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コラムの泉

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海外子会社の支援

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.301-2015.08.30
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。
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ありましたら、こちらにどうぞ。紺野に直接届きます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]海外子会社が軌道に乗るまでの支援はOKか?
2.[NEWS]改正農協法が成立
3.[NEWS]なぜ粉飾決算はなくならないのか?
4.[NEWS]東芝、監査法人の交代制
5.[税務]未登録国外事業者からの電気通信利用役務は申告対象から除外
6.[編集後記]

===================================
1.[税務]海外子会社が軌道に乗るまでの支援はOKか?
===================================
我が社はA国に現地法人を設立し、工場を立ち上げる予定です。政府の支援も
あって、比較的好条件で進出することができそうですが、海外子会社が利益を
出せるまでには少し時間が掛かりそうです。このため、親会社としては人員の
派遣など一定の支援を行っていきたいと考えています。このような支援は親会
社として当然の義務と思っていますが、税務上問題とされるでしょうか。

親会社が子会社を設立するのは、その事業戦略の一環です。そのため、親会社
が子会社の運営にあらゆる責任をもつのはある意味当然だと思います。
また、海外子会社は資金需要があるものの、信用力もないため、資金を自前で
調達することは困難でしょう。

現地法人の立ち上げ時期は多額の資金を要することから、その資金的な支援を
日本の親会社が行うのが通例ですが、税務上はこれを無条件に認めるわけには
いきません。

なぜなら、親会社は子会社の株主として、税務上は立上げに必要な資金を見込
んで資本金として拠出し、仮にそれで足りないとなれば不足分を貸付けるのが
原則だからです。

親会社からの役務提供についても、その役務提供に係る費用は子会社から回収
する必要があります。資金的な援助と同様、対価の回収がされていない場合は、
国外関連者に対する寄附金としてその全額が損金不算入となります。

===================================
2.[NEWS]改正農協法が成立
===================================
改正農協法が8月28日午前の参院本会議で可決しました。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS27H5Y_Y5A820C1EAF000/

もう一度、公認会計士又は監査法人による監査がどのように規定されたのか確
認しておきましょう。

農業協同組合新聞2015.2.10より抜粋

・貯金量200億円以上の農協には信金・信組等と同様、公認会計士監査による
会計監査を義務づける。
・全国中央会(全中)は内部組織である全国監査機構を外出しし、公認会計士
法に基づく監査法人を新設。農協は新設された監査法人、または他の監査法
人の監査を受けることになる。
・新設の監査法人は同一の農協に対して会計監査業務監査の両方を行うこと
が可能(監査法人内で会計監査チームと業務監査チームを分けることが条件)。
・政府は、全国監査機構を外出しする監査法人の円滑な設立と業務運営が確保
でき、農協が負担を増やさずに確実に会計監査を受けられるよう配慮する旨
を規定する。
・政府は、農協監査士について、当該監査法人等における農協に対する監査業
務に従事できるように配慮するとともに、公認会計士試験に合格した場合に
円滑に公認会計士資格を取得できるように運用上配慮する旨、規定する。
・政府は、以上のような問題の迅速かつ適切な解決を図るため、関係省庁(金
融庁)、日本公認会計士協会および全中による協議の場を設ける旨、規定す
る。
・全中の新組織への移行等によりその監査業務が終了する時期までは、新しい
会計監査制度への移行のための準備期間として、農協は全中監査か公認会計
士監査のいずれかを選べることとする。

農協は全国約700ということで、これらのうちどれくらいが公認会計士又は監
法人による監査を行うこととなるのか、注視していきたいと思います。

===================================
3.[NEWS]なぜ粉飾決算はなくならないのか?
===================================
プレジデントに「なぜ粉飾決算はなくならないのか」という記事が出ていま
す。

筆者は帝国データバンコクの方のようです。
http://president.jp/articles/-/16037?page=2

いくつか抜粋します。

「なぜ企業は不正会計をするのか。最も多い理由は赤字決算債務超過など経
営不安の隠蔽だ。中小企業の場合は、金融機関からの融資の打ち切りや、仕入
先からの取引解消に結びつく恐れがある。とりわけ建設業の場合、経営状態が
悪いと公共工事への入札資格などを失う。いわば生き残りをかけての行動だと
いえる。

一方、上場企業では、株価の維持が目的になりやすい。投資家など外部から責
任を厳しく追及されることを嫌がって、不正会計を行う。また組織が巨大化す
ると、ある部門や支店が社内での成績維持のため不正会計を行うケースもあ
る。」

この認識は正しいですね。

「不正会計を外部から見抜くことはできないのだろうか。発覚した事例を取材
すると、その大半は企業自らが取引金融機関に「告白」したものだとわかる。」

残念ながら、多くはこのような流れになっていることは事実ですね。ただ、監
査人が見つけ、修正に至っているために表に出てこないものも相当数あるはず
です。監査法人が果たしている役割も大きいものであることを主張したいと思
います。

