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雇用保険は怖くないが、社会保険を遡って加入するのは怖い







2016年12月28日号 (no. 944)
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http://www.soumunomori.com/profile/uid-20903/





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---3分労働ぷちコラム---
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本日のテーマ【雇用保険を遡って加入しても怖くないが、社会保険を遡って加入するのは怖い】
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雇用保険料を給与天引きしていれば、後からでも遡って雇用保険に加入できる。



雇用保険に加入する条件を満たしていたのに加入していなかった。社会保険に加入する条件を満たしていたのに加入していなかった。

マメにチェックして手続きをしていれば加入漏れは起こりにくいものですが、自動で加入する保険ではないため、中には加入できていなかったなんてことが起こりえます。


もし、雇用保険に加入する条件を満たしていたものの、加入手続きをせず、そのまま例えば1年経過してしまったらどうなるか。

昔の話ですが、平成22年4月から雇用保険への加入基準が緩和されたため、入社時には雇用保険には加入していなかったものの、途中から加入基準を満たし、加入しないといけないパートタイマーがいらっしゃったはずです。ここで手続きをするのを忘れ、しばらくして「加入してないぞ」と気付くのが典型例ですね。


1年前には雇用保険に加入していないといけないはずですが、何らかの手続ミスか確認漏れで加入できていない場合は、今からではなく1年前に遡って雇用保険に加入する手続きをします。

時効が2年ありますから、過去2年までならば、雇われている事実を証明する書類となる雇用契約書雇入れ通知書など雇用の事実を証明するものでも可能)、賃金を支払っていることを証明するもの(給与台帳や賃金台帳など)、あとは手続きが遅延したことを知らせる書類を用意すると、遡って雇用保険に加入できます。



では、2年よりもさらに過去の期間まで未加入だったらどうなるのか。例えば、平成25年7月に入社し(入社時点で雇用保険に加入する条件を満たしていた)、平成28年10月に雇用保険に加入していなかったと判明したら。

この場合、過去2年までは先ほどの手続きで遡って加入できますが、平成26年10月よりも過去の期間となると、時効になってしまい、もう加入できないんじゃないかとも思えます。


しかし、ここで特例があり、雇用保険に加入していないにもかかわらず、雇用保険料だけ給与から天引きしていた場合は、2年よりも過去に遡って雇用保険に加入できるようになっています。

過去2年よりも新しい期間は雇用保険料の支払いを問わず遡れるのですが、過去2年よりも古い期間は、雇用保険料を支払っていた場合に遡れるようになっているのですね。

加入していないのに保険料だけ給与から引いているので、「なんじゃそりゃ」と思うでしょうが、お金だけ取って雇用保険に加入していないわけですから、架空加入の状態ですな。エア雇用保険で、何の役にも立ちません。

どういう経緯でこのようなことになるのか不明ですが、被保険者資格を取得する手続きは済んでいると思い(実際は手続きできていない)、毎月の給与から雇用保険料を引いていたところ、実は加入できていませんでしたなんてオチなのでしょうか。

資格取得の手続きをすれば、被保険者証を受け取りますから加入したと分かるはずですけれども、何かのハズミで情報伝達に不備が生じたのか、社内の事務担当者が切り替わって引き継ぎができていなかったのか、そういうこともあるのでしょうね。


http://kyoto-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/kyoto-roudoukyoku/hoken/koyo/koyo02.pdf
雇用保険の加入手続漏れの是正期間が変わります ~


【平成22年10月1日から、雇用保険の加入手続が漏れていた場合であっても、雇用保険料が給与から天引きされていたことが書面により確認できる場合には、2年を超えた期間についても、雇用保険に遡って加入していただくことができるようになります】



重要な点は、『雇用保険料が給与から天引きされていたことが書面により確認できる場合には』という部分です。

保険料を払っていたのに、加入していなかった。その場合には、保険料を支払っていた期間は雇用保険に加入していたものと扱いますよ、というわけです。


しかし、給与から雇用保険料を支払っていた事実がない場合は、2年を超えて過去に遡って雇用保険に加入できませんので、最大でも過去2年前の時点から雇用保険被保険者となります。

とはいえ、仮に遡及加入したとしても、雇用保険料社会保険料に比べて低額ですから、後払いで支払ってもさほど負担ではないですし、加入期間が増えれば、失業手当の支給日数が増えますので、悪い話ではありません。






社会保険にも遡及加入がある。


遡及加入となると、社会保険でも同じことが起こります。


社会保険の場合、加入する条件を満たした場合には、その時点から加入したものと扱い、社会保険料も過去の分から支払わないといけなくなります。

私の身近にいる人も、もう15年ぐらい前でしょうが、健康保険被扶養者になれる条件を満たさなくなったのにそのままにして、いざ被保険者として自分で健康保険に加入するときになって、過去の保険料を支払わないといけなくなりました。

