ある程度の歴史がある会社ほど厚生労働省提供のものや簡単な
就業規則を利用している傾向があるようです。
労働者の権利に重点を置いていることは大いに結構だけれど、これでは
労働基準法等労働法を写しただけのもので、
労働者が多様化している現在、会社の憲法が無防備状態です。
そこで、ひながた丸写しの
就業規則を使用する際に注意すべき点をいくつか取り上げてみます。
モデル
就業規則を利用する会社は、日が浅く少しでも
費用を抑えたいところから来ていると思われますが、それにはまず経営者自身が
就業規則の内容を良く知ることが重要です。
----------------------------------------------------------
モデル
就業規則で注意する点
其の一
まずは「適用範囲」、ほとんどのものに「パート社員等」には別規程を作成するとあります。
これは、パート社員がいて、かつ正社員とは違う扱いをする場合に必要なものであり、パートさんがいなかったり、いても社員と同じ扱いであれば必要の無いものです。
というのは、労働法改正に伴い諸規則を変更するときに作成したことを忘れ、変更洩れとなると、法令に沿っていないことになり
助成金の申請時などで後悔することになります。
その二
次に、
採用時の提出書類です。
マイナンバー
通知書を追加することはもちろんですが、「
健康診断書」「
身元保証書」を追加しておきましょう。雇入れ時の健診を省略し、本人の自覚を促すことになります。
其の三
「
試用期間」は3ヶ月間程度と定める場合が多いが、最初の14日以内の
解雇とそれを過ぎた場合の
解雇についてです。
最初の14日間は
解雇予告手当不要で
解雇できるとしています。14日間を超えれば普通に
解雇予告も必要だし、手当も必要となるのに、
試用期間内だからと
解雇予告は不要と考える向きがあります。また、
試用期間中の
解雇の規定があるが、
試用期間の満了をもって
退職とする規定もあった方が良いと考えます。
其の四
これは、
就業規則自体の問題ではなく
労働条件の明示義務についてですが、通常
契約書にせず「
労働条件通知書」として交付することが多い。
この場合、講習でもよく話すことだが、
労働条件通知書の欄外に本人確認欄を設けると良い。日付と署名押印をもらっておけば、一方的に見える「
労働条件通知書」も双方向的になります。
其の五
土日が
休日の会社で、
休日について規定する場合に、「
法定休日は日曜日とする」と
法定休日を特定している場合があります。モデル規則ではあまりないが、厚生労働省は勧めているようだ。
法定休日を規定することは構わないけれど、その場合には必ず振替規定が必要です。その規定がないと25%割増で済むところ、35%割増になってしまうことがあります。
其の六
昇給の規定は絶対的記載事項であるが、企業努力をしたにもかかわらず、やむを得ず
降給する場合がある。そのため、できれば
降給の可能性を記載するべきである。
就業規則に規定があったからといって、本人の同意がなければ
降給は難しいけれど、あえて規定することにします。この規定を後で追加すると
不利益変更となる場合があります。
其の七
「
定年は65歳とする」という規定になっている場合があるが、できれば「
定年は60歳とし、
定年後は希望者全員を1年ごとの
契約により
再雇用する」としておきたい。
定年再雇用では、最近の判決にもあるように、改正
労働契約法に基づき、期間の定めの有無により
賃金に差を付けず、同一労働同一
賃金を心掛けることが必要だ。それができなければ
労働条件を変えるべきです。60歳を過ぎると結構個人差が出るのです。
其の八
懲戒解雇の規定で、「正当な理由なく
無断欠勤が〇日以上に及び、出勤の督促に応じなかったとき」とあるが、時として
無断欠勤している者と連絡が全く取れず、消息不明や行方不明もある。
こんな場合は、「正当な理由なく
無断欠勤が〇日以上に及び、行方不明もしくは消息不明の場合は
退職したものとみなす」としておきたい。
其の九
次に「
退職金規程」ですが、最初から規定を設ける場合にはよく検討してからにしましょう。もしくは、あとから追加することです。なぜかと言えば、モデル規則のような制度の運用が可能かどうかはすぐには見極めることができません。
其の十
最後に、
定期健康診断に関する規定がある。
健康診断を本人が拒否した場合の規定が欲しい。
服務規律違反には該当するので
就業規則には何らかの制裁規定は必要です。
また、個人的に受診したいと申し出る者もいるので、その場合の
費用は原則として個人負担と規定しておきたい。
----------------------------------------------------------
以上、10項目に分けて企業設立時もしくは小規模事業所等が
就業規則を初めて作成するときに参考にする場合が多い「モデル
就業規則」に関して留意点を挙げてみました。
とりあえず監督署に出さなければというのは大変危険であり、順序が逆です。10人以上になって決まりだから作成しようという場合がほとんどだから「モデル規則」に会社名を入れてという事になってしまいます。
深く内容を検討せずに、
就業規則等を作成提出するのなら、むしろ届け出しない方が良いとさえ思います。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
免責条項】
記載内容については細心の注意を払っておりますが、記載の内容により
生じた損害につきましては責任を負いかねますのでご了承ください。
三木経営
労務管理事務所
http://mk-roumu.net/
