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コラムの泉

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専門家が発信する最新トピックスをご紹介(投稿ガイドはこちら

KAM

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.367-2017.03.14
      
    ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。


◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[NEWS]韓国大手監査法人に行政処分 営業停止の恐れも
2.[NEWS]東芝の決算発表、再延期のおそれ。日米監査法人で意見に相違
3.[税務]使用人兼務役員賞与損金算入
4.[監査]監査法人ガバナンスコード
5.[監査]KAM
6.[編集後記]

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1.[NEWS]韓国大手監査法人に行政処分 営業停止の恐れも
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ちょっと前のニュースになってしまいましたが、個人的に気になったのでいれ
ておきます。

韓国でも大手監査法人が苦境に立たされているようです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170216-00000011-nna_kyodo-kr

“韓国造船大手の大宇造船海洋の会計不祥事を巡り韓国の金融監督院は、会計
監査を担当したデロイト安進を行政処分する方針だ。処分内容は営業活動の停
止となる見方が出ている。タイミング次第では、企業の監査契約の更新時期と
重なり、顧客の大量離脱の可能性がある。韓国に進出した一部の日系企業にも
影響が出そうだ。”

“また、デロイト安進を退社した元社員が別の監査法人を立ち上げて、改めて
「デロイトブランド」を使用する可能性もあるという。その場合、デロイト安
進と監査契約を結んでいる日系企業の子会社は新しい監査法人契約を結び直
す可能性が高いため、「業界に大きな変動はない」との見通しもある。”

どこかで聞いたことのあるような話です。

なかなか、大きな粉飾であったようですね。

http://koreajoongangdaily.joins.com/news/article/article.aspx?aid=3029614&cloc=joongangdaily%7Chome%7Cnewslist1

“Anjin audited DSME’s balance sheets starting in 2010. Until 2014,
the accounting firm said the shipbuilder’s financial situation was
optimal.

However, in March, the accounting firm said the 2 trillion won
($1.7 billion) of operating losses on some 5.5 trillion won revenue
in 2015 should be included in the company’s 2013 and 2014 balance
sheets. The shipbuilder’s operating profit reached 424.2 billion
won in 2013 and 454.3 billion won in 2014. However, the figures
turned out to be an operating loss of 789.8 billion won in 2013 and
754.6 billion won in 2014.”

“I think it is against the fundamental principle to suspend an
accounting firm from operating due to simply poor audits,” said
Choi Joong-kyung, president of the Korean Institute of Certified
Public Accountants. “The financial regulator’s possible penalty
given to the accounting firm will have a direct impact on its
employees even though the court hasn’t come up with the ruling.”

デロイト安進が組織ぐるみで大宇造船海洋の会計不正にかかわったのかどう
かが焦点となっているようですが、そうではないことを信じたいです。それに
しても監査失敗の代償は大きい。大きすぎないでしょうか。

===================================
2.[NEWS]東芝の決算発表、再延期のおそれ。日米監査法人で意見に相違
===================================
やはりこのニュースは気になります。
http://newswitch.jp/p/8253
“東芝の2016年4─12月期連結決算発表が、一度延期した後の期限の
14日に実施できない可能性が出てきた。日米の監査法人の意見の相違などに
より作業が遅れているという。上場廃止リスクは一層、高まっている。”

これ、内部通報で、東芝の志賀前会長とアメリカの原子力子会社ウェスチング
ハウスのロデリック会長が巨額損失を少なく見せるようプレッシャーをかけた
ということが判明した点が影響しています。

“東京証券取引所の基準では、四半期報告書の提出延長を承認されたケースに
ついて、その期限経過後の8日目までに提出できない場合は上場廃止となる。”

上場廃止は免れて欲しいと思いますが、どうなんでしょうか。

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3.[税務]使用人兼務役員賞与損金算入
===================================
事前確定届出を出していない役員賞与でも、使用人兼務役員賞与で使用人
賞与と同時期に支給されるものは損金に算入されます。

これについて少しおさらいしましょう。
使用人賞与損金算入時期
https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5350.htm

こちらでは、「使用人に対して支給する賞与の額には、使用人兼務役員に対し
て支給する賞与のうち使用人としての職務に対応する部分の金額が含まれま
す。」として“使用人兼務役員に対して支給する賞与のうち使用人としての職
務に対応する部分の金額”が含まれることが明確にされています。

さらに、使用人兼務役員とされない役員という定めがあります。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5205.htm

ここでいう、「副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有す
役員」については、以下のような定めがあります。
法人税基本通達9-2-4
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_02_01.htm

