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自民党税制改正大綱

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.360-2016.12.22
      
    ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。


◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]平成29年度税制改正大綱
2.[NEWS]粉飾決算で主幹事証券に賠償命令
3.[監査]社会福祉法人への公認会計士監査の導入に当たって
4.[最新J-GAAP]リスク分担型企業年金会計処理等に関する実務上の取扱い
5.[編集後記]

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1.[税務]平成29年度税制改正大綱
===================================
今回は遅れてしまって申し訳ございません。
税制改正大綱案がもう出ていることはご存知かと思います。

自民党
https://www.jimin.jp/news/policy/133810.html

概要把握はこちらのサイトで
https://www3.nhk.or.jp/news/special/zeisei2017/

こちらの内容やその他の資料から法人経理に係る皆様が把握しておくべき事項
をかいつまんでみたいと思いますが、

配偶者控除の見直し
38万円の控除を受けられる配偶者の給与収入の上限が103万円以下から150
万円以下に引き上げられます。150万円を超えると、控除額が段階的に減っ
ていき、201万円を超えると控除額がゼロになります。

その代り、
夫の所得が1120万円を超えると控除額が26万円に、1170万円を超えると13万
円に減ります。そして、1220万円を超えると控除がなくなります。

減税になる人が300万円、増税になる人が100万人とのことです。

注意が必要なのは、給与所得控除(最低65万円)と基礎控除(一律38万円)には
改正はないので、配偶者本人は年収103万円以上稼ぐと所得税住民税の負
担が生じることに注意が必要です。

===================================
○大企業並み中小法人に対する中小企業特例の適用除外
平成31年4月1日以後に開始する事業年度から、法人税関係の中小企業向けの
各租税特別措置について、平均所得金額(前3事業年度の所得金額の平均)が
「年15億円」を超える事業年度については適用が停止されます。

過去十年間の資本金1億円超の大企業の平均課税所得が15億円ということのよ
うですね。

これで、所得800万円以下に15%の税率の適用する、などの特例は適用できな
くなります。

ただし、法人税の軽減税率19%、貸倒引当金損金算入制度、欠損金の繰越
控除(100%損金算入可)、欠損金の繰戻し還付、留保金課税については改正の
影響はないようです。

○研究開発税制の見直し
大企業ではこれまで費用の最大10%を法人税額から差し引いていましたが、
平成29年4月1日以後開始事業年度から、これを最大14%に。中小企業では
いまの12%を最大17%に引き上げます。増加型が廃止されます。
また、これまでは主に製造業が減税の対象でしたが、小型の無人機、ドローン
やAI=人工知能などを利用して新たなサービスを開発しようという企業の試
験研究費も新たに減税の対象とします。

○所得拡大促進税制の見直し
平成29年4月1日以後開始事業年度から、

中小企業者等では、税額控除額としては、
・平均給与が前年度より2%以上増加していれば、24年度からの増加額×10%に
前年度からの増加額×12%を上乗せ
・平均給与が前年度より2%未満増加していれば、24年度からの増加額×10%まで
となります。

大企業では、
現行の平均給与が前年度を超えていることという要件が厳しくなり、平均給与
が前年度より2%以上増加しているという要件になります。税額控除額としては、

・平均給与が前年度より2%以上増加していれば、24年度からの増加額×10%
に前年度からの増加額×2%を上乗せ
・平均給与が前年度より2%未満増加していれば、適用はありません。

となります。

○中小企業向け投資促進税制及び中小企業経営強化税制
これらは別途まとめたいと思います。

○外国子会社合算税制の総合的見直し
外国関係会社の平成30年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
・租税負担率30%未満で20%以上のペーパーカンパニー等についても合算課税の
対象となります。
・一方で、租税負担率が20%未満であっても、実態のある事業からの所得で
あれば合算対象外となります。

主だったところは上記ですが、これから詳細にお伝えしていきますね。

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2.[NEWS]粉飾決算で主幹事証券に賠償命令
===================================
ありましたね。「エフオーアイ」。2009年3月期に118億円の売上があったと
していたのですが、実際は2億円だったという、伝説的な会社です。

こちらにつき、東京地裁は、主幹事証券だったみずほ証券にも約3000億円の
賠償を命じました。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG20HB5_Q6A221C1CR8000/

「谷口裁判長は、エフオーアイの旧経営陣に責任があったとしたうえで、同社
の粉飾を示唆する外部からの投書が2度にわたってみずほ証券に届いていたと
指摘。「売り上げの実態を確認するため追加調査をする義務があったのに不十
分で、主幹事としての注意を尽くしていたとは認めがたい」として、みずほ証
券の賠償責任を認めた。」

こんな投書が届いていたんですね。

粉飾なんて一時的な麻薬みたいなものです。誰も幸せにしません。ダメ。絶対!

