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タックスヘイブン課税強化

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.351-2016.08.31
      
    ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。

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ありましたら、こちらにどうぞ。紺野に直接届きます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[最新J-GAAP]吸収合併時の株主資本
2.[NEWS]EU、米アップルに追徴課税か
3.[NEWS]税逃れ指南に罰金 銀行・会計士ら対象
4.[NEWS]租税回避策、税理士に開示義務
5.[NEWS]銀行提案の節税策、国税がNO!
6.[税務]タックスヘイブン課税強化
7.[編集後記]

===================================
1.[最新J-GAAP]吸収合併時の株主資本
===================================

組織再編における株主資本等の処理は難しいものです。

会社計算規則をざつとおさらいします。

*********************************************************************
第35条
第三十五条  吸収型再編対価の全部又は一部が吸収合併存続会社の株式又
は持分である場合には、吸収合併存続会社において変動する株主資本等の総
額(次項において「株主資本等変動額」という。)は、次の各号に掲げる場
合の区分に応じ、当該各号に定める方法に従い定まる額とする。
(以下一~三号省略)

2 前項の場合には、吸収合併存続会社の資本金及び資本剰余金の増加額は、
株主資本等変動額の範囲内で、吸収合併存続会社が吸収合併契約の定めに従
いそれぞれ定めた額とし、利益剰余金の額は変動しないものとする。ただし、
(以下省略)。
*********************************************************************
とされており、基本的には、現物出資の発想で構築されており、利益剰余金
は変動しません。

ただし、会社計算規則には以下の条文があります。

*********************************************************************
第35条  前条の規定にかかわらず、吸収型再編対価の全部が吸収合併存続
会社の株式又は持分である場合であって、「吸収合併消滅会社における吸収
合併の直前の株主資本等を引き継ぐものとして計算することが適切であると
き」には、吸収合併の直前の吸収合併消滅会社の資本金、資本剰余金及び利
剰余金の額をそれぞれ当該吸収合併存続会社の資本金、資本剰余金及び利
剰余金の変動額とすることができる。(以下省略)。

2 吸収型再編対価が存しない場合であって、吸収合併消滅会社における吸
合併の直前の株主資本等を引き継ぐものとして計算することが適切である
ときには、吸収合併の直前の吸収合併消滅会社の資本金及び資本剰余金の合
計額を当該吸収合併存続会社のその他資本剰余金の変動額とし、吸収合併
直前の利益剰余金の額を当該吸収合併存続会社のその他利益剰余金の変動額
とすることができる。(以下省略)。
*********************************************************************

ここの「吸収合併消滅会社における吸収合併の直前の株主資本等を引き継ぐ
ものとして計算することが適切であるとき」ってどんな場合でしょうか。条
文にこのような表現がなされていたら、じゃあ、どんなときが適切なのか、
と色々探し回ってしまいます。

これ、清文社の「会社法関係法務省令会社法施行規則/会社計算規則/電子
公告規則逐条解説によれば、

Quote
「「吸収合併消滅会社における吸収合併の直前の株主資本等を引き継ぐもの
として計算することが適切であるとき」という要件は、「取得」にあたる場
合を除く趣旨(つまり共通支配下の取引共同支配企業の形成、逆取得の場
合に本項が適用可能)。存続会社において支配取得に当たると、同社の株主
本等変動額が時価ベースで計算されるので、消滅会社の株主資本等の額をそ
のまま引き継ぐことにならず、本項が適用できないことになる。」
End quote

とされています。まあ、企業結合会計基準に従えばよいという話ではあるの
ですが、会社法の規定ぶりも確認しておきましょうということです。ご参考
ください。

===================================
2.[NEWS]EU、米アップルに追徴課税か
===================================
相当な追徴課税になりそうです。

「欧州連合(EU)の行政を担う欧州委員会が30日にも、アイルランドの米
アップルへの法人税の優遇措置が違法な補助金にあたるとして、アイルランド
政府に対し、同社に数十億ユーロ(数千億円)を追徴課税するよう命じる見通
しが強まった。英フィナンシャル・タイムズなどが報じた。」

http://www.asahi.com/articles/ASJ8Z2R4JJ8ZUHBI00K.html

例のダブルアイリッシュ・ダッチ・サンドイッチですね。EUがアイルランドに
追徴課税するよう命じるということです。

この件に関して、BBCの記事にたどり着きましたのでリンクつけておきます。
http://www.bbc.com/news/business-37216176

これによると、欧州委員会は1991年と2007年にAppleがアイルランド国税
局と税金を最少額にする取り決めを結んだと主張。EUでは国税当局が特定の企
業に対して税金を優遇する措置を行うことは認められておらず、欧州委員会
Appleとアイルランド国税当局が結んだ取り決めは規定違反だという判断を
下す予定とのことです。


一方で、アメリカは、このアップルの裁決にあたり、事前に批判しているよう
です。

http://www.bbc.com/news/business-37179785

アメリカ財務副次官のロバート・スタックは、欧州委員会による追徴課税は、
アメリカにとっては、外国税額の減収を意味するかもしれない。と述べていま
す。

これに対し、アップルはアイルランドから税務上の特別扱いを受けてはいない
と述べています。また、アイルランドも同様のことを述べています。

全世界的な流れです。私たち税理士も覚悟が必要になりそうです。

===================================
3.[NEWS]税逃れ指南に罰金 銀行・会計士ら対象
===================================