雇用保険とは違って、健康保険料は高いですから、遡るとなると保険料の負担は大きくなります。


社会保険と一言で言ってしまうと1つのように思えますが、健康保険厚生年金がセットになったものを一口に社会保険と表現するのが通例になっています。

なぜ社会保険は遡及加入しないといけないのかというと、健康保険がセットになっている点がキモです。

健康保険では、入りたいときに入るという判断をされると困るような仕組みになっています。「病気や怪我をしてから加入するよ」と加入するかどうかを決められると、いわゆる逆選択が発生します。

そのため、加入できた時点から遡って加入させ、その時点から保険料も支払うように要求してくるんですね。


もし、会社側の手続きミスなり不備で社会保険に加入していないと、後から過去の分の保険料を支払って加入するように求められます。では、そのような状況になったら、だれが保険料を負担するかが問題です。

会社がヘマをして本人に責任はないのですから、会社が保険料を全額負担するのか。しかし、「社会保険料は会社と社員との間で折半負担じゃないの?」とも思えます。

仮に自分が社員の立場だとして、会社が手続きをサボっていた、もしくはあえて未加入にしていたとなると、後から保険料を半分を払ってくれと言われても何だか納得しにくい。


会社員の場合、労働保険社会保険は会社経由で手続きするので、おまかせモードになっている人がほとんどですから、社会保険に未加入になっているなんて知らずに過ごしている人もいるでしょう。

中には、社会保険料を給与から天引きしているのに、保険に加入していないなんてケースも稀ながらあるようです(雇用保険の例でもありましたね)。カネだけ取って入っていないなんて、エクストリームな会社ですね。


給与明細社会保険料が引き落とされていると表記があれば、「あぁ、チャンと加入しているんだな」と分かりますし、社会保険料について何も記載がなければ、加入してないと分かる。しかし、保険料を引かれているのに加入してないとなると、さすがに社員本人は分からないでしょうね。


だから、労働保険社会保険は加入条件を満たしたらチャンと加入しておかないといけないのです。特に社会保険については、加入条件を満たしたらチャンと入っておくべき。2年分遡るなんて、トンデモナイ金額になりますからね。







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カードを使わないタイムカード Clockperiod のご紹介です。


タイムカードを使うときに負担なのは、専用の打刻機を用意しなければいけないし、
新しい紙のカードを毎月作らないといけない。さらに、カードを見ながら、電卓や
表計算ソフトで勤務時間を集計しないといけない。

しかも、給与の締め日から支給日までの短期間で集計作業をしないといけないので、
作業する人にとっては勤務時間の集計は悩みのタネですよね。

そんな悩みをどうやって解決するか。

そこで、電子タイムカードの Clockperiod が登場です。


Clockperiod は、紙のカードと打刻機を使わない電子タイムカードですから、
打刻機を用意しなくても勤務時間を記録できますし、給与計算のためにカードを
集める必要はありません。さらに、毎月、新しい紙のカードに社員全員の名前を
書いてカードストッカーに入れることもなくなります。


始業や終業、時間外勤務休日勤務の出勤時間を自動的に集計できれば勤怠集計
の作業は随分とラクになるはず。

Clockperiodは、出退勤の時刻をタイムカード無しで記録できます。タイムカード
出勤簿勤務時間を管理している企業にオススメです。
さらに、タイムカードのコピーをメールで送信して社員ごとに保存することができ
ますので、個人別に毎月の勤務記録を取り置くことができます。
また、勤務記録の改ざんや不正な打刻を把握できるログ機能もあります。

▽    ▽   < Clockperiodの利用はこちら >    ▽    ▽
https://www.clockperiod.com/Features?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_clockperiod_common_20161228_944



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残業で悩んでいませんか?

「長時間の残業が続いている」
残業代の支払いが多い」
「残業が減らない」

こういう悩み、よくありますよね。

ニュースでも未払い残業代の話題がチラホラと出てくるぐらい、残業に対する関心は高くなっています。

法律では、1日に8時間まで、1週間では40時間までしか仕事ができません。その水準を超えてしまうと、残業となり、割増賃金が必要になります。

とはいえ、1日で8時間と固定されていると不便だと感じませんか? 1週間で40時間と固定されていると不便だと感じませんか?


毎日8時間の時間制限があると、柔軟に勤務時間を配分できませんよね。

例えば、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。

でも、実は、「月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務なので、残業は無し」こんなことができる仕組みがあるんです。

「えっ!? そんな仕組みがあるの?」と思った方は、ぜひ『残業管理のアメと罠』を読んでみてください。


『残業管理のアメと罠』
http://www.growthwk.com/entry/2012/05/22/162343?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_common_20161228_944



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