多くの会社さんが定款などで取締役の職制上の地位を定めていますよね。あれ
です。

それでは、“使用人兼務役員に対して支給する賞与のうち使用人としての職務
に対応する部分の金額”とは具体的にどのような額なのか。

法人税基本通達9-2-23
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_02_06.htm

つまり、
○比準すべき適当なものがいるとき
当該使用人兼務役員が現に従事している使用人の職務とおおむね類似する職務
に従事する使用人に対して支給した給与の額
→その給与の額が特別の事情により他の使用人に比して著しく多額なものであ
る場合には、その特別の事情がないものと仮定したときにおいて通常支給され
る額

○比準すべき使用人として適当とする者がいないとき
当該使用人兼務役員役員となる直前に受けていた給与の額、その後のベース
アップ等の状況、使用人のうち最上位にある者に対して支給した給与の額等を
参酌して適正に見積った金額

ということですね。

他の使用人と同時期に支給している必要があるということについても留意が必
要です。

法人税法施行令第70条第3項
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S40/S40SE097.html

使用人兼務役員の使用人としての職務に対する賞与で、他の使用人に対する
賞与の支給時期と異なる時期に支給したものの額」は、不相当に高額として損
金に算入されません。

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4.[監査]監査法人ガバナンスコード
===================================
監査法人ガバナンスコードに関する記事は特にご紹介していませんでした。
昨年の話ですが、「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会」は、
監査法人ガバナンスコードの案を公表しています。

http://www.fsa.go.jp/news/28/sonota/20161215-1.html

引用すると、
原則1 監査法人は、会計監査を通じて企業の財務情報の信頼性を確保し、資
本市場の参加者等の保護を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与する公
益的な役割を有している。これを果たすため、監査法人は、法人の構成員に
よる自由闊達な議論と相互啓発を促し、その能力を十分に発揮させ、会計
査の品質を組織として持続的に向上させるべきである。

原則2 監査法人は、会計監査の品質の持続的な向上に向けた法人全体の組織
的な運営を実現するため、実効的に経営(マネジメント)機能を発揮すべき
である。

原則3 監査法人は、監査法人の経営から独立した立場で経営機能の実効性を
監督・評価し、それを通じて、経営の実効性の発揮を支援する機能を確保す
べきである。

原則4 監査法人は、組織的な運営を実効的に行うための業務体制を整備すべ
きである。また、人材の育成・確保を強化し、法人内及び被監査会社等との
間において会計監査の品質の向上に向けた意見交換や議論を積極的に行うべ
きである。

原則5 監査法人は、本原則の適用状況などについて、資本市場の参加者等が
適切に評価できるよう、十分な透明性を確保すべきである。また、組織的な
運営の改善に向け、法人の取組みに対する内外の評価を活用すべきである。

という感じです。どれもごもっともですが、企業の側の意識改革も重要と思っ
ています。

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5.[監査]KAM
===================================
KAMは(Key Audit Matter)です。

今回の監査法人改革のなかで、監査報告書の長文化が検討されています。イギ
リスでは、2013年に新しい監査報告書(Extended Auditor’s Report)が導入
されています。

・監査人が監査の過程で認識した主要なリスク等(KAM)
・マテリアリティ(いわゆる“重要性”です。)
・監査のスコープ

を記載することとしています。

実際にKAMとなるのは、資産の減損、内部統制、税務、のれんなどのようです。
監査は通常これらを十分に検討し、審査を受けているわけですが、これらを監
査報告書に記載するということですね。

日経有料記事
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO13917510Q7A310C1TCJ000/

審査資料がそのまま監査報告書になるようなイメージです。大変ですね。。。

まあ確かに投資家にとってみれば、監査人の判断根拠がわかっていいかもしれ
ません。企業も大変ですよ。市場の目があるということになりますからね。甘
くみてくれと思ったとしても、監査人だけでなく市場全体を説得できるのかど
うかということを意識しなければならなくなりますからね。個人的には期待し
ます。

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6.[編集後記]
===================================
株式会社エキスパーツリンクは平成19年2月設立、税理士法人エキスパーツリ
ンクは同年4月設立ですので、もう設立から10年経つということになります。
当初の計画とは異なる形になっている面もありますが、まずは10年続いてい
るということだけでも良かったなと思っています。世間様から存在価値が認め
られているということと思いますので。思えば、この十年は目の前にある仕事
を一生懸命やるということで精いっぱいであった十年でした。今後はスタッフ
を充実し、より付加価値の高い業務を提供できるよう、より専門性を磨いてま
いります。さらに忙しくなるでしょうけれども、このメルマガは極力続けます。
無理はしませんが。

公認会計士紺野良一事務所のHPも是非ご覧ください。

トップページ
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個人会計士による会社法監査
http://kaishaho-kansa.com/audit/personal/

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士税理士・公認内部監査人(CIA)inactive 紺野良一
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