これも前の記事と同じ流れです。イギリスの話ですけど。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160822-00000012-mai-bus_all

「英政府は、課税逃れの手法を企業や富裕層に助言した銀行や会計士、弁護士
らに罰則を科す方針を明らかにした。」

「裁判所などで企業や富裕層の税務処理が違法と判断された場合に、その処理
方法を提案した会計士らにも罰金を科す。従来は明確な違法行為が無い限り助
言しただけで会計士らが罰則を受けることは無く、市民団体などが規制を求め
ていた。」

「税務処理が違法と判断された」場合というのがくせ者です。従来は合法、あ
るいは特に問題とされていなかったものにつき、急に違法!とされるケースが
少しずつでてきているのかもしれません。

「また、税務当局が脱税を摘発する際の要件を大幅に緩和し、税務処理が合法
かどうかの証明責任を、企業側に負わせる。」

これくらい厳しくなってくれたほうがいいかもしれませんが、私たち会計プロ
フェッションの活躍の場が奪われることにつながりやしないか、心配です。

会計士や税理士の団体は「納税者が、法に基づいた誠実な助言まで受けられ
なくなる恐れがある」として反発しており、実施までには曲折もありそうだ。」
とのことです。

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4.[NEWS]租税回避策、税理士に開示義務
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こちらは日本の話です。

有料記事
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS22H50_S6A820C1MM8000/

「財務省と国税庁は企業や富裕層に租税回避策を指南する税理士に仕組みの開
示を義務付ける方針だ。租税回避地(タックスヘイブン)に資産を移すなど悪
質な税逃れを把握する狙い。成功報酬を受け取るなどした税理士に具体策を開
示させ、拒んだ場合の罰則も設ける。」

すでに各国で導入済みの制度のようですが、本当に会計や税務に関する締め付
けがすごいと感じますね。やはり格差社会。グローバリズムの歪みが出ている
のでしょうか。

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5.[NEWS]銀行提案の節税策、国税がNO!
===================================
ちょっとこの記事だけですとよくわからないのですが、
http://www.sankei.com/west/news/160829/wst1608290009-n1.html

「自社株の相続対策に悩む中小企業の経営者が、取引銀行から提案された別会
社へ株を売却するなどの「節税策」を実行したところ、税務署に認められずに
課税され、国を相手取った訴訟に発展するケースが増えている。」とのことで
す。

「専門家は、こうした国の判断を認める判例が出てくれば、節税策を提案する
銀行や税理士の責任も問われると指摘する。」

税理士の業務は、節税提案こそ醍醐味、といえると思いますが、どうやらより
慎重な提案をしなければならなくなりそうです。

持ち株会社スキーム自体が否定されているようなニュアンスですが、より慎重
に検討したいと思います。

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6.[税務]タックスヘイブン課税強化
===================================
2017年度税制改正にタックスヘイブン課税強化策が盛り込まれそうです。

http://mainichi.jp/articles/20160823/k00/00m/020/084000c

「現地での事業実態がない場合に、配当などの所得を日本の親会社の所得と合
算して日本の法人税率を適用する仕組みの対象範囲を広げる」

とのことです。

タックスヘイブン税制はご承知のとおり、トリガー税率といって、実効税率が
20%未満の国(アイルランドやシンガポールなど)・地域が合算対象ですが、
「日本の実効税率(29.97%)よりも低い国・地域ならすべて対象にするよう見直
す方針」とのことです。

これにより、「オランダや英国、韓国などが加わることになり」そうです。

「経済界との本格的な調整はこれから始まるが、これまで税率の低い国を戦略
的に活用してきた企業にとっては子会社の存廃を含めて判断する必要性が生じ
るほか、子会社での実態があるかどうかの線引きや精査の負担像を懸念する企
業もある。企業の対応には時間が必要とみられることから、政府は経過措置
数年間設けることも検討する。」としています。

内容が明確ではありませんが、今のところ、ざっくりいうと、適用除外でも資
産性所得は合算します。トリガー税率ははずします。ということのようです。
今後の展開、要チェックです。

===================================
7.[編集後記]
===================================
今回の記事を書いていて思いましたが、本当に格差が深刻になりつつあるので
はないかと思いました。気になってジニ係数を調べてみました。ジニ係数は、
0~1の範囲で表され、0に近いほど格差が小さく平等で、1に近いほど格差が大
きく不平等な状態であることになります。厚生労働省の所得再分配調査による
と、税や社会保障により、このジニ係数が改善されていることが確認されてい
ます。平成23年の当初所得のジニ係数は0.5536であったのが、所得再分配後
のジニ係数は0.3791です。この当初所得のジニ係数は年々上昇しているよう
ですが、所得再分配後のジニ係数は年々低下しているようなのです。税や社会
保障が格差を改善しているというわけです。平成11年には、改善度は19.2%だ
ったのが平成23年には31.5%になっているということで、所得再分配はうまく
いっているということのようなのです。どうも、ジニ係数だけでは貧困や格差
の正体がみえてこないような気がします。ただ、当初所得のジニ係数は増加し
ています。ここに不平等感があるのかもしれません。

公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。

トップページ
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個人会計士による会社法監査
http://kaishaho-kansa.com/audit/personal/

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士税理士・公認内部監査人(CIA)inactive 紺野良一
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