2015年11月26日号 (no. 903)
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本日のテーマ【給与振込の手数料を本人負担にする屁理屈。】
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■「全額払い」なんだから、1円も負担しないゾ。
給与を受け取る方法は主に2つあり、1つは手渡し、もう1つは金融機関への振り込みです。
私の経験では、こじんまりしたお店や会社だと手渡しする傾向があり、規模が大きくなると振り込みになります。
手渡しだと受け取ったときのボリューム感が嬉しいのですが、振り込みで支払ってもらったほうが安全で便利ですので、今では振り込みの方が好みです。
振り込みを利用すると手数料がかかりますが、この手数料を会社が負担するのか、それとも社員本人が負担するのか。この点について、時折話題になります。
給与は控除されず全額キチンと支払われるものであると、
労働基準法24条(以下、24条)には書かれています。
24条
『
賃金は、通貨で、直接
労働者に、その全額を支払わなければならない。』
法律に全額と書かれているのだから、振込手数料を給与から引くのはダメだと言いたいところです。
手数料を会社負担にする理屈としては、全額払いなんだからと文字通りに解釈し、振込手数料は会社が負担するべきと言えます。
でも、何だか腑に落ちない感じもあります。
手数料を本人負担にする理屈をつけられないものか。全額と条文には書かれているが、それは振込手数料であっても侵せないものかどうか。
book728(給与振込みの手数料は自己負担? それとも会社負担?)
http://www.growthwk.com/article/15088918.html
過去に給与振込の手数料について書いたことがありますが、スポーツイベントの運営を代行する会社で給与口座を指定するとき、選択する銀行によって手数料が違っていました。確か、みずほ銀行を選ぶと手数料は無しで、それ以外を選ぶと210円とか315円の手数料が必要でしたね(
消費税は5%でした)。
学生の頃のことですから、「まぁ、手数料はかかるよね」と思い、納得していました。
僅か数百円の手数料について、ムキになって考えるほどではないですが、少し頭の体操をしてみましょう。
■会社が手数料を全額負担するのが賢明。
社員負担にする理屈としては、いくつかありますが、その1つとして、振り込みの便益を受けているのだから、その
費用を負担するべきというものがあります。
振り込みによる便益を受けるのは会社ですが、会社だけでなく振り込みを受けた社員本人にも便益は及んでいるのだから、その便益に対する対価を支払うのは当然だ。給与を受け取る手間、持ち運ぶ際の危険を回避できるのだから、社員本人は振り込みによって便益を受けているので、その対価として手数料を負担するわけです。
他には、実際に要した
費用を請求しているだけであって、全額払いには反しないという主張もあります。例えば、飲食店では食事が提供されるところがありますが、賄いだからといって必ずしも無料ではなく、店によっては1回あたり300円というように自己負担があります。
学生の頃に、イタリアンチェーンで働いていたとき、そこで食事を取ると、1回あたり300円の自己負担がありました。パスタ1つで1,100円、1,300円という単価のお店でしたから、それを300円で食べれるとなると格安です。
食事代は給与から控除されていましたが、全額払いという理屈を通すと、これも24条違反だと言えてしまいます。
労使協定などがあると控除は可能なのですが、その店では
労使協定があるとは知らされていなかったし、
雇用契約書もありませんでした。
採用時に、「賄いは1回300円」とサクッと伝えられた程度です。
食事が1回300円。それを給与から控除。
労使協定などは無し。この場合は24条違反なのかどうか。この判断は微妙です。
お店で食べると1,300円のパスタを300円で食べれたとすれば、会社は
材料費を請求しているだけと解釈できます。もちろん、厳密に
材料費が300円だったかどうかは分かりませんが、原価が30%だとすると、390円(1,300円の30%)ですから、300円という負担は
材料費として妥当なところです。
給与から
費用を控除しても、「都度払いや後払いだと手間だから、一括で給与から食事代を支払う方式にしている」と言われれば、社員本人にはむしろ好都合です。
話を戻して、給与の振り込みも、社員本人が振込みによる利益を得ているので、その実費を負担するのは理屈としてはアリです。あくまで理屈ですが。
他には、手渡しと振り込みを選べるようにしていれば、手数料負担を求めてもいいという考えもありますね。手渡しと振り込みを選べるようにして、手渡しを選択すると手数料が発生しない。会社は手数料がかからない選択肢を用意しているのだから、振り込みを選んだ場合に手数料を社員側が負担するのは許される。
似たようなものとして、会社が取引している銀行を指定すれば無料に。それ以外ならば300円負担というものも考えられます。対銀行で
法人取引をしていると、相手銀行には融資などで利益が流れているので、無料サービスとして給与振込依頼を受け付ける場合があるでしょうね。
この場合も、会社は手数料を無料にできる選択肢を用意しており、社員側で手数料負担を回避できる余地があるので、手数料を徴収するのは許される。
手数料を負担しない選択肢があるにもかかわらず、あえて振り込みを選んでいるのだから、その
費用を負担するのは妥当だ、というわけです。
ここまで色々と書き連ねてきましたけれども、わずか数百円程度のことで、ゴタゴタと時間をかけてモメるぐらいならば、会社で手数料を全額負担するのが賢明です。24条には「全額」と明記されているので、会社が理屈をこねて振り込み手数料を社員負担にするのは困難です。
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メールマガジン【本では読めない
労務管理の"ミソ"】のご紹介
内容の一例・・・
『定額
残業代で
残業代は減らせるのか』
『15分未満の
勤務時間は切り捨て?』
『4週4日以外の
変形休日制度もある』
『長時間残業を減らす方法は2つある』
『管理職は週休3日が理想』
『日曜日=
法定休日と思い込んではいけない』
『
半日有給休暇と
半日欠勤の組み合わせはダメ?』
『寸志は
賃金or贈り物?』
『ケータイは仕事道具か遊び道具か』
など、その他盛りだくさんのテーマでお送りしています。
本に書いていそうなんだけど、書いていない。
そんな内容が満載。
【本では読めない
労務管理の"ミソ"】