「我々の取材のなかでは、「粉飾アレンジャー」と呼ばれる粉飾のプロが存在
することもわかっている。」

まあ、確かにいるんでしょうね。安易に乗っかってしまう経営者も多いことも
事実です。前にも書きましたが、「粉飾」に対する罪の意識が低いんですよ。

「不正会計を外から止めることはできない。」「不正会計を止めることができ
るのは、経営者の自制心しかない。」

そうなのかもしれません。残念ながら。しかしながら、それでは一定の粉飾の
存在を前提とした社会ということになり、不測の損害を被る投資者が出てきて
しまうことになりかねません。

特に問題なのは、ここでも指摘されているように、銀行や税務当局などは必ず
しも粉飾を絶対悪とは決めつけられないでいるということです。

「銀行にとっても」「不正をただした結果、企業が倒産してしまうのであれ
ば、会計が操作されていても企業が存続するほうが利益に貢献するともいえ
る。」

「税務署は」「「赤字を黒字」にする場合には、税収が増えることになるの
で、調査を行うインセンティブがない。」

のです。これ自体がやはり歪んでいるのではないでしょうか。会計はあくま
会計基準に従って処理を行い、そのうえで必要な措置を適時適切に講じな
いから、ゾンビ企業を徒らに延命させることにつながっている面もあるよう
に思います。

公認会計士又は監査法人による監査により強い権限を持たせ、監査対象もよ
り広い範囲に広げるべきだと私は思います。

===================================
4.[NEWS]東芝、監査法人の交代制
===================================
東芝が監査法人の交代制を検討しているという記事です。
http://mainichi.jp/select/news/20150827k0000m020155000c.html

「東芝の監査は、大手監査法人の新日本監査法人が1951年から担当(全身の公
会計士事務所時代も含む)している。」

記事にもありますが、現在日本では

「大手監査法人公認会計士は5年で担当企業を代わらなければならないが、
同じ監査法人が監査を継続できる期限は定めていない。」
という状況です。

一方、

「金融庁などによると、欧州各国は、上場する大企業や金融機関に対する監査
法人の交代制を来年から導入する。監査法人が連続で担当できる期限を原則
10年とし、期限後の4年間は同じ企業の担当を禁じる。2008年のリーマ
ン・ショックで「金融機関などの経営に対する監督が甘かったのではないか」
との批判が出たことを受けた措置だ。」

とされています。これ自体はいいことなのかもしれませんね。ただ、替えると
なると監査を受ける側も大変ですよ~。ビジネスモデル会計処理の特性、内
部統制等、すべて一から監査人に伝えなおさなければなりません。国全体の制
度として導入するかどうかは更に議論が必要かと思いますが、一企業が自主的
に導入するのはいいかもしれません。

===================================
5.[税務]未登録国外事業者からの電気通信利用役務は申告対象から除外
===================================

週刊税務通信No.3373は、10月以後に未登録国外事業者から消費者向け電気
通信利用役務の提供を受けた場合の申告書の記載方法についてふれています。

消費税申告書の記載上は、

基本的には、
「不課税取引と同様に、課税仕入れに係る支払対価の額から除外することで対
 応する」ことになります。

ただ、結果が一致すればいいようで、個別対応方式採用している場合には、

課税仕入れに係る支払対価の額からは、これを除外せず、非課税売上対応に
 用途区分する」ことでもいいようです。

ご確認ください。

なお、登録事業者はこちらで確認できます。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/cross/touroku.pdf


===================================
6.[編集後記]
===================================
「必要経費」とは?
要は、’収入を獲得するために要した金額’です。「仕事と無関係のマイカー
の燃料費や携帯電話の使用料のほか、同僚との飲み食い」は「必要経費」には
なりません。
郵便外交員500人がこれらの経費を必要経費として申告し、事業所得を圧縮し
たとして名古屋国税局から総額約17億円(!)の申告漏れを指摘されています。

http://www.asahi.com/articles/ASH8S5FGQH8SOIPE013.html

なんか領収書とっておけば必要経費になるという考えを持っている方が少なか
らず存在するように思いますが、だめですからね。基本的に。
そうはいっても、個人事業主は経済活動とともに消費活動も行っているわけで、
この区分は必ずしも容易ではありません。このあたりについて、所得税法では、
「家事費」と「家事関連費」にわけて考えています。「家事費」はいわゆる生
活費等ですね。これに対して「家事関連費」は必要経費の要素と家事費の要素
が混在しているものをいい、「家事費」は必要経費にはなりませんが、「家事
関連費」は以下のものにかぎり必要経費になるとしています。

(1)家事関連費の主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得
  生ずべき業務上必要であり、かつ、必要な部分を明らかに区分できる場合
・・・その明らかに区分できる部分の金額
(2)青色申告者の場合・・・取引の記録等に基づいて不動産所得、事業所得
は山林所得を生ずべき業務の遂行上必要であったことが明らかにされる部
分の金額

これに該当する部分だとして合理的に算出されていればいいんですけどね。


公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。

トップページ
http://kaishaho-kansa.com/
個人会計士による会社法監査
http://kaishaho-kansa.com/audit/personal/

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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