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3.[監査]社会福祉法人への公認会計士監査の導入に当たって
===================================
日本公認会計士協会は、「社会福祉法人への公認会計士監査の導入に当たっ
て」を平成28年12月16日に公表しています。

http://www.hp.jicpa.or.jp/ippan/jicpa_pr/news/20161216dbz.html

概要は以下のとおりです。

(1)社会からの要請:公認会計士監査を導入した社会からの要請は、監査を通
じて計算書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することが第一に求
められていますが、結果として社会福祉法人のガバナンスの強化、透明性の
向上といった経営力の強化に資することが期待されています。
(2)監査対象の段階的な拡大への対応:監査対象となる社会福祉法人は、段階
的な拡大が予定されています。平成29年4月から開始される収益 30 億円超、
負債60億円超の社会福祉法人に対する監査の実施状況が、社会からの期待に
応えることができるかが、社会的にも注目されています。必要な監査時間や
報酬を確保し深度ある監査を行うことで社会の期待に応えることが重要です。
(3)会員の支援:研修や情報提供、実務指針の提供等を通じて、会員の業務が
社会の要請に応えることができるよう支援していきます。
(4)自主規制機能の発揮:監査業務が社会の要請に応えるために十分な内容か
どうか、事後的なモニタリングに限らず、必要に応じて機動的に自主規制
 活動の中で確認していくための対応を図ります。
(5)その他の業務への対応:今般の社会福祉法人制度改革では、法定監査以外
 にも我々公認会計士に期待されている業務があります。業務の実施に当たっ
 ては、社会の期待に応え得るよう、公正かつ誠実に実施ください。

公認会計士の活躍のフィールドが広まるのはいいことだと考えています。公
会計士はもっと様々な分野で活躍できると信じています。

===================================
4.[最新J-GAAP]リスク分担型企業年金会計処理等に関する実務上の取扱い
===================================
日本公認会計士協会は、平成28年12月16日、「リスク分担型企業年金会計
処理等に関する実務上の取扱い」を公表しています。
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/docs/taikyu2016/

リスク分担型企業年金は、事業主がリスクへの対応分も含む固定の掛金を拠出
することにより、一定のリスクを負い、財政バランスが崩れた場合には給付の
調整を行うことで加入者も一定のリスクを負い、リスクを分担する仕組みです。

以下、会計処理を軽くまとめてみたいと思います。

(会計上の退職給付制度の分類)
リスク分担型企業年金のうち、一定のものについては、退職給付会計基準第
4項に定める確定「拠出」制度に分類します。ただし、直近の分類に影響を及
ぼす事象が新たに生じた場合、分類を再判定します。

そして、これ以外のリスク分担型企業年金は、退職給付会計基準第5項に定め
る確定「給付」制度に分類します。

この一定のものとは、
企業の拠出義務が、給付に充当する各期の掛金として、
・標準掛金相当額(給付に要する費用に充てるため、事業主が将来にわたって
 平準的に拠出する掛金に相当する額)
・特別掛金相当額(年金財政計算における過去勤務債務の額に基づき計算され
 る掛金に相当する額)
・リスク対応掛金相当額(財政悪化リスク相当額に対応するために拠出する掛
 金に相当する額)

の拠出に限定され、企業が当該掛金相当額の他に拠出義務を実質的に追って
いないものをいいます。

(確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金会計処理)
規約に基づき予め定められた各期の掛金の金額を費用処理します。

(確定給付制度から確定拠出型のリスク分担型企業年金に移行する取扱い)
退職給付制度の終了」に該当
 ↓
(1)移行の時点で、
「移行した部分に係る退職給付債務

「その減少分相当額に係るリスク分担型企業年金に移行した資産の額」
との差額
を損益として認識します。

「移行した部分に係る退職給付債務
移行前の計算基礎に基づいて数理計算した退職給付債務と移行後の計算基礎
に基づいて数理計算した退職給付債務との差額として算定します。
→確定拠出型では0になるのではないでしょうか。

(2)移行した部分に係る未認識過去勤務費用及び未認識数理計算上の差異は、
損益として認識します。

「移行した部分に係る金額」
移行した時点における退職給付債務の比率その他合理的な方法により算定
る。

(3)(1)(2)の算定において、リスク分担型企業年金へ移行の時点で規約に定める
各期の掛金に特別掛金相当額が含まれる場合、当該特別掛金相当額の相当額
未払金等として計上します。

(4)これらは原則として、純額で特別損益とします。

平成29年1月1日以後の適用になります。

単に掛金を計上すればよいものなのかどうか、疑問が残りますが、そのように
決まったそうです。

===================================
5.[編集後記]
===================================
気力、体力が尽きてきたのでしょうか。忙しい12月は発行回数が少なくなって
しまいました。紺野良一45歳。今一度気合いを入れなおします!
最近は、会計監査の仕事のお話を頂戴することがちょこちょこと出てきました。
やはり公認会計士ですので、会計監査にはある程度かかわっていきたいと思っ
ています。普段はご相談に応じる形で仕事をしておりまして、監査側ではなく、
被監査側のマインドを理解しつつ対応させていただいているつもりなので、監
査側に立つ場合にも、なるべく、被監査側のマインドを理解したすすめ方を心
掛けています。具体的には、監査上の問題点が出てきた場合には、丁寧に説明
することとか、期末になって突然結論がひっくり返るようなことのないよう、
常に期末の監査を想定して問題点は早めに議論を始めるとか、ですね。どんな
形でも、なるべく社会のお役に立ちたいと思っていますので、何かありました
らお気軽にご連絡ください!

なお、税理士法人エキスパーツリンクのスタッフ吉田君が遂に税理士試験5科
目制覇し、晴れて税理士となります!これからも精進してくれると思います
ので引き続きご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます!


トップページ
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個人会計士による会社法監査
http://kaishaho-kansa.com/audit/personal/

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士税理士・公認内部監査人(CIA)inactive 紺野良一
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