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手を挙げない高ストレス者をどうするか?Part1

人事担当者:「先生はストレスチェック制度でいろいろ問題があると言っていましたが、実際に制度が始まったときに何が一番問題だと思いますか?」
小太り産業医:「”手を挙げない高ストレス者”をどうするかだと思うよ。」
人事担当者:「そうですよね。ストレスチェックの本人が申告してくれないと会社は何もアクションを起こせないですよね。」
小太り産業医:「ただ、”東芝裁判”から潮目が変わって、事業者に対して『察しろ』となってきた。自己申告が無くても会社は安全配慮義務を負うんだよ。」
人事担当者:「”手を挙げない高ストレス者”に対して、事業者は向き合わなくてはいけなくなりますね。」
小太り産業医:「では、君はボクが今、何が欲しいか『察する』ことができる?」
人事担当者:「炭酸が飲みたい!」
小太り産業医:「正解!デブは炭酸好き。これ鉄板ね。」

私、小太り産業医はストレスチェック(SC)制度にはいろいろ問題があると思っています。SCを受けない労働者をどうやって受検行動に向かわせるのか、なりすまし・悪意のある回答をどうやって排除するのか等々。その中でも一番の問題と考えているのは、”手を挙げない高ストレス者”をどうするかです。
高ストレス者に該当する労働者が手を挙げて、「オレ、面接指導受けます!」と言ってくれたら楽なものです。しかし、手を挙げると名前を事業者側に知られることを躊躇して、手を挙げない従業員が多くなることが予想されます。結果の通知は不同意にすれば、事業者側が知ることができません。ただ、面接指導にあたり、事業者から勤怠などの資料の提供が必要になるため面接指導を受ける労働者の氏名は事業者が知り得るのです。

そうなると、躊躇しますよねぇ~。手を挙げない人が続出すると思います。

手を挙げなかった労働者を放置した場合どうなるのか?
それぞれの立場から考えてみましょう。
・当該労働者として
以前から小太り産業医が述べていますが、彼ら労働者には自己保健義務が存在します。SCの結果から、高ストレス者であった場合は手を挙げて面接指導を受ける、もしくは最初からメンタル系医療機関を受診など、メンタルヘルスに対して行動を起こす必要があります。
しかし、高ストレス者だと高度の精神的疲弊を有する可能性があるため自己判断ができない労働者もいるでしょう。一方的に自己保健義務の履行を強く推奨はできない場合もあり、ケースバイケースとなります。

事業者として
本来、管理監督者は部下のストレスの有無に関わらず配慮しなくてはいけません。ですから、SC制度においても同様で、部下が高ストレス者に該当するかどうかは全く関係なく、安全配慮義務履行しなくてはいけません。今までと比較して安全配慮義務の適用範囲がSC制度分、必然的に広がります。

・実施者として
実施者は高ストレス者の氏名と結果を知りうる立場にあります。もし、手を挙げなかった高ストレス者が体調を悪化していくのを見て、何も介入しなかった場合。つまり、見て見ぬふりをした場合は不作為行為が適用される可能性がある。

その他にもABCマートが過重労働役員が書類送検になっていますが、これは「善管注意義務」の履行を怠っていた事が問題になっているそうです。SC制度で置き換えてみます。自分の会社に手を挙げない高ストレス者が多数いて(手を挙げない高ストレス者の人数を知ることは可能)、その状態を問題として認識していたのに放置していた場合、もしその中の高ストレス者が最悪の結果になってしまったら担当役員人事労務)は善管注意義務に問われるかもしれません。

最初の会話でも出てきましたが、”東芝裁判”から潮目が変わってきている印象です。
判決を簡潔に述べると、従業員が体調や病名を事業者に申告していなくても、第三者はその行動などから『察して』安全配慮義務履行するようにとしています。
知らぬ、存ぜぬは通らないのです。

では、”手を挙げない高ストレス者”をどうすれば良いのでしょう?
それは、次回お話しします。

東芝裁判について知りたい方は下記をお読みください。
http://www.rofuku.go.jp/Portals/0/data0/sanpo/sanpo21/sarchpdf/77_hanrei_18-19.pdf

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