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※配信サンプルもあります。
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カードを使わないタイムカード Clockperiod のご紹介です。
タイムカードを使うときに負担なのは、専用の打刻機を用意しなければいけないし、
新しい紙のカードを毎月作らないといけない。さらに、カードを見ながら、電卓や
表計算ソフトで
勤務時間を集計しないといけない。
しかも、給与の締め日から支給日までの短期間で集計作業をしないといけないので、
作業する人にとっては
勤務時間の集計は悩みのタネですよね。
そんな悩みをどうやって解決するか。
そこで、電子タイムカードの Clockperiod が登場です。
Clockperiod は、紙のカードと打刻機を使わない電子タイムカードですから、
打刻機を用意しなくても
勤務時間を記録できますし、給与計算のためにカードを
集める必要はありません。さらに、毎月、新しい紙のカードに社員全員の名前を
書いてカードストッカーに入れることもなくなります。
始業や終業、
時間外勤務や
休日勤務の出勤時間を自動的に集計できれば勤怠集計
の作業は随分とラクになるはず。
Clockperiodは、出退勤の時刻をタイムカード無しで記録できます。タイムカード
や
出勤簿で
勤務時間を管理している企業にオススメです。
さらに、タイムカードのコピーをメールで送信して社員ごとに保存することができ
ますので、個人別に毎月の勤務記録を取り置くことができます。
また、勤務記録の改ざんや不正な打刻を把握できるログ機能もあります。
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残業で悩んでいませんか?
「長時間の残業が続いている」
「
残業代の支払いが多い」
「残業が減らない」
こういう悩み、よくありますよね。
ニュースでも未払い
残業代の話題がチラホラと出てくるぐらい、残業に対する関心は高くなっています。
法律では、1日に8時間まで、1週間では40時間までしか仕事ができません。その水準を超えてしまうと、残業となり、
割増賃金が必要になります。
とはいえ、1日で8時間と固定されていると不便だと感じませんか? 1週間で40時間と固定されていると不便だと感じませんか?
毎日8時間の時間制限があると、柔軟に
勤務時間を配分できませんよね。
例えば、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。
仕事に合わせて、ある日は
勤務時間を短く、ある日は
勤務時間を長くできれば、便利ですよね。
でも、実は、「月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務なので、残業は無し」こんなことができる仕組みがあるんです。
「えっ!? そんな仕組みがあるの?」と思った方は、ぜひ『残業管理のアメと罠』を読んでみてください。
『残業管理のアメと罠』
http://www.growthwk.com/entry/2012/05/22/162343?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm20160307HT
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24条
『賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。』
法律に全額と書かれているのだから、振込手数料を給与から引くのはダメだと言いたいところです。
手数料を会社負担にする理屈としては、全額払いなんだからと文字通りに解釈し、振込手数料は会社が負担するべきと言えます。
でも、何だか腑に落ちない感じもあります。
手数料を本人負担にする理屈をつけられないものか。全額と条文には書かれているが、それは振込手数料であっても侵せないものかどうか。
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過去に給与振込の手数料について書いたことがありますが、スポーツイベントの運営を代行する会社で給与口座を指定するとき、選択する銀行によって手数料が違っていました。確か、みずほ銀行を選ぶと手数料は無しで、それ以外を選ぶと210円とか315円の手数料が必要でしたね(消費税は5%でした)。
学生の頃のことですから、「まぁ、手数料はかかるよね」と思い、納得していました。
僅か数百円の手数料について、ムキになって考えるほどではないですが、少し頭の体操をしてみましょう。
■会社が手数料を全額負担するのが賢明。
社員負担にする理屈としては、いくつかありますが、その1つとして、振り込みの便益を受けているのだから、その費用を負担するべきというものがあります。
振り込みによる便益を受けるのは会社ですが、会社だけでなく振り込みを受けた社員本人にも便益は及んでいるのだから、その便益に対する対価を支払うのは当然だ。給与を受け取る手間、持ち運ぶ際の危険を回避できるのだから、社員本人は振り込みによって便益を受けているので、その対価として手数料を負担するわけです。
他には、実際に要した費用を請求しているだけであって、全額払いには反しないという主張もあります。例えば、飲食店では食事が提供されるところがありますが、賄いだからといって必ずしも無料ではなく、店によっては1回あたり300円というように自己負担があります。
学生の頃に、イタリアンチェーンで働いていたとき、そこで食事を取ると、1回あたり300円の自己負担がありました。パスタ1つで1,100円、1,300円という単価のお店でしたから、それを300円で食べれるとなると格安です。
食事代は給与から控除されていましたが、全額払いという理屈を通すと、これも24条違反だと言えてしまいます。労使協定などがあると控除は可能なのですが、その店では労使協定があるとは知らされていなかったし、雇用契約書もありませんでした。採用時に、「賄いは1回300円」とサクッと伝えられた程度です。
食事が1回300円。それを給与から控除。労使協定などは無し。この場合は24条違反なのかどうか。この判断は微妙です。
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給与から費用を控除しても、「都度払いや後払いだと手間だから、一括で給与から食事代を支払う方式にしている」と言われれば、社員本人にはむしろ好都合です。
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