html

本コ ード(原案)は、東京証券取引所において必要な制度整備を行った上で、
平成27年6月1日から適用することが想定されています。つまり、「東証
の規則として」整備される方向です。

従って、上場会社は「東証の規則」に従う必要があるため、このコーポレート
ガバナンス・コードに対応する必要があります。

コーポレートガバナンス・コードにおいては、その内容を実施するか、実施し
ない場合にはその理由を説明する、という「コンプライ・オア・エクスプレイ
ン」アプローチが採用されています。

(東証一部、二部上場会社)
コーポレートガバナンス・コードの全てについて「コンプライ・オア・エクス
プレイン」が求められます。

(マザーズやJASDAQ上場会社)
コーポレートガバナンス・コードのうち、基本原則についてのみ、「コンプラ
イ・オア・エクスプレイン」が求められます。

「エクスプレイン」は「コーポレートガバナンス報告書」で行います。

詳細は「コーポレートガバナンス・コード原案」などにあたっていただくとし
て、いつそれをやる必要があるのか?

「上場会社は、定時株主総会後、遅滞なくコーポレートガバナンス報告書を提
出するものとします。ただし、2015年6月以後最初に開催する定時株主総会につ
いては、準備ができ次第速やかに提出することとし、遅くともその6か月後まで
に、提出するものとします。」

ということです。3月決算会社であれば、2015年6月の定時総会終了後、6か月
ですから、2015年12月ということになりますね。ただし、これは開示であっ
て、その開示をできる状態にするためには様々な準備が必要になります。

という観点から、しっかり読み込みましょう。

===================================
5.[編集後記]
===================================
日本人はキャラクター好きですよね。
マイナンバー普及のためにも、「マイナちゃん」といううさぎのキャラクター
がいるのご存知ですか?
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/gaiyou.html
なんか数字の「1」を両手で持って、目が両方「1」の形になっているので、
111に見えるのですが、この意味は「一人にひとつ」という意味らしいですね。
それはちょっと読み取れないでしょ。という印象です。ちなみにマイナンバー
は12ケタですので、これとは違っています。
この「マイナちゃん」。携帯電話番号11ケタ化のときにいた「11ケタうさぎ」
(職業ロックミュージシャン)と似ているという評判になっているようです。確
かに似てますね。でも11ケタうさぎなんて忘れてましたよ。そんなのいました
っけ?という感じです。

https://www.youtube.com/watch?v=aAzIz2mLT10

「マイナちゃん」は着ぐるみはないんですかね。これからしばらくは活躍の場
が増えそうですね。

公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。

トップページ
http://kaishaho-kansa.com/
個人会計士による会社法監査
http://kaishaho-kansa.com/audit/personal/

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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