群馬のあらかん
社労士
http://sr-blog.mk-roumu.net/
ある程度の歴史がある会社ほど厚生労働省提供のものや簡単な就業規則を利用している傾向があるようです。
労働者の権利に重点を置いていることは大いに結構だけれど、これでは労働基準法等労働法を写しただけのもので、労働者が多様化している現在、会社の憲法が無防備状態です。
そこで、ひながた丸写しの就業規則を使用する際に注意すべき点をいくつか取り上げてみます。
モデル就業規則を利用する会社は、日が浅く少しでも費用を抑えたいところから来ていると思われますが、それにはまず経営者自身が就業規則の内容を良く知ることが重要です。
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モデル就業規則で注意する点
其の一
まずは「適用範囲」、ほとんどのものに「パート社員等」には別規程を作成するとあります。
これは、パート社員がいて、かつ正社員とは違う扱いをする場合に必要なものであり、パートさんがいなかったり、いても社員と同じ扱いであれば必要の無いものです。
というのは、労働法改正に伴い諸規則を変更するときに作成したことを忘れ、変更洩れとなると、法令に沿っていないことになり助成金の申請時などで後悔することになります。
その二
次に、採用時の提出書類です。
マイナンバー通知書を追加することはもちろんですが、「健康診断書」「身元保証書」を追加しておきましょう。雇入れ時の健診を省略し、本人の自覚を促すことになります。
其の三
「試用期間」は3ヶ月間程度と定める場合が多いが、最初の14日以内の解雇とそれを過ぎた場合の解雇についてです。
最初の14日間は解雇予告手当不要で解雇できるとしています。14日間を超えれば普通に解雇予告も必要だし、手当も必要となるのに、試用期間内だからと解雇予告は不要と考える向きがあります。また、試用期間中の解雇の規定があるが、試用期間の満了をもって退職とする規定もあった方が良いと考えます。
其の四
これは、就業規則自体の問題ではなく労働条件の明示義務についてですが、通常契約書にせず「労働条件通知書」として交付することが多い。
この場合、講習でもよく話すことだが、労働条件通知書の欄外に本人確認欄を設けると良い。日付と署名押印をもらっておけば、一方的に見える「労働条件通知書」も双方向的になります。
其の五
土日が休日の会社で、休日について規定する場合に、「法定休日は日曜日とする」と法定休日を特定している場合があります。モデル規則ではあまりないが、厚生労働省は勧めているようだ。
法定休日を規定することは構わないけれど、その場合には必ず振替規定が必要です。その規定がないと25%割増で済むところ、35%割増になってしまうことがあります。
其の六
昇給の規定は絶対的記載事項であるが、企業努力をしたにもかかわらず、やむを得ず降給する場合がある。そのため、できれば降給の可能性を記載するべきである。
就業規則に規定があったからといって、本人の同意がなければ降給は難しいけれど、あえて規定することにします。この規定を後で追加すると不利益変更となる場合があります。
其の七
「定年は65歳とする」という規定になっている場合があるが、できれば「定年は60歳とし、定年後は希望者全員を1年ごとの契約により再雇用する」としておきたい。
定年再雇用では、最近の判決にもあるように、改正労働契約法に基づき、期間の定めの有無により賃金に差を付けず、同一労働同一賃金を心掛けることが必要だ。それができなければ労働条件を変えるべきです。60歳を過ぎると結構個人差が出るのです。
其の八
懲戒解雇の規定で、「正当な理由なく無断欠勤が〇日以上に及び、出勤の督促に応じなかったとき」とあるが、時として無断欠勤している者と連絡が全く取れず、消息不明や行方不明もある。
こんな場合は、「正当な理由なく無断欠勤が〇日以上に及び、行方不明もしくは消息不明の場合は退職したものとみなす」としておきたい。
其の九
次に「退職金規程」ですが、最初から規定を設ける場合にはよく検討してからにしましょう。もしくは、あとから追加することです。なぜかと言えば、モデル規則のような制度の運用が可能かどうかはすぐには見極めることができません。
其の十
最後に、定期健康診断に関する規定がある。健康診断を本人が拒否した場合の規定が欲しい。服務規律違反には該当するので就業規則には何らかの制裁規定は必要です。
また、個人的に受診したいと申し出る者もいるので、その場合の費用は原則として個人負担と規定しておきたい。
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以上、10項目に分けて企業設立時もしくは小規模事業所等が就業規則を初めて作成するときに参考にする場合が多い「モデル就業規則」に関して留意点を挙げてみました。
とりあえず監督署に出さなければというのは大変危険であり、順序が逆です。10人以上になって決まりだから作成しようという場合がほとんどだから「モデル規則」に会社名を入れてという事になってしまいます。
深く内容を検討せずに、就業規則等を作成提出するのなら、むしろ届け出しない方が良いとさえ思います。
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免責条項】
記載内容については細心の注意を払っておりますが、記載の内容により
生じた損害につきましては責任を負いかねますのでご了承ください。
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